ここ数年で近場の沿岸でも釣れるようになり、すっかり身近なターゲットの仲間入りを果たしたシマアジ。
中でも数、型とも有望なのが南房布良瀬。
相浜港の松丸では3年前から周年の釣り物として出船しており、今年は初夏を迎えて模様がよくなってきた。
この時期のポイント水深は12~20m前後と浅く、ウイリー仕掛けを使ってオキアミコマセのシャクリ釣りで狙うスタイル。
数は今のところ400~500g級主体にトップで5尾前後だが、2~3kgの良型はけっこうな頻度で交じってくるうえ、大型は5~8kg級の実績もある。
シマアジの釣果は日によりムラはあるが、ゲストが多彩なのもこの釣りの魅力。
取材日もマダイやイシダイ、ムロアジやメイチダイなど多彩な魚が釣れて楽しませてくれた。
多いのは400~500g級
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沖釣り師ならだれしも一度は釣りたい!と思う憧れのターゲットがあるはず。
コマセ釣りにおいてはシマアジがその筆頭クラスでは?
以前は遠征船かほんの一部のエリアでしか狙えない魚だったシマアジも、ここ数年は期間限定ながら色いろな場所で釣果情報が聞かれるようになり、その頻度も高くなってきた。
そんな中、南房エリアはその温暖な気候ゆえか周年狙うことが可能で、とくに布良瀬のシマアジは比較的手軽に釣れるとあって人気急上昇中だ。
小型に交じって良型、大型も食ってくるから油断しないようにしたい
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布良瀬の概要
南房相浜港の松丸も基本的に一年を通してシマアジを狙っている。
「昔はイサキを看板にして、それこそ連日クーラー一杯に釣らせていたけど、最近はそんなに釣っても後が困るっていうお客さんが増えてね。それとイサキ釣りだとなかなか若い人たちが来てくれない。じゃあって一つテンヤやタイラバのマダイもやったんだけど、あまり人気は出なかったんですよね。それでマダイやイサキ釣りのときに交じりで釣れていたシマアジを専門に狙ってみたら、水深やポイントは変わるけど一年中釣れることが分かってね。おかげさまでお客さんにも人気で、3年前からはシマアジ専門でやってますよ」と西藤裕船長がその経緯を教えてくれた。
松丸が狙うのは航程15分の布良瀬。
目下の釣り場は水深12~20mの根周りが中心だが、ほかにもポイントは色いろとあり、水深40~50mの深場を狙うこともあるという。
釣れるシマアジは500g級の小型が多いものの侮るなかれ、松丸の最近の釣果だけでも6月1日の5.6kgを筆頭に2~3kg級はけっこうな確率で顔を出しており、僚船では8kgなんてオオカミにもう一歩の大型も出ているのだ。
またゲストが多彩なのも布良瀬の特徴。
たとえ本命シマアジに振られてもイサキやマダイ、メイチダイなどしっかりとお土産をキープできるのはうれしいところだ。
そのほかにもイシダイや南方系のハマフエフキも最近よく釣れるとのこと。
しかも「イシダイは釣れればまず2kg以上、フエフキも3kg級」という。
ともに引きの強さでは定評のある魚だけに、これらをしっかりと釣り上げようと思うなら、タックル選びも心してかかりたい。
大型を視野に入れたタックルと仕掛けを
竿は小型シマアジ、イサキ、メイチダイ辺りに狙いを絞り、大物がきたらバレて元もとくらいの気持ちで臨むならイサキ用のタックルでもOKだが、大型のシマアジやゲストに備えるにはやはりグラスムクなどのワンピースロッドが望ましく、シャクリやすさや取り回しのよさから全長1.8m前後の竿がおすすめだ。
ただしシマアジ用と銘打たれた竿は銭洲や伊豆諸島周りでの釣りを想定したものが多い。
島周りがオモリ100号に対し南房はオモリ60号が標準、釣り方も底ベッタリの島周りに対し南房はシャクリ上げて釣る、などの違いがあり、島周り用のシマアジ竿はややオーバースペックとなるので注意が必要だ。
リールは中型両軸にPE3~4号の道糸を200mくらい巻いておく。
小型の電動リールでもいいが、どちらもドラグ性能のいい製品が望ましく、最低限ドラグの利き具合の確認とドラグ設定は事前にやっておくこと。
仕掛けはハリス4号全長2.5mの2~3本バリが標準スペックで、大物用としてハリス6号の仕掛けもあると安心だ。
枝バリにはウイリーを配し、ハリはウイリー、空バリともにマダイかグレの9号前後。
細軸のチヌバリでは強度的に心配で、ハリスも憧れの魚相手なだけに結節強度に優れたハイスペック品を使いたい。
気になるウイリーの色だが、「ウチではウイリーバリにもオキアミを刺すように言ってるからね、色は全く関係ありませんよ」と船長。
エサ取りも多い場所だから、ウイリーはあくまで保険的な意味合いとのことだ。
一応シマアジには白、青、グリーン辺りが実績カラー。
また「ウイリーよりもハゲ皮やハモ皮など魚皮バケのほうがいいときもある」とのことなので自作派は参考に。
もし仕掛けを購入するのなら、船長お手製の船宿仕掛け(2組入り700円)が実績抜群で断然おすすめだ。
なお、状況によっては水深40~50mの深場を狙うこともあり、こちらでは「不思議と短い仕掛けには食わない」そうなので、ハリス5~6号全長6~8mの仕掛けも念のため用意しておいたほうがよさそうだ。
数をのばすなら海面までシャクる
コマセカゴの調整はコマセがオキアミということもあり、上窓は1/2開け、下窓は5mm開けが基準で、タナを2往復させて回収したときのコマセの残り具合で微調整していく。
全く残っていないようなら若干締め気味にし、残りが多いようなら開け気味に。
ほんのわずか残ってくるくらいがベストで、この釣りではコマセのドバまきはNGと心がけよう。
詰めるコマセも6~7割でOKだ。
当日の船長からの指示は「底から3~4m上まで誘って」と出た。
仕掛けが短いので先に仕掛けを船ベリの外へ出してからビシ(コマセカゴ)を投入するとトラブルが少ない。
着底後はすぐにリールを巻いて底を切る。
これがけっこう重要で、海底は根がキツイから、まごまごしていると根掛かりしてしまう。
とくにマダイ竿のような軟調長竿を使っている人は、急いでいるつもりでもどうしてもタイムラグが生じ根掛かりしやすいので注意が必要だ。
底を切ってからは、海面に向けた竿先を水平位置までスッと持ち上げ(シャクリ上げ)、その場で2~3秒止め(ポーズ)、シャクった分だけリールを巻きながら再度竿先を海面に向ける、を海底から4mくらい上まで繰り返す。
アタリがなければ再度ビシを落とし込み底からシャクリを繰り返す。
それでもアタリがなければ回収してコマセの詰め直し、が一連の流れだ。
「このシャクリ(誘い)の優劣で釣果は大きく変わる」とは船長の弁。
指示は「底から3~4m」と出すがこれはあくまで基本、とくにビギナーを意識したものだという。
「ダントツの竿頭になるような人は海面近くまでシャクってきてますよ」というから参考に。
シャクリ方の目安としては、食いの渋いときはシャクリのスピードは遅めでポーズも5~6秒と長め、活性が高く食いのいいときにはシャクリは早めでポーズも1秒程度と短め(時にはポーズなしも)が効果的なことが多い。
早いシャクリに反応して食ってくるようなときには上へ上へと逃げるエサを追いかけて食い、反転して海底に戻ろうとするためしっかりとハリに掛かり、掛かり所もいい場合が多い。
一方ゆっくりとしたシャクリや極端な話、置き竿に食ってくるようなときは居食いに近い状態で、スッポ抜けたり掛かり所が悪く口切れでバレたりすることも多くなる。
シマアジを掛けてからは竿を脇に挟みしっかりとホールドし、竿をある程度立てた状態でリールを巻く。
ポンピングはバラシの原因になるのでなるべくしないほうがいい。
もし大型が食ってドラグから糸が出るようなら走るだけ走らせてやる。
大型シマアジの突っ込みは初めてならビックリするくらいで、20m近く糸を出されることもあるが慌てないこと。
船長が大型と判断すればほかの人の仕掛けを上げさせ船で追いかけてくれる。
これで大型シマアジのゲット率が高まっているようで、「先日の5.6kgも同じやり方。ハリス4号で取れていますよ」というから、心を落ち着かせ、憧れの良型シマアジとのヤリトリを目一杯楽しもう。
イシダイは釣れれば2kg以上とか
出典:
N F O R M A T I O N
南房・相浜港 松丸
080・1154・5283
▼備考=予約乗合、4時半集合
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隔週刊つり情報(2023年7月15号)※無断複製・転載禁止