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水深4mの超浅場攻め外房岩船沖のヒラメが熱い!

隔週刊つり情報編集部

実話を元に、不漁にあえぐ漁師の復活劇を描いたドラマ『ファーストペンギン』のロケ地で脚光を浴びた外房岩船港。

この地で唯一の遊漁船の看板を掲げる「史丸」が得意とする釣り物がヒラメだ。

周年ヒラメが居着く地先のポイントは水深4m前後。

今冬もこの超浅場で4~5kg級の大判が数多く上がっている。

目下は岩船沖一帯に小アジが滞留し、その群れに着いた高活性のヒラメが荒食いを見せている。

この好況がいつまで続くかは神のみぞ知るところ。

なるべく早めに釣行したい。

超浅場ポイントを攻略岩船沖のヒラメ高活性

外房岩船港をご存じの読者の方は少ないのではないだろうか。

岩船港は大原港と岩和田港に挟まれた小さな漁港で、船宿は1軒しかない。

この地で3年前から遊漁船を始めたのが史丸の吉田史明船長。

イセエビ漁のかたわら、ヒラメやマハタを独自のポイントで釣らせてくれる。

とくにヒラメ釣りは他船が入ってこない地先の超浅場のポイントを攻めることが特徴。

4m足らずの水深で大判ビラメが食ってくる穴場的存在だ。

開始早々良型が上がる

暮れも押し迫った12月13日、狙いはこのところ好調なヒラメだ。

岩船沖には10日ほど前から小アジの回遊が見られ、それに良型のヒラメが着いているようで、史丸では4kgオーバーの良型も上げている。

5時に集合し、生きエサを積み込んでから出船となる。

普段はイワシを使うがこの日はイワシが品切れのため、エサ屋が運んできたのは15cmほどの小アジだった。

小アジはイワシに比べて丈夫で弱りにくく、食ってくるヒラメが平均的に大きいのが特徴だ。

とくに現在はアジが回遊中ということもあり、マッチザベイトの効果も期待できるだろう。

まだ辺りが暗い中、向かったポイントは航程10分ほどの岩船沖8mダチ。

魚探は底層にアジの反応、中層には小サバの反応で真っ赤になっている。

海底にはこれらの小魚を虎視眈々と狙うヒラメがいるに違いない。

「始めてください。引っ掛かるので注意して」と船長の合図で釣り開始。

タナは底スレスレをアジが泳ぐようなイメージで取る。

海底は起伏があり、船はスパンカーをたたみ風を受けて横流しにするため、タナをまめに取り直すことが大切だ。

オモリを引きずると根掛かりするので、底に着いたら素早くタナを切る。

東の空に朝焼けが広がり始めたころ、胴の間の釣り人にアタリがきた。

水深は浅いが、魚の引きが強烈でなかなか上がってこない。

魚影が見えたところで船長がさっとタモを入れた。

船中1枚目は3.4kgの良型ヒラメだった。

流し変えのたびにアタリは続く。

ミヨシでは2kg級、トモでは1kg半の本日の平均サイズのヒラメが上がる。

トモの釣り人には強烈に糸が引き出されるアタリがきたがハリス切れ。

走り方は青物のようだったが、サワラかもしれない。

2年前に史丸に乗ったときには、1m超えのサワラが上がったのを見たことがある。

この時期は浅場でもワラサやヒラマサなど青物が小魚の群れを追っており、不意の大物が食ってくるので油断できない。

「アジの反応は出っぱなしで、もっとバリバリ食ってもよさそうだけどなぁ」と船長。

小魚の群れに着いているヒラメは活性が高いという。

この日の活性はそれほどでないというが、飽きない程度にアタリはある。

アジの場合はイワシよりも食い込む時間が長いので、じっくり待たずに早合わせしてのバラシも見られた。

釣行の写真

▲朝イチに上がった当日最大3.4kg

釣行の写真

▲この日は2kg級がアベレージ

港前でも食い上々

周りがすっかり明るくなると、ほとんどの人がヒラメを釣り上げ、型を見ていないのは私を含めて3人になった。

船長は小移動して港前に移動する。

岩船港の防波堤がすぐ近くに迫るこのポイントの水深は4m。

潮が澄んだ日には海底が見えそうな浅さだ。

このポイントには周年ヒラメが着いているそうだが、ウネリが出たときには入れない。

この日は微風でウネリもなく好条件だ。

時刻は9時を回っている。

そろそろ私も一枚は釣りたいと、竿を手持ちにして底をまめに取り直しながらアタリを待った。

そしてガツン! と竿先がたたかれた。

こんなに派手なアタリが出るのは浅場ならではだろうか。

はやる心を抑えて食い込みのアタリを待つ。

船の流れとともに竿先に重みがかかり、ようやくギュンと竿先が入った。

引っ張り返すようにゆっくりと竿を起こして合わせを入れる。

根掛かりのように動かない、と思ったのも束の間、ゴンゴンと竿を揺さぶる抵抗が伝わってきた。

「やっと食ったぁ!」と思わず船長に声をかけた。

魚の抵抗に逆らわないようにゆっくりとリールを巻くと、ユラリと茶色い影が現れた。

タモに収まったのは2.3kg。

地着きのヒラメらしく、肉厚でポテッとしたボディだ。

そろそろ沖揚がり時間も近いところで全員がヒラメの型を見た。

朝方にハリス切れがあったトモの釣り人も、4枚目となる3kg級の良型ヒラメを上げて破顔一笑。

釣果は一人1~4枚、サイズは1.1~3.4kgと型ぞろい。

岩船沖らしい釣果で本日の釣りは終了となった。

史丸では午前船は浅場狙いのヒラメを主に、希望があればマハタ五目、午後船では一つテンヤマダイに出船する。

年が明けて水温が低下するとイワシの群れが南下し、それをヒラメが追いかけてくるシーズンになる。

超浅場での地着きのヒラメと、イワシの群れに着く渡りビラメの両狙いが面白い。

ナギに恵まれれば、泳がせ釣りのスリルを存分に味わえるだろう。

釣行の写真

▲これも3kg級。岩船沖の浅場はほとんど小型が交じらない

釣行の写真

▲根掛かりに気を付けながら底スレスレにエサを泳がせて狙う

釣行の写真

浅場で掛けたヒラメは青物のような横走りを見せる

知っ得!岩船地蔵尊

岩船港の南側には、この地名の由来となっている岩船地蔵尊がある。

各地の岩船地蔵と同じくここ岩船港の地蔵尊も海上安全・五穀豊穣・諸願成就の守り本尊として地域の信仰を集めている。

朱色の御堂には室町時代に作られた木製の地蔵尊が祀られており、町指定の文化財にもなっている。

実は今回の史丸取材は2回目で、初回はシケの影響で釣果が振るわず再取材になったのだが、帰港後に岩船地蔵尊に赴き、次回の好釣を祈願して帰途についたのだった。

その祈りが通じたのか、この日は潮が直って好釣果に恵まれた。

お地蔵さまに感謝である。

岩船地蔵尊

▲年末年始は岩船の パワースポットで大漁祈願

Tackle Guide

史丸は横流しを主体にするためオモリは80号を使うが、道糸がPE2号以下なら60号を使ってもよい。

この日は全長2.4m前後のライトヒラメ竿に60号オモリを使っている人が多く見られた。

基本的に根の多いところを流すため、胴に乗る軟らかい竿よりも、先調子気味で穂先の感度がいい竿をおすすめしたい。

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隔週刊つり情報(2023年1月15号)※無断複製・転載禁止

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