東京湾のタチウオが依然として盛況だ。
一時は湾奥の浅場にも群れの回遊が見られたが、このところは再び猿島~走水沖の水深60m前後が主戦場となっている模様。
釣果はトップ10~20本前後と幅はあるが、これはアタリを掛けられるかどうかによっても変わってくる。
その難しくも面白いところがタチウオ釣りの魅力で、常に安定した人気を誇る理由でもある。
なお、取材した東京湾奥金沢漁港の蒲谷丸ではテンビン主体に出船も、希望すればテンヤの釣りもOKだ。
ライトタックルの普及に伴って人気となった釣りはいくつかあるが、その筆頭株はタチウオではないだろうか。
タチウオ釣りは一日中竿を手に持って誘いを繰り返す釣りだけに、タックルが軽量でオモリが軽いことが何よりも重要な要素だ。
またタチウオ人気が沸騰した理由としてルアー、テンビン、テンヤと釣り方が3種類あり、幅広いファン層を獲得できたこともあるだろう。
もちろん、ハリ掛かりしてからの激しい引き味や食味のよさも忘れてはならない理由の一つとなっている。
▲アタリの多さを楽しむならテンビン仕掛けがおすすめ
出典:
ドラゴンサイズが上がる
10月7日に釣友と東京湾奥金沢漁港の蒲谷丸に出かけてきた。
東京湾のタチウオは今やほぼ周年の釣り物となっているが、蒲谷丸では6月から1月までタチウオ釣りで出船している。
当日はタチウオの仕立と乗合の2隻出しとなっており、私たちの乗合船は乗船者が8名とのこと。
受付を済ませて船で準備をしていると蒲谷政徳船長がタチウオ釣りの基本をマイクで伝えてくれた。
「一番下のタナを言いますからそこから10m上まで探ってください。リールのハンドルを半回転したらピッとシャクるイメージで上へ上へと誘い続けてください。コツンときても我慢して、グッと重みを感じてから竿を立てて合わせてね。これが基本だけどシャクリ方を色いろ試してヒットパターンを見つけてください。この釣りはエサ付けが釣果を大きく左右するから落とすときにエサがクルクル回るようなら回収して付け直すように」とレクチャーが終わったところで7時半に出船。
7時50分に猿島沖に到着すると、「水深は63m。55mから上を狙って」と開始の合図が出された。
しかしタチウオの反応はあるものの食い気がないのか船内ノーヒットのため8時を回ったところで走水沖へ移動。
ここでは大船団が形成されており、場所選びで旋回していたのだがまだどの船もタチウオを抜き上げる姿は見かけなかった。
そして潮回りを済ませたところで「50mから上」と合図が出される。
だがひと流し目はだれにもアタリがこなかったことから再び潮回りをしたところで、「きたよ、きましたよ」と竿を曲げたのは釣友の塙君。
「あれっ、バレたかな?」と言う彼に「食い上げているからガンガン巻いて」と声をかける。
タチウオは食い上げることもあり、その際に道糸をあの鋭い歯で切ってしまうことがあるので要注意だ。
彼が80cmほどのタチウオを取り込んだのを合図に各所でバタバタと同サイズのタチウオがヒットしてきた。
左舷胴の間の須藤藍子さんも翔太若船長の手取り足取りのレクチャーのかいあってタチウオをゲットして満面の笑み。
しかし、その後は翔太若船長だけはポツポツながらコンスタントにヒットさせるものの、ほかの人は大苦戦。
左ミヨシの岡部さんが「どうしたらいいでしょうかねえ?」と私に尋ねてきたので、「活性があまり高くないのでシャクリ幅を小さくしてポーズの時間を長めにしてみてはいかがですか」とアドバイスすると、岡部さんは連チャンでタチウオをゲット。
「記者さんのアドバイスのお陰です」と感謝の言葉をくれた。
それを写真に収めていると、「お~でかいのが上がったぞぉ~」と声が上がる。
振り向くと左舷トモの鳥居さんが121cmのドラゴンサイズを釣り上げていた。
鳥居さんは唯一テンヤ仕掛けで挑んでいて「今日はこれ一本で大満足ですよ」と恵比寿顔だ。
すると驚いたことにテンビン仕掛けの須藤さんも同サイズのドラゴンを釣り上げて大金星。
▲テンビン仕掛けは60~80cm前後が主体
出典:
Tackle Guide
テンビンタチウオの竿はおおむね8:2~7:3調子が適しており、特徴として8:2調子は細かい誘いをしやすい、7:3調子は食い込みのよさがあげられる。
仕掛けはハリス全長1.8~2.5mの1本バリが標準で、活性が高いときは短め、渋いときは長めと考えてもいい。
市販品はハリスをかみ切られないようにチューブが装着されているものが多いが、渋いときは外してよりシンプルにするとヒット率が上がる場合もある。
オモリは40~80号まで用意しておこう。
反応はあるけれど…
蒲谷政徳船長が「写真もその辺にして鈴木さんもおかずを釣りなさいよぉー」と言ってくれたので10時を回ったところで私も釣りに参加。
すると投入1投目で早くも、指示ダナの下限から3mほど誘い上げたところでコツンとアタリが出た。
その場でクイックイッと誘うとグッと竿に重みが加わったので合わせを入れると見事にハリ掛かりして激しく突っ込む。
教科書どおりに掛けられた喜びとタチウオの引きを楽しみながら85cmのタチウオを抜き上げた。
その次はコツンときた後にフワフワと食い上げるように糸フケが出たので急いでリールを巻いて合わせを入れるとガツンとした手応えが伝わってきた。
この調子でガンガンいきたいところだったが、次第に活性が落ちてきてしまい、頻繁にアタリはあるものの食い込むまでに至らない。
それもほとんどが一度きりのアタリで、回収してエサをチェックしてもかみキズを見つけるのが難しいほどだ。
「反応はあるけどなあ」と政徳船長もお手上げ状態。
原因は水温低下と思われ、確かに1週間前までは半袖とデッキシューズ姿で釣りをしていたのに今日は皆さんウエアを着込んでいるほど冷え込んでいる。
陸でもこの調子なのだから急激な水温低下は魚にとって大事件なのだろう。
それでもあの手この手で私が6本目を釣り上げたところで沖揚がりとなった。
この日の釣果は60~121cmのタチウオが0~8本と低調に終わったものの、タチウオの反応はあるので水温が安定すれば再び釣果ものびることだろう。
駆け引きが楽しいタチウオ釣り、ぜひ出かけていただきたい。
船宿information
東京湾奥金沢漁港 蒲谷丸
045・781・8552
備考=出船7時半。
ほかライトアジにも出船
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隔週刊つり情報(2023年11月15号)※無断複製・転載禁止