後半戦に入った相模湾のキハダ&カツオが灘寄りに集結し始めた。
小坪港・太郎丸に乗船した9月中旬も鎌倉~真鶴沖のほぼ全域でトリヤマやナブラを確認できたが、中でもヒートアップしているエリアが小田原沖。
濃密な魚群が滞留し、エンジン流しで楽しめる状況になっている。
当日は海面下5~10mでは2㎏前後のカツオがほぼ入れ食い、さらにその下30m付近にはキハダ反応も出現。
こちらは残念ながらバラシ4回に泣いたけれども、いやが上にも脳裏に浮かんでくるのは小田原沖に
昨秋回ってきた50~60㎏級の巨大なキハダだろう。
予断は許さないものの、ひょっとすると今号発売のころからあのオオダワラモンスターダモン・フィーバーが再現されている・・・と期待したいところだ。
特集記事では、そのビッグなキハダをちょっぴり楽に巻き上げる釣り方を紹介。
達人たちのように一日手持ちで、アタリ即合わせ!は無理……とお嘆きの貴兄の一助となるはずだ。
10月はこのサイズの数倍あるキハダが連発する緊急事態に?
出典:
レンタルタックルのビギナーグループも全員カツオをゲット! 出船 前に高橋船長がレクチャーしてくれるので、だれもが安心して楽しめる
出典:
即合わせは苦手・・・とお困りのあなたへ、ゆる~く仕留める!?キハダ考察
相模湾でコマセ釣りのキハダ専門船が本格スタートしたのは2012年9月のこと。
あれから今年で9回目のシーズンだ。
今や夏~秋の一大イベントとして専用タックルやアイテムが発売され、釣り方も含め、1本でも多くのキハダをキャッチするために様ざまな理論や考案が積み重ねられてきた。
その先導者が各船宿の常連さんたち。中には1シーズンに20本以上のキハダを仕留める、もはやハンターともいうべき名うてもいる。
昨年の11月初旬、30kgオーバーを3本キャッチ!
出典:
ロートル釣り師の 体力に合った釣り方
私はといえばどうだろう。2012年と2013年は5~6本ずつを上げて週末アングラーとしてはまずまずの釣果だったが、2014年以降はパッタリ・・・。
20キロ以上のキハダサイズがヒットしてもバラシの連続で、いわゆるスランプに陥った。
今やキハダ釣りはきつめのドラグ設定、アタリがきたら力強く即合わせが通説。
ヤリトリもスタンディングでゴリ巻きファイト、イケイケのガチンコ勝負だ。
どれだけ短時間時で仕留めるかがステータスといった風潮もある。
当然私もそれに乗り(というか乗ったつもりだった)スタンディング用ロッドにレバードラグ式両軸リールでトライ。
ところがヒットさせても竿をリフトアップすることができず、巻き上げも四苦八苦・・・。
結果はハリス切れ、ハリ外れ、シャークアタックと惨敗に次ぐ惨敗。
昨年2019年も6回目までの前半釣行ではヒット3回、ヤリトリまで持ち込んだがやはりバラシに天を仰いだ。
高価なタックルと釣果は別物であり、体力、テクニックなどすべてのバランスが整ってキハダは釣れる・・・と自分のテクニックの未熟さ、そして寄る年波には勝てないと体力の衰えを痛感した次第。
それでも、たとえ悲しきポンコツロートル釣り師であっても、やっぱりキハダを釣りたい。
そこで後半の7回目以降は自分の体力とテクニックを見つめ直しタックル、仕掛け、釣り方を変えてトライした。
結果はヒット計6回で、バラシはゼロ。
6本すべてのキハダをキャッチすることに成功した。変更点を一言でいうと、スタンディングファイトから電動ウインチ釣法にしたのだ。
リールは手巻きから大型電動リールに、ロッドも短めのスタンディング用ではなく、キハダには少し軟らかめといえる調子の全長2.2mの万能青物用にチェンジ。
ハリスの長さは4.5~8mと標準的なままだが、ハリはヒラマサ系からややネムリ系に、テンビンも固定タイプから遊動式(コマセカゴが遊動するタイプ)に変更した。
ちなみに、フトコロが広いヒラマサ系のハリは合わせが遅いと口中に掛かり、鋭い歯でハリスが切られてしまう。
ネムリ系のハリは大合わせを入れると口からスッポ抜けてしまうことがあるが、次のような釣り方であればほぼ確実にキハダの口角に掛かる。
(左)テンビン側は漁師結び。ハリスに強化チューブをプラス(右)ハリは「ジャイアンとキハダマグロ」の16号。結びはケイムラパイプを通して、ゲット最強結びに
出典:
鉢スタンドで作るマグロリング
私が使用している自作マグロリングの本体は、ダイソーで買った「鉢スタンド」。
これだけでは軽くて沈みが遅いので、鉄筋2本(計1kg)をウエイトとしてビニールテープで巻き付けている。
30kg級のキハダなら、小さい輪がエラブタを押さえ、大きい輪が胸ビレを押さえる。
また腹ビレと腹の間に入ると抜けなくなりキハダもなすすべがない。
線径が細いので、ハリのフトコロに入りハリ外しになってしまう懸念もあるが、これまでそういったことは一度もなく無事キハダをキャッチしている。
また、スーパーランナー天秤を使用している理由も、この立体型のマグロリングが通りやすいからだ。
(左)鉢スタンドは200円!脚の2カ所に鉄筋をくくりつけるだけ(右)約0.5kgの鉄筋2本とビニールテープ
出典:
緩いドラグで走らせハリ掛かりに持ち込む
シーズン後半の流し込みに対応した、その手順を追っていこう。
指示ダナよりハリスの長さ分下ろし、竿先を海面に向けた状態から頭上いっぱいまで大きく一振り。
そのまま指示ダナへ巻き上げる。一振りで3mくらいコマセの帯を作るイメージにし、カゴに残るコマセは温存して待つ。
そして、「近くにいるよ」「船下に入ってきたよ」のアナウンスが出たら最大のチャンス。
1回目のコマセを控えめにしているのも、魚が回ってきたこのチャンスに振り出すため。
キハダもオキアミ主体に捕食しているこの時期はコマセに突っ込んでくるからだ。
コマセワークは、ビシを指示ダナからハリスの長さ分までいったん巻き上げてから再びタナ下5~6mまで落とし込み、残りのコマセをすべて出し切るように2~3回振って指示ダナに合わせる。
ビシを巻き上げてから落とし込む理由は2点。
一つは図のように、付けエサへの抵抗を軽減させるため。
ハリスが潮になじんでいる状態でコマセを振ると付けエサに抵抗がかかり、エサがズレたり外れる可能性がある。
もう一つは、付けエサを上から落下させるため。
魚はフワフワと落ちてくるエサに反応する傾向があるからだ。
アタリを待つときのドラグは、船の揺れで滑るくらいのユルユル設定。
スプールを親指で軽く押さえながら竿先を海面に向けた状態でアタリを待つ。
微かなアタリがきたら力強く即合わせするのが近年の通説だが、私はアタリがきてもそのままエサを食わせ、道糸がスルスルと引き出されるままドラグを滑らせてキハダを走らせる。
遊動式テンビンをセレクトした理由の一つも、エサを飲ませるこの最初のアタリでキハダに違和感を与えないためだ。
経験上、おおよそ20~30メートル走ったところで一瞬止まるので、ここでドラグを軽く締める。
ドラグ値は計ったことはないが、感覚としては3kgくらいだろうか。
ここでキハダは異変に気付いてフルスピードで走り出すので、ロッドを起こすように合わせる。
ドラグが滑らないようスプールを押さえ、竿のグリップを握る手で道糸も一緒に抱き込んで止め、しっかり合わせを入れる。
いったん飲み込まれたネムリ系のハリはこの合わせでズルズルと引き出され、口角で止まって貫通するわけだ。
ファーストランの最中は、「フルドラグで、走らせずに強引に巻き上げなきゃダメだよ」と船長や同乗者から注意を受けたこともあったが、下手くそなもんで・・・と言いつつ走るだけ走らせた。
その間は手持ちでしっかりロッドを立ててひたすら耐えるが、フルドラグよりは楽だ。
30kg級であれば、合わせを入れてからのファーストランは50~100m走ったところで止まる。
そしてこのタイミングで自作のマグロリングを投入。最後までファイトを楽しみたい気持ちもあるが、ヤリトリにじっくり時間をかけるのも周りの皆さんに申し訳ないし、サメ被害の確率も高まってしまう。
筆者のコマセワーク
リングの相乗効果で キャッチ率アップ!
市販のマグロリングは切り込みから道糸に通して投じるものが主流だが、その場合、どうしても人のサポートが必要となり、切り込みを固定するにも時間がかかる。
また、リングがキハダの頭に入っても暴れられて切り込みが開き、外れてしまうこともある。
なので私は切り込みのない自作リングをあらかじめ電動リールのコードに通しておき、自分で竿尻からリングを通して投入している。
このほうが素早く投入でき、リングも外れない。リングが届く前にセカンドランで引き出されることもあるが、ファーストラン同様に止まるまでジッと待つ。
リングが届くとキハダが一時暴れるが、うまくハマると一気におとなしくなる。
ここで竿をロッドキーパーに固定し、電動巻き上げを開始。
グローブをはめた手で道糸を引き込む電動ウインチを織り交ぜ、ロッドにかかる負荷を見ながらドラグを締め込み、巻き上げ速度を徐々に上げていく。
マグロリングが効くと、置き竿のままでグングン巻き上がってくる。おかげで体力の消耗も大幅に減った
出典:
キハダ不発もカツオは絶好調!10月はオダモン登場に期待。
9月15日、小坪港の太郎丸を訪れた。
お土産に困らないほどカツオは連日好調、キハダも4日前に船中4本上がったとあって、平日にもかかわらずコマセ釣り20名、ルアー釣り3名が乗船。
レンタルタックルのビギナーさんが8名いて、船長のレクチャーがあるなど出船前から船上は大賑わいだ。
6時に出船。鎌倉沖などにトリヤマがあって、様子を探りながら西に進路を取ることおよそ1時間。
小田原沖に集結している船団に合流した。
「すぐにできるように準備しておいてよ」と船長。
ソナーでナブラの動きを確認しながら慎重に船を回し直す。
「やってみて、10m」
アナウンスと同時に素早く投入した人に、すぐさまアタリ到来。
「きたよ! きたよ!」と四方八方でロッドが絞り込まれ、カツオがヒット。
船長、仲乗りさんがタモ取りに走り回るが、とても間に合う状況ではない。
サイズは1.5~3kg級とやや小ぶり。
しかし、オマツリ、口切れとバラシが多く船に入るのは半分以下。
「アタリがきたらすぐに強く合わせを入れなきゃダメだよ」
「掛かったら魚を遊ばせないでガンガン巻き上げてよ」
船長の檄が飛び、釣りはほぼ初めてというビギナーさんもカツオの入れ食いに大興奮。
御年83歳になる方も奮闘し、絞り込まれる竿を「うりゃあ!」と渾身の力で起こしてカツオを連続ゲット。
「この年で釣りができるなんて幸せですよ」ファインダー越しに見る笑顔はまさに恵比寿様のようだ。
カツオは海面下10mで入れ食い!
出典:
キハダはバラシ連発
ナブラを追いかけながら、いつしか船団は根府川沖へ到達。
カツオに加えてキハダの反応もあるようで、ここからは流し込みモードに突入。
「キハダを狙う人は30mでやってみて。カツオは10mのままでいいよ」とのアナウンスも出た。
このエリアは、昨年小田原モンスター(通称オダモン)と呼ばれた50~60kg級のキハダが大フィーバーした海域。
船団の中にはキハダと格闘している釣り人も見え、熱い雰囲気が漂っている。
さっそくヒットさせたのは突き出しのルアーマン。
しかし残念、フックアウト。
すぐにコマセ釣りの右舷ミヨシ3番の釣り人も大きく合わせを入れた。
煙が上がる勢いで道糸が滑り出し、全員が仕掛けを上げて固か たず唾を飲んで見守る。
しかし残り40mのところで無情にも竿先が跳ね上がってバラシ・・・。
だれにアタってもおかしくないキハダの反応がいく度も船下を通過し、ジギングで狙うルアーマンに連続ヒットがあったもののすべてフックアウト・・・。
食い気がないのだろうか?エサ釣りのほうはカツオがヒットするばかりで時は過ぎていき、ほぼ全員のクーラーが満杯となったところで沖揚がりの時間を迎えた。
船中釣果は1.2~3.5kgのカツオが2~12本。
6~8kgのキメジが船中3本(ルアー)。カツオの釣果が少ない人はキハダ狙いの人で、カツオ専門で狙った方はほとんどが10本前後上げていた。
カツオは今のところ小ぶりが多いが、船長いわく、「大きいのも交じるけど、脂の乗りは小さめのほうがいい。食べても抜群だよ」とのこと。
キハダも反応はすこぶる濃く、小田原沖一帯に滞留し始めた雰囲気。
もう少し水温が下がりベイトが少なくなってくれば、昨年のフィーバーが再現されるかもしれない。
キメジはルアー釣りが優勢
出典:
(左)今秋もビッグサイズの期待が集まる小田原沖(右)カツオは全員確保。行くなら今!
出典:
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【相模湾(神奈川県)キハダ船】人気ランキング
【相模湾(神奈川県)キハダ船】価格ランキング