マハタが高級魚であることは言わずもがな。
とにかくうまい魚で、釣れたら小躍りしてしまうくらいだ。
そんなマハタだが、外房ではここ数年ヒラメ釣りのゲストで釣れることが増えたように思う。
以前からポイントを熟知した専門乗合でコンスタントに釣れていたが、ヒラメ乗合でともすれば本命と同じくらいの数が釣れるようになったのだ。
もしかしたら、太古より縄張り争いを続けてきたヒラメ一族とマハタ一族が、数年前のある日に友好条約を結んだんじゃないだろうか。
そんな愚にもつかない妄想をしている間にも外房大原港の天の清栄丸は走り続け、6時を少し過ぎたころに太東沖に到着する。
そして、舵を握る天野清樹船長から開始がアナウンスされた。
「はい、いいですよ。水深35mです」
アナウンスが終わる前に、13個の仕掛けが下ろされた。
釣り場は大原~太東沖の 水深25~35m前後。
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すると、左トモ2番の島田さんが竿をきしませながら約1.5kgのヒラメを海面に浮かせた。
タモ取りしたヒラメにカメラを向けた途端、今度は反対舷に走って右胴の間の山中さんのヒラメをタモですくい上げる。
そしてまたすぐ、左ミヨシ2番の熊谷さんにも約1kgのヒラメが釣れた。
東の空は赤く焼け始めているが、西の空には夜闇の中に月が浮かんでいて周囲はまだ薄暗い。
海中もまだ夜が明けきっていないはずなのに、この状況。
外房のポテンシャルの高さを再確認することになると思われた。
しかしどうしたことか、この日のヒラメはここまで。
船長も、「今日は潮が全然いってないですね」と顔をしかめながら操舵室に戻った。
魚をしっかり浮かせてタモ取りしてもらおう。
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開始間もなく1.5kgのヒラメが登場。
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背が盛り上がった肉厚なヒラメは食味も最高。
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高めのタナが吉
その後、船長は徐々に船を大原方向に移動させながらいくつものポイントを丹念に回ってくれた。
そして8時を過ぎたころ、左胴の間の西宮順子さんが約1.5kgマハタを釣り、船上の様相がマハタモードへとシフトする。
船長も「ハタは高めのタナでも飛びついてきますから、底から2~3m切っておいてください」とアナウンスした。
この言葉の意味をあとで実体験することになる。
そしてその直後、船長が右ミヨシの福田川さんのもとへタモをつかんで駆けつける。
竿は湾曲し、時折グン、グンと力強い引きでさらに竿を曲げる。
福田川さんが重そうにリールを巻きながらようやく浮かせたマハタの下に、船長がタモを差し入れた。
これも約1.5kg。
私のようなマハタ大好物人間には垂涎のサイズだ。
そこで、福田川さんにどうやってマハタを釣ったのかを尋ねてみた。
「ハタを狙うなら、船長が言うとおりタナを切ったほうがいいんですけど、私はヒラメも釣りたいのでベタ底でやってます。それでもハタは食ってきますよ」
以前、マハタ船の取材をしたことがある。
そのときは険しい根の上を流したので、オモリが着底したらすぐに2~3m巻き上げて待った。
頻繁にタナを取り直すことが誘いとなって、すぐに2~3m上げても確かに根の中に潜むマハタは飛びついてきた。
だから船長の指示は正しい。
しかし、ヒラメとマハタが両方釣れるなら、両方が釣れるタナで待ちたいと考えるのが釣り人の心情。
私も福田川さんに倣ならって、船の揺れでオモリがトントンと底をたたく程度にタナを合わせた。
その後、船上では1kgに若干満たないサイズのマハタがポツリポツリと釣れ、ほぼ全員が高級魚マハタをクーラーボックスに収めた。
エサが豊富なのだろう、マハタは太った個体が多い。
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根掛かりが浮く !?
また福田川さんが合わせた。
右隣にいる私は竿を置き、カメラを用意する。
船長が駆けつけて「アタってますよ!」と私に声をかけた。
「分かってます。だから今カメラを・・・」と急ぐ私に、「それ、アタってますよ!」と船長が指さしているのは私の釣り座だ。
自分の竿に視線を移すと、グン!グン!と強くたたかれている。
慌てて竿を手にして合わせを入れる。
しかし、びくともしない。
「根掛かりじゃないですかね」とこぼす私に船長が、「デカいやつは根に潜りますからね。うまくやれば浮かせられるかもしれないですよ」とアドバイスをくれた。
ここまでに何度か根掛かりはあった。
道糸を引っ張ってから巻き上げてみると、ハリの先にカジメが掛かっていた。
だから「まただ」と思い込んだ。
しかし船長のアドバイスどおりに何度か竿で持ち上げてみると、この根掛かりが浮いた。
そして再びグン!グン!と強い引きが復活した。
「浮きましたか!また潜られないように急いで巻いて!」と船長から檄が飛ぶ。
言われるがままにポンピングしながら急いでリールを巻く。
またグン!グン!とこの魚が強く抵抗する。
これをいなしながらポンピングを繰り返すと、うれしい重みが徐々に浮いてくる。
もうたまらない。
興奮が一気に炸裂した。
船長がタモですくい上げてくれた50cmオーバー、1.8kgのマハタ。
これがこの日の船中最大になった。
11時半に沖揚がり。
この日はヒラメが不調だったが、その分マハタが釣果を補ってくれた。
「ヒラメもハタも、同じポイントで交じって釣れます。今日はヒラメのほうは残念でしたけど、いつもならヒラメはトップで7~8枚、ハタも同じくらい釣れます。サイズですか?ヒラメは4kgクラスは出ますし、ハタもこのあいだ3.5kgなんていうのが釣れましたね」
船長は最後にそう話してくれたが、4kgのヒラメに3.5kgのマハタが一緒にクーラーボックスに入っている状態を想像しただけで、ワクワク感が止まらなくなる。
友好条約締結を成し遂げたヒラメ一族とマハタ一族に、最大級の賛辞を贈りたい。
筆者が船中最大1.8kgをキャッチ。
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Tackle Guide
イワシエサの釣りで電動リールを使う場合は、仕掛けを回収する巻き上げ速度に注意が必要。
高速で巻き上げてしまうと、エサのイワシが一発で弱ってしまうからだ。
周囲の手巻きリールを使用している人の巻き上げ速度を観察して、同じくらいの速度で巻き上げるように留意しよう。
ケイムラ発光の効能考
生きイワシエサを使う釣りのハリには、ケイムラ発光のハリをおすすめしたい。
ヒラメやハタはウロコの輝きでイワシを発見する。
しかし、イワシにハリを付けるとき、この発見されるために大事なウロコはどうしても落ちてしまう。
ケイムラ発光のハリは、その落ちたウロコの輝きを多少なりとも補ってくれる。
ケイムラ発光のハリを使ったささめ針のヒラメ仕掛け。
出典:
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