内房~三浦半島久里浜沖では師走になっても依然ワラサの食いが続いている。
取材した内房保田港の東丸では、保田沖でマダイを狙ったあとに久里浜沖に転戦してワラサを狙うスタイルを取っている。
12月上旬からデップリと太ったワラサに加えて成長著しいイナダが活発にアタるようになり、出世を目論む元気いっぱいの若手がわれ先にとエサを追ってくる。
取材日はワラサの前にイナダが食ってきたためワラサの数はのびなかったが、イナダの数釣りが楽しめた。
サイズは45~50cm前後で脂の乗りも申し分なく、だれでも楽しめるからこれはこれでうれしい。
今後、ワラサ、イナダはいつまで釣れ続くか分からないが、東丸ではマダイとの2本立てで狙っていく。
▲〝下剋上〟を虎視眈々と狙うのはイナダ。活発に食った
出典:
ワラサ用エサの付け方色いろ
東丸ではワラサ狙い用にイカタンを用意している。
イカタンはそのままチョン掛けにしてもいいが、オキアミと一緒に使うのが効果的だ。
イカタンとオキアミを抱き合わせにしたり、オキアミでイカタンを挟むようにしてハリに付ける。
イカタンの長所は、そのアピールの高さとエサ持ちのよさだ。
とくにワラサが高活性のときには効果が高い。
オキアミだけをハリに付ける場合も、高活性のときには抱き合わせにして目立つようにするとよいだろう。
逆に食い渋りのときやマダイやイシダイなどの外道が多く交じるときには、オキアミを1匹付けにしてナチュラルなアピールを狙おう。
秋の声を聞くと東京湾ではコマセのワラサ釣りが始まる。
ワラサの回遊ポイントは久里浜~剣崎沖、保田~富浦沖と広範囲に渡り、年が明けて群れが抜けるまで楽しめる。
今回取材した内房保田港の東丸は周年コマセダイ乗合を出しているが、ワラサが釣れ始めると両魚を狙って出船、現在はワラサとマダイをリレー形式で狙っている。
地区によっては同じポイントでワラサとマダイを同時に狙うこともあるが、東丸ではマダイとワラサで切り替えて狙うのが一般的だ。
船長がポイント移動の際に、狙うターゲットと仕掛けの交換をアナウンスしてくれる。
マダイ&ワラサの両狙い
竿は魚種別に用意して使い分けている人もいるが、取材日はマダイタックル一本で狙っている人が多かった。
3m前後のマダイ竿に小型電動リールを組み合わせる。
ドラグはハリスの強度に合わせて調整するが、6~8号ハリスを使うワラサ仕掛けの場合は、きつめの調整が魚を遊ばせずに取り込みやすい。
道糸を片手でしっかり握って引っ張らないとリールから出ていかないくらいがちょうどよい。
道糸はPE3~4号を巻いておく。
マダイもワラサもコマセカゴはオモリ80号、テンビンは腕長50cm前後と共通で、クッションゴムとハリスを交換する。
マダイ用に元ハリス6~8号を6m、先ハリス3~4号を4m、トータル10mをサルカンで介したテーパー仕掛けを作っておいて、ワラサにはヨリモドシと先ハリスを外し、ハリを結べばワラサ仕掛けとして使えるので経済的だ。
ハリのチモトに夜光玉やシェルビーズなどのアクセサリーを付けるのは、ときに効果的なことがある。
筆者が愛用しているのはケイムラのソフトビーズで、これはワラサやヒラマサなど青物狙いの場合は付けるようにしている。
マダイやアマダイ釣りにも、エサ取りが少ない日には同じものを付けている。
コマセはオキアミを使う。
凍ったブロックが朝に3kg配られるので、バケツに海水をくんで溶かしておく。
付けエサはコマセの中から型のよいオキアミを拾って使う。
仕掛けの長さや太さこそ異なるものの、ワラサもマダイも基本の釣り方は同じと思ってよい。
指示ダナに合わせてからアタリを待つ。
待ち時間やハリス長の違いによるコマセの振り幅など、若干の釣り方の違いはあるが、ここではワラサの釣り方を主に解説したい。
▲朝イチは保田沖でマダイを狙い1kg級が上がった
出典:
高活性時はコマセを切らさない
タナは海面から取る。指示ダナからハリス分ビシを落として、コマセを振りながら指示ダナに合わせる。
基本的にはコマセで帯を作るように、2mおきに数回に分けてコマセを振ればよい。また、図1のように通常時と入れ食い時でコマセの振り方を変えてやると効果的だ。
ワラサは瀬の上や根周りなどのポイントを広範囲に回遊している。
通常は船下に常に魚がいるわけではなく、群れが船下を通過するイメージだ。
魚探反応も出たり消えたりすることが多い。
船下にワラサが入ってきたときがチャンスだ。
船下に入ってきた魚を足止めするため、コマセが途切れないようにまく。
図1の②のように帯状のコマセワークを行うのがよい。
ワラサの活性が上がったとき、周りの船で竿が曲がっているときは、③のように、食いダナ集中のコマセワークをしてやる。
これは狭い範囲で一気にコマセをまくことにより、近隣のワラサを寄せる効果をより高めるためだ。
活性の高いワラサはコマセに突っ込んでくるので、食いダナ集中のコマセワークとともに、手返しを早くすることがアタリを増やすことにつながる。
コマセを振り終わったら置き竿でアタリを待つ。
アタリはワラサの場合、最初にモゾモゾッと竿先が震えるようなアタリがきて、その後に竿先がゆっくりと海面に刺さるという感じだ。マダイのカツン!と鋭く引き込むアタリと見分けがつきやすい。
竿を立ててヤリトリを!
アタリがあったらキーパーから竿を外して、リールを巻いて魚にプレッシャーをかける。
ワラサの場合、仕掛けにテンションがかかると思い出したように疾走を始めることがある。
その強烈な引き込みには、慣れないと戸惑うと思う。
魚を掛けた後は図2のヤリトリを参照してほしい。
魚が走っているときは、無理せずに糸を出してやる。
ハリス8号であれば切られることは少ないが、6号だと無理に引っ張りっこすると切られることもある。
魚は必ず止まるので、そこで②のように竿を起こして魚の頭を上に向ける。
魚が止まったらリールをガンガン巻いて寄せてやるのがコツだ。
腕は疲れるが、竿を立てたままその弾力を利用して巻き上げることで、魚が反転したときに竿を下げて対応する余裕を作る。
魚が反転して再び強く引き込むことがあれば、水平に保った竿をためながら耐える。
引きが弱まったらまた竿を立ててガンガン巻く、を繰り返せばワラサでもブリでも徐々に疲れて浮いてくるはずだ。
大事なポイントは「魚を休ませないこと」だ。
魚に自由に引っ張り回られてしまうとオマツリの原因にもなる。
疲れるが、ワラサが掛かったときは釣り人もフルパワーでヤリトリしよう。
仕掛けが上がったら、まずビシとテンビンをコマセオケに置いて、両手でハリスをたぐる。
魚が見えたら円を描くように泳がせながらハリスを徐々にたぐっていく。
このときに最後の力を振り絞って抵抗することがあるので、ハリスは指に引っ掛けて持つ。
ハリスを指に巻き付けて引っ張るのは、急な魚の引き込みで皮膚を切るおそれもあるのでやめたほうがいい。
海面にワラサの頭が出たら、そのまま頭からタモに誘導する。
また、狙っている魚と違う魚が食ってくるときもある。
ワラサ仕掛けにマダイが食ったときは、仕掛けが丈夫なので切られることなくすんなりと上がってくるが、マダイ仕掛けにワラサが食ってきたときは無理できない。
その場合も釣り方の基本は本稿で述べたことと同じだ。
魚の疾走が止まるまでは竿でためて糸を出し、走りが止まったら巻き上げる。
マダイ仕掛けの場合は、これらの動作をよりソフトに、より緩めたドラグ調整で臨めばよい。
また、魚の引きに応じて糸を出すときは、竿先を下向きにするとガイドの抵抗が少なくなってスムースに糸が出ていくことを覚えておこう。
3号のハリスでも無理をしなければワラサを浮かせることはできる。
東京湾内には、周年にわたってワラサが居着いている。
しかし、群れが固まってコマセ釣りでワラサが狙えるのは、年明けまでの場合が多い。初釣りで出世魚のワラサと祝魚のマダイ、両手に花を狙えるゴージャスな釣りだが、年明けは早めの釣行をおすすめしたい。
マダイ、イナダと三つ巴!納竿&初釣りにもおすすめ
10月から釣れ始めた東京湾のコマセ釣りのワラサは、12月に入っても順調に上がっていた。
内房保田港の東丸はワラサとマダイの両狙いで出船をしている。
状況によってワラサがメインになったり、マダイがメインになったりする。
取材日は朝一でマダイを狙い、その後にワラサを狙うプランだった。
5時半に駐車場に集合し、軽トラで船まで荷物を運んでもらう。
東丸では釣り座は予約時に決まる。
クーラーに氷を詰めて準備が整うと船は真っすぐ保田沖へと向かった。
タナは海面からビシまでの間がアナウンスされる。
朝のマダイのタナは75m、冬の落ちダイの水深だ。
85mまでビシを落とし、コマセを振りながら75mに合わせるが、まだ周りは薄暗く道糸のメーターマークが見づらいほどだ。
▲ワラサの前にイナダが食ってくる展開の中で食わせたワラサ
出典:
良型イナダの群れ濃厚
最初の流しではアジが上がったのみ、流し変えると今度は95mのタナ指示が出た。
水深は100m以上ある。東京湾では最も深い部類だろう。
ここで大ドモの竿が曲がって、1kgくらいのキレイなマダイが上がった。
続いて私の竿にも鋭いアタリがきた。
しかし竿を手にしたら重みがない。
ハリ掛かりしなかったようだ。
マダイらしい竿の突っ込みだっただけに残念。
その後にマダイのアタリはなく、船長はワラサポイントへの移動を告げた。
ハリスを6~8号6mに交換するようアナウンスがある。
20分ほど走って着いたのは久里浜沖、20隻ほどの船団が見える。神奈川県側、千葉県側の主だった港のコマセ船が集結しているようだ。
こちらの指示ダナは37m。
エサはオキアミとイカタンを抱き合わせに付ける。
43mまでビシを落とし、コマセを2回に分けて振ってタナに合わせて置き竿にすると、ほどなく竿先がモゾモゾッと動いた。
いきなりきたか?と竿を手にしてリールを巻くと重い手応えだ。
しかし、ドラグから糸を引っ張り出すような引きではない。
竿を立ててリールを巻く。
隣の人がタモを持ってきてくれた。
「大丈夫、抜きます」とごぼう抜きにしたのは、50cmほどのでっぷり太ったイナダだった。
目方は2kg近くありそうだ。
反対舷ではワラサが上がる。
さすがにワラサの引きは強烈で、何度も竿がのされて糸が出されていた。
ワラサは4kgクラスで、重さはイナダの倍以上あるのでパワーも倍以上だ。
魚の活性は高くアタリは多い。
イナダが元気いっぱいで、ワラサよりも先にイナダが食ってしまう状況だ。
冬のイナダは脂の乗りがちょうどよく、刺身ならワラサよりイナダが好き、という人は多い。
私もその一人だ。
しかしながらあまりイナダばかり釣ると、ワラサが釣れてもクーラーに入らなくなってしまうのが心配のタネでもある。
結局この日はワラサは0~2本、最大で4.2kgだったが、イナダは5~10本。
私の25Lクーラーは5本のイナダで埋まった。
翌日はイナダの群れが減ったか、ワラサが0~5本、最大4.9kg(イナダ1~4本)とワラサ主体の釣果になった。
例年なら年明けごろまでがワラサのシーズン。
ワラサの食いが落ちれば、マダイメインで狙う。
脂の乗ったワラサもおいしいが、冬の深場を狙う東京湾の越冬マダイは一年で一番美味という人もいるほどだ。
ワラサとマダイ、納竿で狙うもよし、初釣りで狙うもよしの二魚種としておすすめしたい。
▲イナダは1.5kg前後あり脂の乗りも上々
出典:
船宿INFORMATION
内房保田港 東丸
080・8108・2916
▼備考=予約乗合、5時半集合
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隔週刊つり情報(2024年1月15号)※無断複製・転載禁止