9月の声を聞いていきなり急上昇した三浦半島剣崎沖のヤリイカ。
例年、8月末ごろから釣れ出すが、今年はいきなり爆乗りして束釣りが続出。
今回取材した剣崎間口港の喜平治丸では2日連続で束釣り、最高で127杯を記録するなど近年では記憶にないほどの乗りっぷりを見せてくれた。
現在のポイントは剣崎沖の水深130~180mで、目下のところはスルメイカはほとんど交じらずヤリイカオンリーのことが多い。
「反応は多いですね。城ケ島~洲ノ崎沖はまだやっていませんがどこでもいそうです」とは鈴木麻毅生船長。
シーズン開幕当初は小型が多いのが常だが、今年はすでに胴長20cm前後の中型が多いのも特徴。
身が厚くて激うまなのはファンの間では常識。
数釣りだけじゃなく、その味にも注目だ。
▲うっとりするほど美しい
出典:
サバ外しを有効活用
ブランコ仕掛けはサバが大敵。
で、サバにイカヅノを飲み込まれたときに外す道具はお目見えからかれこれ10年以上たつと思うが、いまだ船上で見掛けることは少ない。
使うのにちょっとしたコツがいるからかな?
コツはツノを押し込んでから引き抜くときに、ハリスを引っ張りながら同時にツノを引き抜くこと。
掛かりどころによっては抜けないこともあって、経験上成功率は75%くらいだけど、やはりあると便利。
写真の物は釣友の自作品だが、800円ほどで市販もされているからイカ釣り師なら一つは手元にあってもいいと思う。
待ちわびていたファンも多いことだろう、三浦半島剣崎沖でヤリイカが乗りだした。
毎年スルメイカが終わるころにボチボチとヤリイカが始まり、うまい具合に沖イカの主役交代を果たしている。
今年は9月2日に剣崎間口港の喜平治丸でいきなり束釣りが記録され、突然その主役交代劇が起きた。
翌3日には127杯とさらに上積みがあり、「これはどうなっちゃうんだ」なんてうれしい心配もしたが、その後は一服状態でトップ30~40杯の釣果で落ち着いている。
一服状態とは言っても出だしがすごすぎただけで、トップ30~40杯はシーズン初期のヤリイカとしては大見出しとなってもいいほどの釣果なのである。
今年はスルメイカの模様が今イチだっただけに、ヤリイカには大いに期待したいところ。
比較的水深の浅い初期のヤリイカは沖イカ入門にも最適ですぞ。
9月中旬現在、主な釣り場となっているのは剣崎~館山沖にかけて。
水深は開幕当初は120m前後の浅場中心だったが、最近は130~170mを狙うことが多くなっている。
「今年はいきなりドカンときましたね。当日自分はワラサ船で出ていて、当てたのは弟の船なんですが港前15分の近場です。最近はやや沖目の館山沖あたりまで狙っていますが、広範囲に反応はありますね。城ケ島沖や洲ノ崎沖などにもそこそこ反応があるみたいなんで今年は期待できそうですよ」とは喜平治丸の鈴木麻毅生船長。
型はシーズン初期だけにマルイカと見まがうチビヤリも交じるが、胴長30cm近い立派なサイズもいて、取材日は初期としては良型の胴長20cm級が中心だった。
サイズがばらつくのは吉兆で、こんな年はロングランになることが多いから期待したい。
また初期のヤリイカは本当にうまい。
まだ薄皮が柔らかいから外皮をむいて切るだけで刺身にできる。
小型でも意外なほどに身厚で甘味も強く、グルメ釣り師も納得の味だ。
▲頭部付近の硬いところに掛かればバレにくい
出典:
仕掛けはプラヅノ11cm5~7本でOK
竿は沖イカ用の中でも先調子で穂先の感度に優れたヤリイカ専用竿が望ましい。
とくに初期の小型ヤリイカは乗った瞬間のアタリを見逃すと、その後はただわずかに重いだけで、「あれ、乗った?」なんてことが多い。
潮が速かったり波っ気があったりするとなおさらで、重みだけで乗りをとらえるのは難しく、最初の乗りをとらえられる鋭敏な穂先が重要となってくる。
リールは小型電動でPE3号が300m以上巻けるサイズ。
ダイワなら300~400番、シマノなら1000~2000番。
このサイズでも最近の電動リールならヤリイカの多点掛けでパワー負けするようなことはないが、スルメイカとの併用を考えるならワンサイズ大きいものかハイパワータイプが望ましい。
仕掛けは11cmシングルカンナのプラヅノで、ブランコの5~7本仕掛けが標準、というかベストだろう。
「反応は底中心なのでツノ数はそんなにいりません。慣れた人で7~8本、名人級でも10本もあればたくさんでしょう。またサバが邪魔なこともあって扱えるなら直結仕掛けでもいいですが、結局一番釣っているのはブランコの人のことが多いですよ」と船長。
気になるイカヅノの色、種類については「色は淡色系で、ピンク、薄いブルー、ケイムラのヤリイカで定番と言われるものですね。
種類はよく聞かれるんだけどこれと言ったものはないかな。
ただ幅広の扁平タイプは明らかに乗りが悪いと思いますね」とのこと。
幅広扁平タイプは駿河湾などではよく乗るツノとしてあげられるが、シルエットが大きいためか東京湾口や相模湾での実績は低いと筆者も感じる。
東京湾口、相模湾ではシルエット細身タイプの実績が高く、ヤマシタのカラフル針、ダイワのミッドスティックミラー、ハヤブサのピカイチスティックなどが人気だ。
なお、枝スの接続にビーズ類を使用した仕掛けがあるが、船によっては使用禁止の所もある。
喜平治丸では「禁止ではないけどオマツリが解きにくくなるので使用は控えてもらいたいのが本音です」と船長。
自作するなら枝ス接続部に極小のチチワを作っておくと(イラスト参照)、ツノの交換もしやすく便利だ。
釣果アップも?便利グッズで快適に
あると便利なヤリイカ釣りグッズとして、まずはゴム製の指サック。
これはあると便利というよりも必携品で、仕掛けをたぐるときの滑り止めと指を保護する目的のもの。
両手の人差し指分2つあればOK。
イカ用の小型ヨリ取りリングもあったほうがよい。仕掛けや道糸のヨレが相当軽減されるほか、適度な重みで中オモリ効果も発揮し、取り込み時には仕掛けの安定化も図れる。
できればサルカンスナップ部分に突起のないものが望ましい。
次にフロロカーボン20号程度で竿と同じ長さで作成する先糸。
これはなくてもよいのだが、あると取り込み時に仕掛けの上部がちょうど手元にきて、毎回安定してスムーズな仕掛けたぐりができる。
とくに直結仕掛けでは必需品とも言える。
最後にサバに飲まれたイカヅノ外し。
使うのにはちょっとしたコツが必要だがやはりあると便利。
使い方は、飲まれたツノをパイプの中に入れパイプごと押し込んでいき、引き抜くときにスリットから出したハリスを引っ張りながら同時にパイプとツノを引き抜くのだが、パイプとハリスを同時にしっかりと持つのがコツだ。
以上4点、必要度の優先順なので参考にしてほしい。
フォーセップで墨袋抜き
フォーセップってご存じですか?
元もとは医療器具のようだが、釣りでは渓流などでハリ外しとして使われる先の細長いプライヤーのこと。
ここ1、2年ほどこれでマルイカの墨袋を抜くのが流行っている。
船上で処理しておけば家に帰ってからまな板やシンクを墨で汚し、山の神からお目玉をくらうことがなくなりますからね。
ヤリイカはマルイカほど墨は多くないが、やはり処理しておくに越したことはない。
マルイカよりも簡単に墨袋が抜けるので、練習にもなりますよ。
落として待つが正解ツノが落ちていく演出を
投入器へのイカヅノのセット方法は、ブランコ仕掛けの場合はカンナのほうから入れればOK。
朝イチは仕掛けの糸グセが付いていて収まりが悪いが、2投目からはスンナリと収まる。
投入は極力船長の合図で一斉に行いたい。
極端な二枚潮など潮の悪いときやイカの移動が速いときなどは、投入に遅れた人は1回パスということもある。
オモリが着底したらリールを巻いて1mほど底を切る。
このときに乗っていること(着乗り)も多いので竿先に集中しておく。
1m巻いた位置で数秒アタリを待って、乗りがなければ大きく頭上までシャクリ上げる。
「よくシャクリ上げた位置で止めている人がいるけどあれは違う」と船長。
シャクリ上げた後はすぐに竿先を海面に向け仕掛けを落とし込む。このときにイカヅノがユラッとたなびくようにフリーフォールし、これが誘いとなってイカが乗ることが多いのだ。
したがってアタリを待つのは竿先を下げた状態、下方45度くらいの位置で待つのが正解。
「シャクって待つ」のではなく「シャクって落として待つ」。
これを5回ほど繰り返して乗りがなければ、30~40m巻いての「巻き落とし」だ。
ヤリイカの反応が高く出るような場合は、底から5~10m上まで探ることが必要だが、目下のところは底中心の反応なのでこの釣り方が基本となる。
アタリ(乗り)は竿先の変化を目でとらえる目感度で取る。
盛期になってヤリイカも良型になるとクンクン!とハッキリと出ることも多いが、初期の小型ヤリイカではそんなアタリは半分もあればいいほう。
クッ!とかフッ!と竿先に重みが加わるモタレのアタリのほうが多い。
いずれにせよアタリをキャッチしたら、掛けにいくつもりで竿をシャクリ上げる。
強くシャクる必要はないが、アタリが出た後に瞬時に行うことが重要だ。
誘いのときのシャクリと比べ重量感を感じれば乗っている。
この時点で半信半疑なら、初めて竿先を頭上まで上げた位置で止め乗りを聞く。
シャクったときに曲がり込んだ竿先がそのままなら乗っている。
シャクリを止めたときに曲がり込んでいた竿先が戻る(真っすぐになる)ようなら乗っていない。
乗りを確信したら手で巻きながら電動のスイッチオンで、電動巻き上げに移行する。
取り込みは慌てず騒がず、イカヅノを投入器に入れながら順に取り込む。
ブランコ仕掛けならよほど仕掛けをたるませない限り取り込み時にバレることは少ない。
多点掛けの場合もイカを外しながら投入器に入れていくが、イカを外さず座席の上に並べていってもいい。
このときにマットがあればイカやイカヅノが滑り落ちることが少なくなる。
いずれにしても「イカよりも仕掛けを大事に扱うこと」。
これはその昔にイカ漁師でもある船長に言われたことで、「イカはまた釣ればいいが、仕掛けにトラブル(手前マツリなど)があるとタイムロスが大きくなって結局釣果が落ちる」という教えだ。
▲丸っこい姿形で見るからにうまそう!
出典:
▲胴長20cm級が多かった
出典:
▲朝イチにわずかだがスルメも顔を出した
出典:
INFORMATION
三浦半島・剣崎間口港 喜平治丸
046・886・1110
▼備考=予約乗合、6時半出船。
ほかワラサ、マダイ、アオリイカへも
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隔週刊つり情報(2023年10月15号)※無断複製・転載禁止