一度の釣行で2種類の釣り物を楽しめるリレー釣りは各地で人気を集める乗合メニュー。
取材した南房太海港の聡丸では、午前2時過ぎに出船し暗いうちはフラッシャーサビキ仕掛けでクロムツ(ムツ)を狙い、明るくなってから季節ごとに模様がいい釣り物(目下はスルメイカ)へ転進するリレー船で出船。
釣り場は航程15分の太海沖と近く、8時半に沖揚がりするので、涼しいうちに釣りを楽しめるのも魅力だ。
クロムツは30~35cm級主体に40cm級交じりでいい日は頭20尾以上、スルメイカは胴長30cm前後がいい日でトップ20~30杯釣れている。
9月からは状況によりタチウオもしくはアマダイ五目がリレーのメニューに加わる予定だ。
▲食いが立てば2点、3点掛けも期待できる
出典:
クロムツ(ムツ)は白身で上品な脂が乗り、炙り刺や煮つけにすると絶品な魚。
日中は300m以上の深場にいるが、暗くなるとエサを求めて水深100m前後の岩礁帯に集まってくるため、オモリ150号を背負える比較的手軽なタックルで楽しむことができる。
そのクロムツを周年の看板に掲げているのが南房太海港の聡丸。
早朝はフラッシャーサビキ仕掛けでクロムツを狙い、その後は四季折おりの狙い目に転進するリレー釣りスタイをとっていて、目下はスルメイカを狙っている。
9月に入ると状況により釣り物がスルメイカからタチウオやアマダイ五目になる場合もあるので、予約時に確認していただきたい。
クロムツは午前2時集合と早いが、その分沖揚がりも8時半と早い。
まだまだ暑さが厳しいこの時期、涼しいうちに釣りが楽しめて、昼には帰宅できるのはうれしい。
知っ得!ケガ防止に指サックを用意しよう
サバが鈴なりで掛かったりすると、幹糸をたぐる際に引っ張られて人差し指を切ってしまうことがある。
指サックやグローブなどがあればケガの防止になるし、滑りにくくなるので着用をおすすめしたい。
クロムツは暗いうちが勝負
取材でお邪魔したのは8月8日、皆さん深夜にもかかわらず早めに到着していてビックリ。
1時半ごろに受付を済ませて、準備が整った2時過ぎに12名を乗せて出船。
航行中に船長からクロムツ釣りについてのアドバイスがマイクで伝えられるので初めてでも安心だ。
ポイントの太海沖には15分ほどで到着。
「始めてください。投入はオモリからゆっくりと下ろして、糸フケが出ないようにサミングしてください。水深95mです。反応は底から10mまでありますのでその間を探ってください。根があるので着底したらすぐに底を切ってください」と船長から開始のアナウンス。
クロムツの釣り方は、軽く竿をシャクってフラッシャーサビキを踊らせ、3~5秒ほど止めて魚が食いつく間を取る。
アタリがなければ竿先を下げながら道糸を巻き取る。
これを繰り返して指示ダナの上限まで達したら、サミングしながらゆっくり仕掛けを下ろして再着底させる。
アタリに対しては向こう合わせが基本。
アタリはゴツゴツと明確に出るので、そのまま追い食いを狙って5mほどゆっくりと誘い上げ、強く竿が引き込まれたら電動の中速で巻き上げればOK。
開始早々に左ミヨシの水谷紀之さんの竿が激しくたたかれ巻き上げを開始、30cmのクロムツを抜き上げると、左胴の間の坂場清美さんが30~35cm級のクロムツをダブルで取り込む。
しばらくしてクロムツの活性が上がったのか底上20mまで反応が浮いてくることもあり、そんなときはすぐさま船中のあちこちでクロムツが釣れ盛る。
「右トモ寄りで上がったよ」 船長の声に駆け寄るとトモやトモの2番の方がそれぞれダブルで本命を上げていた。
その後は今まで姿を現さなかったサバが回遊してきたため仕掛けを下ろす途中で数尾が食いついて上がってきたり、オマツリが多発。
しかし運よく着底するとクロムツが食ってくる。
右胴の間では「重い、重い」と言いながら巻き上げ開始。
海面に浮いたのはクロムツ1尾と大きなサバが2尾。
取り込みでサバが暴れてクロムツがバレてしまったものの海面に浮いているのでタモですくってキャッチする一幕も。
4時45分、東の空が白み始めてきたころに最後の流しとなる。
明るくなるにつれてクロムツも徐々に深場に移動して、この時点での水深は110mになっていた。
ラストは右舷ミヨシ2番の方が単発、左舷ミヨシの方がダブルで本命を釣り上げてフィニッシュ。
▲クロムツが掛かったら中速で巻き上げる
出典:
Tackle Guide
クロムツに使うフラッシャーサビキ仕掛けは当地で長年改良を重ねて作られた船宿仕掛けがおすすめ。
ボリュームたっぷりのピンクフラッシャーはアピール度抜群で、ハリはクロムツの鋭い歯によるハリス切れを軽減する軸長の丸カイズを使用。
船長によると市販品とは明らかに釣果に差が出るという。
ちなみに、ハリにエサを付けると食いが悪くなるので付けてはダメ。
スルメイカはサバが多いときは直結仕掛けが有利だが、慣れない方はバラシにくいブランコ仕掛けがおすすめ。
後半はスルメイカ狙い
5時を過ぎたところで、「明るくなったのでスルメイカへ行きましょう」とのアナウンスで移動。
20分ほどで太海沖のポイントに到着。
スルメイカ好調の報を受けて外房~南房の各港からも乗合船が集結。
たくさんの船上干しが遠目からも見えて期待が高まる。
「水深170mです。140mから下を探ってみてください」と船長からのアナウンスでスタート。
150号のオモリが一斉に投入されると18cmプラヅノが投入器から射出される。
当日はブランコ仕掛けを使う方がほとんどで数名の慣れた方が直結仕掛けだった。
早々に左胴の間の坂場さんが胴長30cmのスルメイカを2点掛けで取り込むと、船内の3人にスルメイカが乗ったらしく巻き上げが始まる。
2人は同サイズのスルメイカを1杯ずつ上げ、1人は途中でサバにつかまって振り回されてしまい、残念ながらスルメイカの足だけがカンナにくっ付いて上がってきた。
その後は時合が過ぎてしまったのだろうか、反応を探してこまめに移動する時間が増えてきて、一流しで船中1~2杯と拾い釣りの展開となる。
おまけにサバが邪魔して仕掛けが落ちないこともしばしば。
周りの船を見ても思わしくない様子で残念ながら派手な乗りがないままタイムアップ。
釣果はクロムツがトップ13尾とまずまず。
スルメイカはトップ6杯とツ抜けできなかったが、船長によれば反応はバッチリ出ているとのこと。
潮具合が変われば釣況も上向くはずで、次の日にはトップ10~15杯と上向いてきており、今後も状況次第で十分期待できそうだ。
(左)プラヅノを投入器に収めながら取り込む(右)ブランコ仕掛けはしっかり誘ってプラヅノを踊らせる
出典:
船宿information
南房太海港 聡丸
04・7092・0505
備考=無料駐車場あり。
集合2時、準備ができ次第出船
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隔週刊つり情報(2023年9月15号)※無断複製・転載禁止