初夏~秋にかけての南房の名物釣り物の一つがキントキ五目。
オモリ120号の胴つき3本バリ仕掛けで冷凍のカタクチイワシなどをエサに狙うが、力強い引き味と抜群の食味でリピーターになる人も多い。
この釣りを看板にする乙浜港のしまや丸では8名限定で出船。
釣り場は白浜~布良沖にかけての水深70~80m前後。
とくに本命ポイントといえるのが布良沖で、40cm近い良型がそろうのが魅力。
ただし潮が速いと一流し1投になるなど難しい面もある。
取材日も速い潮に悩まされながらトップ10尾、良型ぞろいで全員本命をゲットできた。
釣果は潮次第になるが、9月も十分期待できるだろう。
▲釣り方は底から10mの範囲を探るだけとそれほど難しくない
出典:
大きな目と大きな腹ビレが特徴のチカメキントキ。
通常は水深150~300mほどの砂泥底に生息しており、時折オニカサゴ釣りでゲストとして登場するが、産卵期ともなると沿岸の水深50~100mの岩礁帯に群れを形成して主に甲殻類や小魚を主食とするようになる。
その際、海中での姿勢の安定や素早い反転でエサの捕食を可能にするのにこの大きな腹ビレが役立っているようだ。
また、ハリ掛かりさせると腹ビレを広げて激しく抵抗してくるので釣り味も非常におもしろい。
食味のよさにも定評があり、大きくなるほど脂が乗ってくるので大型が釣れたら2~3日冷蔵庫で寝かせた後にぜひとも刺身で召し上がっていただきたい。
そんなキントキ釣りを看板の一つとしている宿が南房乙浜港のしまや丸だ。
(左)シーズンは10月ごろまで(右)このサイズならエンガワもバッチリ取れる
出典:
▲ゆっくり仕掛けをたぐって取り込もう
出典:
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3ノットも流れている
私がしまや丸を訪れたのは8月の下旬。
出船前に船長にどこのポイントへ向かうか尋ねると、「とりあえず近場の白浜沖で潮具合を見てから決めますよ」とのことで、5時少し前に私を含めて8名で出船。
15分ほどすると、「始めましょう。反応は底から10mまで出ています」と白浜沖の水深80mで開始の合図が出された。
海底は砂地に岩礁が点在しているようなポイント。
着底したら素早く糸フケを取り、指示ダナの範囲をゆっくりとしたストロークでリサーチしていく。
キントキのアタリは初めにコツコツと出る場合が多いが、ここで合わせを入れると十中八九ハリ掛かりしない。
キントキは受け口で、エサを捕食しても一気に飲み込まず、くわえた状態から徐々に飲み込む傾向があるので、合わせどころはギューンと竿が大きく絞り込まれてからが基本になる。
さっそく右舷ミヨシ2番の西本さんに続いて右舷ミヨシの水沼さんにもヒット。
両氏とも30cm弱のキントキを幸先よくゲットすると左舷トモの平野さんご夫婦の旦那さんも同級を釣って後に続く。
すると奥さんの真美さんにもアタリが訪れるが、時折穂先がフワフワするのでサバのようだ。
その後も船内ではキントキに交じって時どきサバが釣れ上がる。
船ではイワシエサが用意されているが、新鮮なサバはエサ持ちもいいことからさっそく包丁でさばいて切り身にする方も多かった。
このポイントでは飽きない程度にキントキがヒットしてきたもののサイズ的には30cm前後の個体が多い。
本日の乗船者は常連さんが多く、そのお目当ては40cmオーバーの良型。
船長もその点を理解しており、5時40分に良型が期待できる白浜と布良の中間のポイントの水深80mラインに移動。
しかし、ここは3ノットと速い潮となっており、「同時投入で魚が掛かったらすぐに巻き上げてください。2投目はできませんよ」とアナウンスがある。
着底しても仕掛けが吹き上がってしまうので、底をキープするのもひと苦労。
当然ポイントもすぐに通り過ぎてしまうため、着底直後の一瞬が勝負どころになる。
そのためヒット率は落ちてしまったが、掛かってくるキントキは40cm近いサイズが多くなり、左舷ミヨシの木下さんが本日最大となる42cmを釣り上げる。
その後に布良沖にも移動したが、やはり潮が速く同じような展開。
どうにか全員が良型のキントキを数尾手にしたところで白浜沖の灘寄りへと移動となった。
(左)カンコのほか日によってはマハタもよく交じる(中央)ツ抜けできれば上々(右)大きなヒレがキントキのトレードマーク
出典:
Tackle Guide
竿はヤリカ竿などの先調子より軟らかめの7:3調子のほうが食い込みもよくバラシの防止にもなる。
硬い竿を使うなら仕掛けの上にクッションゴムを装着するのも手だ。
仕掛けは胴つき3本バリが基本だが、慣れているなら5本とハリ数を増やすのも有効。
また、潮具合で浅場の根魚を狙う場合もあるから80号のオモリも用意しておきたい。
最後にきた大物は!?
近くには大きな潮目があり、そこから南は速い潮、北側は潮の流れが緩慢となっていたらしく、8時半に到着した水深70mのポイントではしっかりと底ダチが取れるようになっていた。
ここで私も竿を出したのだが、最初のヒットで釣り上げたのは30cmのアヤメカサゴだった。
肝心のキントキは、大きな反応があっても今度は活性が思わしくない。
デッドスローでタナをリサーチしているとコツコツとアタリはくるもののそれっきり。
「なんでこの反応で食わないんだよ」と船長のフラストレーションもたまる一方だ。
それでも沖揚がり1時間前ごろから徐々に口を使うようになり、私も35cmのキントキを釣り上げてひと安心。
船内ではキントキに交じって良型のカンコも数尾取り込まれている。
そんなとき、隣の平野さんが良型のキントキを釣り上げたのを横目で見ているとガガガッと前触れもなく私の竿が絞り込まれた。
その強烈な引きに竿を起こせない。
どうにか竿を立ててリーリングを開始したのだが、尋常ではない竿の曲がりを見て木下さんがタモを持って駆け付けてくれた。
慎重に巻き上げたからか重いもののあまり抵抗しない。
だからといって油断したわけではないが、水深30m付近まで巻き上げたところで突然猛烈な突っ込みで竿がのされてプツン……。
恐らく大型のマハタだったのだろうが「逃げた魚はでかかった」の言葉どおりになってしまった。
やがて沖揚がりの時間。
釣果は27~42cmのキントキが3~10尾にカンコなど。
この速い潮が収まれば、さらなる好釣果も期待できるはず。
大型のキントキを求めて出かけてみてはいかがだろう。
船宿information
南房乙浜港 しまや丸
0470・38・2567
備考=予約乗合、出船5時。
無料駐車場あり
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隔週刊つり情報(2023年9月15号)※無断複製・転載禁止