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今が釣りどき、食べどき!走水のビシアジは今が旬

隔週刊つり情報編集部

三浦半島のビシアジが盛況だ。

元来周年アジ狙いの船宿が多いエリアだが、晩秋~初冬にかけては一層脂が乗って食味もアップ、そのことをよく知る舌の肥えたファンで連日にぎわいを見せている。

釣り場は走水沖の水深50m前後。

釣れるアジは35~40cmの大型から26~30cmの中型、そして22~23cmの中小型と交じりだが、連日トップ50~80尾、日によっては1束釣果も出るなど絶好調だ。

なお取材した走水港の関義丸では長年午前、午後の半日船で出船していたが、11月からは7時15分出船、13時沖揚がりのショート船に変更されている。

釣行の写真

▲大アジの一荷。こんなこともよくあるからタモの出番は多い

大アジの脂乗りは抜群

味のよさで知られる走水のアジは、年間を通して身が締まってうま味が強く、食にうるさい釣りファンの人気が高い。

そんな走水のアジでも、今の季節が最も旬と言える。

10~12月にかけて釣れる35~40cmの大アジは、腹の中に白い脂がたまり身が半透明の乳白色になる。

これはすべての個体ではなく、同じポイントで釣れる大アジでも、脂の乗る魚と乗らない魚があるようだ。

外見からはなかなか見分けにくいが、さばいてみると包丁に付く脂や身の色で分かる。

脂乗り乗りのアジが見つかったら、ぜひ刺身で味わっていただきたい。

この季節、この場所ならではのおいしさが体験できるはずだ。

走水の地名は、まるで水が走っているような速い潮が流れることからも由来している。

潮の干満による流れでエサが豊富な東京湾屈指のアジポイントだ。

40cm級の大型が釣れ、食味がよいことから人気が高い。

しかし、潮が速いときはそれなりのコツが必要になる。ここでは走水沖のアジを釣るための速潮対策を中心に解説したい。

釣行の写真

▲お父さんと一緒に釣りにきていた娘さん。良型のアジを釣り上げた

釣行の写真

▲お父さんもアジを連発

オモリ130号が標準のノーマルビシアジ用タックル&仕掛け

タックルは各メーカーから出ている全長1.8m前後のビシアジ専用竿が使いやすい。

オモリ130号を振りきれる頑丈さと、アジの口切れを防ぐ胴の粘りを持つのがビシアジ専用竿で、7:3~6:4調子のソリッドタイプの竿だ。

リールは中型電動に道糸PE3~4号を巻いておく。

細い道糸は傷が入ったときに高切れの原因となるのでおすすめしない。

ビシは130号で横目ビシがコマセの詰まりも少なく使いやすい。

片テンビンは腕長40cm、クッションゴムを付けておく。

取材した関義丸ではレンタルタックルが1隻に付き5名分用意されているので、利用するときは予約時に申し込んでおこう。

仕掛けは大アジだけでなくマダイやヒラメなどが食ってくることもあるので、ハリスは2~3号までを好みの太さで選ぶ。

食い渋りのときは2号に分があるが入れ食い状態になるとハリスの太さに関係なく食ってくる。

ハリ数は2~3本。

慣れていなければ2本バリが扱いやすくおすすめだ。

エサは船でアカタンが配られ、関義丸では別売りでアオイソメも用意されている。

走水沖のポイントは、時期により浅くなったり深くなったりするが、ほとんど真沖の水深50m前後となる。

タナは基本的に海底までビシを落とし底から取るが、ポイントによっては根の上を釣るため、海面からのタナ取りになる。

道糸のマーカーでタナを取れるようにしておこう。

潮の速さによる3パターンのビシの動き

かつてはアンカーを入れたカカリ釣りで狙う船もあったが、現在はスパンカーを立てて、反応の上に船を止めて狙う釣り方がほとんどだ。

このため、仕掛けが潮に押されて斜めに入ることがある。

この「仕掛けが潮に押される」ことを理解し、潮の速さに合った釣り方をすることが、走水のアジ攻略のために最も大切なことだと言える。

始めに「潮が緩いとき(緩潮型)」「潮が速いとき(速潮型)」「潮がとても速いとき(超速潮型)」の3パターンについて図1で説明する。

〇パターン1 緩潮型

潮が緩いときは多くの人がいつも経験している状況だろう。

タナが底から3mであれば、タナを合わせた位置からビシはほとんど動かない。

タナを取り直しても3m落とせば海底に着くだろう。

これを緩潮型とする。

何を当たり前のことを、と思われるかもしれないが、潮が速くなるとまた変わってくる。

〇パターン2 速潮型

潮が速いと、道糸とともに仕掛けは流される。

仕掛けが落ちるにしたがって道糸が斜めになっていくことは、この釣りをした人には経験があるだろう。

このとき実際の水深よりも余計に道糸が出ていて、オモリは斜め下の位置に落ちることになる。

ここで3mタナを切るとどうなるか。

道糸が斜めの状態でタナを取ると、その後オモリの重さで徐々に道糸の角度は垂直に近づいてくる。

そうすると、オモリは振り子が落ちるような動きになり、底から3m浮かしても実際には徐々に沈んでいくことになる。

その結果、タナを取り直すと3mの糸が出ないうち(図1では2mと表記)に着底することになる。

これがパターン2の速潮型だ。

〇パターン3 超速潮型

さらに潮が速いとどうなるか。

タナを取ったあとにもオモリは吹き上げられる。

振り子が振れ上がる動きだ。

タナを取り直すと3mの糸を出しても底に着かなくなる。

これが超速潮型で、アジ釣りにとって最もシビアな状況だ。

場合によっては増しオモリを使ってビシを重くすることもある。

また、オモリが吹き上げられっぱなしで安定しないときは、流し釣りに切り替え潮回りしながら釣ることもある。

これらの3パターンのいずれの状態にあるかは、タナを取り直してみれば分かる。

タナを取るため巻き上げた長さと、タナの取り直しで出した長さが同じならば「緩潮型」、取り直しの長さが短ければ「速潮型」。

取り直しの長さが長ければ「超速潮型」と3パターンになる。

さらこれらのパターンは、潮の干満によって一日の中で時間によって切り替わることも覚えておいてほしい。

パターン別タナの取り方

次に、パターン別のタナの取り方を図2で説明する。

〇パターン1 緩潮型

緩潮型の場合はシンプルだ。

タナが3mであれば、底から2m上げてコマセを振り、さらに1m上げれば3mのタナになる。

この位置でアタリを待てばよい。

〇パターン2 速潮型

次に速潮型の場合、これは走水沖で最も多いパターンだ。

最初からタナを3mに合わせると、ビシが下がってタナが狂ってしまう。

そのため、底に着いたらまず仮ダナを高め(例:底から4m)に取る。

このときにコマセは振らない。

高めにするのは、ビシが下がったときに正ダナ(底から3m)に近づけるためだ。

仮ダナで何秒か待ってビシの位置が安定したら、タナを取り直す。

このときは底から2mでコマセを振って3mに合わせる。

ビシが潮になじんだあとなので、2回目のタナ取りは誤差が少なくなる。

つまり、タナを取り直してからが本当の勝負になる、という釣り方だ。

〇パターン3 超速潮型

超速潮型の場合も速潮型と同様の意図になるが、仮ダナを低めに取ることで対応する。

超速潮型はタナの取り直し後も仕掛けが吹き上げられることもあるので、底ダチの取り直しは1度だけにし、手返しをまめに心がける。

以上、3パターンもあって複雑に思えるかもしれないが、目的は「潮で押された仕掛けを正しいタナに戻す」という一点だ。

アジはタナ取りで釣果が大きく変わることを意識して釣っていただきたい。

海面からタナ取りをするケースもあるが、このときは単純でとくに潮の速さや3パターンは意識しなくても、指示ダナの1m下でコマセを振ってから指示ダナに合わせるという釣り方でよい。

オマツリ防止の心得三カ条潮が速い場所の釣りは、どうしてもオマツリも多くなる。

オマツリもちょっとした注意で減らすことができるので、そのための三つの心得をあげておきたい。

その一……道糸が斜めに流れて落ちているときはサミング(スプールを軽く押さえて糸の出にブレーキをかけること)をすること。

潮に押され湾曲して落ちていく道糸をサミングによって直線に近くすることで、潮の抵抗を抑えられ、仕掛けの落下位置を自分に近くすることができる。

その二……仕掛けを入れっぱなしにしないこと。

アタリが遠いときなど手返しが遅くなりがちだが、仕掛けを入れっぱなしの人と手返しをまめにする人との間ではオマツリが増える。

コマセを入れ直すペースはなるべく周りの人と合わせたい。

その三……潮下や潮上の人の動きを見ることだ。

具体的には、潮下の人に魚が掛かって巻いているときに仕掛けを入れると道具が交差することになりオマツリしやすくなる。

潮下の人が巻いているときは、上がるまで待ってから自分の仕掛けを入れることでオマツリは減らせる。

また潮上の人が道具を下ろしているときは、道糸が目の前を横切ることもある。

そのときに落としたり巻き上げたりするよりも、潮上の人の仕掛けが着底してタナを取り仕掛けがなじむまで待ってから、仕掛けを入れたり上げたりすればオマツリは減る。

隣の人の仕掛けが上がる、または落ち着くのを待ってから自分の仕掛けを操作することは、オマツリの時間ロスを防ぐので自分にとっても隣の人にとっても効果的なことだと思う。

これら三つは、一人がやるだけでもけっこうオマツリ防止になるので試してみてほしい。

また、この釣りではオマツリは付き物だと割り切って、仕掛けの予備は十分に用意しておくのも大事なことだ。

さて、首尾よくアジが掛かったら、電動は中速でゆっくりと巻き上げる。

置き竿で巻き上げてもいいが、波が高いときや魚の引きが強ければ竿を手持ちにしてバラシを防止する。

掛かりどころのいいアジは抜き上げてもいいが、良型の場合はタモ取りしよう。

晩秋から年末にかけては、走水沖の大アジに脂が乗って一年のうちでもっとも美味と称される時期となる。

大分の関アジを凌駕すると言われる走水のブランドアジを釣るベストシーズンは今だ。

釣行の写真

▲肉厚で体高のある魚体は居着きのアジの証

釣行の写真

▲この海域ではマダイもよく交じる

INFORMATION

三浦半島・走水港 関義丸

046・841・7154

▼備考=予約乗合、7時15分出船。

タチウオへも出船

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隔週刊つり情報(2023年12月15号)※無断複製・転載禁止

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