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釣れる人とバラす人はここが違う!キハダを逃さない名手の戦略~名手2・茂木俊宏さんのキハダ戦略~

隔週刊つり情報編集部

日々進化する釣りに正解はない。

しかしよく釣る人の戦略を知れば間違いなくスキルアップにつながる。

そこで今回は名手二人が実践するキハダ釣法を密着取材し、バラシを防ぎ、高確率で獲るキーポイントを探る。

固定式テンビン+マグロリングでキハダを弱らせサメの襲撃をかわす

二人目の名手は持論のサメ対策でキハダの獲得率を格段に高めた茂木俊宏さん。

魚をすみやかに弱らせる工夫をこらし、一定のペースで巻き上げてサメの襲撃をかわす独自の手法を紹介する。

茂木俊宏(もてぎとしひろ)

相模湾のコマセキハダ黎明期から、小坪港・洋征丸の高木船長とともにキハダの仕掛けや釣り方に悩み、試行錯誤し、数年前にたどり着いた独自のノウハウで大物を仕留めるベテラン。

昨年は6回乗船し4本を手にした。

「シーズン後半に増えるサメの襲撃にはさんざん泣かされましたが、今の仕掛けや釣り方にたどり着いてキャッチ率がアップしました」
 
そう話す茂木俊宏さんは、常宿の相模湾小坪港・洋征丸のキハダ・カツオ船に昨年6回乗船し、4打数4安打で一度もバラすことなくキハダを釣り上げている。

「昨シーズンはデキすぎです」と謙遜する茂木さんのキハダ戦略は、サメ対策だけでなく、様ざま要因でバラシに泣いた中級者のステップアップに役立つノウハウが詰まっている。

釣り人の写真

取材日はカツオの釣果に甘んじたが、茂木さんは昨シーズン洋征丸で4本キハダを上げている(写真は昨年撮影)

仕掛けの補強は万全。ハリの結び目を隠す細工でアタリを出させる

茂木さんのキハダタックルは下図のとおり。
 
竿は感度に優れた穂先と大型の魚を引き上げるバットパワーを両立させたダイワのゴウインブルHH・220・V、リールはパワフルな大型電動・シマノのビーストマスター9000。

道糸はハリス26号の強度に余裕で耐えられるPE12号を700m巻いている。
 
道糸の先端処理はダブルラインで輪を作り、8の字結びでチチワにする方法。

この方法は強度が十分あり、オマツリなどで道糸に傷が付いたとき、色変わりでラインをカットし手早く結び直せるという。
 
釣り方の詳細は後述するが、茂木さんのキハダ戦略は、様ざまな工夫で魚に負荷をかけた状態で走るだけ走らせ、すみやかに弱らせて釣り上げる方法。
 
そのためテンビンは、キハダが疾走するときコマセカゴが潮の抵抗を受けることで魚に負荷をかけられる固定式を使用。

潮の抵抗でテンビンが破損するのを防ぐため、すべての金具を強度に優れたパーツに交換し補強している。

茂木さんのキハダタックル

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タックル

タックルは青物用ワンピースロッドとPE12号を700m巻いた大型電動リールの組み合わせ。

テンビン&コマセカゴ

テンビンは軸太の青物用の金具類を丈夫なパーツに交換してカスタマイズ。

コマセカゴはプラカゴLサイズ、オモリ130号(洋征丸の標準オモリは100~130号)。

テンビンの写真

(左下)ハリスの先端は編み付け結び(右下)テンビンとコマセカゴはトローリングスナップで接続

仕掛けは、ハリスはクレハ合繊「シーガー・プレミアム万鮪」22~26号、ハリはインターフック「ジャイアンとキハダマグロ」16号。

通常はハリス22号、大型化するシーズン後半は26号を使う。
 
ハリスの長さは6mがメイン、流し釣りでコマセで魚を寄せるときは状況で8mも使う。
 
ハリの結びは坂本結びで、結び目の上からスキンゴムを巻いている。

「環付きバリは丈夫ですがシルエットが大きいので、キハダがハリの結び目を嫌っている気がして、ピンクのスキンを巻いて隠す細工をしてみたら、アタリが出る頻度が増えました」
 
下の写真は、茂木さんの仕掛けにオキアミを付けた状態。

海中でエサが目立つように、1匹はハリ軸に沿って刺し、もう1匹は背側からハリに刺して同じ向きに付け、ボリュームを出している。 

そして茂木さんのキハダ戦略に欠かせないアイテムがマグロリング。

マグロリングは、キハダのエラブタをリングで押さえて弱らせる仕組みで、サニー商事の「マグロッ!リング」22cmを愛用している。

ハリの写真

(左)スキンゴムのロールを幅1cmにカットし3~4回巻く(右)ハリはジャイアンとキハダマグロ16号。チモトにスキンゴムを巻いてハリの結び目を隠している

エサの写真

(左)茂木さんのエサ付けはオキアミの2匹掛け(右)マグロリングは直径22cmタイプを使用

キハダの遊泳層まで仕掛けを下げずにタナを取る

洋征丸で取材した8月下旬は、1流し1投のハイテンポな展開をメインに、群れの移動が遅くなり、しばらく流す場面もあった。
 
当日、船長が出す指示ダナは、前者の場合は「カツオは15~20m、キハダは30m」と魚種ごとにアナウンスされる。
 
一方、しばらく流すときは「35m」とピンポイントのタナでキハダを狙った。

「群れを追っているときは、合図と同時に投入し、手早くコマセをまいてタナに合わせます。1流し1投のときは移動するまで待ち、しばらく流すときは5分に1度のペースで入れ替えます」
 
通常のタナの取り方は、仕掛けを指示ダナよりハリス分下まで沈め、数回コマセをまいてタナに合わせる。
 
しかし茂木さんは、指示ダナよりハリス長の半分、6mの仕掛けなら3mだけ沈め、コマセを2回まいてタナに合わせる。

「船長によると、キハダの進行方向に先回りして船を当てても、ビシ(コマセカゴ)を嫌ってか群れが船下に入ってこないことがあるそうです。タナを取るときハリス分仕掛けを沈めてしまうと、そのつどキハダの遊泳層にビシが入ってキハダが仕掛けを避ける気がするので、ハリス長の半分下からタナを取るようにしています」
 
この手法にしてからアタリが出る頻度が上がったため、シーズン後半に増える流し釣りで狙う場合もタナの取り方は変えていないそうだ。

モゾモゾきたら即合わせ。合わせが決まればマグロリング投入!

「キハダのアタリは小さいので、置き竿にすると船の揺れなどで気づかない人もいると思いますが、手持ちで竿先に集中していれば、モゾモゾ震えたり、フワフワッとわずかに竿先を持ち上げる変化を感じ取れるはずです」
 
茂木さんはタナに合わせて手持ちで待ち、何かしらの変化を感じたらすかさず合わせる。

アタリを見逃さずに即合わせすれば、口角(カンヌキ)に高確率でハリ掛かりして格段にキャッチ率が高まるという。

「キハダの口角にハリ掛かりすればバラすことはほとんどありません。しかし、問題は巻き上げ中や取り込みのときに襲ってくるサメです。サメにはずいぶん泣かされましたが、キハダを暴れさせずに一定のペースで巻き上げるとサメに襲撃されにくいことが分かってから、無事に上がってくる確率が上がりました。マグロリングを使ってキハダを早く弱らせる今の釣り方にたどり着いてからは、まだサメに襲われたことは一度もありません」
 
先述したとおり、マグロリングは、キハダのエラブタをリングで押さえて弱らせるアイテム。

通常はある程度魚がおとなしくなってから投入するのだが、茂木さんは合わせが決まった後、続けてリングを投入する。

釣行の写真

竿を手に持ち、微細な変化をとらえて即合わせ

釣行の写真

洋征丸では船長がマグロリングの投入をサポートしてくれる(写真は昨年撮影)

茂木さんのドラグ設定は2.5kg。

そこに固定式テンビン仕掛けのコマセカゴが潮を受ける抵抗が加わり、さらにリングが効いた状態でキハダを走らせることで効率よく魚を弱らせる。

これが茂木さんのキハダ戦略の決め手だ。
 
合わせが決まって巻き上げると素直に上がってくるキハダもいるが、ほとんど弱っていないため、いざ取り込もうとすると魚が暴れて船の周りに潜むサメに襲撃されるリスクが高まる。
 
しかし、合わせが決まった後に走らないキハダも、マグロリングを投入すると、リングに驚くのか勢いよく疾走して弱らせることができるという。
 
マグロリングを投入するときの注意点は、船団の中でヒットしたキハダが横方向に走ったときは投入しないこと。

魚が横に走ると、周りの船の仕掛けとオマツリすることがあり、リングがオマツリを複雑にすることがある。
 
キハダが横に走ったときは、船長が船を回して道糸を立ててくれるので、それからリングを投入しよう。
 
リング投入後、キハダが走っているときは竿先を下げ、ドラグを滑らせて止まるのを待つ。
 
キハダの走りが止まったら、竿を斜め上に構えて中速で巻き上げ再開。

ドラグが滑って巻き取れないときは、滑らない程度に増し締めする。
 
大型電動リールのパワーにものをいわせ、一定のペースで巻き上げると、サメの気配があるときでも無事に上がってくるという。
 
最後の難関は船の周りに潜むサメだが、茂木さんの経験では弱ったキハダは船に近づいてもほとんど暴れず、すみやかに取り込めるため襲われることもないようだ。

「掛けたキハダをサメに横取りされるのが本当に悔しくて今の釣り方にたどり着きましたが、一番のサメ対策は、サメを寄せ興奮させる魚の血を海に流さないことだと思います。クーラーの中で血抜きをして、港に戻ってから水を抜く方法がキハダ・カツオ船のマナーになるといいですね」と茂木さんは言う。
 
茂木さんのノウハウは、仕掛けも釣り方も、その気になればだれでも実践可能。

サメに襲撃されて悔しい思いをしている読者の皆さん、茂木さんのキハダ戦略を習得して大物を仕留めてください!

即合わせ&マグロリングで仕留める茂木さんのキハダ戦略

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