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2020キハダFINAL

隔週刊つり情報編集部

10月後半は相模湾のキハダが大型化するファイナルステージ。

第3特集では今シーズンの傾向に基づきビッグワン獲得の決め手を考察する。

夢よ再び!50kg超の魚群来遊

いよいよキハダも終盤戦。

昨年のこの時期は小田原沖海域で50~60kg台の大型が続出、80kg台の超ド級までも上がり、オダモン(小田原モンスター)といった造語までできたほど、大いに盛り上がったことは記憶に新しい。

そして今期も9月中旬ごろから連日30kg級が多くの船で上がり、50kgオーバーも登場した。

ついにきたかXデー!

オダモン伝説の再現を夢見て9月25日、相模湾茅ケ崎港のちがさき丸を訪れた。

キハダフリークの反応は早く、台風通過直後の強風下にもかかわらず2隻出しの大盛況。

6時過ぎに出船。

西に進路を取り、小田原沖でカツオとキハダ混在のナブラに遭遇。

カツオは10~20m、キハダは35mの指示ダナでスタート。

船中で2kg前後のカツオが次つぎ上がり、船上にカツオが暴れるビート音が鳴り響く。

反応が抜けるとすぐさま仕掛けを上げてナブラをチェイス。

1流し1投のストップ&ゴー。

いわゆる追っかけ釣りだ。

カツオの活性は高く、私も撮影の合間に竿を出させてもらい、2投で2本のカツオをキャッチ。

1時間ほどの時合だったが、いい人はカツオ4本を手にした。

カツオの食いが遠のいてからは、じっくりエンジン流しで狙った。

船の周囲にはチラホラとキハダの反応が見えるようだが、仕掛けを嫌っているのかなかなか船下に入ってこないようだ。

「なんでこないんだ!?」

いつも明るく熱心な米山船長も今期のキハダのトリッキーさには悩まされているようだ。
 
船長の努力に報いるには、一発のビッグヒットを当てたいもの。

全員が集中を切らさずコマセを打ち返し続けたが、無念の船中ノーヒットでこの日の釣りを終えた。

釣行の写真

実りの秋はカツオも美味。

ということで再び同宿を訪れたのが9月30日。

当日は石塚光洋船長が舵を握る3号船に乗船、米神沖から真鶴岩港沖にかけて形成された大船団に合流する。

先日同様、反応はあるもののやはりキハダは船の間を縫うようにスルーしていく。

しかし反応はてんこ盛り。

ちょっとしたタイミングで時合モードがくるはずだ。

正午を過ぎたあたりから、にわかにキハダのヒットを周囲に知らせる回転灯を回す船が増え始めた。

「反応入ってきたよ!上がってきたよ!」とのアナウンスに続き、「食ったぁ!」と声を上げたのは右トモ氏。

しかしカメラを持って駆けつけたところで竿が跳ね上がる。

ハリスがテンビンに絡んでいたようで、ビシがなくなり、ハリスもテンビンの腕の先40cmほどの所から切られていた。

続くように左トモの小島さんにアタリ。

ガチドラグの電動パワーファイトでガンガン巻き上げ、ものの5分ほどでビシが上がってきた。

ところがハリ掛かりが浅かったのか、ハリスをたぐっている途中でスッポ抜け。

仕掛けを交換し、再投入した小島さんにすぐさま2回目のアタリ。

余裕のヤリトリでこれまたものの5分とかからず仕掛けが上がってきた。

短時間すぎてキハダもまだ元気アリアリだったようで、再び走り出したところでハリスが船底にこすれてしまいラインブレイク。
 
ヒレの長さから見て40kg超はあるサイズ。

私ならガックリへたり込んでしまうところだが、「もう少し弱らせてから上げればよかったかな。ガハハハッ」これぞベテランならではの余裕である。

結果として本船はノーキャッチに終わってしまったが、周りを見渡すと、いたるところでビッグヒットを知らせる回転灯が回り、この日の各船の釣果情報は大いに賑わった。

加えてその翌日以降ちがさき丸では53.1kg、43.4kg、35.8kgが取り込まれている。

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釣り具の写真

(左)マグロリングも時に有効。写真は鉢スタンドで自作したアイテム。(右)サメ被害が増えるシーズン終盤は、大型電動リールのパワーに物をいわせてガンガン強気で巻き上げよう。

鉢スタンドの作り方はこちらの記事で紹介しています。

濃厚なコマセの煙幕で付けエサをカモフラージュ

今後は終盤期ならではの釣り方、エンジン流しで狙ういわゆる「流し込み」の釣りが主流になってくると思われる。

しかし、これまでの取材釣行での船長や同乗された常連さんらの話をまとめると、今シーズンのキハダはオキアミをしっかりと捕食しているものの、とにかく仕掛けを嫌う傾向が強く、これまでのようなコマセで魚を寄せるといったイメージの流し込みは通用しないようだ。

流し変え直後の投入合図は、ソナーで魚の動きを予測しながら、釣り人たちがコマセを振り、タナ取りした直後に反応が船下を通るタイミングを見計らって出される。

船が停止してもなかなか投入の合図が出ないときは、このタイミングを船長が計っているのだ。

したがって、投入が遅れると船下に入ってくる魚群を散らしてしまうこともあるので、合図と同時に素早い投入をするよう心がけたい。

コマセワークもポロポロというイメージではなく、タナに合わせたときのハリ(付けエサの位置(ハリス長分下方)で多めにコマセを振り出すほうがよいだろう。

コマセで寄せるというより、濃いコマセの煙幕でエサを付けたハリをカモフラージュするといったイメージのようだ。

コマセを2~3回振ったらビシを指示ダナまで上げ、静かにアタリを待つ。

とくに、「反応が入ってきた」とのアナウンスが出たときほど余計な誘いなどはせず静かに、そして即座に合わせが入れられるよう竿は必ず手持ちで、竿先を海面に向けて構える。

移動後の最初の投入で反応が入ってこなければ、従来どおりころ合いを見計らって仕掛けを回収し、コマセの打ち直しを行うが、このとき周囲の人とタイミングをずらすことが大事。

遠まきながらキハダはコマセを捕食している。

ここで一斉に同じタイミングで仕掛けを回収すればコマセが切れ、魚群も移動してしまうからだ。

投入とタナ取り、コマセの打ち直しなど、船中全員がワンチームとなってひとつのアタリを取る。

追っかけと流し込みを融合させたようなスタイルが、今シーズン後半のキハダ釣りの特徴だ。

エサの写真

エサはオキアミの2匹付けでボリュームアップ。ハリのチモトにスキンを巻き付けると結び目が目立たなくなる

きつめのドラグ調節と強気の巻き上げで勝負!

前号では、私のゆる~いキハダ釣法を紹介したが、現況はアタリがきたら即合わせが基本。

そして重要となってくるのがドラグ調節だ。

ちがさき丸の推奨ドラグは魚を掛けるまでは3kg。

これはカツオが掛かっても引き出されない強さである。

ヒット後のファーストランが止まったら6~8kgに締め込み、魚が弱ってきたらハリスの破断力の3分の1くらいまでさらに締める。

例えばハリス24号であれば破断力は約35kgなので、ドラグ調節は12kgとなる。

実際に12kgのオモリをぶら下げてみると竿は極限近くまで曲がり込み、持ち上げるだけでも相当な力がいる。

釣り人の慎重なヤリトリに、「もっとドラグを締め込んでも大丈夫だよ!」と声を張り上げる船長も多い。

当日乗り合わせた常連の小島さんを例に見ても、最初からかなりきつめのドラグ調節で道糸は数メートル引き出されたのみ。

電動パワーでガンガン巻き上げ、ヒットしてからたぐりに入るまでわずか5分ほど。

念のため極太クッションゴムを付け、ハリスは30号とのことだが、しっかりとした合わせと確実な仕掛けの結びができていれば、それだけの負荷がかかってもそう簡単には切れない、ということだ。

そしてこの釣りに付きもののサメ被害だが、聞いた話ではサメは水平方向の動きに対する反応は俊敏だが、急な上昇が苦手なようで、目の前にあるエサが50cmくらいスッと上がるだけでエサを取れないそうだ。

サメに食われるのはいつまでも魚を遊ばせているからであって、常に魚を引き上げている状態であれば被害を受ける確率もだいぶ下がるということだ。

確かにヤリトリに時間がかかっている人ほど被害を受けていることが多い。

サメが多いときほど、リールは手巻きよりもパワーがある大型電動が断然有利だと船長は口をそろえて言う。

サメ被害を回避する意味でも電動パワーで少しでも速く巻き上げていくことが賢明というわけだ。

そして、キハダが大型化するシーズン後半にだれもが期待するのは50kg超のモンスター。

そのパワーは30kg級の比ではない。

前出の小島さんのように手慣れた人なら魚に主導権を取られることなく巻き上げてしまうだろうが、私のような凡人クラスでは電動巻き上げといえどもままにならないのが常。

真っ向勝負では勝てそうにない、そう感じたらキャッチ率を高める手段として、お助けアイテムのマグロリングを使用するのも一手だ。

釣行の写真

コマセをハリが位置するタナに集中してまく。

釣行の写真

10月4日に上がった、ちがさき丸の今期最大51.6kg (写真提供:ちがさき丸)

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【隔週刊つり情報(2020年11月1日号)※無断複製・転載禁止】

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