秋の船釣りを代表する人気ターゲットの一つがヒラメ。
ここでは沖釣りカレッジ「松本圭一のヒラメ教室」の模様を紹介していこう。
出船は九十九里飯岡港の優光丸。
講師の松本さんは、まずは竿を出して釣り場の状況を把握してから船上を巡回し、各自の要望に応じてアドバイスを行うとのこと。
あいにく当日は台風通過後でウネリが残る釣りにくい状況だったが、飯岡沖の水深15mで流し始めた1投目で松本さんが800g級のヒラメを上げる。
イワシエサを付け直して再投入すると1kg級、800g級とアタリが続き、松本さんの釣技に参加者の目が釘付けに。
ほどなく船内でも0.6~2kg級がポツポツ上がり幸先のいいスタートとなった。
その後、松本さんは参加者の釣り方をチェックしつつ声をかけていく。
中でも、最初にレクチャーしたヒラメ初挑戦の方へのアドバイスが効いた。
「タナは底から50cmくらい上です。今日はウネリがあるので竿先を目線より高めに構えて、船の上下動をかわしつつ仕掛けを安定させましょう」
大半の参加者が竿先を下に向けてアタリを待つ中、このアドバイスを実践した方が1.5kg級のヒラメを手にする。
しかし、早朝の時合が一段落するとアタリが遠のいてしまい、移動を繰り返したが好転せず沖揚がりとなった。
シケの影響か全般に食い渋り気味で残念ながら本命0の人もいたが、一人ひとりていねいに教えて回った松本さんのアドバイスは大いに参考になった様子。
本編では、アタリが遠いときもレクチャーの合間に竿を出しヒラメ2枚を追加、実質1時間ほどで合計5枚を釣った松本さんが実践している「アタリを出すための一手」を紹介する。
松本さんは親バリを結んだハリスと孫バリ、捨て糸、金具類を持参し、船上で仕掛けを組み立てる
出典:
第19回の沖釣りカレッジは松本圭一さんのヒラメ教室。
松本さんが参加者にレクチャーした仕掛け、エサの付け方、釣り方に込められた「アタリを出すための一手」を紹介する。
15cmのイワシで親孫間のハリス長は10cmが目安
出典:
LESSON 1・仕掛け&タックル・親&孫バリの間が重要・イワシの大きさに合わせて船上で孫バリを結ぶ
「ヒラメ釣りはエサのイワシを元気に泳がせることが一番重要です。仕掛けは親バリと孫バリ間のハリスの長さがイワシの大きさと合っていないと泳ぎを妨げるので、親バリを結んだハリスを準備して、孫バリは船上で結ぶようにしています」
松本さんの仕掛けの仕様は図のとおり。
ハリス5~6号120cmの位置に親バリを結び、孫バリを結ぶための端糸を15cmほど残したものを10組ほど持参している。
孫バリは刺しやすく外れにくい変形トリプルフックを愛用。
このフックはイワシに刺すハリが細軸で小さいためエサが弱りにくいという。
親孫間の長さは、背ビレの後方に孫バリ打って少したるむくらいが目安。
親バリは外掛け結び、孫バリは深海結びで結んでいる。
ハリスの長さは70~80cmを基準に、置き竿にするときは船の上下動を緩和させてエサの位置を安定させるために100~110cmと長くする。
捨て糸は底近くを探るために通常は20~30cmと短めで、横流しで潮が速いときは50cm。
タックルはヒラメ専用竿と小型両軸リールの組み合わせ。
竿の長さは横流しで仕掛けが船下に入る側になったときに対応しやすい全長2.3m前後がおすすめとのこと。
ヒラメタックル&仕掛け例
孫バリは「泳がせヒラメ」の6号
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当日松本さんが使用したタックルは「ベイゲームライトヒラメ73MH230」と、フォールレバー搭載の「バルケッタFカスタム150」の組み合わせ
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LESSON 2・エサの付け方・水の中でハリを打ちウロコを落とさずイワシを元気に泳がせる
「ヒラメ釣りで自分だけアタリがないときに船長に頼んでエサを付けてもらうと一発で食った、そんな話をよく聞きます。それくらいヒラメ釣りはエサの付け方が重要なんです」
松本さんのエサの付け方は写真のとおりで、大事なのは手順①~②。
写真は見やすいようにイワシを水から出しているが、通常はウロコが落ちにくい水の中でハリを打つ。
ウロコが落ちるとヒラメが違和感を覚えるためかアタリが減るそうだ。
最初のイワシの持ち方が肝心で、孫バリを背掛けにするときは、背側を上にして持ち、尻掛けにするときは腹側を上にして持つ。
ハリの打ち方は様ざまだが、松本さんは親バリを口掛け、孫バリを背掛けにする。
「口掛けは上アゴ先端寄りの中央に刺してください。刺す位置が左右にずれるとイワシの泳ぎが不自然になってアタリが減る傾向があります。孫バリはハリ先でウロコを1~2枚めくってから浅く刺してください」
こうしてハリを打ったイワシを投入した後、海面でイワシの泳ぎを確認。
真っすぐ泳いでいないときや、孫バリが外れていた場合は、いったんイワシを上げてハリを打ち直す。
「エサ付けが上達するとけっこう長い時間イワシは元気に泳ぎますが、移動するときなどに上げたエサが横になっていたら替え時です。エサを大事に扱うことは重要ですが、生きていても元気に泳がないイワシは食いが悪いので交換してください。一人当たりのエサの数はおおむね20匹くらいが目安で、通常は足りなくなることはありません」
ONE POINT ADVICE・松本圭一流・イワシエサの付け方
LESSON 3・釣り方の基本・竿の構えが肝心・アタリがなければ積極的に誘ってエサをアピール
「ヒラメは海底に潜んでエサを待ち伏せします。まめに底ダチを取り直してエサのイワシを底から1mくらい上にキープすることが一番大事です」
松本さんの釣り方は、投入後、スプールを軽くサミングしてイワシに負担をかけない程度の速さで底上3mくらいまで下ろして一度止め、ここからヒラメにエサを見せつけるイメージでゆっくり下ろして着底させる。
続いて50cmほど竿先を持ち上げて待ち、一定のペースでオモリを底に着けてタナをキープする。
アタリを待つときは竿先を目の高さに合わせて構え、海が穏やかなときはしっかり竿先を止めて集中する。
竿先を目の高さに合わせて構えると、目と竿先の距離が近く小さな変化を見逃しにくいうえ、余裕を持って竿を上下に動かせるため、波などで船が大きく上下動してもしっかり対応して仕掛けを安定させられるという。
大事なのはエサに気づいたヒラメに違和感を与えないように、できるだけ一定のタナにイワシを泳がせて食い気を誘うこと。
しかし、松本さんはアタリが遠いときは10cm刻みで徐々にタナを上げ、積極的にイワシの位置を変えてアタリが出るタナを探る。
竿一杯に誘い上げ、しばし止めてエサをヒラメにアピールし、ゆっくり下げて食い気を誘うのも効果的。
また、ヒラメは根周りなどに固まっていることも多く、船内で1枚釣れるとバタバタッと続けて上がることも珍しくない。
そんなとき、イワシが弱っていたり、エサをあまり使っていない人は、思い切って仕掛けを上げ、新しいエサに付け替えて再投入するのも一手とのこと。
通常は目の高さに竿先を合わせて構える。ウネリなどで船の上下動が大きいときは、もう少し竿先を高くする
出典:
竿の構え方・基本の釣り方と誘い方のイメージ
アタリが遠いときは、竿を大きくゆっくり上下に動かして誘う
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LESSON 4・アタリと合わせ・アタリの手応えで合わせ方を変えてフッキング率アップ!
「ヒラメのアタリは様ざまです。アタリの手応えでヒラメがエサにアタックしている様子をイメージして、それに応じた合わせ方をすればフッキング率がアップします」
通常はコンッ、クイクイッといった竿先の動きや手に伝わる明確なアタリを感じたらしばし待ち、強く引き込んだところで合わせる。しかし、アタリの後に、なかなか引き込まないこともある。
「何かしらのアタリがきた後、引き込まないけどグーッと竿先が重くなっていくときは大きなヒラメが底に張りついている可能性があります。そのときは、ギューッと強めに竿を持ち上げて、すぐに巻き合わせしてしっかりフッキングさせてください」
しかし、食い込みが浅いとこの方法でバラすこともあるとか。
その場合は、竿先が重くなってからテンションを少し抜いたり張ったりを繰り返し、ヒラメがエサをくわえ直して飲み込む隙を与えるといいそうだ。
また、コンッ、クイクイッなどとアタリが続いているのに引き込まない場合は魚が浮いていることが多いそう。
そんなとき松本さんは、スナップを効かせシャープに合わせて掛ける。
竿を大きく持ち上げるように合わせると、ヒラメが上を向きエサがスッポ抜けることが多いので要注意とのこと。
「アタリから合わせるまでの駆け引きはヒラメ釣りの魅力の一つです。合わせてバラすことも上達のステップになるので、バラしたときと同じようなアタリがきたときに違う合わせ方ができるように、合わせ方の引き出しを増やして準備してください」
ハリ掛かりに持ち込んだら、できるだけヒラメを刺激しないように一定のテンションを保持しながら巻き上げる。
このヤリトリに慣れると大きなヒラメもすんなり上がってくるそうだ。
アタリの後に引き込まれないときの合わせ方例
LESSON 5・横流しの釣り・横流しは潮先と潮裏で釣り方を変えてアタリを出す
「横流しは潮先(仕掛けが船下に入る側)と潮裏(仕掛けが船から離れていく側)になる舷を入れ替えながら流していくので釣り座による有利不利はほとんどありませんが、潮先と潮裏で釣り方を変えてアタリが出る確率をアップさせることはできます」
潮先のタナ取りは基本どおりオモリを底から50cmくらい持ち上げ、底から1mほど上をイワシが泳ぐようにする。
横流しは仕掛けを底付近にキープするために道糸を出すことがある。
底ダチを取り直していくうちに道糸が斜めになったら、積極的に仕掛けを回収し、入れ直す。
道糸を立てたほうがポイントに仕掛けが先に入り有利になるうえ、反対舷とオマツリしたり、道糸が船底にこすれてしまうことも軽減できるとのこと。
「潮裏は後攻めになるので、潮が澄んでいるときは思い切ってオモリを底から1~2m上げてタナを高めに取って、船から離れた所にいる食い気のあるヒラメにエサをアピールして誘い出すのも一手です」
根掛かりしないポイントでは、道糸をどんどんのばして、ヒラメの鼻先にイワシを泳がせるイメージで、オモリが底に着いたり離れたりする状態で潮先の取りこぼしを狙うのも効果的とのこと。
こうした「アタリを出すための一手」を積み重ねていけば必ず1枚のヒラメにつながると松本さんは言う。
皆さんもぜひ松本圭一流のヒラメ釣法にチャレンジしていただきたい。
潮先側では道糸が斜めになったら、積極的に仕掛けを回収し、エサを確認して入れ直す
出典:
横流し釣りのイメージ
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隔週刊つり情報(2022年10月1日号)※無断複製・転載禁止