今年は6月中旬からスタートした相模湾のキハダ&カツオ。
ここでは開幕から豪快な釣果を上げている、生きイワシエサを泳がせて狙うスピニングフカセの必釣ガイドをお届けしよう。
今年の夏もキハダ獲得一番乗りはイワシエサ船
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イワシエサ船の出船状況
出船軒数は少ないものの、キハダやカツオで一度味わいたいのが生きイワシエサのフカセ釣り。
今年は相模湾のイワシエサ船が6月18日に出船を開始、20kg前後のキハダ、3~7kg級のカツオが荒食いを見せクーラー満タンで早揚がりした船が続出する最高の幕開けとなった。
三浦半島葉山あぶずり港の長三朗丸を取材した7月1日は爆釣とはいかなかったものの25kgのキハダが上がり、群れは広範囲に見られたので今後が楽しみな状況。
7月上旬現在、つり情報船宿データベース調べでイワシエサ船を出す船宿は長三朗丸、葉山あぶずり港の秀吉丸、内房勝山港の萬栄丸。
いずれも予約乗合で乗船料はイワシエサ代込みで2万2000円。
氷とクーラーについては船宿ごとにシステムが若干異なるので事前に確認していただきたい。
長三朗丸を例にすると、カツオやキメジが釣れた場合の氷とクーラーは各自で持参。
キハダが釣れた場合は船の保冷箱に保管し、下船後に釣り人のクーラーに移して持ち帰る。
キハダ用の氷は1本に付き1000円で、帰港後に解体を希望すればキハダは1本2000円、カツオ・キメジは1本500円でさばいてくれるシステム。
ほか仕立専門の船宿で、三浦半島佐島の深田正夫丸、長井漆山港の昇丸、長井荒崎港の丸伊丸、宮川港の二宮丸がイワシエサのキハダ・カツオを受け付けている。
駿河湾エリアでは、6月中旬にコマセ釣りの金洲遠征をスタートさせた沼津静浦港・真成丸で1~3kg級のカツオがいい日はトップ10本前後の釣果が上がっている。
高橋判船長によると、今年はカツオの群れが多いとのこと。
今のところキハダの情報はないが、今後の動向を注視したい。
巨大キハダを視野に入れたスピニングフカセのタックル&仕掛け
イワシエサ船は、かつてはカツオ漁さながらの爆発力がある一本釣りが主流だった。
しかし一本釣りでは大型のキハダを仕留めることができないため、近年はカツオやキメジはもちろん、最大80kgを超えるキハダを視野に入れたフカセ釣りがメインとなっている。
リールをフリーにし、イワシの泳ぎにまかせてラインをスルスルと出していくフカセ釣りは、ラインの出がスムーズなスピニングタックルが最適。
長三朗丸の栗飯原由巳船長は、竿は全長1.6~2.1m前後のマグロ用やヒラマサ用のジギングロッドを推奨。
ラインの出がスムーズなガイドの大きなタイプがベストだが、キャスティング用の長い竿は魚に振り回されてヤリトリがきつくなるのでおすすめしていない。
リールはPE6号を300m前後巻ける大型スピニング。
PE4~5号で挑戦する人もいるが、船底にこすれたりオマツリしてもなんとか耐えるPE6号しか船長はすすめない。
ハリスはフロロカーボン20号を1.5~2m。
ハリスが短い理由は、フロロは比重が重くハリスが長いとイワシに負担がかかるため。
道糸とハリスは摩擦系のFGノットやPRノットのほか、手早く結べる電車結びもおすすめ。
船長いわく、糸が太いため道糸とハリスそれぞれ3回転ずつの電車結びで強度的にはまったく問題ないそうだ。
ハリはオーナーばり「カットヒラマサ」13~14号を推奨。
小さめだがキハダの口元に掛かりやすく、これ以上ハリが大きいとイワシの泳ぎが悪くなるとのこと。
スピニングフカセ基本タックル~葉山あぶずり港・長三朗丸の例~
しっかり手入れされた長三朗丸の貸し道具は2000円。イワシエサのフカセ釣り初チャレンジは貸し道具がおすすめ
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(左)ハリの結びは、外掛けや南方延縄など慣れた結びが一番(右)道糸とハリスの接続はおなじみの「電車結び」でOK。これで70kg級も上がっている
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(左)由巳船長が推奨するハリは、オーナーばり「カットヒラマサ」13~14号。ちなみに「カット船ヒラマサ」という名称のハリもあるのでお間違いなく(右)ハリスは20号。シーガー「プレミアム万鮪」など、強度と結節力に優れた高性能フロロカーボンハリスがおすすめ
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フカセ釣りの7割はエサ付けで決まる
エサのイワシはカタクチイワシとマイワシが交じっているが、フカセ釣りの本命といえるキハダ狙いのエサはマイワシを使う。
マイワシは泳力があり、海に放つと潜行するため、カツオの下を遊泳するキハダに有効。
長三朗丸では、釣り場に到着すると8匹ほどのマイワシが配られ、エサがなくなったら各自で取りにいく。
フカセ釣りの流れは下の図のとおり。
群れを発見すると進行方向に船が回り込み、イワシをまいて群れを足止めする。
まいたイワシにキハダやカツオが食いつけば散水が始まりバトルスタート。
ここで気を遣いたいのがエサの付け方。
まき餌担当を長年続けているスタッフの下野さんによれば、フカセ釣りでキハダやカツオに口を使わせる一番のコツは「イワシエサを元気に泳がせる」こと。
フカセ釣りの7割はエサ付けで決まると言う。
まずイワシのすくい方。
海水循環させたオケの中で元気に泳ぐイワシを手で追い回してつかまえると、それだけでイワシはダメージを受ける。
おすすめの付け方は、〝取っ手付きのボウル〟でイワシをすくい、ボウルの海水の中で豆腐をつかむように優しく、かつ確実にイワシをつかむこと。
続いてハリを鼻掛けにしたらハリスをつかみ、すぐにイワシを放す。
イワシをつかんでいる時間をできるだけ短くすることが大切だ。
投入は前方へ軽く振り込み、リールのベイルを起こして道糸をフリーで送り出す。
元気なイワシは真っすぐ、深く潜っていくが、このとき、糸を引き出す力がないイワシは弱っている証拠。
すぐに取り替えたほうがいい。
また30~40mほど道糸が出てもアタリがなければ回収、イワシを付け替えて再投入しよう。
イワシのエサ付けと投入の心得
(左)マイワシのエサ付けは鼻掛け(中)イワシをすくう取っ手付きのボウルを持参しよう(右)エサはイケスに各自で取りにいく
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フカセ釣りの流れ
スタッフがイワシをまき、イワシにキハダやカツオが食いつけば散水が始まり投入開始
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合図が出たらイワシエサを振り込み、ベイルを起こしてフリーで泳がせていく
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スピニングタックルはゴリ巻き厳禁 !!ポンピングで巻き上げるべし
アタリは竿先ではなくラインで見る。
スプールからサーッと勢いよく道糸が滑り出したら、エサに食い付いた魚が走り出したシグナル。
キハダは早合わせするとスッポ抜けてしまうことが多いので、走りがスローダウンしたところでリールのベイルを戻し、大きく竿を立てて合わせる。
リールのドラグはあらかじめ2kg程度に調節しておく。
猛然と突っ走るファーストランをドラグを滑らせて耐えしのぎ、止まったところからヤリトリ開始。
コマセ釣りの電動タックルならリール任せの巻き上げも可能だが、スピニングタックルは体力と根気で引き寄せる。
ここで注意したいのが巻き上げ方。
「スピニングリールはゴリ巻き厳禁。力任せにハンドルだけで巻き上げるとリールのシャフトが曲がって壊れる。必ずポンピングしながら巻き上げないとリールがもたないよ」とは由巳船長のコメント。
リールを巻かずに竿を起こし、竿を下げながら素早く糸を巻き取るポンピングを繰り返して引き上げながら、ドラグを少しずつ締めていく。
ある程度ドラグを締めても竿を起こすときに糸が出てしまうときは魚が大きい証拠。
その場合は糸が出ない程度にスプールを軽く手で押さえて竿を起こす。
キハダは円を描くように上がってくるので、船から遠ざかる向きのときは竿のためで耐え、船に近づく向きになったところでポンピングで巻き上げるのがコツ。
徐々に海面へと浮かせてタモで取り込んでもらおう。
魚が走ったらドラグを滑らせて耐え、止まったらポンピングを繰り返して魚を引き寄せる
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合わせと巻き上げ
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隔週刊つり情報(2022年8月1日号)※無断複製・転載禁止