ヒラメといえば秋冬の釣り物というイメージを抱いている方も多いかもしれないが、九十九里飯岡~銚子地区では産卵の終わった6月から開幕する。
とくに今年は大判ビラメが好調に釣れており、メモリアルサイズを狙うビッグチャンスだ。
アベレージは1kg級ながら、飯岡沖には3~5kg級の大型も潜む
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6月1日、飯岡のヒラメ釣りが開幕を迎えた。
解禁後は居着きのヒラメを狙うのが例年のパターンだが、今シーズンは5kgを超える大判が連日のように上がっている。
飯岡港の隆正丸では銚子沖から飯岡沖を狙って、6月3日は6.9kg、4日には7.9kg、5日には6.9kgを頭に6kg台が3枚、5kg台が4枚と、まさに大判ビラメの大盤振る舞いだ。
居着きヒラメのポイントは根周りや魚礁なので、良型のヒラメが食ってくる確率は比較的高いのだが、今年はとくに大型が数釣れていて、当たり年の様相を呈している。
飯岡沖のポイントはおおまかに根周り、砂地、魚礁の3つに分けられる。
開幕から好調が続いていたのは浅場の根周りで、水深15m前後のツブ根が砂地に混在するポイントだ。
この後は水温の上昇に伴い、水深30~50mの深場に点在する沖の魚礁周りが大型狙いのポイントになる。
さらに、エサとなるイワシの回遊により、水深10m前後の砂地でもヒラメが釣れ始めポイントが広がっていくのが例年のパターンだ。
魚礁周りの深場ではエンジン流しで糸を立てて釣るが、浅場の場合は横流しで探っていく釣り方が多い。
船が舷側から風を受けるように操船し、広い範囲を探る横流しは、飯岡に限らず銚子地区でも一般的な流し方になる。
釣り座による優劣がつきにくく、だれにも一発大物のチャンスがあると言ってもよいだろう。
状況で横流しかエンジン流しで狙う
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孫バリはシングルフック・大判ビラメを想定した仕掛けの仕様
隆正丸ではオモリは80号が標準だが、PE2号以下のライトタックルの場合は60号でいい。
竿は2m前後のショートロッドでもよいが、当地はウネリがある日も多く、2.7m前後のヒラメ専用竿が使いやすいだろう。
水深は深くても50mほどなので手巻きリールでもよいが、近年は電動リールを使う人のほうが多い。
電動リールをバッテリーに接続せず、手巻きで使っている人も見かける。
大ビラメや青物に備え、ドラグはハリス強度に合わせて調節しておく。
仕掛けについては、大ビラメ狙いのときは、とくに孫バリに気を遣いたい。
おすすめしたいのはシングルフックの孫バリだ。
トレブルフックは掛かりがよいが、掛かりどころが悪いと折れたり曲がったりすることがある。
対してシングルフックはガッチリと刺さり、折られることは少ない。
近年ではトレブルフックを使う人が多いが、型狙いにはあえてシングルフックをおすすめしたい。
参考までに、私(伊井)は孫バリは付けない。
これは個人的なこだわりなので、だれにでもすすめるわけではないが、親孫式の仕掛けと比べても遜色ない釣果は出るし、イワシの泳ぎがよいメリットがある。
反面、海が悪い日やソゲ相手には食い込ませにくく、ハリ掛かりが悪くなる。
ハリスは6号がよいだろう。
よほど乱暴なヤリトリをしない限り切られることはないし、ゲストの青物が掛かったときも6号であれば安心だ。
エサのイワシが小さいときには5号に落としてもよいだろう。
ハリスを6号より太くすると、イワシに負担がかかり弱りやすくなる。
イワシの付け方は、まず親バリを口から上アゴに抜き(または鼻掛け)、孫バリを尻ビレ近くに刺す。
オモリが底に着いたら30~50cmほどタナを取り、アタリを待つ。
これは横流しでもエンジン流しでも変わらない。
エサの生きイワシはミヨシにあるイケスに一人あたり20匹ずつ用意されている。
エサの補充は2匹ずつ持ってくるようにする。
面倒がって一度に5匹も取るとオケの中ですぐに弱ってしまうためだ。
とくに夏場の高水温時にはイワシが弱りやすいので扱いに気をつけよう。
飯岡エリアのヒラメ仕掛け~飯岡港・隆正丸の例~
アタリを出させる 状況に応じた捨て糸長の調節
ヒラメ仕掛けの捨て糸の長さは、どの釣り場でも悩むところだ。
基本はハリスを捨て糸より10~20cm長くして、オモリを海底から少し浮かせてアタリを待つ。
これで海底近く、ヒラメの射程距離にイワシが泳ぐ。
とくに飯岡~銚子では波長の長いウネリがある日も多い。
ウネリによって船は1mほど上下を繰り返す。
生きイワシは上下に動かないほうがよいので、ウネリの中でエサを落ち着かせたい場合には、捨て糸をハリスよりも長くして、オモリを海底に着けたままアタリを待つ釣り方もある。
船の流れに合わせてオモリを浮かせては落としを繰り返す(オモリを歩かせる)ようにする。
これは砂地を広く流すときに有効だが、根周りなど根掛かりが多い場所には適さない。
また、シケ後などで潮が濁っている日もある。
濁った潮ではヒラメがエサを見つけにくいので、イワシはなるべく底近くを泳がせてやるようにする。
そのためには、捨て糸を短くして、さらにタナも低くして、イワシが底に着くくらいのタナにしてやるといい。
このように、状況に応じて捨て糸の長さを調節してやると、アタリの多さにつながるはずだ。
親バリは口掛けか鼻掛け、孫バリは尻ビレ後方に打つ
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ヒラメのタナ取り~捨て糸の長さの調節例~
巻き上げのポンピングはNG・取り込みは竿をしっかり起こして魚を船に寄せる
ヒラメのアタリは、ほとんどの場合明確に出る。
アタリが出たらその位置をキープして次のアタリを待ち、竿先が海面に突っ込むくらいの引き込みがきたら、竿をゆっくり大きく立てて合わせる。
大型の最初のアタリは意外と小さいことが多い。
しかし、その後に続く引き込みは力強いものだ。
魚の重みに負けないよう竿をしっかり立てて、ヒラメを底から浮かせよう。
大型の場合、断続的に強烈な引き込みが到来するが、青物のように疾走することはないので竿の弾力でしのいでやる。
魚と引っ張り合いをするのはハリス切れの原因になるので注意しよう。
ポンピングはせずに竿を立てたままリールを巻いて浮かせるのがよい。
魚が海面近くまできたら、幹糸を直結にしている場合は、親子サルカンを竿先の手前まで巻き取り、竿を使ってタモへと誘導する。
道糸と幹糸をサルカンで接続する場合は、幹糸は1mまでにしておく。
それより長いと竿を使ってヒラメをタモに誘導できないためだ。
ヒラメの頭からタモに入れたら一安心だが、最後の注意点。
リールのクラッチを切って、2mほど糸を出してやる。
そうしないと、船に入った魚が暴れて、竿先が折れてしまうことがあるからだ。
取り込みのときに道糸やハリスを手にする人も見かけるが、これはバラしやすいのでおすすめしない。
ヒラメは、口周りの骨の硬いところにハリ先が刺さっただけ(カエシまで貫通していない)のことがある。
タモから船底に落とした途端にハリが外れるのはこのせいだ。
手でハリスをつかむ一瞬にテンションが緩んだり、ヒラメが暴れたときなど、刺さりが浅いとハリがポロリと外れる。
30cm級のソゲならば、ハリスを手でつかんで引っこ抜いてもバラシは少ないが、良型のヒラメは竿でタモまで誘導してやることを心がけよう。
本号発売のころは梅雨のさなかでじめじめした陽気だと思われるが、海上は穏やかな日が多い時期だ。
今シーズンは期待大のヒラメ、ナギの海に出船してメモリアルな大判をゲットしていただきたい。
ポンピングなど強引な巻き上げは禁物。竿を水平か斜め上に構え、一定の速度で巻き上げたい
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ヒラメの取り込み~道糸と先糸が直結の場合~
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隔週刊つり情報(2022年7月15日号)※無断複製・転載禁止