長い年には5月まで続く春ヤリシーズン。
その注目フィールドの一つが茨城県海域。
波崎~鹿島に続き、3月から大洗~日立でもスタートした。
当初は水深70~80mと比較的浅場で釣れていたものの、日立久慈漁港の釣友丸で取材した3月下旬にはヤリイカの群れが水深120m前後の深場へ移動。
加えて当日はウネリが高くやや釣りにくい状況。
それでも釣果は胴長28~45cmの中大型主体に一人15~34杯と群れの濃さを実感できた。
「反応もバッチリなのでまだまだ楽しめそうです」と若林一船長も言うように、日立のヤリイカは迎えるゴールデンウイークも十分期待できそうだ。
なお、当地ではオモリ120号のノーマルタックルでの釣りが標準ながら、サバはたまに掛かる程度なのでプラヅノ11cmのブランコ仕掛けで快適に楽しめるのもうれしい。
釣り場は日立沖の水深120m前後
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釣りのあとのお楽しみ ヤリイカの船上干し
ヤリイカの船上干しは軽く炙って七味やマヨネーズ、しょう油を付けて食べると絶品。
潮回りなどの移動中にイカを開く
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船上にロープを張り開いたイカをエンペラ側から竹の串を刺し、胴の外側へ抜く。釣友丸はロープはあるが竹串は持参
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胴長30~40cmの良型が中心
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茨城県海域のヤリイカ釣りが盛り上がりを見せている。
波崎~鹿島沖から始まったヤリイカの群れは徐々に北上、3月から日立~大洗沖でも開幕した。
開幕当初は日立沖の水深80m前後の浅場を狙っていたが、3月中旬ごろから群れが沖へ移動、目下は航程1時間の日立沖の水深120m前後に舞台を移し、胴長30~45cm級のヤリイカがトップ30~40杯と順調に釣れている。
取材した日立久慈漁港の釣友丸、若林一船長によると、今期はこのまま深場で釣れ続けるのか、はたまた浅場へ移動するのかは分からないとのこと。
だがヤリイカの群れは濃く、新しい群れの平均サイズはひと回り大きくなっていることが多いというから、ゴールデンウイークごろまで数、型ともに期待できそうだ。
今回は、若林船長に教わった日立沖のヤリイカを釣るためのタックルや仕掛け、釣り方などの基本を紹介しよう。
ゴールデンウイークごろまで良型ヤリイカの多点掛けが楽しめそう
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竿は乗りの分かりやすさを優先 リールは巻き上げ力を重視
ヤリイカ釣りのタックルは図のとおり。
竿は120号のオモリが背負えるヤリイカ専用。
船長によれば8:2調子くらいのできるだけ穂先がしなやかな竿のほうがアタリが見やすいのでおすすめとのこと。
当地では良型が多点掛けで釣れることもあるので、リールは巻き上げパワーに優れた中小型電動、シマノなら1000~3000番、ダイワなら300~500番クラスが目安となる。
道糸はPE3号を300m以上、高切れしたときのことを考えるとできれば400mは巻いておきたい。
「細い道糸は潮切れがよく、アタリが取りやすいです。潮流の影響を受けにくいのでオマツリの軽減にもなります」と船長。
オモリは120号で統一、仕掛けはバラしにくく、多点掛けも狙いやすいブランコ仕掛けが標準。
波による船の上下動が大きい日が比較的多い日立沖ではなおさらだ。
プラヅノは11cmのシングルカンナで、カラーはピンク、ブルー、ケイムラなどの定番でいい。
形状は色いろあるが、当地で人気、実績ともに高いのはたまご型。
レンズ球体が光を膨張させ、潮が濁っていてもアピール力がある。
釣友丸でもヤマシタの「たまご針」を船宿仕掛けに採用している。
ほかに7cmの赤白ウキスッテを中央に1本交ぜるとアクションの違いで目立つためか、ヤリイカを寄せる効果が期待できる。
「乗りが悪いとき、このスッテにだけヤリイカが乗ることがたびたびあるのでぜひ使ってみてください」と船長もすすめている。
ツノ数はさばきやすさから多くても8本、慣れない人は5本がいい。
深場ではそれほどでもないが、浅場のポイントではサバが多いときもあるので、そんなときはツノ数を4~5本に抑えると被害が若干減るようだ。
当地ではサバだけでなく、サメの被害にあうこともあるため、予備の仕掛けやオモリも多めに用意しておこう。
ヤリイカ釣りで大切なのが釣り座のセッティング。
たとえば右舷の場合は上の図のような配置で基本的には風上にタックル、風下側に投入器を置いて、その間に立って釣りをすると仕掛けをさばきやすい。
手前マツリの原因になるので釣り座の周りに物を置かないことも大切。
まずは着乗りを狙え 乗りがなければ誘いへ巻き落としも有効
ヤリイカ釣りでは、群れにいち早く仕掛けを当てることが釣果に結びつく。
だから合図と同時に素早く投入することが大切。
投入前に投入器に収めたツノが絡んでいないか確認してからオモリを握って船長の合図を待つ。
投入合図が出たら正面にオモリを軽く投げ入れる。
すべてのツノが海面へ放たれたら、ロッドキーパーから竿を外して手に持ち、リールのクラッチを切り、道糸がスムーズに出ていくように竿先を下げる。
投入後の勝負どころとなるのは最初に群れの中に仕掛けが入る着底直後、いわゆる「着乗り」だ。
着底したらゆっくりとリールを巻いて道糸を張っていき、オモリを海底から引き抜くようにする。
その段階で、イカが乗っていればにグングンと引きが伝わるし、多点掛けならかなり重い。
すでにイカはカンナに刺さっているはずだから、余計なアクションは入れずに竿を持ち上げて巻き上げに移る。
着乗りがなければ誘いに移ろう。
上図に誘いの基本となる「上へ探る釣り方」「底中心の釣り方」「宙層の探り方」の3パターンを紹介する。
◆基本パターン1 『上へ探る』釣り方
ヤリイカ釣りの基本ともいえる誘い方。
竿先を下げた位置からゆっくり頭上までシャクリ上げ、竿先を止めて3~5秒くらい乗りを確認。
続いてゆっくり竿を下げながら1m巻く。
あとはこの動作を繰り返して底から10m上まで探っていく。
◆基本パターン2 『底中心』の釣り方
反応が低く底でしか乗らないようなときの方法。
オモリを底に着けたままだとオマツリの原因となるので、オモリを底から1m離す。
竿先を下げた位置から竿をゆっくり聞き上げるようにシャクって1~2秒待ち、乗りがなければ竿先をストンと下げてツノをアピールさせる。
◆基本パターン3 『宙層』の探り方
宙層反応を狙うときや多点掛けが期待できるシーンで有効なパターン。
船長の指示、あるいは着底20m前くらいからリールのクラッチを切り、スプールを押さえてズルッズルッと少しずつ仕掛けを下ろしたり、シャクリを入れながら段をつけて下ろしていく。
うまくすると仕掛けの落下が止められるほどイカが乗ってくることもある。
基本パターン①②で乗りがなければ20mほど高速で巻き上げて落とし直す。
これは「巻き落とし」と呼ばれ、イカの視界から仕掛けを消してリセットするのが狙い。
新しい群れがいる所に落ちる可能性もあり、着乗りも期待できるので仕掛けが再着底したら乗りを確認しよう。
乗りは竿先がクンクンと小刻みに上下したり、イカの重みが伝わってくる。
当地のイカは胴長30~45cm級の良型主体なので分かりやすい。
イカが乗ったら多点掛けを狙って数mゆっくり巻き上げる。
重量が増したら、電動リールを中速にして巻き上げる。
目安は1秒で1m。
これでバラシが多いときはもう少し速く、身切れしてバレるときはやや遅くと、巻き上げ速度を調整する。
取り込みは再投入することを考えて投入器にツノを収めながら行う。
ヨリ取りリングなどを船ベリの内側に入れる。
もしくはロッドキーパーの糸止めに道糸を止めておいてから、手前から順番にツノを投入器に収めていき、イカが掛かっていたら、外しながら取り込んでいく。
ブランコ仕掛けはバレにくいので落ち着いて取り込もう。
ゆっくりでもいいので、着実に一手ずつ回収することが大切。
一流しで何度も投入できるときに手前マツリをするとそれだけでチャンスを失うからだ。
以上の一連の流れをスムーズにできるように練習して、茨城のヤリイカ釣りを楽しんでいただきたい。
サバが少ないのでブランコ仕掛けで十分楽しめる
出典:
INFORMATION
茨城県・日立久慈漁港 釣友丸
0294・22・7436
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隔週刊つり情報(2023年5月1号)※無断複製・転載禁止