沼津名物・ムギイカの夜釣りが好期に突入。
4年ぶりに1束超えの朗報も届き当たり年となりそうな勢いだ。
アンカーで船を固定し、集魚灯で船下にイカを寄せて釣るスタイルだけに、タナは浅く、手返しもマイペースでOK。
好日に当たればビギナーでも入れ乗りが味わえる。
5月中旬頃はイカの乗りが上向く闇夜回りのビッグチャンス。
最盛期は梅雨入りごろまでと短いので釣行はお早めに!
ポイントは沼津沖の水深100m前後
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陽気もよくなり、イカファン待望の初夏の沼津名物、夜ムギイカ乗合がスタートした。
現在釣れているムギイカは胴長15~20cmサイズがメインとなっており、そこに時折スルメサイズが顔を出すという展開だ。
ご存じのとおりムギイカは、麦の穂が実るころに釣れるスルメイカの新子の俗称で、軟らかくて甘みのある食味が特徴。
ほかのイカ釣りはしなくても、ムギイカだけは釣りに行くというファンもいるほどだ。
今回の取材先は4月中旬から夜ムギイカ船をスタートさせた沼津江浦港の伊勝丸。
事前に伊海幹雄船長に仕掛けについて伺うと、「11cmのプラヅノ仕掛けか2.5号の布巻きスッテ仕掛けを用意してください。オモリは80号が基本ですが100号も用意してください」とのこと。
また通常の出船時間は17時だが、取材日はお客さんの都合で19時出船になるという。
胴長15~20cmほどのスルメイカを 「ムギイカ」と呼ぶ
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ツノは布巻きウキスッテ2.5号かプラヅノ11cm、オモリは80号を基準に速潮時は100号を使用。水中ライトも忘れずに
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新月回りの闇夜が吉
「一度夜イカ釣りをしてみたかった」と言う、つり情報スタッフの髙橋恵子女史と伊勝丸に向かったのは4月22日。
港で準備をしていると続々と乗船者が集まり、19時少し前に11名を乗せて出船。
沼津内浦湾のポイントには10分ほどの航程で到着、アンカーが下ろされた。
沼津の夜イカは船を固定し、船上灯を照らしてイカを寄せて釣るので、船長の場所選びも重要なファクターとなる。
ちなみに伊勝丸では、今シーズンの夜ムギイカでの出船は3回目とのこと。
当日は新月の2日後なので月明りによる影響も少なく、風や波も穏やかでまさに夜イカ日和。
あとはこのポイントにイカが寄ってくることを祈るばかりだ。
すでに海上は闇に包まれており、船上灯が灯されるとエメラルドグリーンの海面が映し出され幻想的な光景が広がった。
海面に目を凝らすと、あちらこちらにムギイカの姿が見て取れ、いやがうえにもやる気に火がつくというものだ。
「水深は104m。80mから海面までリサーチしてください」と船長から開始の合図が出された。
ちなみに皆さんの仕掛けを見て回ると、プラヅノ仕掛けが3名で、ほかの人は布巻きスッテ仕掛けだった。
船長に仕掛けの使い分けを聞くと、澄み潮ならばプラヅノ、濁り潮なら布巻きスッテが定番。
そしてイカが乗るタナが海面から30mより深ければ布巻きスッテ、浅ければプラヅノが効果的だという。
開始間もなく「乗りましたよ」と右舷胴の間の神尾さんが巻き上げを開始。
プシューッと潮鉄砲を吹いてムギイカがダブルで上がってきた。
続けて隣の方もムギイカを釣り上げる。
両名ともプラヅノのブランコ仕掛けだ。
「私にもきたみたい!」と巻き上げを開始したのは髙橋女史。
直ブラ仕掛けの布巻きスッテに20cm級のムギイカが抱き付いて上がってきた。
タナを聞くと全員45m前後で乗ったとのことなので、船内に伝えて回るとポツリポツリとムギイカが上がるようになった。
活性が高まりイカが上ずると海面から10~20mほどの浅ダナで入れ乗りになることも
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当日は布巻きスッテ仕掛けの人が大半だった
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小さく誘うべし
「なかなか乗らないなー」と左舷ミヨシ寄りの末松さんと阿部さんが苦戦していたので、「まだ群れが小さいので警戒心が強いのだと思いますよ。あまり強いアクションは逆効果で、電動スロー巻きをしながら時折小さく誘ってみてください。乗りがよくなったら小気味よく誘うといいですよ」とアドバイスをすると、「あっ、乗りました!」と二人ともムギイカを取り込みコツをつかんだ様子。
トモ側に行くと、イカ釣り初挑戦の小田仁美さんが、ダンナさんに手取り足取りレクチャーを受けており、そのかいあってスルメイカサイズを釣り上げた。
感想を伺うと、「グイグイ引っ張られて興奮しました」と素敵な笑顔で写真に収まってくれた。
同じグループの高野さんは、釣り自体が初めてとのことだが、オケには2杯のムギイカが泳いでおり「上げたら付いていました」と初心者あるあるで周囲を和ませていた。
この調子でどんどんイカの乗りダナが上ずれば手返しもよくなり数ものびるのだが、どうしたわけかなかなかイカが浮いてこない。
それどころか徐々にタナが深くなって、海底付近で乗せている人もいて思うように数がのびない。
3時間ほど経過したところで私も仕掛けを下ろすと、やはり乗ったのは底付近。
もう1杯追釣したところで、続けざまにオマツリに見舞われてしまう。
潮具合が悪いのか、タナが低いのも影響しているのだろう。
そこで竿を置いて再び撮影に専念することにする。
しばらくすると17時出船組が帰港して船数が減ったのが幸いしたのか、徐々に乗りが上向き始めた。
とくに好調だったのは神尾さんと髙橋女史。
神尾さんがプラヅノのブランコ仕掛けの落とし込みで乗せれば、髙橋女史は布巻きスッテの直ブラ仕掛けで小刻みな誘いをかけて乗せるといった釣り方だ。
そして午前0時を過ぎたころに沖揚がり。
トップは33杯を釣った神尾さんで、次頭が28杯で髙橋女史。
平均で12~13杯といったところだった。
布巻きスッテに関しては、この時期はまだムギイカも小さいので2.5号ではなく2号がよかったような気がするが、イカはひと潮ごとに育つので5月中旬には2.5号でよい気がする。
沼津の夜ムギイカは例年6月一杯がシーズン。
軟らかくておいしいムギイカを釣りに出かけてみてはいかがだろう。
なお日中は暑くても夜は冷えるし夜露で体も濡れる場合もあるので、レインウエアをお忘れなく。
駿河湾のイカ釣りで定番の魚型プラヅノもよく乗った
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スルメ級もポツポツ交じる
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知っ得!ムギイカの沖漬け
ムギイカを釣ったらぜひ沖漬けに挑戦していただきたい。
漬けタレの作り方は、しょう油1、酒1、ミリン1の割合で鍋に注いで火にかけて煮きり、粗熱を取って冷蔵庫で一晩寝かせれば完成。
漬けタレを作る時間がなければ釣具店でも購入でき、市販のソバつゆを使ってもよい。
よく海水を吐かせてから、タレを張った密閉容器にムギイカを入れればでき上がり。
おいしいですぞ!
沖漬けは、一度冷凍してから半解凍の刺身を味わうルイベでぜひ!
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Tackle Guide
船長のおすすめの水中ライトはグリーン。
タックルはシャクリを繰り返すので8:2調子のゲームロッドが使いやすい。
仕掛けはプラヅノと布巻きスッテ両方あれば安心。
ブランコか直結、直ブラかはお好みで。
船宿information
駿河湾沼津江浦港 伊勝丸
090・8474・6990
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隔週刊つり情報(2023年6月1号)※無断複製・転載禁止