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相模湾のヤリイカ好発進!シーズン初期ならではの美味しいサイズが乗り乗り(敷嶋丸/外房・大原港)

隔週刊つり情報編集部

9月に開幕した外房大原のフグ釣り、いわゆる「外フグ」が今年は良型主体に釣れている。
 
取材日に敷嶋丸が狙ったのは太東沖の水深20m前後。

暗いうちは船中ポツポツのスロースタートだったが、明るくなってからは徐々に食いが立ち、23~39㎝をトップ24尾でフィニッシュ。

数は今一つのびなかったが、30~35cm前後の良型ぞろいだったので重量感たっぷりの釣り味を楽しめた。

今後は秋が深まり水温が下がるとともにフグの群れも固まり、大中小交じりで数釣りが期待できるようになるとのこと。

フグ釣り入門にもうってつけの時期なので、この機会にぜひともチャレンジしていただきたい。

船の写真

当日の釣り場は太東沖の水深20m前後

房大原は、港前から沖まで遠浅の海底に砂地が広がり、広大なフグポイントを形成している。

航程10分の港前から、北は太東沖や一宮沖、南は岩船沖とポイントは無数にあると言ってよい。

毎年ゴールデンウイーク終了から8月31日までの産卵期を自主禁漁期間と定め、またバッグリミットを80尾として資源保護に努めていることがフグの魚影維持につながっている。
 
そのせいか今シーズンはとくに大型が目立つ。

ショウサイフグは40cmがほぼ最大サイズだが、それに迫る型が数多く釣れているのだ。

平均サイズは30cmで、このサイズになるとリールを巻く手を思わず止めてしまうような強烈な引きで、釣趣は抜群だ。

外房大原のカットウ仕掛け

竿は極先調子の短いフグ専用・仕掛けは2段バリが基本だが手返し優先なら1段バリもOK

竿は全長1.5m前後の先調子を使う。

フグのアタリはコツンとかモゾッと小さく出る。

この小さなアタリを手元に感じられるよう専用竿は鋭敏な極先調子のものが多い。

エサを食いにきたフグをカットウバリに確実に掛けるため、胴がしっかりした竿であることも必要だ。
 
竿の長さを生かして船の上下動を吸収するために、あえて2m前後で穂先の軟らかな竿を使う人もいるが、一定間隔で仕掛けをシャクることがフグへの誘いと空合わせを兼ねるこの釣りは、終始手持ちで釣ることから短いフグ専用竿が疲れにくさの点でも使いやすいだろう。
 
リールは小型の両軸で、PE1.5号前後を巻いておく。

リールも軽量なほど疲れにくい。
 
仕掛けはカットウ仕掛けで、オモリの下にエサバリとカットウバリ(掛けバリ)を付けたものを用いる。

外房では昔からカットウバリを2つ付ける2段バリが一般的だが、手返しのよさを優先して1段バリでもよい。
 
エサはアオヤギが一般的だが、今年は品不足で価格が高騰している。

取材した敷嶋丸では冷凍エビを使っていた。

冷凍エビは東京湾で主に使われるエサだが、食いの点でエビはアオヤギに勝るように思われる。

ただし、アタリの出方がアオヤギよりも小さい。

アオヤギがコツコツと連続的なアタリが出るのに対し、エビエサはコツッと単発で出ることが多いので、アタリを見逃すといつの間にかエサが取られてしまっていることが多い。

エビエサのほうが、より繊細な釣り方になる。

エビの付け方は、殻を付けたまま縫い刺しにする。

食いが渋いときは殻をむいて通し刺しにするのもよい。

図1・カットウ仕掛けの誘いと合わせのイメージ

エサの写真

当日使用したエサは冷凍エビ。敷嶋丸では1パック500円で購入できる

針の写真

仕掛けはカットウで、右が2段バリの敷嶋丸船宿仕掛け、左が1段バリ。エサ付けは殻をむかずに縫い刺し

着底したら動かさない・アタらなくてもシャクって誘いと空合わせを兼用する

図1で誘い方を説明する。

外房ではアンカーを入れず、船を流す。

道糸が真っすぐになるよう船の速度を調整しながら流し、ポイントを探っていく。
 
仕掛けを投入し、底に着いたら糸フケを取る。

このときに糸が張っている状態を保つがオモリは動かさない。

波による船の上下動が大きいときは、竿の角度を変えることにより竿先を動かさないようにして、糸を張ったまま仕掛けが動かないようキープする。

「仕掛けを動かさない」ことは慣れないうちはやや難しいが、フグ釣りでは大事なポイントなのでマスターしてほしい。

仕掛けを動かしてしまうと、小さなアタリが分からなくなってしまう。

仕掛けを止めてアタリを待つのは大切なポイントだ。
 
アタリを待ちっぱなしもよくない。

数秒おきに30cmほどの幅でシャクりを入れてやる。

このシャクリ動作が、誘いと空合わせを兼用する。

エサが海底からフワリと浮き上がる動きがフグにアピールすると同時に、カットウの側にフグが寄っていればそれをハリ掛かりさせるための合わせになる。
 
シャクる間隔は、エサが頻繁にかじられるときには3秒ほど、エサがあまりかじられないときには6秒ほどと、食い方に合わせて変える。
 
シャクる力加減は、フワリと軽く仕掛けを持ち上げる感じで十分だ。

力一杯シャクると、その勢いでエビが外れてしまうこともある。
 
シャクった後は、ゆっくりと竿先を下げて仕掛けを海底まで下ろす。

このときにカットウバリを潮に乗せるようにそっと下ろすのがポイントだ。

ストンと急に落とすと、エサとカットウバリの距離が近くなるため、合わせたときに掛かりが悪くなる。
 
アタリがあったら即合わせる。

これも大合わせは避け、30cmほど竿を立てればよい。

急激で大きな合わせをすると、ハリ掛かりしなかったときに、せっかく寄ってきたフグがエサを見失ってしまう。

だいたいのフグはエサに再アタックしてくる。

合わせて空振りしても、また底までゆっくり落として待てばエサが残っている限りアタリが続くはずだ。
 
合わせがうまく決まると、グッと竿に重みが加わる。

アタリがなくとも空合わせでシャクった瞬間にグンと手応えが伝わることもある。

いずれの場合も、魚の重みを感じながら一定速度でリールを巻き上げる。
 
フグはハリ掛かりした瞬間に、驚いて上に泳ぐことがある。

大型になるとオモリを引っ提げたまま急浮上するので、まるで道糸が切れたように軽くなることがあるが、この場合はどんどんリールを巻くとある程度巻いたところで急に重みが加わってくる。

海面にフグの魚体が出たところで、周りに注意してから抜き上げる。

大型の場合はタモ入れを頼もう。
 
カットウバリを外すとき、指などに刺さないように注意しよう。

フグが暴れた弾みにハリを刺したりすることがある。

慣れないうちは、ペンチなどでカットウバリをつかんで、ハリ先を下に向けてフグを落とすようにして抜けばより安全だ。

カットウバリが2つともフグに刺さっている場合には、ハリスが短いほうのハリから先に外すとトラブルが少ない。

身欠きシステム

大原の船宿はフグ処理師の免許を取得していて、釣ったフグを身欠き(内臓などを取り除き可食部だけにしてくれること)にしてくれるので、帰ってからの料理が楽だ。
 
敷嶋丸では沖揚がり時に各自に番号札が配られ、帰港後に受付のテントで身欠きにしてくれる。

フグの棒身は氷と一緒にクーラーに入れて持ち帰る。

船長の写真

船長が頭と内臓を落とし、おかみさんが内臓のかすや薄皮を取り、血を洗う

釣り人の写真

フグが掛かったら一定の速度で巻き上げる

釣り人の写真

フグの取り込みは抜き上げが基本だが大型はタモ取りしてもらおう

釣行の写真

竿先に出るアタリに集中する

根周りは宙層の釣り・底上1mまで仕掛けを上げる

船長は通常は砂地にいるフグを狙って流すが、食いが悪いときは根周りを攻めることもある。

このときは、仕掛けを底に着けたままにすると根掛かりするので、海底から1mほど仕掛けを上げて宙層の釣りになる。

このときもアタリを待っているときはなるべくカットウを動かさないようにする。

なるべく、というのは、船の上下動があるため、宙層で仕掛けを完全に止めるのは難しいからだ。

宙層の場合は、食い上げのアタリが出ることもあるので穂先の変化に注意しよう。

図2・竿の角度は道糸と竿先を直角にする

アタリを待つ竿の角度が重要・アタリを出しやくするため竿先と道糸を90度に保つ

さて、この釣りで最も気を遣ってほしいのは、竿の角度だ。

図2に記したように、竿先と道糸が直交するような角度を保つ。

竿先がちょっと曲がるため、竿先の接線と道糸が90度になるように竿を構える。
 
キャストしたときなどで道糸が前にあれば竿は上向きに、船下に道糸が入る込む潮の流れのときは竿は下向きに、という具合で、常に竿先と道糸が直交するようにしてアタリを待つ。
 
この角度に竿をキープすることが、最もアタリが出やすい。

さらに船の上下動に合わせて竿先を上下させて、仕掛けを動かさないようにするにも都合がよい。
 
かつては、アオヤギをたっぷり付けて、仕掛けを海底に着けたまま糸をたるませて、アタリも取らずひたすら空合わせでフグを釣っていた時期もあった。

当時は、竿先を下に向けた状態でバシッ!と大きく鋭く竿をシャクる釣り方だった。

アオヤギの場合はそれでもエサが外れることもなかったが、この釣り方は、エビエサを使う現在のフグ釣りには向いていないし、釣趣にも欠けるように思われる。
 
カットウバリは、ボラのギャング釣りにも使われるので、どうしても引っ掛け釣りという悪いイメージがつきまとうが、実際は食わせ釣りと同等かそれ以上に繊細さを持つ釣りだと言えるだろう。

誘って、アタリを取って、合わせて掛けるカットウ釣りを自分のものにすれば、フグ釣りが一層面白くなるとともに、釣果ものびるはずだ。
 
今年は開幕から良型主体で、トップで40尾前後の好釣果が続いている。

例年なら水温の低下につれて新子と呼ばれる当歳魚も顔を出し始める。

そうなると浅場での数釣りも楽しめ、80尾の上限に達する釣果も聞かれるはずだ。

さらに潮によってはトラフグが釣れたり、根周りでは大型のヒガンフグが出ることもあり、これらも楽しみだ。

これから来年のゴールデンウイークまで、大原はホットなフグシーズンが続く。

釣行の写真

シーズンは始まったばかり。これからロングランで楽しめる

良型主体でアタリ活発・太東沖のフグ好期到来

9月の開幕から日がたつにつれ外房大原のフグ船は尻上がりの好調さ。

敷嶋丸では連日トップが30~50尾、注目すべきはそのサイズで、船宿ブログを眺めると40cmに迫るフグが連日上がっている。
 
朝3時半に港へ着くと、船はすでに点灯し、結構な人が集まっていた。

受付テント脇にある番号札を取って座席を決める。

この日は平日ながらフグ船は二隻出し、好調が続いているだけに釣り人も多い。
 
私は山本幸夫船長の第一敷嶋丸の右舷に釣り座を構えた。

船で用意されているエサは冷凍エビ。

アオヤギが在庫切れのためしばらくエビを使うそうだ。
 
かつてアオヤギエサのころに、エビを持ち込んだこともあるが、食いはエビのほうがいいように思う。

ただしエビはエサ持ちが悪く、のんびりしてると気づかぬうちにエサが取られてしまう点は注意が必要だ。
 
4時を回ったところで出船。

約40分かけて着いたのは太東沖の20mダチ。

まだ薄暗い中で、釣り開始の合図が出た。

「エビは縫い刺しにしてください。たまにシャクって空合わせしてください」とのアナウンスで開始となる。
 
すぐに何人かの竿が曲がり、ショウサイフグが抜き上げられた。

いずれも25cmほど。

これは今日も好調かなと思っていると、明るくなるにつれて20cmほどのサバフグが邪魔をし始めた。

ショウサイフグよりも先にエサを追ってしまうようだ。
 
ここで船長は移動の合図。

10分ほど走ったところでは、山本元次郎船長の別船が流していて、何人かがフグを抜き上げている姿が見えた。
 
ここのポイントはフグがでかい。

アタリは多くはないが、掛かってくるのは30cm超えばかり、39cmの最大級も交じる。

皆さん竿をしならせ、真剣な顔でリールを巻いている。

釣り人の写真

30センチオーバーの良型がよく釣れた

入れ食いモードに突入

「記者さん、釣らないの?」と隣の方から声がかかる。

このチャンスに乗り遅れたくないため撮影を終えて竿を出した。
 
1投目からさっそくアタリ。

あまり重くない、上がってきたのはカワハギ。

次にまたアタリ。

引きが変だ。

上がってきたのはハナダイ。

「さすが記者さん、ちょっと違うね(笑)」と隣の方にいじられて苦笑い。
 
やがて私にも本命。

コツンのアタリで合わせると、フワッと軽くなった。

フグが上に泳いだのだ。

急いでリールを巻くとグンと重量感が伝わり、ゴンゴン!と力強い引きに見舞われた。

ワクワクしながら上げると、37cmのデカフグだった。
 
アタリは多くないが、じっくり誘ってアタリを拾って掛けていく。

8時ごろに5尾目。

型ぞろいなので食べるには十分だが、この日のハイライトはこの後だった。

「反応が出てます。空合わせして。アタらなければエサが取られてないかチェックして」と船長。

これを境に、頻繁にアタリが出始めた。
 
コツン、グッ、ギュンギュン、の繰り返しでどんどん数がのびていく。

それでも小型は交じらない。

ラスト1時間は最高に楽しいフグ釣りとなった。
 
釣果は28~39cmのフグを一人10~24尾、私は19尾で大型ぞろいなのが印象的だった。
 
敷嶋丸は、沖揚がり時にペットボトルの氷と対の番号札をくれる。

バケツの水をフグが浸るくらいにして、その中に札とともにペット氷を入れて魚を冷やす。

帰港後にさばいてもらったフグを一方の札と交換に受け取るシステムだ。

ズラリ並んだバケツには良型フグが顔をそろえ、壮観な眺めだった。

魚の写真

順番にさばいてもらうため良型フグが入ったバケツが並ぶ

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