ヨッシーこと吉岡進がエサ、ルアー釣りを問わず、様ざまな釣り物にガチでチャレンジしていく当連載。
第16回はヨッシーが得意とする一つテンヤマダイ。
浅場で数が釣れている茨城県日立エリアへ釣行した。
釣り場は日立沖の水深10~20m前後で状況により10m以内の浅場も狙う。
釣れるマダイは500~800g前後を主体に1kg級がコンスタントに顔を出し、好日には2~4kg級も交じるという。
ゲストも多彩でヒラメやカサゴ、メバル、マゾイ、ムラソイ、アイナメなどが釣れている。
8月中旬に釣行したのは周年マダイを狙って出船している茨城県日立会瀬港のことぶき丸。
船長が向かった釣り場は港前の水深10m前後、潮が澄んでいて海底がよく見える。
当日は潮が緩く風もほとんどないため、エンジン流しで根周りに着くマダイを狙っていく。
3~5号の軽いテンヤをアンダーハンドでキャストして、底付近を探るとマダイやゲストも含めてアタリが多い。
スピニングタックルを手に細かなロッドアクションを入れてエサ取りをかわして本命を釣り上げるヨッシー。
詳しくはこのあと!
Profile
よしおか すすむ
1982年生まれ。
ヨッシーの愛称で親しまれている。
一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。
ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。
ヨッシーの得意な一つテンヤで日立沖のマダイを狙う
出典:
一つテンヤの釣り方イメージ
当日、主に狙ったポイントは水深10m以内で、潮は緩く、風もないので船はあまり流れていない状況。
そんなときは横に探る釣りが有効。キャストして着底させたらエサ取りから逃れるため素早く小さく3回シャクりながらリフトし、カーブフォール。
これを船下まで繰り返す。
スピニングタックルを使い、アンダーハンドキャストで広く探る
出典:
多彩なゲスト釣れる日立沖 当日は船中10目ゲット!
一つテンヤでは豊富なゲストが釣れるのも魅力の一つ。
当日はとにかくアタリが多く、根魚を中心に10目を数えた。
一つテンヤマダイは、非常に面白い釣りである。
エビが丸まる1匹装着されたテンヤは、いかにも魚が好みそうな雰囲気だ。
魚の食欲をダイレクトに刺激するとしか思えない。
釣り人がよく言う「釣れる気しかしない」の典型的な仕掛けである。
そして海中にテンヤを投じ、着底するや、まず間違いなくなんらかのアタリがくる。
それが本命のマダイか、それ以外のゲストかは釣り上げてみてのお楽しみ。
しかし、なんらかの反応が海から返ってくる確率が高い釣りは、やはりうれしいものだ。
「とにかくアタリが多い。なんといってもそれが一つテンヤの魅力かな」と、ヨッシーこと吉岡進さんも言う。
ジャッカルのプロスタッフとして全国津々浦々で様ざまな釣りをしている男が言うのだから、間違いない。
8月19日、茨城県日立会瀬港から一つテンヤマダイに挑んだツリガチ取材班の面々は、その面白さを改めて痛感していた。
午前4時45分、水平線から昇る太陽の輝きを受けながら港を出たことぶき丸は、20分ほどで水深10m前後の浅いポイントに到着した。
100mではない。
10mだ。
ものすごく浅い。
齋藤研二船長いわく、浅場に点々と存在する魚礁や根周りを狙っていくスタイルとのことである。
「どうぞ~」という齋藤船長の合図と同時に5号のテンヤを投入するや、すぐに着底する。
潮もそれほど流れていないので、底取りも分かりやすい。
そして、アタる、アタる、とにかくアタる。
アタリ出まくりである。
「おッ!」
「んッ!?」
「あああッ!」
短い雄叫びがあがる。
そのたびに、竿がヒュッと鋭く、そして天高く突き上げられる。
アタリと合わせがこんなに多い釣りが、楽しくないはずがない。
エサ取りも多いが、何しろ浅いから、回収が苦にならない。
テンポよく入れ替えができる。
釣りが始まってすぐ、瞬く間に本命のマダイも顔を出した。
小さいながらも、実にキレイなマダイだ。
我われツリガチ取材班のみならず、船中のあちこちで鋭い合わせが炸裂する。
日立沖は、朝から実ににぎやかである。
マダイやゲストを含めてアタリは多い
出典:
マダイそれともゲストの仕業? マダイのアタリはカンカンカンッ
ツリガチ取材班のひとり、ライターのタカハシゴーは、なかなか本命のマダイを釣ることができずに、焦っていた。
一つテンヤはもともと彼にとっては慣れた釣りのはずだが、必死に合わせを繰り返しても、上がってくるテンヤには頭を取られたエビの身が寂しく残っているばかりだ。
「これはマダイの仕業?」とヨッシーに尋ねる。
「いや、それはゲストの仕業だね」とヨッシーは笑う。
「まず、アタリが違う。ゴーさんが合わせているのは、柔らかいアタリでしょう?マダイのアタリはもっとカンカンカンッと硬質なんだ。そしてハリ掛かりせずにエビの頭だけが取られているときは、たいていゲスト。ベラとかフグじゃないかな。マダイは前歯でエビをついばむようにするから、残った身はつぶれたようになってることが多いんだよ」
ヨッシーの言葉どおり、「よっしゃ!」と叫んだタカハシゴーが釣り上げるのは、本当にベラとフグなのである。
ツリガチ取材班のイチロウこと鹿島一郎さん、トモキこと板倉友基さんも順調にマダイを上げているのとは対照的だ。
タカハシゴーの身に、いったい何が起きているのだろうか。
もしや彼はベラやフグを引き寄せるホルモン的なものを放散しているのだろうか……。
だがこれは、タカハシゴーに限った話ではない。
一つテンヤマダイの乗合船で、ありガチな光景ではある。
つまり、周りがバッタバッタとマダイを釣るなか、どうしてもゲストしか掛けられない人がいるのだ。
「ふふふ……」
隣で観察していたヨッシーが、不敵に笑いながら言った。
「ゴーさん、マダイの口元にテンヤを持っていこうとして、躍起になってるんじゃない?」
「は、ははは……」
弱よわしく笑いながら、タカハシゴーの顔が引きつる。
図星だったのである。
彼の中には、「捕食しようとする魚の動きは、緩慢」という固定観念がある。
魚は、ゆっくりとエサを見て、ゆっくりとエサを食べるのではないか、という考えにとらわれているのだ。
しかし、食うか・食われるかの世界で生きている野生魚は、決して甘くない。
ピピッ、ピピピッと極めて素早く動いている。
マダイは小さいがアタリは明確に出る
出典:
食われないように、逃がしている エスケープアクションで連発
それにしても、色いろ釣れる。
本命のマダイはもちろんのこと、ゲストもメバル、カサゴ、アイナメ、コブダイ、さらにヨッシーはデカいカスザメまで上げ、なんとも華やかだ。
ツリガチ取材班のみならず、お客さんたちの竿もあちこちで曲がる。
その都度船長がタモを持って飛んでくる。
大いに盛り上がる、ことぶき丸なのだ。
齋藤船長は、人柄こそ穏やかだが操船はアグレッシブだ。
魚が着く魚礁や根は、決して大きくない。船が外れたと見るや、すぐに流し変える。
それでもアタリが遠のいたと思えば、サッと次のポイントに向かう。
釣り人としてはモチベーションが保てるし、リズムも作りやすい。
ヨッシーも、イチロウも、トモキも、お客さんも、続けざまにマダイを釣り上げている。
いいポイントに入るとあちこちで竿が引き絞られる。文字どおりの入れ食いだ。
ようやくキャスト&カーブフォールに慣れてきたのか、タカハシゴーも、コンスタントにマダイを釣っている。
「今まで一つテンヤには縦のイメージしかなかった。今回は自分としてはあまり経験のない浅場で、なかなか横の釣りができなかった。
だが、ヨッシーに教わったことで、海中のマダイの姿が見えたような気がした。
底から浮いたところで、元気に素早くエサを追うマダイの姿が……」と、タカハシゴーは言った。
本当に分かっているのかはアヤシイところだが、この日のパターンをつかんだことは確かだったようだ。
水深10m以内の浅場では3号テンヤのカーブフォールが有効だった
出典:
浅場なのでこのサイズでもよく引く
出典:
水深20mで深く感じる !? 横から縦の釣りでサイズアップ
終盤、齋藤船長はことぶき丸を深場に回した。
深場といっても、水深20m前後である。
とはいえ、それまでの2倍だ。
深く感じる。
こうなると、横の釣りよりも縦の釣りになる。テンヤを着底させ、竿先を高だかと上げて浮かせ、フォールさせる。
一つテンヤのスタンダードな釣り方だ。
「少し風が吹いてきて、船も動き始めたからね。今までのように横に広く探るというより、点で誘う感じかな」
サッと戦略を変えると、ほどなくしてヨッシーの竿が大きく曲がった。
「く~ッ、たまんないね~」
喜色満面。
「おうおうおう」と言いながらマダイの引きをいなし、笑顔でヤリトリを楽しんでいる。
上がってきたのは、1kg級のマダイだ。
決して大ダイではないが、小型中心のこの日としては上出来。
ヨッシーが最後に決めた。
アタリが多く、本命のマダイもしっかりとクーラーを埋めてくれたが、齋藤船長は、「もうちょっと風があれば、大きいのが出たと思いますよ」と悔しそうだ。
「つい先日、浅場で3.8kgと2kgが上がったんですよ。チャンスはあるんです」と船長。
いつ、どこで大ダイが食ってくるか分からない。
これも一つテンヤの魅力だ。
当日のマダイのアベレージは500g前後
出典:
45gのタイラバをキャストして斜めに引いてきて食わせた。 ことぶき丸ではタイラバやタイジギングも楽しむことができる
出典:
船宿インフォメーション
茨城県日立会瀬港 ことぶき丸
0294・23・2338
◆備考=4時半集合、5時出船
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隔週刊つり情報(2022年10月1号)※無断複製・転載禁止