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狙うは木更津の推進20m前後東京湾の冬キス食い順調

隔週刊つり情報編集部

冬の東京湾で代表的な人気の小物釣りはシロギス。

冬場のシロギスは身にほんのりと脂が乗り一層おいしくなる。

ゆっくり上下に誘いを入れたり、船下でアタリがなければアンダーハンドキャストで広範囲を探ったりして、プルッと竿を震わせるアタリと小気味いい引きを味わうことができる。

目下のところ木更津沖の水深20m前後を狙い、12~24cmのシロギスが20~30尾、慣れている方なら50尾以上とまずまずの食いを見せている。

冬は水深30m前後の深場へ移動した落ちのシロギス狙いの時期だが、ここ数年は水温が下がらず安定しているため、今後も浅場で良型交じりの数釣りが楽しめそうだ。

本編では胴つき仕掛けのシロギス釣りについて解説したい。

釣行の写真

▲頻繁に竿を曲げていた常連氏は58尾で竿頭

食べておいしい冬のシロギス

シロギスといえば夏が旬と思われている方が多いかもしれない、実は食べておいしいのは冬なのだ。

越冬に備えたシロギスは、体に脂肪を蓄えて丸まる太った魚体になる。

脂の乗った身はしっとりとした舌触りでほのかに甘みが感じられ、刺身で食べるとその違いが感じられる。

冬のシロギスでイチ推しの料理方法は、しゃぶしゃぶ(キスしゃぶ)だ。

三枚におろして腹骨をすいた身(写真)を、中骨で取った熱あつのだしにくぐらせ、ポン酢など好みのタレでいただく。

だし汁にくぐらせる時間は皮面に熱が通るくらい、身の中心が生くらいがちょうどよい。キスの天ぷらの場合、5尾分も食べるとお腹が膨れてくるが、キスしゃぶはあっさりしているので10尾分くらいは軽く食べられる。

たくさんシロギスを釣って、ぜひ試してみてほしい。

東京湾のシロギスはほぼ周年楽しめる釣り物だ。

初心者の船釣り入門にも最適だし、釣技の向上を追求し続けるベテランにも人気がある。

文字どおり老若男女が楽しめる釣りと言える。
 
夏に産卵を終えたシロギスは、水温が下がる秋から越冬のためにエサをたくさん食べて体を太らせる。

年末から年始にかけては一年のうちで最もシロギスがおいしい時期だと言える。

湾内の釣りなので冬場の天候でも出られる日が多く、また釣果も安定しているので納竿、初釣りのターゲットとしてもうってつけだろう。
 
東京湾のシロギスポイントは中ノ瀬を始め木更津沖、富津沖、富岡沖と数多くある。

夏場は水深5~8mの浅場で釣れ盛っていたシロギスは、徐々に深場へ落ちていく。

かつては真冬の時期になると水深30m前後を狙うこともあったが、近年は湾内の水温が以前ほど低下しないため、冬場でも20m前後の水深を狙う。
 
夏の活性が高いシロギスは、エサが付いているだけでアタリがあるが、冬のシロギスはしっかり誘いを入れてやらないと食いが悪い。

誘いの巧拙の差が出やすい時期でもあり、誘って掛ける面白さがあるのも冬の時期だ。

絡みにくくて手返しもいい胴つき1本バリ仕掛け

タックルは全長1.8m前後のシロギス専用竿に小型スピニングリール、道糸にはPEラインを使うのが定番で、各メーカーから多くの製品が出ている。

近年では湾フグ竿にベイトリールの組み合わせを使っている人もしばしば見かける。

取材日も何人かがベイトリールを使っていた。
 
キャストが楽なスピニングリールに対し、ベイトリールはクラッチのオンオフにより、細かな糸の出し入れ操作がやりやすいメリットがある。

船の流れに応じてアタリが出やすいよう竿の角度を調整する場合、糸の出し入れがやりやすいベイトリールを選ぶのは一理ある。
 
また、穂先の繊細な湾フグ竿は、シロギスの小さなアタリを取るのにも向いている。

取材に伺った吉野屋ではフグ乗合も出しているので、フグとシロギスとで使い慣れたタックルを兼用するという人もいるようだ。
 
シロギス仕掛けは大別して、テンビン仕掛けと胴つき仕掛けがある。

どちらを使うかは好みでよい。

基本的に胴つきは仕掛けを大きく持ち上げて落とし込む縦の誘いがやりやすい。

対してテンビンはキャストして仕掛けを広く引きずる横の誘いに適している。
 
エサはアオイソメが配られるが、頭の硬い部分はハサミでカットして捨てて、胴の切り口からハリを刺す。

ハリ先を抜いたら、タラシは最低で3cm、好みで5~7cmと長くしてもよい。

長いエサはアピールはよいが、エサだけ取られることも増える。

シロギスが吸い込みやすいようにイソメの頭に近い太い部分は短めにカット、後ろの細い部分は長めにするという付け方もある。

釣行の写真

▲丸まる太った20cm級の良型も交じる

1m誘い上げゆっくり沈めてアピール

冬場に水深20m前後を釣るときでもキャストはしたほうがよい。

ポイントを広く探れるだけでなく、オマツリを減らす効果もある。

キャストと言ってもフルスイングで遠投する必要はなく、振り子の要領で手にしたオモリを前に振り出し、竿にオモリの重さを乗せたところでタイミングよく放せば10m以上投げられ、その距離で十分だ。
 
仕掛けが着底したら、この釣りで最も大切な「誘い」に入る。

ここでは胴つき仕掛けの誘い方に絞って解説する。
 
冬場のシロギスはキャストを繰り返して広い範囲を探る浅場の釣りとは異なり、船下で釣る時間も多くなるので、縦の誘いがしやすい胴つき仕掛けが使いやすいだろう。
 
図1が海中での仕掛けの動きのイメージになる。

ここではエサの動きをイメージしてほしい。

胴つき仕掛けの場合エサは潮に流されて潮下方向に位置する。

このままオモリを動かさずに止めていると、エサは止まっているか、あるいは潮が流れているときはハリスがなびいてエサはわずかに動いているはずだ。
 
シロギスが積極的にエサを追う夏場などは、この止めただけの状態でも勝手に食ってくることがある。

しかし、冬場は釣り人が意識的にエサを動かし、アピールしてやらないとアタリは少ない。

そのために誘い上げと落とし込みを行う。
 
誘い上げは1mくらいオモリを持ち上げる動作だ。

そんなに持ち上げなくてもエサは動くだろう、と思うかもしれない。

しかしこれには意味があるエサを十分に浮かせるためだ。
 
落とし込みでオモリが着底した後は、しばらくオモリを動かさない。

これは、誘い上げで浮いたエサが、海底まで自由落下するのを待つためだ。
 
つまり、胴つき仕掛けの誘い方はエサを引っ張り上げて浮かせるのが最初のアピール、浮いたエサがユラユラ沈んでいくのが二度目のアピールとなるわけだ。

竿の操作を覚えて静と動の誘いを行う

シロギスのアタリは、誘い上げでエサが浮き上がるタイミングと、落とし込んだあとにエサが沈んでいくタイミングで出ることが多い。

この誘い方は、オモリが動いている動の状態と、止まっている静の状態の繰り返しになるが、動と静のメリハリをしっかりとつけてやるように心がけるとよい図2では、動と静の誘いを行うための竿の操作を示している。

最初の構えは、竿先が下向きになるようにする。

シロギス釣りでは常に竿先にテンションをかけた状態にしておく。

その位置から竿をゆっくり60度くらいの角度まで1~2秒ほどかけて誘い上げる。

これでエサを十分な高さまで浮かせる。
 
誘い上げの頂点で一瞬静止させた後、落とし込みの操作に入る。

道糸が斜めになっているときは、着底すると竿先は下向きに戻らず、水深が浅くなったような感じになると思う。
 
これは仕掛けが手前に寄ってきたせいだ。

そのまま待つと船の流れによって仕掛けが徐々に引っ張られるので、流れに合わせて竿先を下げていく。

竿先が下がって最初の構えに戻ったら、また誘い上げに入る、の繰り返しだ。

この操作で海中では図1のような仕掛けの動きが演出できる。
 
誘い上げのアタリはコツッと小さく竿先を引っ張るように出るので、手首を返すような感じで小さく合わせを入れてやる。

待ちのアタリは竿先を引ったくるように大きく出ることが多い。

すでにハリを飲んでいる場合も多いが、引っ張られた分を引っ張り返すような感じで合わせを入れる。
 
あとは一定のスピードでリーリングして、竿先とオモリまでの距離が1mくらいで巻くのを止めて、竿を立てて抜き上げればよい。
 
冬のシロギス釣りはアカクラゲに悩まされることもないし、フグなどのエサ取りも比較的少ない。

天気のいい日を選べば快適な釣りが楽しめるはずだ。

釣行の写真

▲手返しよく釣るのが釣果をのばすコツ

木更津沖は良型主体で食い活発東京湾のシロギスは冬も好調

夏日が2日間もあった暑い11月も後半になってようやく冬らしくなってきた。

寒くなるにつれ、東京湾ではシロギスが好調な食いを見せている。

東京湾奥浦安の吉野屋では前日トップ80尾と盛期並みの数が出ていた。

船宿の戸を開け朝のあいさつをすると、吉野公大船長が笑顔で迎えてくれた。

いつも活気あふれる船宿だ。

吉野屋といえば、宿で売っているでき立てほかほかのお弁当が楽しみの一つ。

受付を済ませ、さっそく二つ買い込んだ。

一つはすぐに食べて、もう一つはあとで食べる。

ご飯の上に天ぷらや佃煮が乗ったシンプルなお弁当は400円、これはおすすめですよ。

出船の7時半になり、船は旧江戸川を下って海へ出る。

ポイントの木更津沖までは40分ほどだが、この日は朝のうち西風が強く波は高い。

ゆっくりと波を避けるように航行してポイントに着いた。

小気味よい引きを堪能

水深は17・5m、というアナウンスがあった。

かつては年末のシロギスといえば30m前後の深場まで落ちたりしたのだが、高水温の影響か現在は冬場でも20m前後の水深で釣り、春までだいたいこの水深を攻める。

周りを見渡すと、テンビン仕掛け、胴つき仕掛けの割合が半々くらいだ。

私は夏の浅場以外では胴つき1本バリ仕掛けを愛用している。

アオイソメの細い部分を頭を切ってハリに刺し、5cmほどにカットする。

空は晴天、よい天気なのだが西風がけっこう吹いている。

波と風で小さなアタリが取りにくい。

仕掛けが安定するように竿を上下に操作しながら、船の揺れでオモリが動かないように注意しつつ誘いと止めを繰り返す。
 
ほどなくシロギスのアタリがやってきた。

誘い上げた竿がククッと引っ張られ、軽く合わせると気持ちよい重量感と引きが伝わる。

抜き上げたシロギスは18cm、丸まると太ったボディだった。

アタリがそれほど多いというわけではないが、ていねいに誘い続けていれば飽きない程度にアタリはやってくる。

アタリが途切れると船長はこまめに船を回す。

よいポイントに入るとアタリが連発するので小さな群れが点在しているような感じだ。
 
夏の間に悩まされたアカクラゲやフグは不在なので、アタリがあればほぼシロギス。

仕掛けを止めっぱなしだとイトヒキハゼに食われるので、待ち時間は3~4秒と短めにしつつ誘いを繰り返すようにした。

クーラーの中は徐々にシロギスが増えていった。
 
午後近くになると風は弱まり、ポカポカと気持ちよい陽気になった。

シロギスのサイズはほとんどが18~20cmでそろっていて、ときおり23cmを超える良型や15cmの小型が交じる。

ナギるにつれアタリが明確に出るようになった。

活性が上がったのかハリを飲み込まれることも多い。
 
沖揚がりの時間になり、シロギスを数えるとちょうど30尾、外道にイシモチが2尾交じった。

船のトップは58尾と、この日も好釣果だった。

シロギスは年末年始も十分に期待できそうだ。
 
取材時は、水木土はシロギス乗合、月金日はハゼ乗合で出船という変則スケジュールだったが、ハゼ乗合は12月半ばで終了見込なので、本号発売時にはシロギスが毎日出船になっている予定だ。

出船日は船宿のホームページを確認していただきたい。

INFORMATION

東京湾奥・浦安 吉野屋

047・351・2544

備考=7時半出船。

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