常磐エリアにもタチウオが回遊することは昔から知られているが、釣れてもほんの数日で、あっという間にいなくなってしまうから安定した釣り物としては定着していなかった。
ところが数年前からはある程度の群れがとどまるようになったのか、タチウオが新たな釣り物として成り立つようになってきた。
それが大ブレイクしたのが一昨年くらいからだろうか。
とはいえ釣れても2~3カ月の短期間だから取材の機会を逸していたのだが、今シーズンは少し早めの12月から釣れ始めた様子。
これは初釣り取材にはうってつけだろうと1月4日、茨城県日立久慈漁港の第八日正丸を訪れることにした。
やっとタチウオが見つかった!
当地の初出船は3日だが、初日は3隻ともマダイだったので、タチウオ船は4日からスタート。
集まった釣り人は総勢2名。
くじ引きで釣り座を振り分け、自分は阿久津凉久船長操船の大産日正丸に乗り込むことにした。
当船はジギング6名、エサ釣り4名。
正月時間のため午前7時前にゆっくりと出船する。
7時半ごろ、「まずはこの辺から探していきます」と到着したのは日立市沖の水深50m前後。
山縣雄太船長の第八日正丸はもう少し沖めを探索しているようだ。
周囲にはほかにもタチウオ船が何隻かいて、連絡を取り合いながら反応を探している様子。
船長に大体どの範囲まで探索するのか聞くと、南は大洗沖くらい、北は平潟の手前くらいまで探しに行くという。
常磐のタチウオ釣りでまず大変なのがこの反応探し。
海底は砂地や磯場など様ざまで、これといった目標物もないからタチウオの移動がとにかく激しいという。
前の日は大洗沖で釣れていたのに、翌日には平潟沖に群れが移動していたなんてこともよくあるらしい。
幸いにしてこのところは日立沖周辺で群れが見つかっているようだが、東京湾のように釣り場が一定しないのが最大の難所。
タチウオがいなければ、釣り方どうこう以前の問題である。
前日出ていた船の話では、ようやく群れが見つかったのが10時ごろだったとか。
この日も何回かそれらしき反応に仕掛けを入れてみたがノーヒット。
平潟沖のほうまで探索しに行った船も反応が見つからずUターン、これまで全船1本もタチウオが釣れていないらしい。
去年は反応が見つからず船中空っぽの日が数日続いたこともあったそうだ。
あちゃ~、こりゃ明日、東京湾でリテイクしなきゃならんかなと覚悟を決めた9時半、「ちょっとやってみて」と船長がアナウンスした直後、ジギング組のロッドが次つぎと絞り込まれる。
「タチウオかも!?」船長が叫ぶや否や、ポンポ~ンと1mクラスの銀白の魚体が取り込まれた。
イタ~!!
やったね凉久船長!大手柄。
なんと全船一番乗りで群れ発見である。
「すぐにほかの船も来るから今のうちにどんどん釣っちゃって」と反応に当て直して態勢を整えるころには日立~平潟の船が10隻以上集まってきた。
けっこうタチウオ狙いの船が出てたんだなと思っているうち、鹿島や大洗の船も集まってきて大船団となる。
ちなみに場所は久慈港沖の水深36m前後。
前にも釣れた実績のある場所だそうだが、この日はちょっと浅めに群れがいたようだ。
群れさえ見つかればパラダイスが待っている。
出典:
3種の釣り方を試してみると・・・
反応は海底から20m上までビッシリと出ており、ここからはまさに入れ食い、入れ掛かり。
ただし魚影が濃すぎるせいかラインブレイクも多発してその修繕に手間取る人も。
一方のエサ釣り(テンヤ)組はアタリがたまにあるくらいでパッとせず。
ルアー優勢とは聞いていたが、まさかここまで差が出るものだろうか。
ひとしきり撮影を終えたところで物は試しとまずは160gのジグを下ろしてみる。
フォールのアタリに注意しながらぎこちないワンピッチジャークで探っていると、常にタチウオがラインにじゃれついてきているような感触がある。
そのうちにうまく合わせが決まって難なく1本目。
ん~こりゃ確かに簡単だわ。
よし、もう1本釣ってみようと再投入したら、どこかに傷でも付いていたのだろう、あっけなくラインブレイク。
お次はテンヤ。
50号のイワシカラーを投入。
ルアーに好反応を示していることから早めの動きがいいだろうとノンストップバイブレーションで攻めていき80cm級を1本。
それにしても、確かにアタリはあるけどなかなか掛からない、というか掛けられない。
どうにかメーターオーバーの良型を1本釣って溜飲を下げたが、次の投入ではまたしても高切れでテンヤをロスト。
いやでもね、あれだけアタリがあるならうまい人なら絶対釣れるはず。
よし、次回の忍塾で忍に仇を取ってもらおう。
最後は一番試したかったテンビン釣り。
これだって絶対釣れるでしょ!と思っていたのだが、アタリはすぐに出るものの、なかなか食い込ませられない。
そもそもジギングが3本5本と連釣していく中で1本を釣るための時間的ロスが大きい。
結局、ハリ掛かりさせる前にまたまた高切れでテンビンごとロスト。
とりあえず仕事が早いのはジギングということを体感できたので納得の終了とした。
ちなみにここまで何回か反応に当て直したが、釣ってるうちに反応が抜けて釣れなくなってしまうことはないのか船長に聞くと、一度反応をとらえたらそのまま沖揚がりまで釣れ続くことがほとんどだという。
要するに常磐のタチウオはいかに早く反応を見つけるかが肝心で、その時間が釣果に反映されるということだろう。
12月には最高80本という日もあったそうだが、この日は9時半から釣れ始めて12時の沖揚がりまでにトップ55本。
ジギング組はおおよそ30本前後、エサ釣りは10本に届かず、途中でテンヤ切れして3本に終わった人も。
ジグ、テンヤともにとにかく高切れが多いから、仕掛けの予備は十分に用意しておきたい。
また、船長によるとシーズン初期はどんな釣り方でも釣れるが、後半になると魚がスレてくるのかルアーがよかったりエサがよかったりと偏りも出てくるので、色んな仕掛けを準備しておいたほうがいいとアドバイスしてくれた。
いずれにしろ群れさえ見つかれば爆釣確実の常磐タチウオ。
令和4年も春先まで続くことを期待したい。
(上)この日は水深が浅かったのでテンヤは40~50号で大丈夫だったが、60~80号を使う人もいるとか。(下)テンビンはオモリ50号を使用。船長推奨は80~100号。状況を見て使い分ければいい。
出典:
新春から大フィーバーとなった常磐新名物のタチウオ。少しでも長く続くことを期待したい。
出典:
『太刀魚・初釣り虎の巻』藤田和広さんに聞いたジギングのコツ
竿頭の藤田さんはタチウオのほかタイラバやワカサギなど、なんでもこなす釣り歴20年以上のマルチアングラー。
当地のタチウオジギングのコツを聞いてみると、群れの移動が速いので、とにかく重めのジグを使ってなるべく早く落としたほうがいいとのこと。
使用ジグは180~200gで、これは船長も推奨していた。
また、色によっても差が出ることがあり、この日は緑系と金赤など金色交じりがよかったと教えてくれた。
渋くなるとルアーによっても差が出てくるそうだ。
出典:
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