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だれでも釣れる餌木シャクリ

隔週刊つり情報編集部

アオリイカ乗合のもう一つのスタイル、餌木シャクリ(中オモリを使ったシャクリ釣り)が相模湾や三浦半島、内房に続き南房や東京湾でも開幕した。

中オモリを利用して餌木を沈め、指示ダナに合わせて鋭いシャクリを繰り返す。

その餌木にアオリイカが抱きつけば、シャクるロッドがドスンと止められカーブを描く。

その餌木シャクリで看板を掲げている東京湾奥金沢八景の野毛屋では、11月から乗合を開始。

4日の取材日は鴨居沖からスタートし、竹岡沖、大貫沖の水深7~32mを狙いトップ6杯、2~3杯の方が多かった。

サイズは600~700g級が主体で1kg級も交じり重量感のあるアオリ独特の引きを味わえる。

釣行の写真

▲秋が深まるにつれ日に日にサイズアップし、活性も高い今こそが 一番の狙い時

スミを吐かれにくいイカの扱い方

★イカは船ベリにぶつけたりして刺激を与えるとスミを噴射してしまうため、スミを吐かれないような取り扱いを覚えよう。

まず、餌木をつかむ(ハリスを持ってイカをブラブラさせるのはNG)。

背中側から目の上のところをつかんでやる。

こうすると自然に腹は反対側に向くことになる。

次にイカの足を海面に向けて傾けてやる。

そうするとイカの外套に溜まっていた海水がこぼれ落ちる。

アオリイカは海水を吸い込まないとスミを噴射できない。

あとは、バケツの中にゆっくりと入れてやればOKだ。

INFORMATION

東京湾奥金沢八景 野毛屋

045・781・5964

▼備考=予約乗合、7時15分出船。

フグ、マダイ、ライトアジへも出船

釣行の写真

▲シンプルなシャクリ動作と乗った瞬間の衝撃的な釣趣が魅力

秋の深まりとともに、各地でアオリイカ乗合の出船が始まった。

中オモリを使った餌木シャクリ釣りには二つの特徴がある。

一つは釣り方が簡単なことだ。

海面からタナを合わせたら、あとはひたすらシャクるだけのシンプルな釣りで、初心者ベテランを問わずに楽しめる。

もう一つは、冬場に深場に移動する大型アオリイカを狙うのに適した釣り方ということだ。

底ダチを取る必要がないので、水深60~70mの深場を攻めることもできる。

11月初旬現在、本誌加入の餌木シャクリ船を出している乗合船と各エリアの特徴をまとめてみた。

■東京湾エリア(金沢八景・野毛屋)

主なポイントは、千葉県側の竹岡~大貫沖、神奈川県側の鴨居~久里浜沖になる。

タナで7m前後の超浅場から70mの深場まで攻める。

■三浦エリア(剣崎間口港・喜平治丸)

主なポイントは剣崎沖。

喜平治丸では餌木シャクリとティップラン両方の乗合を出している。

■内房エリア(勝山港・新盛丸)

勝山沖を中心に狙う。

新盛丸では午後船のアオリイカ乗合を出しているが、餌木シャクリで狙うかティップランで狙うかは、最初の予約で決まる。

夕マヅメを狙える特徴がある。

■南房エリア(洲ノ崎港・佐衛美丸)

洲ノ崎沖を中心に狙う。

土日祝の午後にアオリイカ乗合で出船している。

内房エリアと同様に夕マヅメを狙えるのが特徴。

古くから手バネでアオリイカを釣っていた地域で、タナの指示の仕方が他エリアとは異なる。

■相模湾エリア(腰越港・蒼信丸)(平塚港・庄三郎丸)

江ノ島沖を中心に南は亀城根、西は茅ケ崎沖と広い範囲を攻める。

他エリアと比較して釣期が長いという特徴がある。

他エリアは2~3月で終了するのに対し、相模湾は5~6月の乗っ込みシーズンまで狙うことが多い。

■相模湾西エリア(真鶴港・さい丸)

午前船、午後船の2便で出船している。

予約によって餌木シャクリかティップランいずれかで出船する。

釣行の写真

▲一番のコツは、あきらめずにシャクリ続けること

竿は長短の2種類、餌木は3.5~4号のノーマルタイプ

餌木シャクリに使う竿は、長竿と短竿に大別される。

昭和の時代の船アオリは手バネで狙うことが多かったが、2000年代に入ってリール竿を使うようになり、アオリイカは一気にメジャーな釣り物になった。

当初は手バネに似せた、全長1.2~1.5mの短竿が専用竿として売られていたが、2005年になると全長3m前後の長竿が使われ始め、現在は長竿の人のほうが多く見られるように思える。

長竿と短竿の特徴は、表を参照していただきたい。

ここ数年、ティップランに押されているせいか、各メーカーで餌木シャクリ専用竿のラインアップが減る傾向にある。

今年はD社のみが長竿、短竿の両方をカタログに載せているが、それ以外ではショップブランドのアオリイカ専用竿を探すことになる。

専用竿以外を用意するなら、2m前後のライトゲームロッドがこの釣りに適している、6:4調子の軟らかめの竿を選ぶとよいだろう。

リールは小型両軸で、一日シャクリを繰り返す釣りのため軽量なものを選びたい。

リールが軽ければそれだけ疲労も少なくなる。

道糸はPE2号前後を巻いておく。

中オモリは棒型または数珠型の形状がシャクったときに絡みにくい。

船宿によって使う重さが異なるので、乗船前に確認しておこう。

浅場で5~8号、深場では8~12号を使う船宿が多い。

ハリスの長さも船によって異なるが、おおむね3~5mになる。

餌木は3.5号か4号を使い、餌木の接続には軽量スナップを使って交換を容易にしておく。

餌木のカラー選択はこの釣りで常に悩むところではあるが、濁り潮用にアピールカラーであるオレンジ系、ピンク系、澄み潮用にナチュラルカラーである青系、緑系をそろえるのが基本になる。

さらにボディを蛍光スケルトン、金テープ、マーブルテープと何種類か用意しておけばよいだろう。

昨シーズンはケイムラスケルトンボディのピンク、パープルを使っている人を多く見かけた。

餌木はノーマルタイプ

▲餌木はノーマルタイ プの3.5~4号で。1mの沈下スピー ドが3秒前後のものを多用する

タナ取りの基本は海面から中オモリまでの距離地域によるタナ取りの違いに注意

タナの取り方は、ほとんどの船は海面から中オモリまでの長さが指示される。

道糸の色とマークを見ながら、指示された分だけ道糸を出してやればいい。

注意したいのは、南房の船は海面から餌木までの長さを指示することだ。

これは、かつて手バネで釣っていた時代の名残で、当時はマダイと同じ道具でアオリイカを釣っていて、手バネマダイのタナは海面からテンヤまでの長さを指定していたことからきている。

南房の場合は、使っているハリスの長さ(4m)を差し引いて道糸のマークを確認しよう。

また、本誌加入の船宿には含まれないが、上総湊や竹岡から出る仕立のアオリイカ船も海面から餌木までがタナになる。

長竿と短竿それぞれのシャクリ方

餌木シャクリは、シャクリを繰り返しながら乗りを待つ釣りだ。

しっかりと餌木が動くようにシャクることがこの釣りで一番大事なポイントになる。

長竿と短竿、それぞれのシャクリ方を図で示す。

長竿の場合、竿を斜め下に向け、竿先が海面スレスレのところにくるように構える。

この状態から、竿先を跳ね上げるような感覚で、小さく鋭くシャクる。

竿の角度は、斜め下向きから水平になるくらいの狭い振れ幅でよい。

竿の長さと弾力により、振れ幅の狭いシャクリ方でも餌木は十分に動く。

短竿の場合は、竿を下に向けて腕を伸ばす。

ここから腕全体を使って大きくシャクリ上げる。

波が高い日には、シャクリ始めのタイミングを波の揺れで船が下がったときにすると、シャクった餌木に力が加わりやすい。

海中の餌木の動きをイメージしてシャクる

海中における餌木の動きをイメージしておこう。

まず、竿をシャクると餌木は跳ね上がる。

この動きが激しいほど、アオリイカを刺激し強くアピールすると言われている。

シャクったあと、すぐに竿先を海面に下ろす。

これにより、餌木は自然沈下(フリーフォール)する。

ゆっくりと沈下していく餌木もまた、イカへのアピールになる。

次に餌木が止まったときで、このときがイカが抱くタイミングと言われている。

沈下していた餌木が動きを止めることが重要で、餌木が止まった「間」にイカがアタックしてくる。

イカが乗っていれば、次のシャクリでハリに掛かる。

以上のことから、餌木が沈下し、静止して間を作ったら、なるべく早く次のシャクリを開始するのが効率的な釣り方になる。

その目安としては、餌木をシャクリ終えてから、次のシャクリに入るまでおおむね6~8秒となるが、シャクリの幅や使っている餌木によって、餌木が沈下し静止するまでの時間は異なってくる。

シャクったときに、十分に餌木の重さが伝わってきたら餌木は静止していると思っていい。

スカッと抜けるような軽い感触であれば、まだ餌木が沈下しきっていないので、待ち時間を長くする。

アオリイカが乗るとドスンと竿が止まる

イカが乗ると根掛かりのような衝撃が伝わり、大型のアオリイカになると魚のような引き込みを見せる。

シャクリ上げた竿をそのままの位置に保って、リーリングを開始する。

ゴリ巻きは身切れの原因となるので、イカの重みを竿に乗せた状態を維持しつつ、一定の速度で巻き上げる。

中オモリが見えたら巻くのを止め、中オモリを手にしてからハリスをたぐる。

触腕に掛かっているときはタモを使うようにする。

それ以外は、タモは下にあてがい(落下したらタモで受ける状態)つつ、イカを抜き上げる。

取り込みは、まず餌木をつかんで、背側からイカを握り、ロウトを海へ向けて足を下に傾ければ、イカの外套の水がこぼれてスミを吐かれにくくなる。

もし、船内にスミを吐かれてしまったら、海水をくんで洗い流しておくこと。

餌木シャクリでは、スパンカーで船を風上に向け、道糸が真っすぐ落ちるように操船し、潮に乗せて流していく。

アオリイカは群れで行動していることが多いため、ポイントに入ると何人かの竿が続けて曲がることも珍しくない。

他人が乗せたときこそが最大のチャンスになるので、しっかりと集中力を高めてシャクるようにしよう。

釣行の写真

▲アオリイカの湧きがよく、浅場から深場までどこでも顔が見られる

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隔週刊つり情報(2023年12月1号)※無断複製・転載禁止

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