三浦半島剣崎の秋を代表する釣り物といえばワラサ。
早い年には7月から釣れ始まるが、今年は8月上旬からスタートした。
釣り場は下浦沖の水深30~40m前後。
台風7号通過前はトップで7~8本釣れるなどいきなりトップギアに入るかと思われたが、台風通過後はトップ2~3本とややトーンダウン。
ここ数年はムラのある展開が続いているので今後の状況は予測しづらいが、剣崎沖などへ新たな群れが回遊してくれば一気に本格化する可能性はある。
剣崎の秋を代表するワラサが今年もスタート、いい年には年末までのロングランとなる
出典:
仕掛けは準備万端に
いったん食いが立てば、爆発的に釣れ始めるのがワラサ。
とくに朝の数時間はチャンスタイム。
この時合に乗り遅れないよう仕掛けの準備は万全にしておきたい。
ハリスは6~8号全長6~8mが標準だ。
ワラサといえばその昔は、秋になって西から釣れ始めるのが例年のパターンだった。
駿河湾の御前崎沖から始まり三保沖、南伊豆、東伊豆とワラサの便りが聞こえてから、そろそろ三浦半島方面でも釣れ出すのではないかと期待したものだ。
そんなルーティンが崩れ始めてかれこれ20年はたつのだろうか。
近年は東伊豆の初島周りや川奈沖、もしくは三浦半島剣崎沖から開幕するパターンがほとんどになった。
さらにここ数年は東伊豆のほうもあまりパッとした情報は聞かれず、ワラサ開幕といえば剣崎沖が定番になりつつある。
開幕時期も年々早まる傾向にあり、とくにここ2年は7月中下旬からスタートしている。
そんなわけで今年も7月になるとワラサはまだか!? と気になっていたのだが、2023年の開幕は例年どおり?8月上旬からだった。
2023年の開幕模様
ワラサの第一報を入手したのは8月10日ごろ。
当初は台風7号が関東を直撃するのではないかとの予報が出ていたので取材するなら台風通過後かと思っていたのだが、進路がそれて12日、13日と出船、シケ前の荒食いなのかトップ7~8本と好釣果を記録した。
その後はシケと祭礼休みなどがあり出船を再開したのは18日。
ひと荒れあってさらに釣果がのびるかと思いきや、各船トップ2~3本と苦戦気味。
しかし全くワラサが姿を消してしまったわけではないので、なんとか取材にはなるだろうと剣崎松輪港の大松丸を訪れたのは翌19日のこと。
この日のワラサ船は2隻出しの宿が多く、さらにカツオ・キハダ船もあって港は大にぎわい。
鈴木大揮船長の操船で20人を乗せ5時過ぎに出船となる。
目下のポイントは剣崎沖ではなく下浦沖。
船長に下浦沖からのスタートは珍しいのでは?と聞くと年によってはそんなこともあるという。
例えば剣崎沖でイサキを釣っていてハリスがブチブチ切られるとワラサが回ってきたか?となるように、今年はマダイを釣っていてワラサが多く交じり出したためスタートしたとのこと。
最初のポイントは水深30mほどで、指示ダナは海面から22m。
開始ほどなくして右舷ミヨシとトモでダブルヒット。
トモの人はリールトラブルでバラしてしまったが、ミヨシの人は無事上がり3kg級を手にする。
それとほぼ同時に今度は右胴の間でヒット。
同じく3kg級が取り込まれた直後にその隣の人にもヒット。
しかし、こちらはハリスをたぐっている最中にポロッとハリから外れてしまった。
魚が見えていただけに残念。
それから30分後、右胴の間の人にまたまたヒット。
2本目となる3kg級を釣り上げる。
その取り込みが終わったら、今度は左トモの人が食わせた。
同時に右ミヨシでも食わせていたようで、そろって3kg級を取り込む。
年によっては2~2.5kg級とワラサというにはやや小ぶりが多いこともあるが、今年は日により5~6kg級も上がっているようだし、サイズの面では文句はないようだ。
ここまでの釣れ具合を振り返ると、3人4人に同時ヒットというワラサらしい派手さはないが、アタれば2人3人と連続で食ってくる。
ただし、いずれもコマセをまいた直後ではなく、タナを取ってしばらく置き竿にしている間に突然食ってきているから、ワラサの群れが船下を通ったときにたまたま何人かに食ってきているという印象。
船長がまだ本格的ではないというのは、そんな釣れ具合にもあるのだろう。
その後も1時間半くらい置きにポツンと一人二人にヒットする展開が続き、10時半を最後に船中11本でこの日は打ち止めとなった。
指示ダナは海面から20~30m前後だった
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この日はトップ2本が3名
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ワラサの基本タックル
当日の状況からタックルや仕掛け、釣り方を改めて整理していこう。
まず道具立てに関してだが、ワラサの場合、竿はオモリ負荷表示50~150号前後、全長2~2.5m前後の6:4調子が一般的とされる。
ワラサの引きをいなす柔軟さ、強い引きにものされないバットパワー、主導権を持ったヤリトリができる短めの全長といったところがワラサ竿に求められるスペックになる。
取材日の船上では色んな竿を使っている人がいた。
ロッドメーカーのグラスワンピース、大手メーカーの青物専用竿や長めのマダイ竿を使う人など。
とくにこれじゃなきゃいけないということはないが、慣れない人は硬め、短めの竿が扱いやすいと思う。
リールはPE4号が300m前後巻ける中小型の電動。
最近はリールの性能もアップしており小型でもパワーは十分。
ダイワ300番、シマノ1000番クラスで問題なく対応できる。
大きくてもダイワ500番、シマノ3000番クラスで十分だ。
リールの小型化に合わせて道糸もPE3~4号を巻いている人が多い。
一応PE6号くらいまでは許容範囲だと思うが、太くてもPE5号もあれば十分だろう。
逆に太すぎる道糸は周囲とオマツリしやすくなる。
仕掛けは片テンビンの1本バリが基本。
テンビンは腕長50~60cmと大きめで、コマセカゴはプラビシ、ステン缶ともLサイズ、オモリ80号が基準。
マダイ釣りのようにFLサイズを使う人もいる。
テンビンの腕先には2mm径前後で長さ1mのクッションゴムをセット。
クッションは太ければ安心というものではなく、使用するハリスの太さに対応する製品を選ぶことが大切。
メーカーにもよるが、ハリス8号までならおおよそ2~2.5mm径くらいが適合する。
使い古しは劣化している可能性もあるので、なるべく新品を使うことが望ましい。
ハリスは8号6mが基準
ワラサ釣りで肝心な仕掛けのパーツはハリス。
船で長さや太さを指定する場合もあれば、ある程度釣り人の自由にやらせてくれる船もある。
一般的にはハリス6~8号6~8mが標準になり、食いに応じて長さや太さを調節していく。
通常は朝イチに食いがいいので8号6mでスタート。
これが日中になって食いが渋くなってきたら6号に落とす。
逆にトップで10本以上釣れる爆釣タイムなら10 ~12号と太く、長さも4.5mと短くして手返し優先で取り込めるようにする。
アタリが少なくなるとどうしてもハリスを細くしたくなるが、4~5号を限度としたい。
ハリスを細くしてバラしてしまっては元も子もないし、バラさないようヤリトリが慎重になりすぎても周囲とオマツリして迷惑をかけてしまう。
長さに関しては8mがいいところ。
ワラサはコマセで魚を寄せて食わせる釣りだし、指示ダナ自体もおおよそ海底から8~10mくらいと高くないから、ハリスを長くしてもそれほど効果はないと思われる。
ハリは軸の太いワラサ用のほかヒラマサ、グレ、マダイなどの10~12号前後が多く使われる。
ハリの結びは慎重を期すなら南方延縄が強度的に安心だが、慣れているなら外掛け結びや内掛け結びでもいい。
また、オマツリなどでハリスを切ったりするケースもあるから、サルカンへの結びも覚えておいたほうがいい。
もちろん結びができない人は市販の仕掛けを使用しても問題ない。
取材日もハリス8号6mの普通の市販仕掛けで2本釣った人もいた。
ただしそれなりに消耗するから予備は多めに用意していたほうが安心だ。
なお、付けエサはオキアミが基本。
コマセの中から粒を拾えるが、こだわる人は付けエサ専用のオキアミを購入してくる。
また、エサ取りが多いときにはイカタンなども効果的で、これも持参になるが、オキアミと併用することでエサ持ちがよくなる。
釣り人主導のヤリトリを
ワラサ釣りの場合もコマセダイ同様に海面からのタナ取りが主流になるが、ポイントや船によっては海底からのタナ取りをしてもいい場合がある。
海面からのタナ取りの場合は、船長が指示する水深よりハリス長の半分、もしくは5mくらいまで深くコマセカゴを下ろす。
コマセはある程度密にまいたほうがいいから、指示ダナ下3mくらいまですぐに巻き上げ、そこから1mごとにコマセを振り出しながらタナに合わせる。
海底からのタナ取りの場合は、おおよそ底から8~10m上が指示ダナになる。
仕掛けを投入したら一度底までコマセカゴを下ろし、着底したら糸フケを巻き取り道糸を真っすぐ立たせる。
できるだけ正確に底ダチを取ったら、例えば指示ダナが底上8mの場合は5m巻き上げてからコマセを振り始める。
いずれのタナ取りの場合も道糸のマーカーを目安にしたほうが正確にタナを取れるので、そのためにも道糸先端を10mの色変わりでそろえておくようにしよう。
タナが取れたらあとは置き竿にしてアタリを待つ。
朝イチなど魚の活性が高いときはすぐにアタリが出るはず。
アタリが出なくても2~3分と早めの手返しで仕掛けを入れ直そう。
時合が過ぎてアタリが散発的になったら、ある程度コマセを温存しておくのも手。
闇雲にコマセを振り出しても魚は食ってこないし、コマセの使用量は一人3kgまでと決められているので、時間までもたなくなることもある。
ワラサのアタリはグイッと竿先が引き込まれるので明確。
向こう合わせの釣りだから、しっかり竿が曲がってからキーパーから外し、竿を立ててハリ掛かりを確認してから巻き上げ開始。
このとき注意したいのは竿の構え。
ワラサの引きは強いから、竿尻を脇へ挟んだスタイルでは引き込まれたときに竿を立てづらい。
竿を立ててヤリトリしないと竿の弾力を生かせず、バラシの原因にもなる。
竿尻を太ももの付け根あたりに押し当てて固定し、リール前方のグリップをガッチリと握る。
巻き上げは手巻き、電動お好み次第だが、食いのいいときに2~3本も釣れば、体力的にけっこうつらくなる。
なかなか巻き上げられずに遊ばれてオマツリしてしまうようなら、電動巻き上げをすすめたい。
ドラグは強く引かれたときにズルッと滑る3kgくらいに設定。
最近の電動リールのパワーはすごいから、あとは中速もしくはやや速めで巻き続ければ魚は上がってくる。
ハリスをたぐるときの注意点は、手にグルグルと巻き付けないこと。
たぐりの途中でグイッと走られてもすぐに手を放せるようにしておかないと危ない。
指サックやグローブをしておくとなお安心だ。
魚が海面下に見えてきたらタモのほうへ頭から入るように誘導してやる。
タモ取りは船長の手が空かないようなら周囲で協力してすくうようにしたい。
陽が昇ってからもポツポツと食ってきた
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翌日にはトップ7本と上昇している
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I N F O R M A T I O N
三浦半島・ 剣崎松輪港 大松丸
046・886・1244
▼備考=出船6時。希望でキハダ・カツオへも
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隔週刊つり情報(2023年9月15号)※無断複製・転載禁止