イトウは日本最大の淡水魚!絶滅が危惧される理由とは?面白い生態やおすすめの水族館もご紹介!
みなさんはイトウという魚を知っていますか?
今や絶滅危惧種に指定されるほどその個体数は激減しており、幻の魚とも呼ばれています。
そんなイトウは実は国内でも珍しい巨体の淡水魚です。
今回は気になるイトウの大きさはもちろん、その他の驚くべき特徴について詳しくご紹介します。
イトウとは
イトウはサケ科に属する、国内最大級の淡水魚です。
通常でも1~1.5m程度に成長する大型の魚で、中には2mを超える個体も確認されています。
この大きさはアカメやビワコオオナマズに匹敵し、日本三大怪魚の一つに数えられます。
他のサケ科の魚に比べると細長い体型をしており、銀色がかった体表には無数の斑点があります。
大きい口と平たい頭が特徴で、現在日本では北海道にしか生息していません。
イトウは水温18度以下の緩やかな河川を好むため、特に道北に位置する猿払川や天塩川、朱鞠内湖で多くその姿が確認されています。
伝説の巨大魚「タキタロウ」はイトウがモデルになった!?
成魚になると1mをゆうに超えるイトウは、伝説の巨大魚と称されるタキタロウのモデルになった魚だという説があります。
タキタロウは山形県の大鳥池に生息すると言われる巨大魚のことを指しますが、その正体は未だに解明されていません。
地元の住人によれば、タキタロウは体長2m以上の巨体を持ち、全体的にオレンジ色をした魚とのこと。
そんな謎多き未確認生物のタキタロウは、山形県では伝説の巨大魚として長い歳月を経て語り継がれています。
イトウの生態
一般的にサケ科の魚は、産卵を終えると同時に寿命が尽きます。
ところがイトウには、一生のうちに何度も産卵する特殊な性質があります。
とはいえ毎年産卵するわけではなく、産卵する年としない年を繰り返して成長していくのが特徴です。
産卵期は毎年4~5月にあたりで、この時期になるとイトウは河川の上流部を目指して遡上します。
一回に5,000~10,000個ほどの卵を産みますが、一度に産卵するのではなく数か所に分散させて産卵床を作ります。
孵化した稚魚はカゲロウなどの水生昆虫をエサにして成長し、体長15cmほどになると小魚も捕食するようになります。
成魚は魚食性が強くマスやドジョウなどを主食にし、さらに1m以上の巨体になると、魚だけでなくネズミやヘビ、水鳥をも捕まえて食べてしまうようです。
その食性からも分かる通りイトウは獰猛な性格の持ち主で、北海道の先住民族・アイヌの間では、イトウがヒグマを飲み込んだという伝説があるほどです。
そんなイトウは長寿の魚で、中には20年以上生きる個体も確認されています。
そのぶん成長するスピードが遅く、1m以上の大きさになるには10~15年かかると言われています。
イトウについて詳しくは図鑑でチェック!
イトウが減少している理由
先に述べた通り、イトウは現在北海道の限られた河川にのみ生息しています。
その個体数は年々減少しており、絶滅危惧種にも指定されるほど深刻な問題となっています。
イトウが減少している背景としてまず挙げられるのが、生息地の環境変化です。
中でもダムなどの人工的な構造物の増加は顕著で、イトウの産卵場所を奪ってしまっているのが実情です。
また、同じくイトウの産卵に大きく関わる要因として、河川の直線化も問題視されています。
イトウは淵(=水の流れが緩やかで深い場所)から瀬(=水の流れが速く浅い場所)に差し掛かる、水量の多い部分を産卵場所に選びます。
そのため、本来は緩やかな曲線を描く河川やなだらかな勾配の湿原を好む魚です。
しかし近年は改修工事によって河川が直線化され、イトウが産卵しやすい環境が激減しています。
さらにこれらの外的要因に加え、イトウの成長スピードの遅さも個体数が増えない理由の一つです。
イトウは成魚になるまで5年以上かかるため、産卵できる状態になるまで生き延びられる個体が限られます。
このように様々な要因が重なることで、イトウの個体数が激減してしまっているのです。
イトウを増やす取り組み
そんなイトウの個体数を増やすべく、北海道では様々な取り組みが行われています。
例えば猿払川周辺では、イトウのエサとなる小魚や昆虫を増やすことで棲みやすい環境を整えています。
また、稚魚の生育に不可欠な森林が失われないよう、樹木の伐採を規制するのも保護活動の一つです。
これらの取り組みによりイトウが棲みやすい環境が戻りつつあり、結果的に全体の個体数増加に繋がっていることが確認されています。
万が一釣りをしている最中にイトウが掛かったとしても、速やかにリリースしてあげることが釣り人にできる取り組みです。
ゲームならイトウ釣りを楽しめる!
実際にはターゲットにできないイトウですが、ゲームの世界ではイトウを釣って楽しむことができます。
それが、近年絶大な人気を誇るニンテンドースイッチ『あつまれどうぶつの森』です。
幻の魚とあってゲームの中でも簡単に遭遇することはできませんが、根気強く挑戦してみましょう!
イトウを実際に見てみたい!
幻の魚と称されるイトウを、実際に間近で見られるスポットが水族館です。
北海道以外にもイトウを展示する水族館は全国に点在しているので、ぜひ一度お近くの水族館を調べてみてください。
今回は特におすすめのスポットを3か所ご紹介します。
【山梨県】山梨県立富士湧水の里水族館
「山梨県立富士湧水の里水族館」は、淡水魚を専門に展示する水族館です。
水槽に富士の湧き水を使用しており、透明度が高いぶんクリアな視界でイトウを観察することができます。
まるで魚が空を飛んでいるように錯覚したり、水中に入り込んだような感覚になったりと、特別な体験ができるのもこのスポットならではの魅力です。
さらに、二重構造になった水槽では大小様々な魚が一緒に泳いでいるように見え、より自然に近い状態を観察できます。
【栃木県】なかがわ水遊園
「なかがわ水遊園」は栃木県唯一の水族館で、川に生息する淡水魚を中心に展示しています。
太陽光を取り入れた水槽は自然環境に近く、優雅に泳ぐイトウの姿を間近で観察できます。
関東一の清流と言われる那珂川を再現した作りになっており、イトウを含む様々な淡水魚について知りたい方におすすめのスポットです。
【北海道】北の大地の水族館
北海道北見市に位置する「北の大地の水族館」では約20匹のイトウが展示されており、日本で最多の飼育数を誇ります。
サイズも1m級と迫力満点で、その泳ぎ姿には圧倒されること間違いなしです。
毎年イトウの日(1月10日前後)にはイベントが開催されており、イトウの魅力を伝えることで保護活動にも繋がっています。
日本以外の国に生息する珍しい淡水魚の展示もあるので、イトウとの違いを見つけて楽しむこともできます。
実物を見ればよりイトウの魅力を感じられること間違いなし!
今回は幻の魚・イトウについて詳しくご紹介しました。
貴重な存在でなかなか目にする機会はありませんが、意外と面白い生態を持つ魚です。
実際に目にすればその迫力に圧倒され、優雅な泳ぎ姿に釘付けになってしまうでしょう。
みなさんもぜひ一度イトウに会いに行って、その存在を肌で感じてくださいね!
イトウについて詳しくはこちらの記事をチェック!
この記事に関するよくある質問
イトウの特徴は?
イトウは通常でも1~1.5m程度に成長する大型の魚で、中には2mを超える個体も確認されています。他のサケ科の魚に比べると細長い体型をしており、銀色がかった体表には無数の斑点があります。大きい口と平たい頭が特徴で、現在日本では北海道にしか生息していません。
イトウの個体数を増やす取り組みとは?
例えば猿払川周辺では、エサとなる小魚や昆虫を増やすことでイトウが棲みやすい環境を整えています。また、稚魚の生育に不可欠な森林が失われないよう、樹木の伐採を規制するのも保護活動の一つです。これらの取り組みにより、全体の個体数増加に繋がっていることが確認されています。
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