東伊豆は急深な海底地形により、中深海の釣りが盛んなエリア。
アラの魚影も濃く、港から至近の釣り場で高確率で釣ることが可能。夏の好期に狙ってみませんか。
東伊豆の概要と釣況
アラは最大で体長1m、重さ10kg以上にもなり、狙ってもめったに釣れないと言われている魚だ。
若魚は「小アラ」と呼ばれたりして、相模湾などでオニカサゴやアマダイ釣りなどのゲストとして釣れることもある。
東伊豆の海域でも、近年、アカムツやオニカサゴ釣りでアラが交じり、取材した宇佐美港の直正丸では2年ほど前から周年の看板に掲げている。
アラの釣り場は熱海沖や宇佐美沖、伊東沖、川奈沖、富戸沖などに点在。
狙う水深は主に150~200m前後。
夏は水深150m以浅も狙い、秋は深場にいる良型を狙って200~280m前後を探ることが多い。
釣れるサイズは25~30cm前後が中心で、50~60cm(2~2.5kg級)も顔を出し、これまでには最大10kg級のアラが釣れたこともある。
一年のうち、夏は数が安定していて手堅さでは一番の季節。
小型中心ながら一人平均3尾前後。よい日にはトップ2ケタと魚影は抜群。
今回、アラ釣り初挑戦の私も船長に釣り方を教わり、25~30cmのアベレージサイズを2尾釣り上げることができた。
ここからは直正丸の島田正則船長に教わった東伊豆エリアの夏アラ釣りについて、タックルや仕掛け、基本釣法などを解説しよう。
アベレージは25~30cm
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当日の釣り場は宇佐美沖の水深140m前後
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仕掛けは片テンビンの2本バリアピールアイテムも有効活用しよう
タックルについては下に掲載した図のとおり。
竿は全長1.8~2.1m、オモリ150号に対応した7:3~6:4調子の中深海ロッドのほか、青物用ワンピースロッドなどでもOK。
リールは道糸PE4~6号を300m巻いた中小型電動で、ダイワなら300~500番、シマノなら1000~3000番クラスがおすすめ。
島田船長によると、このエリアはフグが多く道糸を切られることがあり、高切れして釣りが続行できなくなる場合もあるので、予備のリールを持参してほしいとのこと。
仕掛けは大別すると片テンビンを介した吹き流しと、胴つきの2タイプに分けられる。
大まかな傾向として、200号以上のオモリで水深200m以深を狙う場所では胴つき仕掛け。
150号のオモリで水深200m以浅を狙う場所では片テンビン仕掛けが主に使用される。
この時期は水深140m前後を狙うため片テンビン仕掛けを用いる。
直正丸では片テンビンの2本バリ、オモリは150号(速潮時は200号)。
船長特製仕掛けは上図のとおりで全長2.7~3m、ハリス8号、ムツバリ17~18号。
全長が市販のオニカサゴ&アラ仕掛けと比べて長めなのが特徴だ。
これはゆっくりエサを沈めてアラにエサをアピールさせる狙いがある。
アラはアピールアイテムに対して反応がいいので、仕掛け上部に水中ランプ類を装着したり、ハリスに夜光玉を通したり、ハリにタコベイトを付けたりするとアタリが増えるという。
これらのアピールアイテムを有効活用するには色に気を配りたい。
潮具合にもよるが、色によるアタリの差が出るとのこと。
船長によると水中ランプのおすすめカラーはブルーやグリーン。
夜光玉は夜光グリーン。
タコベイトは潮が濁っているときはピンクや夜光などのアピール系、澄んでいるときはグリーンやブルー、ケイムラなどナチュラル系が強い傾向があるようだ。
ただし、アラが生息する場所はサメやフグが多い場所でもある。
これらが掛かると仕掛けをグチャグチャにされたり、ハリスを切られたりするので、アピールアイテムを使っているときはサメやフグのアタリ具合によって装着の状況判断をしたい。
船宿支給の付けエサはサバの切り身(幅1㎝×長さ10cmほど)で、付け方はチョン掛け。
タコベイトを付けるときは先にタコベイト、次に付けエサの順とする。
東伊豆のアラ仕掛け例
タックル
タックルは全長1.8~2.1mの中深海ロッドや青物用ワンピースロッド、PE4~6号を300m巻いた中小型電動リールで楽しめる
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仕掛け
オモリ150号が基準。船長の特製仕掛けは全長2.7mの2本バリ。潮が速いときは全長3mにする
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付けエサ
船宿支給の付けエサはサバの切り身。付け方は皮側からハリ先を刺してチョン掛けにする
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アピールアイテム
釣り始めは仕掛けに水中ランプ、夜光玉、タコベイトなどのアピールアイテムを付けておく
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サメやフグが釣れたらアピールアイテムを外す
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底上2mをキープしこまめに誘いを入れ、底ダチを取り直す
アラ狙いでは、着底後に仕掛けがなじむ前、もしくはオモリを底から2m切ったあたりでタナを取るとアタってくるケースが目立つ。
根魚というと岩穴に身を潜めていたり、海底にジッとしていて近付いてくるエサに食い付くイメージを持たれるかもしれないが、アラは砂泥の海底にツブ根が点在するような場所に生息しており、海底より1~3m上を遊泳し、上から落ちてくるエサを積極的に捕食していると考えられる。
これらを踏まえてアラを釣る手順は図のとおり。
①仕掛けが着底して糸フケを巻き取ったら、50cmほど底を切り、10~15秒仕掛けがなじむのを待つ。
オモリを底へ着けたままにしておくと、根掛かりの原因になるので気を付けよう。
②アタリがなければ底ダチを取り直し、オモリが底上2mの位置にくるように巻き上げる。
ただし潮が速いときは仕掛けが吹き上げられるのでタナは低め(オモリは底上1.5mの位置)にして、潮が緩いときは仕掛けが沈みやすいため高めにタナ(オモリが底から2.5mの位置)を取ろう。
③7~8秒待ってアタリがこなければ誘い上げ、そのあと竿を元の位置へゆっくり戻す。
④1~2分待ってアタリがなければ底ダチを取り直す。
その後は②~④を繰り返す。
基本は手持ちで竿を操作する
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体力的に手持ちで竿を操作するのが難しいときはロッドキーパーにセットしたまま誘ってもいい
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アタリがきても合わせは入れない
アタリから巻き上げまでの手順は、
①アタリは小さく、竿先を揺らす程度。
ここで合わせるとスッポ抜けることが多いので、竿先をゆっくり下げて食い込みをうながす。
②エサを食い込むと竿を持つ手に魚の重みが加わり、ガクガクと激しく竿先がたたかれる。
最初の強い引き込みが収まったところで巻き上げに入る。
ネムリ系のハリを使用していれば合わせは入れなくていい。
③巻き上げは、ハリ穴が広がるなどしてバラすのを防ぐため中速にする。
アラは水圧の変化に弱い魚。
水深が浅くなるにつれ浮き袋が膨らみ、最後は海面にポッコリ浮いてくる。
取り込みは慌てることなく、小型であればそのまま抜き上げ、50cm以上の良型であればタモ取りする。
アタリから巻き上げまでのイメージ
取り込み
①巻き上げるとアラが海面に浮上する②ハリスをたぐって船内に抜き上げる
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アラはエサを食い込むと竿先をたたく引きをみせる
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東伊豆は夏アラの好期に突入し、連日のように釣れている。
1kg前後のオニカサゴやキダイなども交じりクーラーはにぎやかだ。
東伊豆は高確率でアラが釣れる今がチャンス。
ぜひチャレンジしていただきたい。
COLUMN・アラの毒トゲに気を付けよう
アラは背ビレとエラブタ付近に毒トゲがあり、刺されると激しく痛み、腫れる。
○で囲んである部分には触れず、ハサミでカットしておくと安全だ。
また、エラブタは硬く鋭利な刃物のようなので、くれぐれも注意しよう。
ハサミで棘をカットしておく
出典:
隔週刊つり情報(2022年8月15日号)※無断複製・転載禁止