秋~冬にかけて渡りの大ダコ狙いで知られる茨城エリア。
近年は夏場に地着きのマダコを狙っても出船するようになっている。
釣期に制限のない日立久慈漁港ではスポット出船の宿が多く、取材した釣友丸もその1軒。
釣り場は日立沖の水深30m前後。
海底は砂地に小石が点在するゴロタ場でほとんど根掛かりしないのが特徴。
ただし水深が深く、風と潮によって横流しやエンジン流しで広範囲にポイントを探っていくため使用オモリは60~80号前後と重くなる。
今のところ釣果は0.3~1kg級を一人3~4杯といったところだが、当地の本番は秋以降。
タコらしく!?慌てずのんびり楽しもう。
ベーコン巻きの効果やいかに?
昨年、当地のマダコ釣りに行ったとき、豚の脂身を付けている人が好調に釣っていた。
それを見て次回は脂身を持って行こうと心に決めていたのだが、思い出したのが出発直前だった。
夜中の出発なので肉屋が開いているわけがない。
途中のコンビニで代わりになるものを……と探して見つけたのがベーコン。
写真のようにゴムを使って巻き付けてみたが、タコを釣り上げたときにはベーコンは消えていた。
タコがベーコンを完食?のわけはなく、おそらく石にこすれて輪ゴムが切れて取れてしまったのだろう。
ベーコン巻き効果の検証は次回への宿題となった。
(左)輪ゴムで餌木に巻いてみた(右)
出典:
麦わらダコという言葉があるように、マダコの旬は6~8月にかけてとされている。
東京湾などではこの時期がタコ釣りシーズン真っ盛りなのだが、かつて茨城県日立界隈では夏がオフシーズンとされていた。
これは、日立沖では年末になると北から回遊してくる渡りダコの人気があまりに高かったせいだろう。
日立に通う釣り人たちは、冬の渡りダコを楽しみにしている。
しかし、日立沖は冬にしかタコがいないわけではない。
地着きのタコを狙えば他地区のように夏にタコ釣りを楽しめる海域なのだ。
数年前からの餌木タコブームにより、ここ茨城でもタコ釣り人口が急増した。
渡りダコのような派手な釣れっぷりはなくとも、穏やかな夏の常磐でタコ釣りを楽しみたい、という人が増えている。
日立久慈漁港の釣友丸でも、かつて冬の釣り物だったマダコをリクエストに応じて夏場も出船している。
予約表を覗いてみるとマダイ、ルアー青物に交じって、けっこうな頻度でマダコ予定が入っている。
▲当日は1kg級を含みトップ7杯
出典:
知っ得! 沖揚がり後はワンコイン温泉でサッパリ
日立久慈漁港から1kmほどの所にあるのが、久慈サンピア日立スポーツセンター。
テニスコートやプールがあり、宿泊もできる総合スポーツ施設だが、ここでは温泉入浴も楽しめる。
天然鉱石の薬石光明石を使った人工温泉で「活性の湯」と言われる。
美肌や疲労回復に効果があるとのことだが、何よりも船上での汗と潮を流してサッパリすれば、帰りのドライブが爽快気分になることはうけあいだ。
入浴料は500円とリーズナブル、タオルとバスタオルは持参しよう。
いつもの感じではない
取材に伺ったのは、梅雨明けも近い7月11日。
4時半に港に着くと5名のタコ釣りファンが集まっていた。
2隻体制の釣友丸だが、本日は一号船のマダコ乗合のみが出船、大型船に片舷3名と釣り座間隔は広い。
若林正行船長は船を南へ向けた。ポイントまではゆっくり走って約40分、陸に目をやると磯崎~ひたち海浜公園の海岸線が目に入る。
水深は30mというアナウンスが出た。
かつては120号というヘヴィ級のタコテンヤにサンマを二つ切りにしたものをくくり付けて釣るのが常磐のマダコ釣りのスタイルだったが、今日は全員が餌木仕掛けを使っている。
基本はタコ餌木の2本付けだが、餌木に脂身を巻いたり、トトスッテやタコベイトを追加したりと派手な仕掛けが目立つ。
オモリは60号か80号という指定だが、潮が速く釣りづらいのであれば、さらに重くしてもいいとのこと。
重いオモリや派手な仕掛けが使えるのも、根掛かりがほとんどない日立沖の特徴だ。
道糸は若干右斜め前に入っていく。
風はほとんどなく、船長は潮に乗せて船を流しているとのこと。
スパンカーをたたみ、潮上である北に船を向けると、船は後ろにゆっくりと流されていく。
海底にはピンポン玉~拳の大きさくらいの小石が点在しているらしく、餌木を小づくとゴツゴツとした感触が返ってくる。
「あまり潮がいってないなあ」と船長。
そのせいか、開始してからしばらく乗りがない。
「いつもはこんなんじゃないけど」と常連さんも首をかしげている。風がほとんどなく、海はまるで湖のように静かだ。
早朝こそ涼しかったが、日が昇ると雲一つない空から夏の日差しが降り注ぐ。
船上は真夏の暑さになった。
重さの割に…
ミヨシの釣り人が根掛かりしたようで、引っ張ってもなかなか外れない。
たまには根掛かりするポイントなのかなと思っていると船長が「貸してみて」と竿を手にした。
糸を張ったり緩めたりしていると外れたようだ。
しかし、竿がけっこう曲がっている。上がってきたのは船中1号のマダコだった。
餌木を抱いたまま、タコが穴に潜ったか、もしくは石にしがみついてはがれなかったか?日立のタコ釣りではよく見るシーンだった。
その後、決して派手な乗りっぷりではないが、ポツポツとマダコが顔を見せ始めた。
夏ダコは500g前後が多い。
時折キロ級、300g級が交じるという感じだ。
朝方に比べると、潮が速くなっているようだ。
最初は60号オモリを使っていたのだが、小づいているうちに糸が出ていく量が増えたので80号に交換する。
小石に引っ掛かって小づきが止められるが、その場合はオモリを少し持ち上げてやるとポロリと外れる感触が伝わってくる。
タコが乗った場合は、オモリを持ち上げようとしたときに粘りつくような感触になるので、小石との違いは分かりやすい。
すでに釣り時間は半分を回った8時過ぎ、私の竿にも仕掛けが底に粘りつくような感触がやってきた。
そのまま3回小づいて餌木を揺らした後、ひと呼吸置いて大きく合わせる。
テンヤタチウオ用の竿にズシリと重みが伝わった。
30mの水深を糸を緩めないよう竿を支えながら巻き上げるのは、手巻きではけっこうきつい。
この地区ではタコ釣りに電動リールを使う釣り人が多いのが理解できる。
ヒ~コラとリールを巻いて、上がってきたのは500gのマダコだった。
もうちょっと大きいかなと思ったが、石を抱いていてその重さが加味されていたようだ。
夏ダコサイズだが、うれしい一杯だ。
型を見て安心したせいか、その後、私はマダコの乗りなく終了。
沖揚がりの時間となり、トップは7杯で、平均3杯ほど、一人オデコの人が出てしまった。
渡りダコのシーズンと比べると見劣りする釣果と思われるかもしれないが、日立沖といえども夏は冬ほどの大釣りは少ない。
潮が動く条件のいい日で、トップでツ抜け期待といったところだろうか。
根掛かりがほとんどないこと、中型の食べごろサイズが主体のところ、夏の穏やかな海でのんびりと小づけるところなど……が、夏の日立マダコの魅力ではないだろうか。
(左)当地でも夏ダコは小ぶりが多い(右)根掛かりがないから色んな仕掛けを試せるのがいい
出典:
Tackle Guide
釣友丸でのオモリ指定は60~80号。
ただし、潮が速く釣りにくいときはさらに増しオモリをしてもいい。
マダコ専用竿を選ぶ場合はMAX120号オモリの表示があるものを選ぶと安心だろう。
専用竿以外にはヤリイカ竿、タチウオ竿などが代用できる。
ポイントの水深は30m前後あり、タコを掛けてからの巻き上げ時間が長いので電動リールを使っている人が多い。
道糸はPE3号以上を巻いておく。
船宿information
茨城県日立久慈漁港 釣友丸
0294・22・7436
備考=予約乗合、4時半集合。
テンヤマダイ、ルアー青物、根魚へも出船。
貸し竿無料。
駐車場は久慈漁港共同駐車場を利用
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隔週刊つり情報(2023年8月15号)※無断複製・転載禁止