ブリの若魚〝イナダ〟は手軽に青物の引きを味わえる人気魚。
ここではポピュラーなテンビン仕掛けや食わせサビキなど様ざまな仕掛けや釣り方で楽しめる相模湾のイナダ五目を紹介しよう。
相模湾のイナダ五目出船港MAP
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この秋、相模湾のイナダ五目が好調だ。
本誌船宿データベースを元にした乗合船の出船港は図のとおり、葉山~小田原早川とほぼ相模湾全域にわたる。
船宿によりイナダ五目、青物五目、ライトイナダ五目、ライト五目、ウイリー五目など乗合船の呼び方は変わってくるものの、11月上旬現在、これらの乗合船がメインで狙っているのは、いずれもイナダだ。
サイズは40~50㎝の1㎏前後を主体に、2㎏オーバーの良型も交えつつトップ30~40本前後でいい日は50本以上釣れている。
これに釣り場によってはカンパチ、スマ、ヒラソウダ、カイワリ、マダイなどが交じってくる。
目下、イナダの群れは相模湾沿岸の広範囲に見られるようで、各船とも港前の近場を中心とした水深30~50m前後を狙っている。
相模湾のイナダ五目は11月後半も有望。青物の引きを存分に楽しもう
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仕掛けはテンビン式各種と食わせ(落とし込み)サビキ
相模湾のイナダ五目は図のような様ざまな仕掛けが用いられる。
仕掛けや釣り方は船により多少変わってくるが、アミコマセを使うテンビン仕掛けのシャクリ釣りが基本だ。
片テンビンは腕長30㎝前後で2~2.5㎜径50㎝前後のクッションゴムを付ける。
しかし、取り込み時にイナダに走られると、クッションがのびて取り込みづらいこともあるため外してもいい。
コマセカゴは、食わせ(落とし込み)サビキに転じる場合に便利なオモリ別付けタイプがおすすめ。
サイズはFL以下で、サニーカゴなど金属製の芯が入ったものを使いたい。
オモリは通常60号、ライト船の場合は30~40号を使用する。
相模湾のイナダ五目仕掛け例
テンビン仕掛け①ウイリー
定番は先バリが空バリで付けエサを併用するタイプのウイリー(もしくはスキン)仕掛け。
ハリス4~5号の2~3本バリ、全長は2.5~3mと短めで、これ以上長いと取り込みづらくオマツリしやすい。
ハリは強度がある軸太のグレやヒラマサの9~11号前後。
先バリに付けるエサは、ほとんどの船宿で販売しているオキアミのほか、イカタンを持ち込む人が多い。
テンビン仕掛け②空バリ
ハリスやハリなどの仕様はウイリー仕掛けと同じ。
空バリ仕掛けの付けエサもオキアミかイカタンでよく、食いが渋いときや置き竿でのんびり釣りたいときにおすすめだ。
テンビン仕掛け③魚皮バケ
イナダやカンパチなど青物に的を絞るのなら、魚皮バケ仕掛けも面白い。
ハリスは太めの6号、魚皮バケはハゲやナマズが定番だ。
テンビン仕掛け
コマセカゴはテンビン仕掛けと食わせサビキに併用できるオモリ別付けタイプがおすすめ
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(左)魚皮バケは白系のハゲ皮や、茶系のナマズ皮など色の違うものを組み合わせる(右)テンビン仕掛けの定番は、付けエサを併用する先バリが空バリタイプのウイリー仕掛け
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食わせサビキ仕掛け
九州方面では「落とし込み」、関東では主に「食わせサビキ」と呼ばれる。
極太サビキに小魚のイワシなどをハリ掛かりさせて、そのまま本命の青物などのタナに合わせて食わせるダイナミックな釣趣が魅力だ。
相模湾では本命イナダに加え、ワラサやカンパチ、ヒラメ、マハタなど多彩なゲストが釣れている。
食わせサビキはハリス8号前後、幹糸8~12号、ハリはサバ皮やハゲ皮付きの食わせ胴打7号ほどが目安。
それ以上にハリスが太くハリが大きい食わせサビキはイワシやアジなどベイトのハリ掛かりが悪いためおすすめしない。
食わせサビキ仕掛け
タックルはゲームロッドと小型電動の組み合わせ。食わせサビキはコマセカゴ、仕掛け、オモリの順にセットする
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(左)ベイトはイワシや小アジ(右)サビキに付いたベイトにイナダが食い付きハリ掛かりする
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タックル・TACKLE
竿は全長2m前後の7:3調子で使用オモリに対応したゲームロッドなど。
イナダは2㎏オーバーともなれば引きも強いので、胴に張りがあるタイプのほうが釣りやすい。
食わせサビキを使う場合は、ハリス8号前後に対応したものなら安心だ。
リールは道糸PE3号前後(ライト船は2号以下)を巻いた小型電動か小~中型両軸を組み合わせる。リールのドラグが緩いとなかなか巻けず、魚に走り回られてオマツリの原因になるので、あらかじめ締め気味に調節しておこう。
また、イナダ五目ではないものの、葉山方面の「落とし込み五目乗合」でも食わせサビキの釣りが楽しめる。
こちらはワラサ・ブリが主体で、ブリ対応の食わせサビキとオモリ120~150号を用い、タックルは使用オモリに準じたワラサ・ブリ用となる。
ルアー
ほとんどのイナダ五目船はルアーも同船可能。メタルジグは40~60gがメイン
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テンビン仕掛けで手堅く本命・食わせサビキで豪華なゲスト
今回取材した平塚港の庄三郎丸は、片テンビン式のウイリー仕掛け、魚皮バケ、食わせサビキ、ルアーなど様ざまな釣り方で楽しめる「ライトイナダ五目」の看板で出船中。
釣行した10月30日は平日にもかかわらず3隻出しと大盛況、中村友紀船長が舵を握る船は乗船者12名で6時に出船。
平塚沖の水深30m前後、底から5~10mの指示ダナで、まずはテンビン仕掛けのコマセシャクリ釣りでスタートとなった。
開始早々、船内あちこちで竿が曲がって1㎏級のイナダが次つぎに釣れ上がる。
早朝の好時合が1時間ほど続き、イナダがダブルで取り込まれることもしばしば。
同級のスマも数本交じった。
各自が10~20本ほどイナダをキープした9時過ぎに移動。
15分ほど走って大磯沖に到着する。
「水深50m、テンビン釣りは底から5~10mを探ってください。食わせサビキは海面から30~40mにベイトの反応が出てます」とのアナウンスに、大半の方が仕掛けを食わせサビキに替えて再開。
目下のベイトは10~15㎝ほどのウルメイワシや小アジ。
サビキ仕掛けがベイトのタナに入るとすぐにハリ掛かりしてプルプルと竿先が震え、指示ダナの下限までゆっくり下ろして待っていると、ブルブルッとイワシが暴れた直後にグイッと引き込まれてヒット!
上がってきたのは1.5㎏級のイナダだ。
その後は1~2㎏級のイナダがポツポツ釣れて、3㎏オーバーのワラサも上がった。
船下から反応が抜けベイトの付きが悪くなると船長は移動を告げ、ベイトの反応を探して潮回りを繰り返す。
食わせサビキも主役はイナダだが、底付近まで仕掛けを下ろして底生魚を狙っていた方がヒラメをキャッチ。
沖揚がり間近に小型のカンパチも交じって釣果に華を添えた。
釣果はイナダが10~25本と皆さん青物の引きを満喫。
スマ、ワラサ、カンパチ、ヒラメと多彩なゲストにも恵まれた。
当日は顔を出さなかったが、同船では食わせサビキでマハタやカサゴなどの根魚や、前号で紹介したオオニベも釣れている。
一度に色いろな魚を釣りたい向きにイチオシだ。
テンビン仕掛けの釣り方イメージ
テンビン仕掛けは誘いが肝心・食わせサビキはベイトをハリ掛かりさせてからが勝負
誘いはシャクったあと、しっかり止めの間を入れる
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テンビン仕掛けの釣り方
テンビン仕掛けの釣り方は上図のとおり。
コマセをまきながら指示ダナの範囲を誘い上げていく。
竿先を斜め下から水平までスイッとシャクリ上げたら、2~3秒止めの間を入れるのがコツ。
アタリは止めの間を入れているときに竿先がモゾモゾしたり、コンッと弾かれたり、シャクリ上げた竿先がグッと押さえ込まれたりと様ざまだが、何かしらの変化を感じたら竿を立ててハリ掛かりを確認しよう。
食わせサビキ釣り方イメージ
食わせサビキの釣り方
先述したように、食わせサビキは、食わせ釣り用のサビキ仕掛けにベイトをハリ掛かりさせ、そのまま本命のタナに合わせて食わせる。
「○~○mにベイトの反応が出てます」と船長がアナウンスするので、最初はタナの上から2~3m刻みで落として探り、タナの下限まできたら、下から上へとシャクリ上げる。
ベイトがハリ掛かりしたら、本命のタナに合わせる。
イナダはタナの下方を遊泳しているケースが多いので、ゆっくり指示ダナの下限まで下ろしてアタリを待つ。
ヒラメやマハタなど底生魚を狙う場合は底付近まで下ろして待つのだが、ベイトが滞留している場所は起伏の激しい岩礁帯も多いので根掛かりに注意。
ハリ掛かりさせたベイトが暴れたら捕食魚が近くにいる期待大。
竿先をたたくような派手なアタリがきても慌てずに、強く引き込まれてから竿を起こして合わせよう。
さて、食わせサビキの釣りで一番注意したいのが取り込み。
魚が上バリに掛かっていた場合は、コマセカゴをつかんで抜き上げ、下バリに掛かっているときは、幹糸と枝スの結び目付近をつかむと滑りにくい。
しかし、取り込みに自信がない人は無理をせず、船長か周りの人にタモ取りを頼もう。
相模湾のイナダ五目は例年2月ごろまで楽しめるが、釣れている今こそチャンス。
どうぞ釣行はお早めに!
取り込みは抜き上げが基本。幹糸をしっかりつかんで抜き上げよう
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隔週刊つり情報(2020年12月1日号)※無断複製・転載禁止