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テンビン仕掛けのタチウオは浅ダナでの攻防が魅力!!

隔週刊つり情報編集部

反応が各所に見られるのは東京湾のタチウオの魚影が濃い証だが、やはり夏タチは浅ダナでの攻防が魅力と考える人もいるだろう。

そんなファンのニーズに応えてか、テンビン専門で出船している内房富津港の鹿島丸は目下のところ富津南沖20~25mダチの浅場を中心に狙っている。

タナは底から3~5mが中心で、80~100cm前後を中心にトップ15~20本前後の釣れ具合。

夏本番になれば水深10mを切るような超浅場でも釣れ始める。

こうなると海面直下までの攻防となり、アタリがあってもなかなかハリ掛かりさせられなくなる。

そこがまたテンビンタチウオの難しさでもあり面白さ。

夏タチ本番はもうすぐだ。

最近は一年を通して狙うことも可能なターゲットとなった東京湾のタチウオ。

一年を通してと言っても四季折々それぞれ釣り場や釣り方に特徴があって、これからの時期、いわゆる夏タチは浅場での数釣りがウリだ。

短パンTシャツにタックルはライトで、身軽にそして手軽に狙えるが、浅場ゆえ誘える幅が狭いためアタリが出てから掛けるまでの駆け引きがより難しく、それがまた面白い。

そして掛けてからは夏場の元気一杯なタチウオが海面下まで引きまくる。

こんな魅力の詰まった夏タチ釣り、ここではテンビン仕掛けの釣りを解説しよう。

COLUMN フラッシャーは効果的!?

最近ひそかな人気?となっているのがケイムラファイバーやフラッシャーでのハリの装飾。

船長に言わせると、「けっこう前からやっている人はいて、一度下火になったけど最近またはやり出したって感じ。付けるのならボリューム感たっぷりな感じがいいように思うけど、ダメそうだなって思ったらすぐ外す臨機応変さも大事」とのこと。

筆者自身はまだ実績はないが、ある人に言わせると「食い込みが早くなる」のだとか。

ダメならすぐ外す覚悟で試してみるのも面白いかも?

夏のテンビンタチウオは浅場が中心

今回取材に訪れたのは内房富津港の鹿島丸。

6月中旬からタチウオ乗合を開始し、連日トップで15~20本と安定した釣果が出ている。

「ウチではまだ始めたばかりですが、もう釣り場は水深20m前後の浅場が中心で、釣果もまずまずといったところ。これからは10mを切るような超浅場も狙うようになりますから、いよいよ夏タチ本番ですね」とは鹿島孝夫船長だ。

型は場所によっては小型が多いポイントもあるようだが、鹿島丸では基本良型に的を絞り、取材日当日もドラゴンサイズこそ顔を出さなかったが、指幅3本半~4本級の中型が中心とこの時期としては型ぞろいだった。

目下メインに狙っている釣り場は富津南沖の水深20m前後。

シャクリマダイやマゴチ、岸寄りはショウサイフグのポイントでもあるらしく、ここでタチウオをやるのは数年ぶりという。

このほかには第二海堡周りの水深40~50mや、時期的にもうしばらくすると富津港前の超浅場でも釣れるようになり、状況によっては猿島周りや走水沖など神奈川方面を狙うこともあるようだ。

釣行の写真

(上)穂先は柔軟でも胴のしっかりした専用竿が理想(下)テンビンは腕長30cm前後のストレートタイプ。オモリは状況で40~60号前後を使い分ける

ハリ軸&チモト

(上)ハリ軸が切り身のセンターに位置することが重要(下)チモトのたわみもなるべくないほうがいい

夏タチに向いたタックルを準備

夏場は水深が浅い所を狙うことが多いためオモリは40号か60号。

そのため竿は違和感なく曲がり込み食い込ませる竿先と、しっかりとハリ掛かりさせられる胴の強さを兼ね備えた専用竿の中でもMとかML標記の比較的ライトなタイプが好適。

専用竿のほか7:3~6:4調子のライトゲームロッドでも代用は可能だ。

リールは水深的に手巻きリールの守備範囲だが、最近の超小型電動リールは非常に軽く浅場の釣りにおける操作性においても手巻きリールと遜色ないレベルなので、どちらを選ぶかはお好みで。

道糸はPE2号以下厳守という船宿が多い。

鹿島丸でも同様でPE1.5号を推奨している。

1.5号以下の道糸の場合はフロロカーボン4~5号1mをショックリーダーとして付けておきたい。

テンビンは腕長30cm前後、線径1.4mm程度のしなやかな物。

ストレートタイプのほうが仕掛けも絡みづらく、シャクリに対しエサの動きの追従性がよく、またアタリも取りやすいのでおすすめだ。

ハリスは8号全長2mが標準。

「各船宿さんこだわりもあるだろうけど、自分は8号で問題ないと思っています」とは船長で、ハリス長2.5m以下が鹿島丸のローカルルールだ。

8号ともなるとハリスの種類によって張りの強弱にだいぶ差が出る。

エサの動きが不自然にならないようしなやかなハリスを選びたい。

ハリはタチウオバリの1/02/0、3/0と用意し、2/0を標準として食いが渋いようなら1/0、大型が多く飲まれるようなら3/0状況を見ながら交換しよう。

なお、タチウオバリはほとんどが環付きだが、これはワイヤーハリス時代からの名残。

ハリスを結ぶときには通常のハリと同様に、環付き部分を無視して結ぶこと。

エサ付けが何より重要

タチウオ釣りではエサ付けがまず重要。

海中でエサが回ってしまうようだと極端に食いが悪く、ちょっと引っ張られただけでズレてしまうようではなかなかハリ掛かりさせられない。

自然界の中でタチウオはイワシなどの小魚を鋭い歯で一撃を加え、その後弱った小魚をカジカジとかみつきながらくわえ込んでいく。

一気に飲み込むようなことはしないから、釣り人からすればエサの食い方がヘタな(遅い)魚ということになり、しっかりとしたエサ付けが必要なのだ。

エサは富津方面ではコノシロの切り身が支給される。サバよりも軟らかく、またウロコがはがれやすいため(真偽は定かでないが)海中できらめくウロコによってコマセ効果も期待できるとか?

コノシロは身側からハリを刺す。

先端2~3mmの中央部分にまず刺し、ハリを反転させてハリのフトコロ幅分の位置に2回目のハリを刺す。

エサをハリ軸のケンの部分までコキ上げてしっかりと固定し、もう一回ハリを反転させ同様の幅でハリを皮側に刺し抜く。

3回の縫い刺しでハリの軸がエサの中央線上にあること、しっかりとハリ軸のケンで固定されていることが重要だ。

アタリを出しにいく気持ちが大切

「夏場は水深が浅いから、ひとシャクリでリール1/3~1/4回転と小刻みな誘い(シャクリ)が基本です」と船長。

タナは水深20m以浅の場合は底から3~5mまでが基本で、たまに10m上まで探ってみる感じでシャクリ上げてくる。

このシャクリの強弱、スピードでアタリの数が違ってくる。ここは経験しかないが、周りの釣れている人のシャクリも参考にするといい。

ちなみに取材日に竿頭になった方の釣り方はノーテンションフリーフォールだった。

竿先を跳ね上げるように鋭くシャクリ、竿先が戻る前にリールを巻いていく釣り方で、ハリスがたるんでいる状態(ノーテンション)とエサが自然に落下する状態(フリーフォール)を作ることで、ハマるとタチウオが一発で食い込む勝負の早い釣り方だ。

一般論で言えば活性の高いときにはスピード早めで小気味よく上へ上へとシャクる誘いに反応し、逆に食いが渋いときにはスローでネチネチと誘ったほうがアタリは多い傾向にある。

またタナを決め打ちその場でたまにユラユラと誘うだけの釣り方が効果的なこともあり、大型狙いの常連さんの常套手段でもあるようだ。

一日の中でもアタリの出るパターンがコロコロ変わるタチウオ。

そのパターンをいち早くつかむと一人連チャンモードにハマることもできる。

「色いろな状況に応じて臨機応変に対応していくことが大事ですね。あとアタリはもらうんじゃなくて出しにいく気持ちが大事、消極的になるのはよくないと思いますよ」との船長の言葉を金言としたい。

アタリが出てから合わせどころの難しさもタチウオ釣りの勘所の一つ。

誘っているとコツン!とかクッ!とアタリが出るが、これはエサの端をくわえているだけのことがほとんどで、ここで合わせてもハリ掛かりしない。

じゃあどうするか?だが、アタリが出るということは、タチウオがそのシャクリに反応しているのだから、基本的にはそのままのシャクリを継続して、ガガガン!と引き込まれるか、竿の胴よりも手元側まで重みが加わったところで竿を持ち上げて合わせる。

ただ夏タチでは水深が浅いため食い込みが遅い場合などシャクリ続けていたらテンビンが海面下に見えてきた・・・・・・なんてこともある。

高めのタナでアタリが出た場合は、シャクリの幅を狭くスピードも落としてシャクリ続け食い込みを待つ。

もうテンビンが海面下に近いなんて場合は、その場でフワフワと誘うか激しくたたいた(シェイク)後にピタッと止めて食い込みを促す。

その場でのフワフワ誘い、シェイキング後のビタ止めは、合わせそこなった場合にも効果的なテクニックなので覚えておいて損はない。

テクニカルな駆け引きが面白い 夏タチウオもいよいよ本番!

難しいのが面白い、いわゆるテクニカル系と呼ばれる釣り物は一日やって20~30尾くらいが一番楽しい、が私の勝手な持論。

カワハギしかりマルイカしかり、ツ抜けできないようではアタリが少なくてつまらないが、逆に大当たり年で束釣り連発!なんてことでも作業のようになって面白くないのだ。

天邪鬼に聞こえるかもしれないが、目下のところそんな私にピッタリの釣況なのが、シーズンインしたばかりの東京湾の夏タチウオ。

さっそく内房富津港の鹿島丸にお世話になった。

ADVICE エサは小分けに使用する

鹿島丸で用意されているエサはコノシロ。

どちらかの先端(もしくは両端とも)が水平にカットされているから、エサをトリミングすることなくそのままエサ付けが可能でありがたい。

またエサは7本ずつ配られる。

なくなった場合は船の前後にあるクーラーボックスから補充するが、この場合も7本を目安に補充すること。

これから夏場はエサの傷みも早いため、小出しにすることで常時新鮮なエサで臨みたい。

見ているだけで面白い

当日は16人の釣り人が集まるが、皆さんの出足は早く集合時間の6時には全員用意万端。

「ちょっと、いやだいぶ早いけど行きましょうか」と出船する。

ゆっくりと航行しながら、船長から注意事項や最近の様子などのアナウンスがあり、港前の澪筋を抜けると南へ向けて速力を上げた。

30分近く走って着いたのは富津岬の真南辺り。

しばしの反応探しの後、「水深23mです。底から3~5mくらいまでを探ってください」でスタートとなった。

周りには小型の船は見えるが遊漁船はほとんどいない。

船長に話を聞くと、「第二海堡周りや猿島へ行ってる船が多いみたいですね。昨日の後半はウチもそっちへ行ってみたんだけど、アタリは多いけど細か過ぎるのが多くてね。こっちのほうが出れば型がいいので、ポツポツ拾えればいいかなと思って」とのポイント選択だ。

開始早々に左舷ミヨシで指幅3本半のまずまずサイズが上がる。

周りでも「アタってるアタってる」「うわ~放しちゃったよ」と声が上がるから、そこそこにアタリはあるようだ。

当日は小潮回りで時刻的にはそろそろ上げ一杯で潮止まりとなるころ。

それでもまだ上げ潮がトロリと効いており、タチウオの食い気もまあまあよさそう。

ただその割になかなかハリ掛かりに至ることが少ないのは、食い込むまでの活性が今イチ低いのか誘いのパターンが合っていないのか。

皆さんの誘いを見ているとシャキシャキとリズミカルにシャクっている人、スローなシャクリの人、ほぼタナを決め打ちフワフワ誘いの人とそれぞれなのだが……。

それでもしばらくすると徐々に皆さんパターンをつかみ始めたか、船中あちらこちらでタチウオが取り込まれるようになってきた。

この釣りは傍から見ていても竿先に出る最初のアタリが分かることが多く、その後の釣り人それぞれの駆け引きから「よっしゃー!」だったりスカッと外して「あちゃー!」だったりで見ていても楽しい。

鼻が伸びたり縮んだり

9時近くになって私も竿を出す。

そのころには下げ潮に変わり、なんとなく沈滞ムードが漂い始めていたのだが、開始早々極スローなネチネチ誘いで幸先のいい1本を釣ると、同様のシャクリで3連チャン。

隣の方からお褒めの言葉をいただき「たまたまですよ」と返しながらも天狗の鼻が大分伸び始めていたのだが、やっぱりたまたまだったようでその後は沈黙タイムが続くこととなる。

沈黙の時間は小一時間も続いた。

その間、隣の方は「下から5mで全く誘わないで待ってるだけ」でメーター級を連発。

一方、トモの方はキュッキュッときびきびしたシャクリで連釣している。

頭の中は?マークだらけで、私なりに誘いのパターンを色いろと変えてみたのだが、結果は全くついてこなかった。

そしてようやく久びさの1本を釣ると、またもや間を置かずに3連釣。

このときのシャクリも前と同様、竿先をフワフワさせながらリールは1/8回転くらい、チョンチョンと巻いてくる極スローなシャクリだった。

この日はいつもよりも軟らかめな竿とテンビンを選択していたためか、このシャクリで出るアタリはコツン!とかカツッ!の硬質なものではなく、クッ!と竿先が重くなるいわゆるモタレのアタリばかり。

しかもネチネチ誘いのせいで食い込みまでも相当な時間を要した。

しかしこの時間帯は私以外には取り込む姿はあまり見られなかったから、このパターンが正解だったと思われる。

昼近くになると横須賀方面にいたと思われる船も集まり出し、気が付くとタチウオ釣りらしい大船団ができ上がっていた。

ただ、このころには食いも一段落し、時どきどこかでポツンの展開になっていたから、後から来た船は苦戦したと思われる。

鹿島丸のこの日の釣果は一人6~22本で、私はちょうどツ抜け。

鼻が伸びたり縮んだりの忙しい一日だった。

竿頭は左舷ミヨシの清水勝治さん。

お話を伺うと、「スローなシャクリだとアタリは出てもなかなか食い込まなかったので、ノーテンションフリーフォールにしたら一発で食い込むようになりました」とのこと。

「ノーテンションフリーフォールだと、今日みたいに水深が浅くてタナが狭いとすぐタナを外しちゃうんじゃないですか?」と向けると、「まあそうなんですが、底から3~5mの間には何回かシャクれるので、それを繰り返してアタらなければまた底まで落としてを繰り返していました」とのことだった。

当日のタチウオは中型以上がそろったので食べ応えも十分だった。

塩焼き、炙り刺しのほか尻尾に近い細身の部分は大葉と梅肉を巻いてつまようじで止めて天ぷら、これとしゃぶしゃぶが最近のマイブーム。

ほかにも干物やムニエル、蒲焼きなどなどメニュー豊富なところもタチウオ釣りの魅力の一つだ。

船宿information

内房富津港 鹿島丸

0439・87・2186

備考=予約乗合、6時集合

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