6月の開幕当初こそ雨水の影響で本調子ではなかった東京湾奥部のマダコだが、ここにきて例年並み、いやそれ以上の釣果も出てきてホッと一安心といったところ。
取材した千住大橋の入舟はリクエスト船で出船しているが、餌木タコ釣りにも力を入れている。
この日は羽田沖を中心に探り、トップ20杯を3人が記録するなど絶好の乗りを見せた。
スピニングタックルで広範囲を探り、乗り渋る時間帯にも一人連チャンで数をのばしていた人も。
根掛かりの少ない場所をメインに狙ったため、この釣り方がドハマリした模様だ。
サイズは大小交じりで小型の湧きダコも多いことから今後も期待十分。
夏はやっぱりマダコで決まりだ!
11人で8~20杯と好調。今後はサイズアップも期待できる
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タコ餌木のバリエーション
釣り人によってタコ餌木の好みは千差万別。
船上で色いろな仕掛けが見られるのも餌木タコの面白さだ。
あなたはどんな仕掛けが好み?
今回、船上で目立った仕掛けを紹介しよう。
今シーズンも湧きは上々!
6月に開幕した東京湾奥エリアのマダコ釣りは、台風2号の大雨の濁りにより一時釣果が落ちたものの、海況が安定した後は回復しトップはコンスタントにツ抜けする釣果が続いている。
昨年に生まれた「湧きダコ」と呼ばれる300g前後の小型から、年越しの2kgオーバーの良型まで様ざまなサイズが釣れていることから、今シーズンもタコの湧きは上々のようだ。
東京湾にはいたるところにマダコポイントが存在する。
西側では東京港の中央防波堤から羽田、川崎に続く護岸際の消波ブロック周辺。
東側では市原から姉ケ崎、木更津へと続く京葉工業地帯の堤防周り。
さらに中ノ瀬やアクアライン近辺の沖に点在する根周りと、一日ではとても回り切れないほどポイントは多い。
各船長たちは自分の好みのポイントをいくつも持っていて、一つのポイントである程度数を釣るとその場所を休ませ次のポイントへ移るという具合に、釣り場をローテーションすることが多い。
女性ファンも増加中。 エサ付け不要の手軽さもウケている
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餌木だけでなくスッテの使用も
東京湾では伝統的なテンヤを使ったタコの手釣りがあるが、主流は餌木を使った竿釣りになっている。
本稿も竿釣りに絞って解説したい。
タコ釣りの竿は各メーカーから専用竿が市販されている。
やはり専用竿は仕掛けを小づきやすく強度もあるのでおすすめだ。
この釣りはオモリを小さく小づきながらタコの乗りを取るため、先調子かつ竿先にある程度の柔軟性があるものが望ましい。
また、海底からタコを引きはがすときには竿に相当の負荷がかかる。
ときにはタコが大きな石を抱いて上がってくるので、竿には頑丈さが求められる。
専用竿はこれらの条件に合うように作られているが、他魚種用の竿を流用する場合、テンヤタチウオの竿が適していると思う。
全長1.8m前後の先調子のライトゲームロッドでもいいが、先径が1mm以下のものは竿先の破損に注意したい。
リールは小型両軸リールでドラグ力が高いものがおすすめ。
道糸はPE3~4号を巻いておく。
PE1.5号と細めの道糸を使用する人もいるが、慣れない人は3号以上の使用が無難。
先糸は付けたほうがいいだろう。
穂先への絡みが減るし、根掛かり時に先糸の結び目から切れるので道糸の高切れを防ぐことができる。
道糸の太さに合わせた先糸の太さ、例えばPE3号の道糸であれば先糸はナイロンかフロロの8号くらいを1.5m結んでおく。
タコ餌木は3~3.5号を使う。
東京湾では2個付けする人が多いが、根掛かりの激しいポイントでは餌木の消耗が激しいので、1個付けに利があることもある。
ちなみに根掛かり対策として、根のきつい場所ではオモリを直接スナップに付けずに捨て糸を介せば、オモリが根掛かりしても餌木のロストを防ぐことができる。
ただ、 今回取材した千住大橋入舟の豊嶋誠一船長は、あえて1個付けのシンプルな仕掛けで、小づきでタコを寄せる釣り方を推奨している。
タコ餌木のほかにも、アオリイカ用の餌木、ウキスッテ、トトスッテなどを使用する人も。
スッテ系はフワフワとした動きがアピールにつながり、根掛かりしたときもカンナがのびて回収できるというメリットもあるが、大型マダコで掛かりどころが悪いとカンナをのばされてバラすリスクがある。
特徴を理解した上で好みの餌木やスッテを選ぼう。
餌木の色は白、黄色、ピンクなど派手な色を使う人が多い。
色よりも動きが大事という人も多いが、日によっては特定の色に乗りが集中することもあるので、数色を用意しておくのがいいだろう。
また、餌木に脂身や魚肉を巻き付けている人も見かけるが、これも効果のある日とない日があるので好みで選べばよいと思う。
餌木を絶えず動かしてアピール
マダコ釣りで最も大切なのは、海底での餌木の動きだ。
どんな色の餌木でも静止しているものにはタコは抱き付かないからだ。
基本の釣り方は、竿先の上下運動によりオモリを小づいていく。
竿を動かすというよりも、竿先にテンションをかけたり抜いたりしながらオモリを揺らす、というイメージが分かりやすいだろうか。
小づくとオモリは海底から数cm程度浮くが、オモリを浮かせずに立てたり寝かせたりを繰り返す小づきでもいい。
餌木は頭を上下に振るような動きをみせ、それがタコに対するアピールとなり、餌木が浮き上がるような大きな小づきはタコが乗ってこないので注意が必要だ。
タコが餌木に触ると竿先の動きが鈍くなり、小づいていたオモリが重さを増したような違和感を感じる。
これが「乗り」である。
乗りがあったら小づき続けながら余分に出た糸を巻き取って竿先を下げ、合わせるためのストロークを確保する。
そして、大きく強く合わせてやる。
タコが乗っていればズッシリと重くなり、ジワッとタコが海底からはがれる感触が伝わってくる。
また、乗りと紛らわしいのが石の間にオモリや餌木が挟まった場合だ。
その場合は合わせたときにガチッと鋭い感触が伝わり竿が止められるか、スポンと抜けたような手応えが返ってくる。
竿が止められたら無理に引っ張らずに、糸を緩めたり張ったりを繰り返すと外れることが多い。
タコが掛かったら、竿を水平よりやや下向きに構えてリールを巻くことで安定してバレにくくなる。
途中で軽く感じることがあっても一定のスピードで巻き続けること。
海面にタコが見えたら小型の場合は抜き上げ、良型の場合はタモ入れを頼もう。
根掛かりが少ない場所ではキャストして広く探る!
取材日のトップ釣果だった加藤さんは、スピニングタックルでキャストして広く探る釣り方を見せてくれた。
まず、アンダースローで前方に仕掛けを投げ入れる。
着底したらオモリを海底に着けたまま竿先をシェイクし、餌木を揺らす。
船は流れているので餌木は海底を引きずられていく。
シェイクにより震えながら海底を這うように動く餌木にこの日は反応がよかったそうだ。
タコが乗ったときは違和感を感じるので、そのときはシェイクを止め、軽くオモリを持ち上げる。
タコの乗りであれば柔らかい感触、石に引っ掛かったのであれば硬い感触があるのでその違いを見極め、タコであれば大合わせを入れる、という釣り方だった。
シェイクの最中の違和感を感知するために、竿先が柔軟で高感度のシロギス竿を使用していた。
当日は根掛かりが比較的少ない場所だったので、このように投げて探る釣り方が効果的だったと言える。
ポイントによっては根掛かりの多い場所もあり、そんな場所では船下を攻めるほうが釣果がのびることもある。
根のきつさは船長がアナウンスしてくれるので、状況によって釣り方を変えてやるのも釣果をのばすポイントだ。
7月からは横浜の富岡沖が解禁となり、ポイントが広がることによって夏ダコはトップシーズンを迎える。
ズッシリと竿を曲げる重量感を味わいに出かけてほしい。
この日、最大の1.2kg
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Take a Break 蒸しダコの味
マダコの調理法はゆでダコが定番だ。
たっぷりのお湯でゆでたタコはそのまま刺身にしてもよし、煮ダコや空揚げ、酢ダコに使ってもよしの万能食材だ。
しかし、この日のお客さんは「蒸しダコにするとひと味違っておいしいよ」と教えてくれた。
それは興味深いとさっそく作ってみた。
十分に加熱した蒸し器に入れて、1kg級のタコであれば6分ほどかけて蒸し上げる。
蒸し上がったタコは濃い紅色を呈し、ゆでダコに比べるとより暗い色に見える。
そして、ゆでダコの足がクルリときれいに丸まるのに対し、蒸しダコは足がグッタリと伸びたような姿形になっている。
食べ比べてみると、蒸しダコのほうは歯切れがとてもよく、スッと歯で嚙み切れる柔らかさを感じる。
対してゆでダコのほうはプリッとした弾力を持っている。
うま味はどちらも強く甲乙つけがたい。
どちらの食味が好みかは、読者のみなさんで試してみてほしい。
あと、蒸しダコはゆでダコに比べ、皮がはがれやすいという難点がある。
ミョウバン水に漬けてから蒸すと皮が縮んではがれにくくなるそうだが、その分食味は落ちるようだ。
多少皮がはがれるくらいは気にせずに、サクッとした歯応えを楽しむほうがいいだろう。
ゆでダコよりも歯切れがよく食べやすい
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千住大橋の入舟はリクエストによって江戸前の季節の釣り物に出船している船宿だ。
この日は本誌の髙橋さんグループのマダコ仕立船があると聞き、取材で同乗させてもらうことになった。
集まったのは釣り仲間10名で、タコやフグなど津々浦々に出向いて旬の釣り物を楽しんでいる人たちだ。
入舟は私は初めてうかがう船宿だ。
千住大橋から隅田川を下って東京湾へと出る。
途中の景色は横浜在住の私にとって珍しく新鮮なものばかりだった。
隅田川から望むスカイツリー、中央区の高層マンション街、勝鬨橋を船でくぐる、ちょっとした観光気分に浸るうちに船はポイントの羽田沖に着いた。
この日は仲間内の仕立なので右舷に並んで竿を出す。
船は横方向へゆっくりと流れ、道糸は前方に出ていく。
この釣り方だと、仕掛けを引っ張る感じで広く探ることができ、場所による有利不利も少なくなるのがいいところ。
最初の流しからさっそくタコが顔を見せた。
湧きダコと呼ばれる300gほどのサイズだった。
このサイズのタコは身が柔らかくておいしい。
流し変えのたびにだれかしらの竿が曲がり、時おりkg級のマダコも交じるなど撮影は順調に進む。
開始から2時間経過したころには全員が型を見て、いい人は10杯近く釣り上げていた。
十分に撮影ができたので、私も竿を出させてもらうことに。
海底は石ころのようでたまに引っ掛かる程度で、竿を振ってやればすぐに外れる。
オモリや餌木を失うような激しい根ではないので、根掛かりが少なく釣りやすい。
コトコトとオモリを動かして小づきを入れアピールしていると、オモリが石をこする感触から、底に貼りついたような粘っこい感触に変わる典型的なタコの乗りが訪れた。
タコだと確信し、小づきながらリールを巻いて竿を海面に向け、えいっ!と合わせると気持ちいい重量感が伝わってきた。
500gのマダコを抜き上げる。
つかんだタコが暴れて腕に貼りつく吸盤の感触が気持ちよい。
羽田沖中心に湾奥部を幅広く探っていった。この日は仕立船のため片舷での釣りとなった
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キャストで独壇場!
午前中は潮が効いていて船はゆっくり散歩するくらいの速度で流れていたが、昼近くになると潮が止まりそれまで好調に釣れていたタコも乗りは一段落となった。
潮が動かないとタコが棲み家から出てこないし、船が流れないと1カ所に留まりタコとの遭遇チャンスも少なくなってしまうためだ。
しかし、そんな状況でも胴の間にいた加藤さんだけはコンスタントにタコを乗せている。
彼の釣り方はスピニングタックルでキャストした後、竿先をシェイクしながら仕掛けを引っ張ってくるもの。
シロギス竿を激しくたたく中で、タコの乗りを感知している。
乗りを取って合わせると軟らかめの竿が大きく曲がっていかにも気持ちよさそうだ。
周りから羨望の視線を浴びつつ、船で一番に規定数の20杯に到達した。
昼を回ると潮がまた動き始め、再び活発にタコが乗り始めた。
オモリを浮かし過ぎないように注意しつつ、コトコトと小づいていると、飽きない程度に乗りがやってくる。
出船前の目標は3杯だったのだが、この目標は低すぎた。
タコはどんどんたまっていく。
14時の沖揚がりを迎えて、釣果は一人8~20杯と絶好調。
私も12杯のマダコを上げる望外の釣果だった。
この日は2kg以上の良型は出なかったものの、数がまとまったのでだれのクーラーもズッシリと重かった。
羽田から千住大橋までの帰り道は90分ほど。
みな表情は満足そうで、釣り談義に花が咲いていた。
今年もタコの湧きはいいようで、7月の横浜・富岡沖解禁が今から楽しみだ。
開始2時間で全員顔を見て、10杯近く釣る人も
出典:
船宿information
東京湾奥千住大橋 入舟
03・3806・4444
備考=予約乗合。6時半出船。ほかリクエストで各種釣り物へ
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隔週刊つり情報(2023年7月15号)※無断複製・転載禁止