相模湾~東京湾口部にかけてのスルメイカが上向き傾向だ。
目下のところは夏スルメの序盤戦ともいえるシーズンで、ムギイカと呼ぶ小型からニセイカと呼ぶ中型をメインにトップ30~40杯前後の釣果を記録。
「イカ自体はそれほど多くはないけど、城ケ島~剣崎沖にかけて群れは広範囲にいます」とは取材した三浦半島長井漆山港・光三丸の関根雄志船長。
この時期ならではのスルメイカのおすすめポイントは2つ。
一つは小型が多いことから身が柔らかく味は格別。
2つめは多点掛けしやすいことだ。
スレていない中小型は好奇心旺盛にプラヅノに抱きついてきて、この日は最高10杯掛けも記録。
濁り潮が続いているが、澄んでくるといよいよ夏イカの本番。
今年のスルメイカには大いに期待したい。
「タイミングを逃して最高で5杯掛けだったよ」。乗りがいいときはツノ数分だけ乗ることもある
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柳内さんはイカ釣りが好きでしかたないという
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この時期に効くプラヅノは?
シーズン初期は濁り潮のことが多く、はっきりしたシルエットや派手めのプラヅノにスルメイカは好反応を示す。
今回、船上で乗りがよかったツノを紹介する。
初夏~盛夏にかけて相模湾から房総沖のスルメイカは最盛期となる。
ここ数年は本来の時期にパッとしないことが多く、スルメイカの減少を嘆く声が多く聞かれた。
ところが今年は大当たりとはいかないまでも、平年並みには楽しめそうな釣果が続いている。
6月中旬に取材した三浦半島長井漆山港の光三丸ではトップ30杯前後の釣果が続いていた。
関根雄志船長によれば、城ケ島~剣崎沖にかけて広範囲に群れがいるという。
このエリアも河川から流れだした雨水の影響か、濁り潮が続いていた。
「この潮がきれいになればもっと乗りそう」とのことだったが、その言葉どおり翌週には潮が澄んで今シーズン最高の72杯という釣果を記録。
今期はかなり期待できそうだ。
シーズン前半は中小型のイカが多く、これらのイカはタイミングよく仕掛けさえ入っていれば、乗せるのは比較的簡単だ。
まだスレておらずどんな仕掛けにも乗ってくる。
8月に入って潮が真夏の澄み潮に変わりイカが大型化すると、難易度はアップする。
つまり、今の時期は釣りやすいということ。
そして、この時期の中小型はとても柔らかくて超美味。
スルメファンといえば船上干しが定番だが、このサイズは生のまま持ち帰る人が多い。
刺身はもちろん、火を通しても硬くならないので焼きから煮付け、天ぷらまで何にしてもうまい。
今回は直結仕掛けを使用した釣法に絞って釣り方を紹介する。
水深が100m前後と比較的浅く、これから挑戦するのにも最適な時期。
ぜひこの釣りの魅力を味わっていただきたい。
プラヅノは14㎝メインに18cmも用意を!
直結仕掛けでの釣りに使用する竿は、全長1.5m前後のスルメ直結専用竿が扱いやすい。
このほか、全長1.7m前後、先調子のヤリイカ竿なども使用できる。
仕掛けの落下中に触りを感じ取って乗せていくこともあるので、高感度穂先のヤリイカ竿を使用する人もいる。
リールはPE3号が400m以上巻けるサイズの中小型電動を使用する。
このエリアでのイカ釣りは現在ではPE3号が標準となっている。
オモリは光三丸では120号を使用するが、船によっては150号を使用するところもあるので確認を。
仕掛けはプラヅノ14cmを10本前後。
慣れない人は8本程度にしておくといいだろう。
目下のところ、釣れているイカは中小型が多いので14cmが最適なサイズと言えるが、大型に備えて18cmの仕掛けも用意しておこう。
スルメイカは成長が早く、大型のイカは大型のプラヅノのほうが乗りがよくなるためだ。
プラヅノのカラーはピンク、ブルー、ケイムラの定番カラーに黄緑、黄色などの派手めなものやガス糸を巻いたプラヅノを交ぜておくのがおすすめだ。
シーズン前半は潮が比較的濁っていることが多く、シルエットのはっきりしたツノへの反応がいい。
14cmで釣るサイズのときはそこまでカラーに神経質になることはないが、18cmは淡色系をメインにまとめ、傷が付いていない新しいものを使用する。
スルメイカは大型になると、ツノの好き嫌いがはっきりするという。
幹糸は、14cmの場合は8~10号を1.5m前後。
取材時の船上では上半分を10号に、下半分程度を8号にしている人が多かった。
上側の幹糸を太くするのは下側よりもより負荷がかかるため。
幹糸の長さは個人差があるが、右手でプラヅノをつかみ、手を大きく広げた状態にして左手でその下のプラヅノの上の幹糸をつかめる距離にしておくと取り込みがスムーズになる。
18cmの場合は12~14号を使用する。
こちらも長さは同じだ。
このほか、小型のヨリ取りリング、10~20号程度の中オモリを使用してもいい。
どちらか片方か両方でもいいが、これがあると取り込むときに仕掛けを暴れさせずに安定させることができる。
さらに取り込み時に毎回、ピッタリの場所でストップできるようにリーダーを付けるのもおすすめ。
竿と同程度の長さで作っておくといい。
イカを干したい人は竹串、持ち帰り用のジッパーパックを持参しよう。
底反応が多いが落下中も触りを見る
取材日の水深は100m前後。
船長からは「底から80mくらいまで」や「60~80mくらい」などと指示が出た。
釣りを開始する前に自分の仕掛けの全長を把握しておこう。
たとえば12本仕掛けで幹糸が1.5mだった場合、およそ18mになる。
「底から80mくらい」の場合は、水深が100m程度なので反応の幅は20mほど。
つまり、この12本仕掛けだった場合は、オモリが海底に着いた状態でほぼピッタリ反応の中に仕掛け全体が入っていることになる。
「60~80m」のときは、海面から60mでストップすれば、その下はほぼ反応の中に仕掛けが入った状態になる。
このように、自分の仕掛けの全長を把握しておくと、どんな状態にあるのかイメージしやすくなる。
①「底から80m」「底反応」の場合
船長から投入の合図があったらいち早くオモリを投げ入れる。
反応を見つけて旋回しているときにオモリを持っておくぐらいがちょうどいい。
いち早くイカに仕掛けを見せられればそれだけ乗るチャンスが大きくなるし、イカの移動が速いこともあるので素早い投入を心がけよう。
この指示の場合は、まずは海底まで仕掛けを落とす。
ここでも仕掛けの全長を把握しておくと「そろそろ着底するな」と有利に働く。
着底と同時に乗っていることもあるので、素早く糸フケを取りながら竿先の変化を見る。
フワフワしたりおかしな動きをしていたら乗っている可能性大。
軽く竿を持ち上げてから電動のスイッチを入れて半分くらいのスピードで10mほど巻き上げ追い乗りを狙う。
そこからは30段階の20~22程度のスピードで巻き上げ回収する。
着乗りがない場合は、竿を大きく頭上まで持ち上げてシュッと竿先を海面まで振り落とすように下げ、仕掛けにアクションを与えてやる。
ここで竿をストップし、乗りがあるか確認する。
この動作を数回繰り返したら電動のスピードを3~5程度の低速で10mほど巻き上げてみる。
このときに竿先に変化=触りがあるかをしっかりと見ておく。
途中で触りを感じたらそのまま軽く合わせて、スピードを中速にして10mほど追い乗りを狙い、その後に回収に入る。
乗らなければ再度着底させて同じ動作を繰り返す。
自分だけ乗らないときは、20~30m巻き上げて落とし直す巻き落としを行う。
かつては電動のスイッチを中速に入れて竿を上下に動かしてくれば一気に幅広く探れてそのまま乗ってくることが多かったが、現在はアタリを取って掛けていく釣りが主流だ。
②「60 ~80m」の場合
こちらは宙層に反応がある場合で、海面から50mくらいでストップして、一度大きくシャクリ上げて乗りがあるか確認する。
乗りがなければ5m落としストップしてシャクリ、を繰り返して80mまで、または海底まで落として①の釣り方を行う。
宙層の群れが大きいときは、落下中に道糸がフワッとフケたり、竿先が微妙に動くことがある。
これがフォール中のアタリで、ここでストップすれば高確率で乗ってくる。
宙層の指示が出たときに底で乗ることもある。
宙層でストップしてうまく2~3杯乗せたと思ったら、底まで落とした隣の人が5杯掛け、なんてこともある。
これはとても悩ましい問題だが、その日の乗りの状況を見極めて底を狙うか宙層を狙うか判断したい。
どの釣り方でも追い乗りを狙うときは、しっかりと竿に重みを感じてテンションをかけておくこと。
その状態から軽くグイグイと竿を持ち上げるような動作をするとプラヅノが動いて乗りがよくなる。
ただし乗りが浅いとき、乗りが渋いときは最初に乗ったイカがバレやすくなるので注意しよう。
One Point Advice 誘ってアタリを察知しよう
現在はイカの触りを感じ取って掛けていく釣り方が主流。
海底、宙層ともに誘った後に竿先を見てアタリを察知しよう。
取り込みは 正しい動作で慌てずに
巻き上げ中は竿を平行よりも少し下げたくらいの位置にして、船の揺れなどを吸収できるようにしておく。
残り20mを切ったらそっとロッドキーパーにかけて、左手で竿を下から軽く持ち上げておく。
電動が船ベリ停止しそうになったら右手でリールのハンドルを回して中オモリやヨリ取りリングが船ベリより中に入る位置でストップする。
リーダーを付けておくと、スナップサルカンを穂先まで巻けば確実に中オモリを手に取れる。
ストップしたら同時に左手で持つ竿を立てて中オモリ(ヨリ取りリング)を船ベリの内側に入れて垂らしておく。
続いて最初のプラヅノをつかんで取り込んでいく。
取り込んだプラヅノはイカを外しながら投入器に入れていってもいいし、マットに並べておいて後で投入器に入れてもいい。
イカが乗っているのを見て焦ってしまうなら、どんどんたぐって足元に落としておいてもいい。
直結仕掛けならこうしても絡みにくく、そのままオモリを落として両手でスルスルとツノを落としていくことも可能だ。
まずは手を緩めずに確実にイカを船内に入れていこう。
2回目が間に合うなら再投入する。
オマツリが多いようなときは投入器に入れてから再投入を。
スルメイカは朝イチがチャンスのことが多い。
この時間帯はとくに集中して数をのばそう。
今後、イカが成長するにつれて深場へ移行していく。
イカのズッシリ感はさらに増して最高のシーズンに突入する。
夏スルメを存分に楽しもう!
One Point Advice 取り込みは慣れしかない!
直結釣法の難点は取り込みだが、慌てずイカを船内に入れることを最優先しよう。
通常の回収時から同じ動作ができるように練習しよう。
取材日は6月15日。
どんよりと雲は低いがこんな日はスルメイカがよく釣れたりする。
船上干しの写真は晴れ渡った空だとより映えるが、雨に降られるよりはマシといったところか。
長井漆山港・光三丸の関根雄志船長によれば、イカはそれほど多くはないがどこにでも反応はあるそうで、条件さえよければ大釣りの可能性も。
この日は時合を絶対に逃しちゃならん、と撮影に徹することにした。
6時前に5人のお客さんを乗せて城ケ島沖へ向けて出船。
ポイントに到着するとすぐに投入の合図があった。
海面はこの海域にしてはかなりの濁り潮だ。
最初は海底から80mまで探るように指示が出る。
ところが群れの移動が速いようですぐに回収の指示。
どうも移動に間に合わないようで30分ほどは追いかけては投入、またすぐに回収と難しい展開が続く。
しかし、一人が単発で乗せると急にスイッチが入ったかのように乗りが訪れる。
横浜の大作さんはいきなり5杯掛けを決めた。
だが、群れの移動は依然速いようで一度回収したら移動する展開は変わらず。
乗りは底付近に集中していた模様だ。
周りには10隻以上のイカ船が集まり始め、この時間帯はまずまずの乗りを各船とも見せていた。
ここから5杯掛けを含めて、投入すれば乗るという時間がしばらく続く。
たまに2回目が間に合うこともあったが、ほぼ1投1回と一気に数をのばすのはなかなか難しいようだ。
この乗りが1時間くらい続き一人10杯前後釣れたが、8時過ぎになるとピタリと反応が消えてしまったようだ。
船長は船団から離れ1隻で探索を開始する。
投入の間隔は空くものの、たまにいい反応があると4~5杯掛けもある。
さあ、みんな結構釣れたし船上干しをジャンジャン作ってもらって景気のいい写真を撮ろう、と意気込んでいたのだけど、みな干そうとしない。柳内さんはコラムで紹介したように割いてはせっせと漬けを作っている。
これじゃあ干した写真が撮れないじゃないかと、一人ずつ聞いて回ったら、「スルメはこの時期は刺身がうまいからね。煮て食べるのもいいしね」「家族からそのまま持って帰るようにリクエストがありました」などと、みな干さずに持ち帰るという。
年中イカ釣りに通っているファンがそう言うのだから、やっぱりこの時期は特別にうまいのだ。
「じゃあ干そうか」とは柳内さん。
後半釣れたスルメは手際よく船上に干していく。
これよこれ! 晴れ間はないものの、自ら決めたミッションはクリア。
周りに船があまり見当たらない中、関根船長はていねいに群れを探索していく。
すると11時ごろ、「乗ったよー」、「こりゃ付いたよ」と急に賑やかになった。
大作さんが7杯掛けを決めたと思ったら、小嶋さんはこの日最高の10杯掛けを達成!
「これがあるからやめられないよね」と小嶋さん。
昔ほどトータルの釣果が見込めなくなってきた今、1回でもドカンと数を乗せられれば満足しちゃう。
これがイカおやじたちの性というものだ。
このズッシリ感を味わいたくて通い詰めていると言っても過言ではない。
その後はポツポツと追加して13時前に納竿。
大作さんが34杯、小嶋さんが32杯、柳内さんが28杯だった。
長井の僚船の多くは朝の乗りが一段落したところで長井沖へ移動したそうだが、後半はほとんど釣れなかったという。
関根船長の粘り勝ち、作戦勝ちだった模様。
その後、毎日釣果をチェックしていたら、6月20日に72杯の文字が!
この日のトップ釣果は取材日に10杯掛けを決めた小嶋さんだった。
こんなの見たら行きたくなっちゃいますね。
夏スルメ、いよいよ本格シーズンに突入です。
後半は乗り渋ったが、11時過ぎに突如チャンスがきて10杯掛け達成!
出典:
小嶋さんは5杯掛け、10杯掛けで数をのばし32杯
出典:
船宿information
三浦半島長井漆山港 光三丸
070・1049・6731
備考=予約乗合。5時半集合
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隔週刊つり情報(2023年7月15号)※無断複製・転載禁止