「デカイぞ! タモ!」
東の空が朝焼けに染まった早朝の犬吠埼沖。
海面に浮かんだ赤い魚がタモに無事収まり歓声が上がる。
釣った本人もビックリのアカムツは後検寸45cmのジャンボサイズであった。
関東屈指のアカムツの宝庫、犬吠埼沖が1月に開幕し、その2週間後に茨城県波崎新港・丸天丸を訪れた取材日は、冒頭のアカムツに続いて30cm級が登場。
「今日は釣れるぞ!」とだれもが思い船上は熱気に包まれたが、その後はサメやサバの邪魔と強烈な二枚潮に悩まされ後が続かなかった。
今シーズンは今のところ水深200m前後を中心に狙い、数はいい日でトップ5尾前後とのびていないが、40~50cm級が当たり前のように顔を出すポテンシャルの高さは健在。
二枚潮が収まるなど条件がよくなれば、数、型ともほかのエリアを圧倒する犬吠埼沖ならではの釣れっぷりが戻ってくるはずだ。
当日は水深200m前後を中心に転々と流した
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これで30cm級、丸まる太って重みがある
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ホタルイカエサはクーラーで冷やして保管
丸天丸のアカムツ乗合はホタルイカエサ1パックが乗船料に含まれる。
量もたっぷりで身もしっかりしているが、冬とはいえ船ベリに出しっぱなしにすると鮮度が落ちやすい。
使う分を小出しにして、残りはクーラーにしまって保冷しよう。
(左)丸天丸のホタルイカエサは鮮度抜群 (右)すぐに使わない分はビニール袋などに入れて氷が効いたクーラーへ
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犬吠埼沖が関東エリアの新たなアカムツ釣り場として注目を浴びたのが2017年。
25~50cm級を2ケタ上げる人が続出し、数、型ともにほかのエリアを圧倒するポテンシャルの高さで釣り人を驚かせた。
資源管理を目的とした地元の取り決めで、2018年から釣期は1~6月末と定められ、仕掛けのハリ数は2本まで、当初は一人10尾だったバッグリミットも2022年から8尾までに制限された。
しかし裏を返せばそれだけ魚影の濃いアカムツ漁場の証でもある。
今年は2月がビッグチャンス!?
開幕2週間後の1月13日に茨城県波崎新港・丸天丸を訪れた取材日は、早朝に水深200m前後を流して45cmのジャンボサイズと30cm級が上がり幸先のいいスタートとなったが、その後は外道と二枚潮に悩まされ後続がなく沖揚がりとなった。
「トップで5尾とまずまずの日もありましたが、今年はまだまとまった群れが入ってきていないのか今のところアカムツのアタリは少ないですね。
そのうえサメ(ツノザメなど)の邪魔が多くてまいってます」と久保船長も頭を抱えていた。
後日、3年ぶりにパシフィコ横浜でリアル開催された釣りフェスティバルの会場で、各地のアカムツ釣りに精通したヤマシタスタッフの山中陽介さんに丸天丸での取材日の様子を話すと、「厳しかったですね。でも今年の犬吠埼沖のアカムツは1月前半は苦戦すると思っていました」と意外なコメントが返ってきた。
山中さんによると、2017年以降の犬吠埼沖のアカムツは、前年に関東近海に黒潮が近づいている期間が長かった年は1月の開幕から絶好調の場合が多く、逆に前年は黒潮が離れていた期間が長かったという年は2月ごろから模様が上向く傾向が見られるとのこと。
今年は後者にあたるそうで、「早ければ1月下旬ごろからよくなると思いますよ」と言っていた。
その翌日(22日)に丸天丸から吉報が届く。
「今日はよかったですよ。40cm前後の良型主体に最大で48cmも上がって2~8尾とオデコなし。釣り場は取材したときと同じ水深200m前後ですから新しい群れが入ってきたみたいです」と船長。
山中さんの予想が的中して急上昇した犬吠埼沖のアカムツ。
2月は本来の釣れっぷりに戻り、ファンを喜ばせてくれるだろう。
タックルは電動リールの糸巻き量が重要 仕掛けの仕様は状況でアレンジしよう
犬吠埼沖の主なポイントは水深150~250m前後で標準オモリは200号。
久保船長によると、どこを流すかは潮の速さと群れ次第。
釣りやすい潮流、そして魚影の濃い場所を選んでいるとのこと。
タックルは電動リールの糸巻き量が重要だ。
水深250mのポイントでも速潮時は道糸が300m以上出て着底することも珍しくないので、PE3~4号が最低でも400m以上巻ける物が必要。
シマノであれば2000番、ダイワなら300番などが軽量コンパクトでロッド操作も軽快。
体力的にも楽になる。
もちろんサイズにこだわらなければ3000番や500番でも問題ない。
また二枚潮や速潮の日はオマツリが多発して摩擦による高切れもあるので、予備の電動リールも必ず持参してほしい。
竿は使用オモリに対応したアカムツ専用や中深海用などで、手持ちでアグレッシブに誘うなら全長2m前後の7 :3調子、置き竿なら全長2.4m前後の6:4調子が好適。
仕掛けの仕様は下図のとおり。
前述したとおり犬吠埼沖のアカムツのハリ数は2本までがルール。
ハリは口が弱いアカムツのバラシを防ぐ太地のネムリ系が定番。
サイズ16~18号のホタバリ、アカムツ専用バリなどだ。
枝スの長さは通常は60~70cmだが、速潮時はエサが潮に吹かれて枝スが張り気味になる。
そんなときは80~90cmと長めにするとエサがフワフワと漂ってアピール度が増し、食い込みもよくなる。
ハリのチモトや軸に付けるアクセサリー類は、適度な浮力でフカセ効果を生むマシュマロボールとケイムラのフロートパイプの実績が高い。
捨て糸の長さは150cm前後でスタートし、下バリにサメやユメカサゴなどの外道が頻繁に掛かるようなら最大300cmまで延ばし、外道が少なくアカムツのアタリも遠ければ70 cmくらいに詰めて底近くを探る。
ホタルイカのエサの付け方
当地のエサ付けはツボ抜きしたホタルイカをハリに刺すスタイルが主流だが、ここではエサ持ちがよく最近愛好者が増えている1杯掛けの縫い刺しを紹介しよう。
釣り方の基本は 誘い上げとゼロテン アタリがきたらしっかり合わせる
犬吠埼沖の基本釣法はシンプルだ。
着底後、糸フケを取り、竿一杯に誘い上げ、数秒止めて待つ。
アタリがなければストンと竿先を下げ、オモリを着底させてゼロテンで待つ。
竿先を下げてもオモリが浮き上がったままなら、道糸を出して再着底させよう。
以後、誘い上げとゼロテンを繰り返し、船の流れに合わせて仕掛けを根歩きさせるイメージで探っていく。
大半のポイントは泥地に小さな根が点在する緩やかな斜面なのでさほど根掛かりの心配はない。
置き竿で釣る場合も、竿をキーパーに掛けた状態で竿をあおって誘い上げ、アタリがなければストンと竿を下げオモリを底に着けてゼロテンで待つ手順を繰り返せばいい。
誘いは動かし続けるのではなく、必ずアカムツがエサに食いつく間を取ることが重要。
前述したとおり、潮が速いときはエサが潮に吹かれてフワフワと自然に漂うので、速潮時はゼロテンで待つ時間を長めに取ろう。
誘い上げとゼロテンでアタリが遠いとき、誘い上げの代わりに電動スロー巻きで誘ってみるのも効果的。
巻き上げ速度が30段階のリールであれば速度3くらいのスロー巻きで底から3~4mのタナを探り、アタリがなければ再着底させゼロテンでしばし待つ。
これを繰り返す。
潮が速い場合は、ゼロテン状態を保つため、再着底させるたびに道糸を出していくことになる。
50~60mくらい道糸を送り出すと糸が斜めになってくるので、30mくらい巻き上げて再着底させ、できるだけ道糸を立てるようにする。
船下に道糸が切れ込む側のときは、糸を出し過ぎると船底にこすれる危険があるので、リセットするつもりで仕掛けを回収し、エサを付け直して再投入しよう。
アカムツのアタリは独特で竿先を鋭くガクガクたたく。
アタリを感じたら大きく竿を立て、しっかり合わせる。
合わせを入れるとアカムツの硬い上アゴに掛かる確率がアップし、バラシ軽減につながる。
また、合わせ遅れて口周りの薄皮にハリ掛かりしていると、巻き上げ中にハリ穴が広がり、ラインが緩むとスッポ抜けやすい。
巻き上げ速度は毎秒1mくらいで、波やウネリで船が大きく上下するときはドラグを効かせてテンションを保つ。
またポイントの水深が深いと、巻き上げるうち徐々にスプールが太くなるとともに巻き上げ速度が速まるので、そのつど調節する。
取り込みは魚の大小にかかわらずタモのアシストを頼もう。
INFORMATION
茨城県・波崎新港 丸天丸
070・3826・0010
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隔週刊つり情報(2023年2月15号)※無断複製・転載禁止