今冬もずっと安定した釣果が続いていた東京湾のライトアジは、年が明けても期待を裏切ることなく順調な釣れっぷりを見せてくれた。
1月2日に東京湾奥小柴の三喜丸から出船した初釣りは、小柴~本牧沖の水深20m前後のポイントを狙い、潮が効いた時間は入れ食いに近い状態となり15~28cnが一人13~60尾という好模様。
船長によれば1月中はもちろん2月以降も数釣りの期待は十分とのことなので、アジ釣りが好きな人はもちろん、初釣りで魚をたくさん釣ってスカッとしたい人にもおすすめだ。
初釣りに選んだのは東京湾奥小柴出船のライトアジ。
冬場のアジといえば、私が沖釣りを始めた40年近く前は水深60m前後、ときには80~90mの深場を狙っていた。
横浜界隈の船宿も久里浜沖や富浦沖まで足をのばして越冬場所のアジを攻めていた。
しかし、10年ほど前から東京湾はかつてのように水温が下がらず、冬場でも近場の20m前後の水深でライトタックルの釣りが楽しめるようになった。
地球温暖化の影響は様ざまな魚に影響を与えているが、こと東京湾のアジに関しては、昔よりも手軽に楽しめ、さらに好釣果が得られるようになったと言えるだろう。
タナの調節が肝心
三喜丸の初出船は1月2日、好天に恵まれスミイカ船、タチウオ船も初釣りを楽しみに集まった釣り人でにぎわっていた。
ライトアジ船は年末には1束釣りが出たほど好調で、初釣りの釣果も十分に期待できそうだ。
7時にもやいをほどき、八景島の脇をゆっくりと沖へと向かった。
「釣り場まで20分ほどかかります」と、村上明船長が選んだのは本牧沖だった。
富岡沖と並び村上船長の得意なポイントだ。
波静かで快晴微風、最高の釣り日和である。
ポイントの水深は18m。
タナは底から2~3mの指示だった。
ビシが底に着いたら道糸のマークを見ながら1m巻き上げ、そこでコマセを振って、さらに1m上げてアタリを待つのが基本。
これでタナは2mとなる。
そこでアタリがあっても掛からなかったり、バラシが多い場合はコマセをまく位置を底から1.5m(または2m)にし、タナも2.5m(または3m)に上げる。
この要領で、その日に最適なタナを見つけるようにする。
コマセを振るのはタナの1m下、と覚えておくのがよい。
ほどなく今年初のアジが釣れ上がった。
アジ釣りの常として、1尾が顔を出せば続いて何人も竿が曲がることが多いのだが、なかなか後が続かない。
船長は「反応はモリモリ出てるんだけど」と言うが、アジの機嫌はよろしくないようだ。
この日のソコリは7時、開始時は潮がほとんど動いていなかった。
潮が動かないと口を使わないのは釣りではよくあること、潮が動くまでは辛抱の時間のようだ。
アタリが続かないと船長はこまめに船を回し、別の群れの反応に当てる。
そのかいあってか、2人3人と竿が曲がることが増えてきた。
釣れ上がるアジは25cm前後の中アジと、18cm前後の小アジとが半々くらい。
群れは入れ替わっているようで、サイズは中アジ主体、小アジ主体と時間によって変わっていた。
▲初釣りは本牧沖18mダチでスタート
出典:
標識マアジを釣ったらご連絡を!
国立研究開発法人の水産資源研究所では、マアジの生態を解き明かすために標識(タグ)付きのマアジを放流している。
標識アジには2種類のタグが打たれていて、とくに腹側のタグはそのアジの回遊が記録されているハイテクタグだ。
釣り上げた方は、水産資源研究所浮魚資源部までご連絡をいただきたい。
連絡先は045・788・7615、または腹側タグに記載のメールアドレスへ。
アジ釣りの大作戦・仕掛けを張って小さなアタリを感知
冬場のアジのアタリは小さいことが多い。
夏場だと竿を派手に震わせるアジのアタリも、冬の低水温期には穂先がわずかにもたれるくらいの微妙なアタリしか出ないことがしばしばある。
このアタリを取って合わせることで釣果はのびてくる。
そのためのポイントは「仕掛けを張る」ことだ。「そんなの当たり前だろう、底から引っ張り上げるんだから仕掛けは張っているじゃないか」と思われるだろうか?
私はそう思っていない。
タナでじっと待っている間に仕掛けには「たわみ」が生じて、アタリが出にくくなってくる。
潮でハリスが吹き上げられたり、船が揺れたり前後に動いたりすることにより、タナを取り直した直後は張っていた仕掛けが、徐々にたわんだ状態に変化する。
では、たわみを防止するにはどうしたらいいか?
それは簡単なことで、タナを取り直すことだ。
タナを取り直せば、再び仕掛けは真っすぐになる。
しばらく待ってもアタリがなければタナを取り直す、この単純な動作が実はライトアジでは最も重要だと考えている。
よほどの入れ食い状態でない限り、私は5秒おきに、そして一度の投入で3回はタナを取り直す。コマセを出し切っても気にせずにタナを取り直す。
タナの取り直しには、コマセをまき直す効果や水深の変化に対応する、ということよりも、仕掛けを張る(直線状に戻す)、という意味が大きいと考える。
仕掛けを張ることにより、アジの小さなアタリが竿先まで伝わってくるからだ。
▲ベテランは穂先から目を離さず、小さなアタリを取って合わせを入れる
出典:
時合を逃さず数釣り満喫
遅れて私も参戦。
まずはタナ2mで開始する。
周りの釣り人を見ていると、今日はアタリが小さいことが見て取れる。
私の作戦は、まめなタナの取り直しで、仕掛けを常に張った状態にすること。
低水温時のアジは、あまり泳ぎ回らずにエサを口にしている、いわゆる居食いの状態だと考えているためだ。
アジがハリを口にして、違和感を感じて吐き出す前にアタリを取って、聞き合わせで掛ける。
これは冬場の低水温期だけでなく、低活性時にも有効な釣り方だ。
穂先がわずかに引き込まれた、ここで聞き合わせ。
引き込まれた分だけ引っ張り返す、くらいの気持ちでわずかに竿先を持ち上げる。
竿に重みがかかったら、そのまま竿を立ててリールを巻く。
時折伝わる鋭い抵抗はライトタックルならではの楽しさだ。
抜き上げた25cmの中アジは越冬中なのに丸まると太っていた。
10時近くになり23mダチのポイントに移ると、大きな群れが船下に着いたようで入れ食い状態になった。
冬場はタナが上ずりにくいので一荷こそ少ないが、投入ごとに空振りなしで釣れ上がり、足元のバケツはどんどんアジで埋まっていった。
やがて沖揚がりの時間を迎え、釣果は15~28cmのアジが一人13~60尾、私のクーラーには54尾のアジが収まった。
前半に潮が動かない悪条件ながら、終わってみれば年末同様の好釣果だった。
これから冬の低水温期を迎えるが、冒頭に記したように近年の東京湾は周年浅場にアジが居着いている。
このまま春までオフシーズンなしでライトアジが楽しめるはずだ。
重いクーラーで帰宅し、中アジは刺身と干物、小アジは空揚げと南蛮漬けとアジ三昧。
とくに干物は乾燥した北風が吹く今の季節が一番おいしく仕上がる。
2023年の釣りは楽しくおいしいスタートを切ることができた。
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隔週刊つり情報(2023年2月1号)※無断複製・転載禁止