「4時までに港に集合してくださいね」と電話口のおかみさんから告げられ、早朝3時半過ぎに犬若港に到着すると、すでに明かりが灯る2隻の船があった。
受付もスタンバイされていて、おかみの智恵美さんと若おかみの千恵さんが早くに到着したお客さんを出迎えている。
こんな食べごろサイズが朝から釣れまくった
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2隻の船で操業する家族経営の船宿
「ずいぶん早い時間から支度してるんですね」と、おかみさんに声をかけると、「うちはお父さんが早起きでね」と笑う。
その早起きのお父さんが大川進船長。
孝進丸の大船長で小さいほうの船、2号船を担当している。
そして、大きいほうの船、1号船の担当が進船長と智恵美さんの長男で若おかみ千恵さんの旦那さんである大川文博船長。
孝進丸は2隻の船と二代の夫婦で切り盛りする家族経営の船宿。
文博船長のお爺ちゃんに当たる亡き大川孝三船長が、進船長が小学校3年生のときに起業したのが孝進丸の始まり。
孝三船長の「孝」と進船長の「進」の2文字を取って孝進丸と名付けられた。
孝進丸の三代目、大川文博船長は昭和54年生まれの43歳。
進船長と智恵美さんの間の二男二女の長男として、ここ犬若で生まれた。
今日に至るまでの経歴を伺うと、地元の高校を卒業後、家業である遊漁船業への進路を選択し、3~4年ほど進船長の船で仲乗りとして修業した後、船長になったと話す。
本人は船長として独り立ちするまでのヒストリーを淡々と話してくれたが、荒海となることもある太平洋の大海原で操業し、かつ人の命を預かる仕事であるゆえ、実際は人知れぬ厳しい指導を父から受けたのだろう。
孝進丸では、文博船長のデビュー当時も2隻の船を所有していたが、祖父が操業していた船ではいささか古かろうと18年ほど前に船の新造に踏み切った。
それが白のボディにピンクのラインが鮮烈な第1孝進丸。
18tの大型船で、釣り座が広く、釣り心地抜群の船である。
800馬力のエンジンを搭載し、18mlほど離れたアカムツの漁場、犬吠埼沖へも快適に航行する。
現在、孝進丸で周年のターゲットにしている魚種はヒラメとアカムツ。
孝進丸を度たび訪れるという釣り人の言葉をそのまま借りれば、「釣れる魚がデカい、数も釣れる」ということで、いずれの釣り物も大人気なのである。
年内一杯はヒラメで出船
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当たり前の入れ食いでスタート
そんな孝進丸へヒラメ釣りの取材に出かけたのは8月初めのこと。
ベタナギに恵まれ、気持ちいい夏日和の中での取材となった。
港が間近に望める犬吠埼沖の水深18mからスタートすると、あっちでズキューン、こっちでギュギューンと竿が絞り込まれ、時には4人同時に、あるいはあちこちでとヒラメがヒットして、船中お祭り騒ぎの入れ食い模様でスタートした。
そんなわけだから、開始から1時間ばかりでトップの方は5枚を数え、あっという間に船中全員オデコなし。
カメラ片手に歩き回る私の置き竿にも勝手にヒラメがヒットしてくるほど。
いやはや、ここはヒラメの桃源郷か!?
朝のポイントで釣れ上がったサイズは1~1.5kg級が中心で、大きなものは2kgほど。
「ここ数日、小型も交じるようになってきてしまったのですが、最近はこんな具合です」と、この釣れっぷりが当たり前のように船長は話す。
しばらくの爆釣シーンを楽しんだ後は、ポイントを小移動して型狙い。
潮流れ不足が相まってアタリ数が減ってしまったものの、朝のポイントよりは明らかに大きなヒラメが取り込まれた。
2.8kgを筆頭に2kgオーバーのヒラメを数枚交じえながら良型多めにポツポツと釣れ上がり、4~12枚という釣果で納竿となった。
帰港してみれば、2号船は最大3.5kgを交えて6~13枚で早揚がりになったとのこと。
競っているわけではないが、この日は父、進船長の2号船に軍配が上がった。
取材日以降も好模様は継続中で、とりわけ取材日には登場しなかった4~5kg級の大判ビラメが度たび釣れ上がっている。
いやはや、犬若沖のヒラメの魚影の濃さには正直、驚かされる。
無事に取材を済ませ、いつも明るくて元気一杯なおかみさんに見送られて家路についた。
なんだか気分がよかったものだから、犬吠埼をグルリとドライブして旅気分も満喫。
次はアカムツシーズンに出かけてみたい。
当日最大となる2.8kg
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1~1.5kg級が多かった
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胴の間で12枚を釣って竿頭
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うれしい外道でマゴチも登場
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船宿information
銚子犬若港 孝進丸
0479・23・1020
URL:http://www.koushinmaru.jp
● 予約乗合。第4木曜定休(祝日は営業)。
● 釣り座は先着順で、船宿前にある席札を取る
船宿アクセス
●車/東京方面から出かける場合は、東関東自動車道を利用。大栄インターを降りて、東総道路、国道126号、銚子ドーバーラインを抜け外川漁港方面へ。漁港内を進み、港中央付近山側に孝進丸の看板があるから、そこを左折してまずは船宿へ。席札を取ったら港中央付近の船着き場へ車のまま移動。
茨城、埼玉西部、栃木方面から出かける場合は、圏央道神崎インターを降りて、利根川沿いを銚子へ向かう。県道244号の銚子駅前交差点の先にあるガストを右折。道なりに銚子市街から外川漁港方面へ。以降、漁港内からは前述のとおり。
第1孝進丸の設備とサービス
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隔週刊つり情報(2022年9月15号)※無断複製・転載禁止