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東京湾のタチウオジギング

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がエサ、ルアー釣りを問わず、様ざまな釣り物にガチで挑戦していく連載「ツリガチ!」。

第15回は東京湾のルアータチウオだ。

7月下旬に釣行したのは東京湾奥深川・吉野屋。

大森健吾船長が最初に船を向けたのは富津沖の水深14m前後。

7月に入りタチウオの群れが浅場に来遊し、10m台の浅場で大小交じりでよく釣れているという。

到着するとすでに数隻のルアー船がいて、銀色に輝く刀のような魚体が取り込まれているのが見える。
 
80gのジグをアンダーハンドキャストで広く探ると、フォールでも巻き上げでもよくアタり、指幅2~3本級のタチウオが連発する。

11時の潮止まりまで数釣りを楽しみ、上げ潮に変わるタイミングで走水沖の水深60m前後へ移動、底から20mの指示ダナで再開。

ここは120cm級のドラゴンサイズが連日のように釣れているとのことで期待が高まる。

潮が動き始めるとタチウオの活性が高まり、100cm級を中心に120~130cm級が顔を見せるようになった。

ヨッシーは大型の実績が高い、波動を弱めたアンチョビメタルTYPE‐Ⅲのドラゴンチャートカラーをセット。

ジグが海中であまり飛び跳ねないように誘う。

すると小さなアタリがきて合わせるとフッキングし、ロッドが大きく曲がる。

タチウオジギングのイメージ

浅場はアンダーハンドでジグをキャストし、着底したらワンピッチジャークで指示ダナの上限まで探る。

これを船下まで繰り返す。

深場は活性の高いタチウオは浮いている傾向があり、指示ダナの上限付近にいる魚がジグを見つけて追ってくることがある。

そのため指示ダナの上限より10m上まで巻き上げよう。

夏、真っ盛りである。暑い。

しかしこの暑さは、我われ釣り人にタチウオを思い起こさせる。

夏の東京湾といえば、タチウオなのである。

真夏の強い日差しの下、釣れ上がったタチウオの魚体はギラリと輝き、よく映える。

今や東京湾では周年タチウオが釣れるが、やはり夏がよく似合う。

そして、ツリガチ取材班にも夏がよく似合う。

船釣りを愛するがゆえに、人生常時夏休みのような面々なのである。

ジャッカルのプロスタッフ、ヨッシーこと吉岡進さんは、言わずと知れたタチウオ釣りの名手である。

ジギングでもテンヤでも、よく釣る。

海況やタチウオの活性を読み、戦略を立てて釣りに臨んでいるから、横で眺めているだけでも「釣れた」ではなく「釣った」という手応えが味わえる。

ヨッシーの釣友であるイチロウこと鹿島一郎さんは、以前は必ずアオイソメを持ち込むイソメマンだったが、最近はすっかりルアーづいている。

なんでもやってみたがる人なので、ルアーチェンジやアクション変更の頻度は激しい。

パイロット的な存在だ。

イチロウの手下であるトモキこと板倉友基さんは、クロダイ釣り界隈でその名を轟かせる「手練れ」。

船釣りは最近になって本格的に取り組んでいるが、腕は確かだ。

ライターのタカハシゴーは永遠の初心者。

2歩歩くとすべてを忘れる鳥頭の落ち主である。

しかし、本誌連載「タカハシゴーの親子でゴー(毎月1日発売号に掲載)」でタチウオ釣りをしたばかり。

さすがに今回は形にしてくれそうだ。

彼らが東京湾奥深川・吉野屋に乗り込んだのは、7月28日である。

ルアータチウオ船は2隻出しで、どちらも満船の人気ぶりだ。

子供たちが夏休みに入ったからか、親子連れの姿も見られた。

バケーションムード漂うなか、今回のツリガチ取材班はガチだった。

取材日程的に、後がないギリギリの状況なのだ。

タチウオを釣って、取材をモノにする。

絶対に出さなければならない釣果がある──!

運河を下り、東京湾に向かう吉野屋の船上で、ツリガチ取材班は緊張の面持ちであった。

適材適所のルアーチョイスと飽くなき探究心が好釣果を呼ぶ

まずは富津沖の浅場から。

これがまたガチで浅く、水深はわずか14m前後。

すぐにジグが着底してくれる。

「これだけ浅いと、ビギナーの方でも釣りやすいよね」とヨッシー。

その言葉どおり、釣り開始とほぼ同時にバタバタッとタチウオが釣れ始めた。

かわいいサイズだが、タチウオはタチウオ。

船内のあちこちから歓声が上がり、ツリガチ取材班の硬かった表情も和らぐ。

正直言って、ジグを落として巻くだけでも釣れる。

竿を1mほどシャクリ上げ、下げる間にリールを1回転させるワンピッチジャークができれば文句ない。

そんな中でも、ひときわ数を釣っているのはやはりこの男、ヨッシーである。

ジャッカルのタチウオ専用ジグ、アンチョビメタル・TYPE‐ZEROで、タチウオを完全に掌握している。

「浅場のタチウオはベイトに着いてるんだ。食い気があるから、ある程度動きが激しいジグに反応する。だから比較的暴れるTYPE‐ZEROを選んだ。アンチョビメタルにはもっと動きが激しいTYPE‐Ⅱもあるけど、どちらかと言えばフォールアクションに特化している。今日のタチウオはジグをリフトしているときに反応してくるから、TYPE‐ZEROのほうが合うようだ」

状況を読みながらの戦略的なジグ選びである。

ヨッシーの釣りに「なんとなく」は(ほぼ)ない。

スタート時点でポイントの様子をある程度認識しており(浅場のタチウオはベイトを追っている)、実釣で魚のリアクションを確認し(フォールではなくリフトに反応)、そのうえでジグを決めているのだ。

さらにはリーリングスピードを微調整して、タチウオが最もアタックしてくるアクションを探す。

ヨッシーの飽くなき探究が、好釣果を呼んでいる。

「浅場のタチウオはイージーだから、ビギナーの方に本当にオススメ。今日のサイズは小ぶりが中心だけど、ときには1m級も交じるから楽しいよ。そしてイージーさの中にも、ちゃんと工夫の余地がある。ジグの形や重さを替えてみたり、リーリングスピードを変えてみたり、ワンピッチジャークのシャクリ幅を変えてみたり……。タチウオは気まぐれだから、状況はどんどん変わる。それに合わせて自分も変えていくことができれば、釣果もついてくる。工夫次第で、ワンステップ上のより面白い釣りができるんだ」

釣行の写真

富津沖は中小型のタチウオがよく釣れた

スピニングタックルでも楽しめる 浅場のタチウオジギング

簡単。

だけどそれだけじゃない。

浅場のタチウオジギングは、ビギナーからベテランまで楽しませてくれる。

ツリガチ取材班でいえば、エキスパートのヨッシーはもちろん、永遠の初心者であるタカハシゴーもそれなりの数を釣っている。

「今回はスピニングタックルを使ってみてるんだ」とタカハシゴー。

前回、親ゴー取材の際にベイトリールでのキャスティングに苦戦し、「それなら」とスピニングリールを持ち込んだ。

タチウオはフォールで食ってくることが多い。

しかもミスバイトしやすい魚だから、鋭い歯でリーダーやPEを切られることもしばしばだ。

フォールでのアタリを取りにくいスピニングリールは、かなり不利である。

しかし「やめたら?」と言われることほどやりたくなる天邪鬼な彼は、嬉々としてジグをキャスティングしている。

「投げることも釣りの楽しみの一つだからさあ。それに、みんながベイトリールなら、ちょっと違うこともしてみたいじゃん?」などとうそぶきながら。

だがこの日のタチウオは、リフトに反応している。

それなら、スピニングでもそんなにジグを持っていかれてしまう心配はない。

タカハシゴー、ついに浅場はほぼスピニングタックルで通し、よりライトなタックルで気持ちよく竿を曲げていた。

幸いにもジグロストがなかったのは、彼の腕……ではなく、この日のタチウオの食い方のおかげ、と言えよう。

「他の人とは違うスピニングタックルでタチウオを釣る」という願いがかない、タカハシゴーは満足げだ。

これも「簡単。だけどそれだけじゃない」という浅場タチウオの、一つの楽しみ方ではある。

釣行の写真

浅場ではスピニングタックルで 広く探るのも効果的

深場でドラゴン級を狙うが戦略どおりにハマれない

3時間ほど浅場タチウオを満喫した後、船は走水沖へと向かった。

今度は深場でのドラゴンサイズのタチウオ狙いだ。

午前11時、タチウオの大船団のなか、釣りがスタートした。

水深は60m前後だ。

「底から15mぐらいを探ってみて」という船長のアナウンス。

いきなり、1mほどのナイスサイズがポンポンと上がっている。

期待できそうだ。

開始10分、ズドンと竿が曲がった。

「おっ、コレは……」と不安げなのは、まさかのタカハシゴー。

「ゴーさん、それ絶対デカいヤツだよ!」とヨッシーもコーフン気味である。

タチウオの引きは独特だ。

フッキングの瞬間は、まさにズドン!と根掛かりのような重おもしさだ。

ジッ、ジジッとドラグが鳴ってラインが引き出され、竿は根元から大きく曲がる。

青物のように横に走ることはほとんどない。

真下に潜ろうとするか、真上に食い上げてくるかだ。

フッキングするとまず真下に向かうから、ズシンと重い。

リーリングもままならないほどのトルク感がたまらない。

ここをこらえると、今度はフッと軽くなる。

「バレたか!?」と不安になるが、これは食い上げているから。

不審に思ってリーリングを止めてしまうと、ジグの重さでフックオフしガチだ。

ハリは外れていないことが多いから、とにかくリールを巻き続ける。

真下に潜ろうとしたら竿を立てて耐える。

この繰り返しだ。

そんなヤリトリの果てに上がってきたのは、125cm、船中初のドラゴンサイズだった。

「ヨッシーの言うことを聞いといて、よかった~」とタカハシゴー。

「アンチョビメタル・TYPE‐Ⅲのドラゴンチャート、130gから始めたら?」というヨッシーのアドバイスに従っていたのだ。

深場のタチウオは食い気にかなりムラがあるようだった。

タカハシゴーの125cmを皮切りに、バタバタッとドラゴン級が上がったかと思えば、シーンと沈黙の時が続く。

ヨッシーもタカハシゴーにすすめたのとまったく同じジグで始め、途中で「活性が上がったのかな」と、派手にアクションするTYPE‐ZEROにスイッチ。

しかし反応がないので「少し波動を抑えるか……」とTYPE‐Ⅰに変更するも、いずれも「そこそこサイズ」のみ。

なかなか戦略どおりの結果が得られない。

一方のタカハシゴーは、途中で一度だけジグを替えてみたものの、「なんかしっくりこない」と、あくまでも感覚的に元のジグ──アンチョビメタル・TYPE‐Ⅲのドラゴンチャート、130gに戻し、それを貫いて1mオーバーを連発した。

やんわりとしたワンピッチジャークでジグがあまり飛ばないようにして、あとはタナだ。

船長の指示ダナを中心に、それより10mほど上まで余分に探り、アタリを出している。

船中では135cmのド迫力サイズが上がり、ツリガチ取材班でもイチロウが129cmを釣っている。

ジグはヨッシーおよびタカハシゴーと同じ、アンチョビメタル・TYPE‐Ⅲの130g。

カラーはオレオレオレキンだ。

ヨッシーも最終的にアンチョビメタル・TYPE‐Ⅲのドラゴンチャートに戻すも、タイムアップ……。

ついにドラゴン級を引き出すことはできなかった。

「デカいの、取りたかったのになあ!」と悔しそうなヨッシー。

タカハシゴーやイチロウと同じジグを使いながらも結果につながらなかったのは、微妙な差だったようだ。

「ジグが後ろに流れていく潮向きだったから、オマツリを防ぐためにあまりゆっくり巻いていられなかったんだ。しかも使っていたリールもHG(ハイギア)。かなり強くジグを引いちゃってたかな。もしPG(パワーギア)だったら、もう少し優しく引けたかもしれない。それか、重さを160gにしてジグが後ろに流れる時間を稼げばよかったかな……」

後悔しきりではあるが、極めて分析的でもある。

「こういう経験が引き出しになって、次の釣りに生かせるんだよね」とヨッシー。

言われるがままのジグでなんとなく「釣れた」タカハシゴーとは違い、戦略どおりの「釣った」をガチで追い求める。

「テンヤが大流行してるけど、ジギングには浅場での釣りやすさ、エサを使わないことによる手返しのよさ、刻々と変動するタナへの対応のしやすさ、そして正解のアクションを見つける面白さなど、多くのメリットがあるんだ。サイズ、数ともに他の釣法に引けを取らないしね。ジギングはジギングでやっぱり魅力的だよ。今日はちょっと悔しいけどさ!」

暑くて熱い夏タチウオは、ヨッシーの中でもまだまだ続きそうだ。

釣行の写真

良型のタチウオを釣り上げたヨッシー。ヒットルアーはアンチョビメタル・TYPE‐Ⅲのドラゴンチャート

釣行の写真

タダ巻きで釣り上げた133cm

釣行の写真

タングステンジグでのタダ巻きで134cmをゲット

釣行の写真

ゼブラカラーのジグでドラゴン級のタチウオがヒット

船宿インフォメーション

東京湾奥深川 吉野屋

03・3644・3562

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隔週刊つり情報(2022年9月1号)※無断複製・転載禁止

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