東京湾のシロギスは、初心者からベテランまでが楽しめる人気のターゲットだ。
船釣り初挑戦でも頻繁なアタリや小気味よい引きが楽しめるし、ベテランともなれば様ざまな誘いの手法を駆使しながら、微妙なモタレに合わせを入れて数をのばす。
今シーズンのシロギスは冬の時期から好調の兆しがあった。
2月にプライベートで釣行した際に、真冬の低水温期としては活発な食いで20尾の釣果を得たのだが、注目したのは数よりもサイズが12cmのピンギスから23cmの良型まで幅広く交じったこと。
大きさがばらつくのは、沸きがよい年によくあることだからだ。
そして羽田大師橋際の「かめだや」では、4月に入りトップはコンスタントに70~80尾を釣り上げ、取材日の4月25日には1束釣りも飛び出した。
初夏のハイシーズンを前にしての数釣りスタート、今シーズンは大いに期待できそうだ。
5月上旬現在、東京湾のほとんどの船は中ノ瀬の水深15~20mを攻めているが、水温の上昇とともに富津沖、木更津沖、小柴沖とポイントも広がっていくだろう。
シロギスは沖釣り入門に最適な釣りといわれる。
水深も浅く底も取りやすい。
極端にいえば、エサさえしっかりと付けていれば、置き竿にしていてもアタリはあるし、向こう合わせでもある程度は釣れる。
しかし、誘いをかけて、アタリを取って、ハリに掛けるという一連の動作をマスターすれば、釣果ものびて釣り自体がグンと面白くなるはず。
間口は広いが、その奥はとても深い釣りなのだ。
シロギス釣りでまずマスターしたいのがキャストだ。
これからシロギス釣りを始めようとする初心者は船下狙いだけでもよいが、ステップアップのためにはぜひともキャストを覚えたい。
キャストすることにより、探る範囲、誘いのバリエーションも増えてくる。
シロギス釣りはキャストが大事
図1に簡単なアンダーハンドキャストの説明を載せる。
振り子運動でオモリ(仕掛け)を前方に送り出すだけで5mくらいは投げられるはずだ。
まずは指を放すタイミングを覚えよう。
指を放すタイミングをつかんだら、徐々に竿の反発力をオモリに伝えていこう。
オモリを持ち、糸を張って、竿先が軽く曲がるくらいにテンションを与えた状態から、竿の弾力でオモリを加速させる。
このとき、オモリを持って、ハリスとハリは海に向けて垂らしておけば、誤ってハリを指に刺すこともない。
最初から遠くに飛ばそうとは思わず、少しずつ距離をのばしていくのがコツだ。
また、船上では竿を振りかぶって投げるオーバーハンドキャストは危険なので禁止、ということも覚えておこう。
飛距離が出るようになったら、潮の動きを読んでキャスト方向を変えてやろう。
船が前か後ろに流れているときは、自分の正面にキャストすると道糸が潮下に流され、潮下の人の仕掛けにかぶさりオマツリの原因になる。
これを防止するには、潮上方向へキャストしてやるとよい。
図2では、投入直後は道糸が潮上側に斜めになっているが、仕掛けを引いて船下に近づけてくる間に、船が潮に乗って動くので道糸の角度は潮上方向から正面方向になってくる。
こうすることで潮下の人の仕掛けにかぶるのを防げる。
潮が緩ければ、船の正面に向かって投げればよい。
次にシロギス釣りの代表的な仕掛けである、テンビン仕掛けと胴つき仕掛け、それぞれの釣り方、誘い方を解説したい。
(左)イソメエサの付け方はハリに通し刺し、タラシは2~3cmでいい。(右)船下狙いでそこそこアタリは出るが、キャストで広範囲を探れば数ものびる。
出典:
テンビン仕掛けの釣り
テンビン仕掛けでの誘い方は、仕掛けを引いてアタリを出す。
いわば「横の誘い」と言える。
仕掛けをキャストしてから、引いては止め、の繰り返しでアタリを待つ(図3-1)。
キャストしてオモリが着底したら、手前に引きずってくる。
引く速さは魚の活性や潮の速さによって変わってくるので、状況にマッチした速さを見つけよう。
仕掛けを引くことにより、エサが浮き上がり誘いになる。
アタリは引いているときと、止めたときに出る。
アタリを感知するには、ハリスが張った状態を作ることが重要になる。
ハリスがたるんでいるとアタリが竿先に出ないからだ。
オモリを引く動作は、エサを浮かすこととハリスを張ること、2つの目的がある。
コツンとかモゾッなどアタリは小さい。
合わせは手首を返して竿先を少し引けばハリ掛かりする。
ブルブルッという派手なアタリは、エサを口にしたときの小さなアタリを見逃したため、魚がハリを異物と感知して吐き出し暴れるときに出る。
この場合はハリ掛かりするかしないかは魚任せになってしまう。
最初の小さなアタリを見逃さないように集中しよう。
テンビン仕掛けの特徴は、遠くに投げても絡みにくいことだ。
浅場でキャストして広く探る場合は、テンビン仕掛けが使いやすい。
胴つき仕掛けの釣り
テンビン仕掛けが「横の誘い」とすれば、胴つき仕掛けは「縦の誘い」と言える(図3-2)。
オモリの着底時はエサがまだ底に届いていないので、3~6秒くらい待って仕掛けを潮になじませる。
このときにアタリが出ることも多い。
仕掛けがなじんだところを見計らい、竿をゆっくりとあおってオモリを浮かす。
このときに仕掛けが張り、エサは水中に浮き上がる状態になる。
このときに出るアタリが最も多い。
縦の誘いにおいても、ハリスを張った状態を作るのが重要なので、誘い上げる幅は1mほどにする。
アタリの出方はテンビン仕掛けと同様にコツンと小さいが、オモリを止めているときに引ったくるような強いアタリが出ることもあるのが胴つき仕掛けの特徴でもある。
いずれのアタリも、手首を返して軽く合わせを入れてやる。
胴つき仕掛けは、ハリスがヨレると幹糸に絡みやすくなる。
仕掛けを上げたときにまめにヨレの有無をチェックし、ヨレたハリスは引っ張ってのばすか、新しいものと交換してやろう。
胴つき仕掛けが活躍するのは、キャストしても引っ張る距離があまり取れない深場狙いや、底が小石や砂利交じりの場所でオモリを引っ張るとノイズを拾ってしまうような場合だ。
また、キャストが苦手な初心者が船下を狙う場合は、胴つき仕掛けのほうが誘いが簡単で使いやすいと思う。
以上、各仕掛けによる釣り方を説明したが、これらはあくまで基本となる。
ベテランの中にはテンビン仕掛けで「縦の誘い」をしたり、浅場でも胴つき仕掛けをキャストして広く探る人もいる。
仕掛けの特徴と誘いの基本を覚え、状況に応じて誘い方をアレンジすれば、シロギス釣りの面白さがグッと増すはずだ。
目下、主力ポイントの中ノ瀬では大中小のシロギスが交じりで釣れている。
出典:
ベテランは2種の仕掛けと、横の誘いと縦の誘いを効果的に使い分けてアタリを出させる。
出典:
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隔週刊つり情報(2022年6月1日号)※無断複製・転載禁止