例年この時期はマダイの食いがシビアになるものだが、今年は各地でマダイがよく釣れていて、正月用の「祝い鯛」を手にするには申し分ない雰囲気。
富士山を望む景観が素晴らしい相模湾のコマセダイ乗合もおすすめで、各所の水深50~100m前後にポイントが点在している。
取材した茅ケ港・ちがさき丸は、航程わずか20分の真沖、水深65~100m前後を狙っており、材日はモーニングチャンスに恵まれ、開始から45分の間に0.5~0.8kg級のマダイが船中7枚釣れ上がった。
その後、深場へ移動すると4.66kgの大ダイが上がったほか、3~4kg級のワラサも交じる良日となった。
船宿推奨の仕掛けはハリス3号6メートルで、ワラサが回遊しているときはハリス4号と太くする。
全長8mが主流の相模湾の中では短めだが、さばきやすくトラブルも少ないのはメリット。
入門者でも気楽にチャンレジすることができる。
▲相模湾のコマセダイは2023年も期待大
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▲朝イチにマダイを2枚を釣り上げた方もいた
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▲船中1枚目は0.5kg級のマダイ
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コマセを効かせてマダイの摂餌欲を刺激するのが通称「コマセダイ」。
釣り場は南房~内房、東京湾、三浦半島、相模湾、伊豆半島、駿河湾、日本海と各地にある。
いずれの釣り場も冬は水深40~100mまで幅広く探る場合が多いが、好ポイントに当たると比較的コンスタントに釣れるうえ、アジなど何かしら土産が確保できる安心感がある。
まずは12月中旬現在の各地の釣況を見てみよう。
■房総エリア=南房はシマアジの食いが活発でシマアジメインで看板を掲げる船宿が多い中、マダイ狙いで出船すれば1kg前後を中心に2kg級交じりで順調に釣れている。
内房保田沖ではワラサ優勢の展開が続いているが、マダイは1kg前後を中心に3~4kg級の良型も上がっている。
■三浦半島エリア=東部、西部ともイナダの猛攻が減ってマダイが主役になりつつある。
とくに上向きなのが東部の久里浜沖。
水深40~50m付近の比較的浅場と水深60~80m前後を状況で攻め分け、1kg前後を主体に2~3kgロ級も上がっている。
西部方面では水深40~90m前後で1kg級主体に2kg級も釣れている。
ハナダイやイナダ、アジ、サバなどゲストも豊富に交じっている。
■相模湾エリア=こちらもややイナダが減って、マダイ狙いに適した潮になってきた。
取材した茅ケ崎港ちがさき丸の米山茂明船長によると、まだ水温が高いため本格的な深場狙いとはならず、目下は水深60~70mと水深90~100mを状況により狙い分け、0.8kg前後を主体に深場では3~4kg級も上がっている。
急激な水温低下がなければ年明けもこの状況が続くだろうとのこと。
■伊豆~沼津エリア=南房と同じくシマアジに沸いているのが東伊豆。
川奈沖でシマアジを狙ってから、マダイポイントへ転じているようだ。
南伊豆は石廊崎沖や神子元島周りを、西伊豆では土肥沖を狙い、いずれも1~2kg級主体に3kg級も取り込まれている。
沼津方面は0.6~2kgのマダイがトップ3枚前後と順調。
冬の北風に強い穏やかな湾内なので、出船率が高く、午前、午後の2便制で楽しめる。
■日本海エリア=新潟上越エリアの冬は海況が悪く出船できないことも多いが、好天に恵まれれば1kg前後を主体に3~5kg級交じりでトップ3枚前後とまずまず。
▲朝イチはマダイの活性が高く、船内のあちこちで竿が曲がった
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▲アベレージは 0.5~0.8kg
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▲深場で釣れるワラサは3~4kg級が主体
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▲当日はワラサの活性が高くよく釣れた
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▲3kg級のワラサ。このサイズが釣れればお土産は十分
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仕掛けの太さと長さ、コマセカゴのサイズと重さを事前に確認しよう
コマセダイはどの釣り場でも基本的な道具立てはほぼ共通となる。
竿は全長2.4~3m前後の胴調子で、PE3~4号の道糸を200~300m巻いた小型電動や中型両軸リールを組み合わせる。
この釣りはコマセカゴや付けエサが跳ねてしまうとマダイが警戒すると言われている。
そのため船の揺れによる上下動を吸収し、仕掛けの動きを安定させる5:5~6:4調子の軟らかめの竿がいい。
仕掛けは、ハリスの太さは3~4号が主流で、長さは船宿や地域により6~12 メートルほどとなる。
船長は指定したハリス長を基準にタナを指示するので、ハリスの長さが異なると付けエサがタナから外れてしまう。
船宿の標準仕掛けに合わせることが基本になるので、予約時にハリスの太さと長さを確認しよう。
ちなみにちがさき丸の船宿仕掛けはハリス3~4号6m。
ほかの地域と比べて短いハリスを使っているのは、相模湾は潮の流れが緩く、たとえばハリスを長くしてその分タナを上げても食いは変わらないからだという。
オモリの号数は80号を基準としている船が多いが、コマセカゴのサイズはほとんどの海域でLサイズ以下に規定されている。
湾奥~三浦半島の船宿ではFLサイズをすすめる船が増えている。
FLサイズは潮流の抵抗が少ないので道糸が立ちやすく、コマセの使用量を減らせるなどの利点がある。
船宿により推奨サイズは変わるので、オモリ号数とともに予約時に確認しておこう。
なお、コマセカゴにはプラスチック製のプラカゴ、金属製のステン缶の2種類がある。
カゴの調整はプラカゴを例に取ると上窓を半開、下窓を1cmくらい開ける。
するとコマセは主に下窓から放出される。エサ取りが多ければ上窓を全開、下窓はほぼ全閉にして水が抜ける程度にすると、コマセは上窓からごく少量ずつ放出されるため、エサ取りを寄せにくいと言われている。
ステン缶の場合は穴埋めゴム(別売)を使い、側面の穴が3つくらい開いている状態にする。
ムラなくコマセが出るのでプラカゴのような微調整はさほど必要ない。
ADVICE 長ハリスは絡みやすいので要注意
長ハリスを使うときのおすすめの投入方法は両手を使い、片方の手でハリスをほぐし、もう一方の手で握ってブレーキをかけつつ送り込み、ハリが近づいたら海面に放つ。
慣れてきたら片手で行ってもいい。
回収時はハリスを足元にたぐり落としておくが、改めてハリ側からたぐり直しておくと、再投入の糸絡みが格段に減る。
また、床を海水で濡らしておくと、たぐり込んだハリスがバラけない。
海面からのタナ取りは 道糸のマーカーで合わせて指示ダナを厳守する
タナ取りは海面からと、海底からの2通りがある。
ちなみに、取材したちがさき丸は海面から取る。
海面からのタナ取りはコマセカゴを着底させることなく船長が指示する水深に正確に合わせる。
そのためにはリールの水深カウンターよりも道糸のマーカーで数えるようにしよう。
指示ダナに到達したら、いったんハリス全長、長ハリスの場合は半分程度まで仕掛けを下ろす。
ハリスが絡まないよう潮になじむのを少し待ってから、コマセを数回に分けて振りつつコマセカゴをタナに合わせる。
海面からのタナ取りは船中全員が指示ダナを守り、海底付近にいるマダイを浮かせて釣るのが狙い。
海底近くにコマセカゴを落とす行為はマダイが散ってしまうので控えよう。
海底からタナを取る場合の船長の指示は、ハリス分プラス〇mとハリスの長さを基準に出されることがほとんど。
例えばハリスが8mで「プラス2mでやってみて!」とアナウンスされたら、底から10mにタナを取る。
仕掛けを着底させてなるべく道糸が真っすぐになるように底ダチを正確に取り、2~2m巻き上げる。
ここからコマセを数回に分けて振りつつ、底から10m巻き上げた位置でアタリを待つ。
海底からのタナ取りではタナの微調整も釣り人に任せられている。
エサ取りが多いときは1m刻みでタナを上げて食いダナを探ろう。
タナを取ったら必ずドラグを緩めに調整しておく。
道糸を手で強く引いてズルッと滑り出すくらいが目安だ。
よく釣る人は必ず定期的な手返しをしている。
手返しのインターバルは、エサ取りの活性を目安にする。
船長によると、最初はタナ取り後3分で一度仕掛けを回収し、付けエサをチェックする。
エサが取られていないようなら次は5分と少し時間を長くしてみる。
逆にエサを取られているなら2~3分で早めの再投入を繰り返すといいそうだ。
▲コマセを数回振ってタナに合わせる
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食わせるために誘いを入れるのも有効
コマセダイは置き竿で船の揺れに誘いを任せているだけで竿先が海面に突っ込むこともあるが、アタらないときや船長から指示があれば誘いを入れてみよう。
誘いには誘い上げと落とし込みの2パターンがある。
誘い上げはゆっくり大きく竿先を立てて付けエサを上昇させ、数秒ストップ。
続いてゆっくり静かに竿先を下げていく。
落とし込みは、たとえば「2m下げてみて!」とアナウンスされたらリールから道糸を引き出す、もしくは竿を海中に差し込んでゆっくり仕掛けを沈める。
誘いを入れて付けエサをアピールするとマダイが食い付くこともあるので試してみよう。
アタリがきて、竿先がギュンと海面に突っ込んだら竿を立てハリ掛かりを確認する。
巻き上げは、電動リールの場合は竿尻を腹に当て竿を立てて、竿の角度を45度くらいにキープしたまま一定の速度で巻き上げる。手巻きの場合は、突っ込んだら竿でため、弱まればテンションを保ったまま竿先を下げつつ素早く巻くを繰り返す。
こうしたヤリトリを覚えておくと、大ダイがヒットした場合でもバラシを減らすことができる。
▲大ダイがヒットしたら竿尻を腹に当ててヤリトリする
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隔週刊つり情報(2023年1月15号)※無断複製・転載禁止