第22回沖釣りカレッジは、カワハギ界をリードする若きトップトーナメンターの一人、佐々木健仁さんを講師に迎えてのカワハギ教室。
その卓越したテクニックはもちろん、カワハギを攻略するための戦略の組み立て方など、佐々木さんのトーナメントテクニックを知りたい受講者10名が集まり、三浦半島剣崎松輪港の瀬戸丸より出船となった。
まず向かったポイントは毘沙門沖。
しかしこの場所ではなかなかアタリが出ず、早々に目下好調の鴨居沖の水深30m前後へ移動となる。
結局は終日、鴨居沖を攻めることとなったが、この移動が奏功した。
まずは実釣で手本を示してから個人レッスン。
受講者のほとんどはカワハギ釣り数回のビギナーだったが、佐々木さんは各人の聞きたい質問にていねいに答えながら釣り方のポイントをアドバイスしていく。
内容は中オモリの使い方やキャスト方法、エサの付け方、竿に合わせた誘い方、縦の釣りと横の釣りの違いなど多岐に渡ったが、佐々木さんの具体的で分かりやすい説明にみなさん納得した様子。
水深が深いためにこの日は縦の釣りが中心となったが、カワハギの活性がまずまずだったこともあり、誘いがハマった人は着実にカワハギを釣り上げていく。
釣れるカワハギのサイズもよく、20~25cm級を主体に28cmの大型も交じってきた。
カワハギだけに釣果は一人3~14枚と差は出たが、皆さん今後のカワハギライフにつながる何かを得られた一日となった。
プロフィール
佐々木 健仁(ささき たつひと)
2017年に史上最年少(当時22歳)でDKO(ダイワカワハギオープン)を制した、カワハギファンなら知る人ぞ知るトップトーナメンター。
佐々木さんのカワハギ釣りは状況を読み縦の釣りと横の釣りを組み合わせながら攻略していくスタイル
出典:
当日の釣り場は鴨居沖の水深25~30m前後。比較的フラットな釣り場だ
出典:
LESSON① 松輪出船のポイント概要
佐々木さんにはこれまで東京湾竹岡沖、南房洲ノ崎沖と本誌の特集で登場していただいたが、今回は現在、自身がホームグラウンドとしている三浦半島剣崎松輪出船でのカワハギ釣り。
一般的に松輪といえば剣崎沖で、剣崎沖は根の荒いガチガチのポイントというイメージがあるが、そんな場所ばかりではないと佐々木さんは言う。
荒い岩礁帯もあれば砂地、ツブ根、岩場など、そのときの状況により様ざまなポイントを狙うことがあるのが松輪のカワハギ釣りで、カレッジの副題を「剣崎沖編」ではなく「松輪出船編」としたのもそのためである。
おおよそのポイントは次のとおり。
●港前
港の正面のポイントで、水深は10~20m前後。
砂地交じりの岩礁帯。
●剣崎沖
港を出て左側、剣崎灯台が目印となるポイント。
水深は10~40m前後。
岩礁帯をメインに砂地が交じる。
●下浦沖
港を出て左側、三浦海岸など砂浜を正面に望む。
水深は15~25m前後で、砂地メインにツブ根がある。
●鴨居沖
港を出て左側、かもめ団地を正面に望む。
水深は10~30mで、砂地に岩場があるポイント。
●毘沙門前
港を出て右側、水深15~30mの荒い岩礁帯がメインのポイント。
●城ケ島沖
港を出て右側、正面に城ケ島を望むポイント。
水深は20~45mで、砂地がメインながら浅場は根のきつい場所もある。
以上のように松輪のカワハギ釣りは地形や水深などバラエティに富んだポイントがあり、そのときの状況に対応する釣り方をしていく必要がある。
逆にいえばカワハギ釣りの勉強をするにはもってこいの場所ということである。
LESSON② 竿は手感度重視 仕掛けは極力シンプルに
佐々木さんのタックル&仕掛けはイラストのとおり。
竿はそのときの状況により使い分けるが、シマノのステファーノ攻177SPやステファーノリミテッドMH175Aといった手感度に優れる硬めの竿をメインに使う。
仕掛けは自作で、枝間はオモリ上から5cm、10cm、13cm。
釣り場や季節が変わってもこの寸法は変わらない。
ハリは釣れる魚の大きさによりサイズを変えるが、直近では22cm前後の魚が多いとのことでダイワのスピード7.5号、がまかつのくわせ5号、速攻4.5号などを中心に使っているとか。
ハリスの長さは7mをベースに10cmを交ぜる。
たとえば上下2本をスピード7cmにしたら真ん中はくわせの10cmといった具合。
3本すべてを同じハリにしないのは、釣れ方の違いを見るため。
違うハリを交ぜておくことで突然釣れなくなったときに釣り方が悪いのか、ポイントが変わったのかなどの判断材料になる。
仕掛けは極力シンプルなものを心がけており、使うのは中オモリだけ。
集寄やアピールアイテムは一切使わない。
そのほか釣り座周りのセッティングも時合を逃さないためには重要で、動きを最小限に釣りができるよう心がけているそうだ。
(上)ハリは吸い込み重視のスピード系がメイン (下)糸部は自作で非常にシンプルな作り
出典:
中オモリは必須アイテム。0.5~2号を潮の流れなどにより使い分ける
出典:
佐々木さんの釣り座。リールは左巻きなので風上側にバッグ、風下側にキーパーを置く替えバリなどは船ベリへ
出典:
LESSON③ 釣りの組み立てはまず船下狙いから
カワハギ釣りには仕掛けを船下へ下ろし、上下に誘う「縦の釣り」と、仕掛けをキャストして手前に探ってくる「横の釣り」の2パターンあるが、佐々木さんは海底形状や魚の活性、アタリの出方などで両方の釣り方を組み合わせて釣りを組み立てていく。
具体的には、ポイント到着後や流し直し1投目は魚が船下にいるであろう可能性が高いため、まずは底狙いからスタート。
オモリで底をたたき砂地なのか根周りなのかを判断する。
数回船下で誘ってアタリがなければ、横の釣りへ移行。
このときもオモリで海底をたたいた感触から砂地主体であればロングキャストして広範囲を探る。
逆に根周りであれば根掛かりのリスクが高まるのでチョイ投げ程度に抑える。
いずれの場合も仕掛けを手前へ動かしながらカワハギがいるであろうツブ根を探し、重点的に攻めていく。
横の釣りでアタリがなければ再び縦の釣りへ移行。
これが基本パターンになる。
ちなみにカワハギ釣り数回のビギナーは、まず縦の釣りをしっかりできるようになろう。
LESSON④ 縦の釣りは誘いと止めのメリハリを
縦の釣りは、魚の活性が高い場合は勝負が早く、アタリも手感度として伝わりやすいのが利点。
やり方は色いろあるが、佐々木さんの場合は宙からの誘い下げをメインにしている。
最初は何も付けないシンプルな仕掛けで始め、オモリが底に着いたらすぐに竿1本分1~1.5mほど仕掛けを持ち上げる。
ここから穂先を細かく揺すって誘いをかける。
注意点は、手元は動いていても、穂先が動いていないケースがあること。
仕掛け(エサ)が動かないと魚にアピールできず、アタリも伝わりにくくなる。
高活性時は揺すっているだけでアタリが出てハリ掛かりにつながるケースもあるが、低活性時は止めの間(食わせの間)をしっかり入れることがポイントになる。
たとえば50cm誘い下げたら止め、50cm誘い下げたら止め、といった具合。
オモリが底に着いたらトントンとたたいてアピール、ピタッと止めてゼロテンションでアタリを待つ。
アタリがなければ再び竿1本分持ち上げて誘い下げ、この繰り返しが縦の釣りの基本になる。
これでアタリが出ない、もしくはアタっても吸い込まない場合は中オモリの出番。
ゼロテンションの状態から穂先をゆっくり下げて仕掛けをたるませる。
たるませると言っても仕掛けをベタッと寝かせるのではなく、立っていた仕掛けが斜め45度になるくらい。
仕掛けについてきたカワハギに下を向かせ、エサを吸い込ませるイメージだ。
再び仕掛けを張っていったときにアタリが出るのでそのまま竿を立てて合わせにいく。
佐々木さんは0.5~2号前後を使うが、慣れないと中オモリの重さを感じることが難しいので、最初は3号程度の重めを使って練習してみるといい。
LESSON⑤ 横の釣りは 根を見つけることが肝心
キャストしての横の釣りには、2パターンある。
一つは中オモリを付けずに仕掛けを手前に引っ張ってくるやり方。
オモリで底をトントンしたり、竿で持ち上げカーブフォールさせたりして手前に寄せてくる。
カワハギの活性が高くエサを追ってくるときに有効で、仕掛けのたるみが少ないため根掛かりのリスクも減るという。
ただし仕掛けを止めないので自分の間合いでカワハギを掛けにいく必要があるため、動かすスピードや仕掛けの張り具合を自分でコントロールする必要がある。
もう一つは中オモリを使って仕掛けをたるませる釣り。
キャストして仕掛けが着底したら、オモリで底をたたいて底質を確認。
カーブフォールを織り交ぜつつ手前に寄せてくるまでは一緒だが、ポイントは根を見つけること。
ツブ根のような硬い感触があったら仕掛けを止め、中オモリを使ってフワフワとエサを動かしてやる。
根に着いているカワハギを食わせるイメージで、ゼロテンションで止めてアタリを見る。
この釣り方のポイントは潮に合った重さの中オモリを使うこと。
重すぎるとストンと落ちてカワハギに食わせの間を与えられない。
逆に軽すぎると仕掛けをコントロールできなくなりエサばかり取られてしまう。
縦の釣りにしろ横の釣りにしろ、中オモリを使った釣りはその重さの感覚をつかむまでは難しい面があるが、中オモリを使った釣りができるようになると、もう一段カワハギ釣りのレベルがアップするはずだ。
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【三浦半島(神奈川県)・カワハギ】人気ランキング
【三浦半島(神奈川県)・カワハギ】価格ランキング
隔週刊つり情報(2023年1月1号)※無断複製・転載禁止