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相模湾のキハダ

隔週刊つり情報編集部

今シーズンは思いのほか苦戦を強いられている相模湾のキハダ。

結果からいうと前号に引き続き9月中旬の釣行でもノーヒットに終わってしまった。

釣り場は小田原~真鶴沖周辺で、前半はカツオ交じりのナブラを狙って追っかけ釣り、後半はキハダの反応が船下を通過するのをじっくりと待つ流し込みの展開となり、何度かチャンスはあったものの結局ノーバイト。

それでも全く魚がいないわけではなく、この日も数少ないチャンスをものにできた船が何隻かあった。

今年は模様がやや遅れているとも考えられるが、昨年の例から見ても、本格的な流し込みの釣りに移行したのは9月下旬から。

キハダがオキアミコマセに口を使い出す10月以降の好転に期待したい。

このあと、流し込みにおけるヒットパターンを紹介、来るべきときに備えてイメージトレーニングをしておこう。

本番はむしろ10月以降

昨年、11月1日号の表紙を飾った53kgを筆頭に7本のキハダを釣った本誌APCの椎名さん。

取材記事としてはこの号が最後だったもののその後もプライベート釣行を重ね、10月24日には頭部だけで24.5kgの大物をキャッチ。

最終釣行は11月28日で、この日は2本をゲットしている。

昨年は12月の第1週で乗合船は終了したが、今年は遅れ気味ということならもしかしたら年内一杯はチャンスがあるかも!?

前回8月下旬のリサーチでは、キハダの魚影を確認するものの、豊富なイワシなどの小魚エサに夢中のようで、コマセ釣りではなかなか厳しい状況であった。

しかし、あのキハダのスーパーボイルやソナーや魚探に映る巨大反応を目の当たりにしてしまうと、コマセにスイッチが入ったらとんでもないことになりそう。そう期待せずにいられなかった。

さて9月に入り、その後のキハダの釣況はどうか。

20kg以上の釣果データを見ると、9月2日に葉山あぶずり港の長三朗丸で29kg、秀吉丸で26kg、小坪港の太郎丸で27kg。

翌3日は小坪港の洋征丸で28.5kgが2本、茅ケ崎港のちがさき丸で27kg。

5日には長井港のはら丸で25.5kgと31.5kg、葉山あぶずり港の愛正丸で26kg、太郎丸で30kg、松輪港の大松丸では27.7~28.4kgを船中3本ものキハダがキャッチされており、釣況は日に日に上向き傾向にあった。

ところがこの釣況に水を差したのが、台風13号での大雨。

これによる川水の濁りが入ってしまい釣況は一気にダウンしてしまった。

LOOK! 9月前半はキハダが釣れていた!

本文にもあるとおり、9月に入ってすぐの数日は比較的頻繁にキハダの型が見られていた。

その後不調はやはり潮のせいなのか。

いずれにしろ10月の復調に期待したい。

明るい兆しが見えてきた

潮色の回復を待ち、締め切りギリギリまで待機してのリサーチ第2弾は9月17日。

茅ケ崎港のちがさき丸に乗船した。

「いやあ、ホント毎日厳しいですよ」

開口一番、米山茂明船長も苦笑いの表情であったが、「まだ追っかけ釣りの状況ですが、昨日は瀬ノ海で流し釣りでキハダを釣った船もあったので、そろそろ状況も変わってくると思いますよ」とのこと。

定刻6時に出船。港を出ると一路西方向へ。真鶴沖にカツオのナブラありの情報で10隻ほどの船団が形成され追っかけスタイルでの打ち込みが開始される。

しかし、船影を嫌っているのか仕掛けを嫌っているのか、魚の動きは挙動不審。

反応は船を避けるように通過するばかり。

そこへ流し釣りに切り替えた僚船にキハダヒットの情報。

カツオの反応も見当たらなくなってしまったところで本船も流し釣りにチェンジ。

指示ダナ35mでリスタートする。

しばらくすると近くを流す小田原早川港の坂口丸でキハダ(27kg)が取り込まれた。

海面から巨体が引き上げられる光景に気分は熱くなるばかり。

キハダはいるぞ!

「マグロが後ろから近づいてきたよ」

「船の周りをグルグル回っているよ」

「コマセやり替えてよ」

本船からもリーチアナウンスが発せられる。

しかし、数回のチャンスはあったものの反応は船下には入ってこず、残念ノーヒットでタイムアップとなってしまった。

当日は船団の中で3隻がキハダをヒットさせていたのを確認。

キャッチは坂口丸の27kg1本のみだったが、翌日にはちがさき丸でもキハダのヒットがあり、坂口丸においては3日連続でキハダをキャッチと明るい兆しが見えてきた。

昨シーズンを振り返ってみても、上向いてきたのは流し釣りスタイルに変わった9~10月の月変わりのころ。

真鶴周辺の定置網には相変わらずキハダが入り続けており、魚影は間違いなく濃い。

なお、この後の9月20日より、50kg以上のモンスターサイズが口を使い出した。

いよいよ本格的な流し釣りのシーズンに突入したと思っていいだろう。

ADVICE エサの管理も大事

オキアミブロックは一度に解かさず、数等分に割って解凍し、付けエサとして使うものはタッパーなどに入れ、クーラーに保管し、小出しにしながら使う。

新鮮な食べ物を好むのは人間も魚も同じなのだ。

魚の写真

小田原早川港の坂口丸では9月17~19日の3日連続でキハダをキャッチ ※写真は坂口丸のHPより

緊急速報!9月20日にXデー到来!!

9月20日、突如として流し込みで50kg超級のモンスターキハダが口を使い出した。

確認できたのは五エム丸の71kg、大松丸の55kg。

ほかにも30~40kgクラスが何本か上がっており、今後の展開が大いに期待される。

流し釣りでアタリを出すコツ

追っかけ釣りではハリスの長さは4.5~6mだったが、今後展開される流し釣りでは8~10mと長めが主流となる。

マグロ(キハダ)は警戒心が強く、学習能力があるといわれている魚だ。

海中にあるビシの存在にも過敏に反応する。

したがってビシから付けエサまでの距離を取れる長ハリスが有効というわけだ。また、

10月、11月と秋が深まるにつれ、50kgを超えるサイズも登場してくる。

昨年は10月7日に五エム丸で92.15kgという記録的モンスターが釣り上げられており、ちがさき丸でも11月18日に70.8kgをキャッチ。

ほかの船でも50~60kg台のキハダが複数釣り上げられている。

そういったモンスターに備えてハリスも26号以上をおすすめする。

釣り方は一般的なコマセ釣りと同じ。

指示ダナの下限まで(とくにアナウンスがなければハリスの長さ分まで)ビシを下ろしたら、その位置から5~6mの範囲を3回くらいに分けてコマセを振り出し、指示ダナまで上げてアタリを待つ、というのが基本だ。

しかし、前述のとおりキハダは賢い魚だ。

日に日にスレてくるとコマセのオキアミは食べてもハリに付いたオキアミはなかなか口にしない。

なぜか?

コマセはまいたあと潮に乗りながら流れ沈んでいくが、付けエサはハリスが張りきってしまったところでストップしてしまう。

自然界において海中で停滞したままのエサなど存在しないので、キハダは自然に流れ沈んでいくオキアミを口にしても、停滞しているオキアミには違和感を感じ口にしないと考える。

であれば、付けエサをいかにコマセと同調させ流れ沈めていくかがポイントとなってくる。

ビシを下ろし、数秒潮にハリスを馴染ませてからコマセを振り、指示ダナまでビシを上げ、アタリがこなければ再度ビシを下ろしコマセを振り、指示ダナまでビシを上げる、というのが一般的なコマセワークだ。

しかしこれではハリスがすぐに張ってしまい、付けエサもそれ以上流れ沈むことはない。

イラストは私のコマセワークの例だが、コマセダイのイメージに近い。

1回目のコマセ振りはビシを下ろしたところですぐに行い指示ダナへ。

2回目の振り出しもビシを下ろしたところからすぐにコマセを振り出すが、ビシは指示ダナよりさらに5m上まで巻き上げ、そこからゆっくりと道糸を引き出しながら指示ダナまでビシを下ろしていく。

どちらの場合もコマセの帯の中を付けエサが流れ沈んでいくイメージだ。

打ち返しは2~3分ピッチで行う。

ハリスが張りきり、付けエサからコマセが離れてしまえばアタリはこないものと見限っているからだ。

昨シーズン私が釣り上げたキハダは7本。そのうち5本が流し釣りでの釣果だったが、その5本すべてが2回目のコマセワークでアタリが出ている。

また、流し釣りでは必ず指示ダナを守る。これ鉄則。

一人でも指示ダナよりも深くビシを下ろそうものなら、せっかく上がってきたキハダを散らしてしまう。

夢のモンスターキハダ。

シーズンファイナルステージに期待したい。

ADVICE チモトをカムフラージュ

ハリの写真

信じることも釣果につながる

「キハダはハリの結び目を見切る」と聞いたことがある。

本当のところはキハダのみが知るところだが、実際にその対策としてオキアミの胴の部分でチモトを覆い隠しているベテランもいる。

私はハリの結び目部分をピンクのスキンで巻き覆ってカムフラージュ。

この方法を試したところ、一発でヒット。

おまじない的なものかもしれないが、以降このスキンカムフラージュを施したハリを使い続けている。

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隔週刊つり情報(2023年10月15号)※無断複製・転載禁止

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