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[E2F(第17回)]東京湾のルアータチウオ

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第17回はヨッシーが得意とするタチウオジギング。

例年、夏は富津沖などの浅場や第二海堡周りなどで中小型の数釣りを楽しんでから型狙いで走水~猿島沖へ転進するパターンが多いが、今シーズンは浅場の模様が安定せず、最初から型狙いになることもあるそうだ。

7月下旬に釣行したのは東京湾奥深川・吉野屋。

大森健吾船長が最初に船を向けたのは第二海堡周りの水深30~40m前後。

ところがタチウオの反応が薄かったため、竿を出さずに猿島沖の水深60m前後へ移動となる。

タチウオの反応は底付近に固まっていて、底から10mの指示ダナでスタート。

ここは120cmオーバーのドラゴンサイズが連日のように釣れているとのことで期待が高まる。

ヨッシーはタングステン製のTGバンブルズジグ バンプ120gを投入。

ゆっくりとしたワンピッチジャークでジグが海中であまり飛び跳ねないように誘う。

すると小さなアタリがきて合わせるとフッキングし、ロッドが大きく曲がる。

その後も巻き上げやフォールでコンスタントにタチウオを釣り上げてあっという間にツ抜けを達成。

昼になり下げ潮が動き始めるとタチウオの活性が高まり、指幅3本級を中心に4~5本級も交じるようになった。

あとはドラゴン級がほしいところだが果たして結果は?

タチウオジギングを満喫したヨッシーの釣行記はこのあと!

Profile

よしおか すすむ

1982年生まれ。ヨッシーの愛称で親しまれている。

一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。

ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。

釣行の写真

猿島沖にタチウオ船団が形成された

夏休みはいいものだ。

今や危険レベルに暑くなってしまったので、脳天気に「外に出ろ」とは言いにくい。

しかし、街に野に山に、そして海に、学校から解き放たれた少年少女青年たちがわらわらと姿を見せるのは、それだけで素晴らしい。

書を捨てて船に乗り、竿を握った彼ら・彼女らは、生き生きとした目をしている。

いつもはベテランたちがシブくて重厚な雰囲気を醸し出している釣り船も軽やかに華やぐ。

7月25日、東京湾奥深川吉野屋のルアータチウオ船は、まさにそんな空気に包まれていた。

まだ涼しい早朝5時、一番乗りで船に乗り込んだのはE2F取材班だ。

のんびりと準備をしながら、ふと気付くと左舷、右舷とも10人の大賑わいである。

「やるな、タチウオ……」

ヨッシーがつぶやく。

タチウオジギングは東京湾でも人気の釣り物だ。

人気の理由はいくつもある。

まずジギング自体、仕掛けが極めてシンプルである。

極論を言えば糸の先にメタルジグが付いているだけなのだ。

ラインの太さ、リーダーの太さや長さ、バイトリーダーの太さや長さなど、こだわればいくらでもこだわれる。

だが基本的には糸の先にジグが1個ぶら下がっているだけ。

とことん簡単お手軽である。

そして引きが強い。

あの細身のどこにトルクが潜んでいるのか分からないが、ドシンと重みが乗りジージーとドラグを引き出すさまはなかなか豪快だ。

さらに食べてうまい。

タチウオは顔つきこそいかついが、繊細な白身が多彩でおいしい料理に変身する。

あまり流通しないだけにいったんあのおいしさを知ったら、いそいそと釣りに行くしかないのだ。

最後にココが非常に重要なのだが、比較的よく釣れる高打率な魚なのだ。

ナメていると痛い目に遭うのはどの釣りでも同じだ。

しかしタチウオはだれもにチャンスを授けてくれる優しいヤツなのである。

怖いツラ構えなのに味わい深いナイスガイ。

こういう人は信頼できる。

タチウオは魚だが。

釣行の写真

ビギナーでもこのとおり

タチウオジギングの釣り方① ワンピッチ ジャーク

タチウオジギングはワンピッチジャークが基本。

竿先を下げて細かくシャクってジグを跳ね上げさせないショートピッチがおすすめ。

あとはタチウオが反応する巻き速度を探していこう。

タチウオジギングの釣り方② フォール

投入時やジグを追わせてからのフォールなどでタチウオが食ってくるのでサミングしてアタリに備えよう。

ジグが落ちなくなったり、道糸の出が止まったらアタリ。

親指でスプールを押さえて合わせる。

ジグが飛ぶ?飛ばない?もちろん空を飛ぶわけでない

「ジギング入門にはピッタリだよ」と、ジャッカルプロスタッフのヨッシーこと吉岡進さん。

「ただ、竿だけは選んだほうがいいかな」と付け加えた。

「とくに東京湾のタチウオはかなりスレている。活性が高いときにはなんにでも食いついてくるけど、ちょっとでもシブいときは、硬い竿でジグが飛んでしまうと食ってこないんだ。だから軟らかい竿であまりジグが飛ばないようにする。そのほうが確率は上がるよ」

「ジグが飛ぶ、飛ばない」とは、タチウオジギングにおいて多用されるセリフである。

ジグが空を飛ぶわけではない。

竿をシャクったときに海中でジグが横っ飛びするかしないか、ということだ。

ジグは金属のカタマリだが形状は実によく工夫されており、水の抵抗で様ざまなアクションをするように作られている。

およそ金属とは思えないほどヒラヒラと舞ったり、シュッ、シュッと横っ飛びしたりと、その動きはかなりダイナミックだ。

これらのアクションは一般的に魚に対するアピール力は高いけれど、タチウオに関してはネガティブに働くこともある。

「タチウオは泳ぎも捕食もヘタな魚だからね」とヨッシー。

「ジグがハデに動きすぎると、追いつけないんだよ(笑)。しかもなりふり構わず食いつこうとするわ、泳ぎがヘタだわで、ミスバイト連発(笑)。ジグではなくリーダーやPEに噛みついて、ラインを切っちゃうことも多々あるんだ」

そんなタチウオのキャラクターに合わせるなら、軟らかい竿でシズシズとシャクる、もしくはシャクらずにタダ巻きに徹するのがよい、ということになる。

逆に言えば、必死にシャクらずとも釣れるわけだから、ビギナーにはもってこいなのだ。

8時40分、猿島沖の水深60m前後に集結したタチウオ船団の中で釣りが開始されると、早々にヨッシーが1本目を釣った。

電光石火である。

モーニングサービスとばかりに船全体でバッタバッタとタチウオが釣れ盛る。

サイズは指3~4本前後が中心でドラゴン級ではないもののドスンという重おもしい引きが竿をしならせ、釣り人たちを楽しませている。

中学1年生の内藤瑞希くんは、お母さんの江里子さんとの釣行だ。

エビエサのマゴチ釣りやアジ釣りを経験しているが、タチウオジギングは初めて。

「いつもお母さんだけズルイ」と、今回の初挑戦となった……などとじっくり紹介する間もなく、「瑞希が掛けました!」と母・江里子さんが声をあげた。

「おおっ、やったね少年!」

今回は竿とペンの代わりにカメラを持ったライターのタカハシゴーが迫る。

瑞希くん、割と早いタイミングで人生初タチウオをあっさり釣ってしまった。

これぞナイスガイ・タチウオ。

釣られるべき人をしっかり選んでいる、としか思えない。

「けっこう引いた……」

瑞希くんは、タチウオの力強さに驚いた様子だった。

「やったじゃん!」

ヨッシーもうれしそうだ。

ルアー船がとても気持ちいいのはだれかが釣るとだれもが喜ぶことだ。

もうすぐ13歳になる瑞希くんが、暑い船に涼風を運んでくれた。

釣行の写真

内藤江里子さんとルアータチウオ初挑戦の瑞希君(中1)ともにタチウオをゲット

空振りしたって恥ずかしくない 疑わしきはすべて合わせる

ヨッシーはバッタバッタとタチウオを釣りまくっている。

彼の釣りを観察してすぐ気付くのはアタリ感知率が非常に高いことだ。

竿先が動いたか動かないかシロウト目にはよく分からないモヤモヤした違和感にもビシッと合わせを入れ、フッキングに持ち込む。

敏感な専用ロッドを使っていることを差し引いても、アタリ、もしくはアタリ的雰囲気を感知するセンサーは極めて鋭敏で、かつ、迷うことなく鋭い合わせを入れる。

「『……ん?』と思ったら即合わせを入れるのはどの釣りでも共通してるかもね」と、ヨッシー。

永遠の初心者・タカハシゴーは「それができたら上級者だよ」と苦笑いする。

「オレだって、『……ん?』と感じるときはある。よくある。でも『アタリかな、違うかな』と考えちゃうんだよね。で、『絶対確実100%アタリでございます』と確信が持てたときだけ合わせる。空振りってなんか気恥ずかしいからさ」

「それが問題なんだよ」とヨッシー。

「空振りしたって恥ずかしくないよ。そもそも、だれもゴーさんを見てないから。違和感があったら即合わせる!さっきは捕食ベタ、泳ぎベタと言ったけど、ジグの近くで様子を見たり、軽く噛んだりすることも多いんだ。そういうときはドスンという明確なアタリはなくて、違和感程度。『モワモワしたアタリ』ってヤツだね。そこで合わせができるようになると、釣果ものばせるよ」

パターンをつかむことも重要だ。

ベイトや潮の具合から、タチウオのヒットパターンは刻々と変化する。

ジグのアクションは動かしすぎないことが基本だが、動かしたほうがいいこともある。

また潮加減や潮色により、ジグの色を選ぶこともある。

そうかと思えば……。

「今日はパターンがないね」とヨッシーは言った。

「フォールでも食ってくるし、食い上げもあった。ジグの色や重さも色いろ替えてみたけど、これというパターンは見つけられなかったな……。パターンがないのも、パターンのひとつと言えるよね。こういうときは、とにかく色いろ試しかない。だからジグも色んなカラー、色んな重さを用意しておくといいよ」

釣行の写真

ヒットパターンを探るのもタチウオ釣りのだいご味

ファミリーや仲間たちと楽しむ これぞ正しい夏休みの過ごし方

19歳の池田夏樹さんと20歳の内藤大智さんは、同じ大学の1年生。

二人とも釣り部員だ。

池田さんは去年の「バリバスカップ・東京湾太刀魚釣り大会」で138.8cmのドラゴンを釣って優勝した。

今回と同じ、深川吉野屋での快挙だった。

「今、メインで狙ってるのは外房のヒラマサの大物なんですけどね」と池田さん。

「でも、タチウオはタチウオでなかなかセレクティブ(ジグを選ぶ)なところが面白いんです」と、同級生の内藤さんと連れだっての釣行である。

内藤さんは初めてのタチウオ釣りだ。

1本を釣りタカハシゴーがカメラを構えるが、タチウオの持ち方がおぼつかない。

「そうじゃないよ」と魚の持ち方を指導する池田さん。

「もうちょい上かな」「横にしたほうがいいんじゃない?」とキャリアの差を見せる。

それにしても「真夏のある日、学友同士が船に乗り、タチウオを狙う」のである。

なんとすがすがしい青春の1コマだろう。

夏空のもと、肩を並べて竿を出す二人の姿はとても美しく、「こういう若者がいるうちは、ニッポンの未来は安泰だな……」とさえ思える。

メインで使うジグは、ジャッカル・アンチョビメタルだ。

笑いながら、「もちろんヨッシーさんに忖度してます!」。

最近の東京湾タチウオジギングは、同じ重さでもひときわコンパクトなタングステン製ジグが大流行している。

今回も船中のお客さんの多くがタングステンジグを使っていた。

そんな中、鉛製のアンチョビメタルを使う二人なのだ。

「タングステンは値段高いんですよ……。切られるのが怖いから、ちょっと使いづらいんです」と頭をかく内藤さんである。

学生らしいではないか。

そして、鉛製ジグをメインにしながらも内藤さん15本、そして池田さんが20本と、しっかり釣果を出して見せた。

ちなみにヨッシーの今回のメインジグはフォールスピードの速さが特長のタングステン製TGバンブルズジグバンプだ。

これで30本を釣った。

確かに今の東京湾タチウオジギングはタングステン製ジグが有利なケースが多い。

しかし、タングステンでなければ釣れないわけじゃない。

リーズナブルな鉛製でもちゃんと釣れる。

このあたりもタチウオはナイスガイなのである。

午後2時に沖揚がりとなった。

親子組はタチウオジギングが初めての中1の瑞希くんが6本、経験者の母・江里子さんが12本。

そして大学生組では、初めての内藤さんが15本、経験者の池田さんは20本だった。

シンプルな仕掛けで、ジグを落として巻くことさえできれば、だれでも釣れるチャンスがある。

でも、しっかりとキャリアの差が出る。

ここがタチウオジギングの面白さであり、奥深さだ。

「タチウオは自分で食べたくて釣ってます。ママ友に配ると喜ばれるんですよ」と、江里子さん。

「腕が痛い……」と言いつつ、瑞希くんも笑顔だった。

こうして充実の痛みは心に刻み込まれるだろう。

そして大学生二人は船宿で荷物をまとめ、ヨッシーとのふれあいタイムをひとしきり楽しむと、ガラガラと荷物を引きながら駅に向かった。

皆さんの姿に、満足げなヨッシー。

実はこの日船中最大の、指幅5本半級を釣っていた。

陽光が傾き、少しだけ暑気が弱まった午後。

それぞれにとっての、よき夏の日だった。

釣行の写真

大学生の池田夏樹君(左)と内藤大智君(右)はヨッシーと一緒に釣りができて 夏休みのいい想い出になった

釣行の写真

タングステンジグへの反応もいい

ヨッシーのメモリアルショット

深川吉野屋名物、「潮位が高いときの出船は、運河の橋の下スレスレを通過する」。

思わず首をすくめてしまうが、見事な操船は見応えアリ。

あまりにスレスレゆえ、操舵室は下部へと収納され、竿とヨッシーは寝かせておかないと折れてしまう。

いやヨッシーは寝なくても。

Enjoy Fishing Tackle & lure guide

東京湾のタチウオジギングタックル

ジグを飛び跳ねさせないように釣るため、軟らかなULパワーの専用ロッドがおすすめ。

今回メインで使った120gのジグで誘いやすいのが「アンチョビドライバー エクストロADX-60UL」、電車釣行には2本継ぎで持ち運びしやすい「アンチョビ ドライバーRB ADRB 66UL」がおすすめ。

船宿インフォメーション

東京湾奥深川 吉野屋

☎03・3644・3562

▶深川吉野屋のルアータチウオ船は人気メニューで連日盛況。

第二十三号吉野丸の舵を握る大森健吾船長は東京湾のタチウオ釣りを熟知しており、ルアー選びや釣り方などていねいに教えてくれるのでビギナーにもおすすめ。

気さくで親しみやすいから釣りをしていて分からないことがあればなんでも聞いてみよう。

▶備考=予約乗合、7時出船。マゴチ、アジへも出船

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