東京湾のタチウオ釣りが活況を呈してきた。
出たり消えたりと神出鬼没の行動で幽霊とも称されるタチウオだが、近年は出ずっぱりの状態が多く、ロングランで狙えるとあって人気も上々。
シーズンごとにそれぞれ特徴があり、夏タチと呼ばれるこれからの時期は浅いタナで数が釣れるのが魅力の一つ。
使用するオモリも40~60号前後と軽く、年間を通して見ても一番お手軽で、初心者や入門者にも最適な時期と言えるだろう。
6月下旬、様子を見に出かけたのは内房富津港の鹿島丸。
マダコやイイダコ、それにエビスズキなど伝統の釣り物を得意とする船宿で、タチウオ釣りも昔から定評がある。
タチウオ船を担当する鹿島孝夫船長はアグレッシブな釣りを得意としており、その釣り方にハマった常連やリピーターも多い人気船宿である。
前日に電話するとすでに予約でいっぱいとのことだが取材はOK。
現在密を避けて20名で締め切るとのことだから、釣れている今は早めの予約が安心だろう。
集合時間の午前6時少し前に港へ到着。
すでに予約者は全員集まっていて釣り座取りのクーラーが階段から岸壁までズラズラつながり壮観だ。
6時になって孝夫船長から乗船開始の声がかかると順番に乗り込んでいき、皆さんの準備ができたところで出船となった。
たいていは初心者のために出船前に釣り方のレクチャーがある。
当日は希望者がいなくてすぐの出船となったが、釣り方に不安があれば受けたほうが安心。
一人でもていねいに説明してくれるから遠慮なくお願いしよう。
いきなりドラゴン!
最初に狙った釣り場は航程20分ほどの第二海堡周り。
夏タチの定番スポットの一つで、潮の通りがよくアジやサバ、スズキなど東京湾のブランド魚も多く集まる漁場でもある。
当日も40cm前後のアジやサバがゲストで登場してクーラーを賑わせていた。
釣り場に到着してから船はタチウオを探して周辺をウロウロしていたが、すぐに群れが見つかり釣り開始の合図。
「水深30m。10~20を探って」とタナの指示が出た。
走水沖はアジやサバが交じる
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早朝は第二海堡周辺、海面下10~20mの浅ダナを攻めた
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朝イチの1投目はみんな期待が高まり、ほどなくして当日の紅一点の方の竿が大きく引き込まれて初物をゲット。
これを合図に船中でも次つぎにタチウオを取り込む姿が見受けられ、活性の高さを物語る。
皆さん竿をシャクる動きに気合が入り早くも汗だくだ。
予報では台風接近を知らせていたが、ウネリは釣りを邪魔するほどではなく、日差しは夏日を思わせるほど。
浅場でバリバリだからすでに夏タチシーズン到来といってもいいだろう。
しばらく船中の賑わいを見物していると、右ミヨシに陣取る方から「デカいのきたよ」と声がかかった。
見ると隣のシニアの方の竿が海面に向かって引き込まれている。
確かにデカそうだ。
電動リールもうなりを上げている。
しばらくして海面にクネクネと銀色に輝く姿が見えてきた。
ウッ、これは一反木綿か?
リュウグウノツカイか?
いやハリスをたぐって取り込んだのは119cmの紛れもないドラゴン級。
夏タチは小~中型が中心とはいえ、デカいのもいるから油断はできない。
このあとメーター超えが船内2~3本上がったところで9時前に移動となった。
朝イチに上がった119cm
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船ベリに当てないように抜き上げる
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活性が高いタチウオが海面下までエサを追ってくることも
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メーターオーバーもコンスタントに上がった
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晴れた日は帽子やサングラスなど日焼け対策もお忘れなく
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後半戦も食い活発!
夏タチといえば船が密集して大船団になるのが風物詩だが、取材日は海堡周りから観音崎沖、走水沖と船が分散して中規模の固まりが点々としていた。
釣り場が拡散するのは魚影の濃い証拠。
これから夏本番に向けて期待度は増すばかりだ。
夏は幽霊の出番だが、このまま消えずにいてもらいたいものである。
10分ほど走って走水方面へ。
こちらの釣り場は先ほどより少し深めで40~50mがタナの下限。
カケ上がりを狙っているので、その都度船長がアナウンスする指示ダナを聞き逃さないように。
こっちも海堡周りと同じく活性は高いようですぐ型を見たが、流れ藻が多く小移動の繰り返し。
ほかの船も動きが多いものの、釣れていないというより、流れ藻のせいで移動を余儀なくされているのだろう。
それが証拠に、どこに動いても釣れてくるし、先ほどより型のいいのが多くなってきたような。
アジやサバのゲストも相変わらず多く、中にはアジ、サバを交互に連発する方も。
しかもどれも丸まると肥えていておいしそう。
1尾ずつあれば豪華に食卓を飾ることができるだろう。
早朝に声をかけてくれた方がデカいタチウオを釣り上げた。
近寄ってみるとスゴイ迫力。
持つほうも写真を撮る私も思わず「こわいよ~」を連発。
アップで撮るとき、噛みつかれたらどうしようと思わずブルッちゃう。
後で測ったところ120cmと当日の最大であった。
ふと出船前に孝夫船長が、「小さいのは狙ってないですから」と言ったのを思い出した。
釣った方もデカいのを狙っていたと言っていたが、思いは通じるものである。
ちなみに翌日は132cmが顔を見せたとのこと。
その後もアタリは途絶えることなく、メーター超えも何本か追加されて終始賑やかな一日であった。
午後1時に沖揚がりして、最大120cmで小さいのが65cm。
それ以下のサイズもいたが、鹿島丸では放流サイズとのことでカウントなし。
トップが34本でスソは7本。
平均15~20本前後の方が多かった。
最後に孝夫船長は、「夏タチは浅いタナで釣れますし道具もライトだからお手軽です。初心者はもちろん女性にもおすすめなので、ぜひチャレンジしてタチウオの強引を味わってみてください」と話してくれた。
後半は走水沖の船団に合流
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力強い引き込みもタチウオ釣りの魅力
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当日最大120cmジャスト。このクラスが10mを切る海面下で食ってくることもあるから気が抜けない
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この日は大半の人が15本前後をキャッチ
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脂が乗った良型の刺身は格別
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小型が数釣れるのは資源量が豊富な証
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知っ得!タチウオ釣りの心得
タチウオ釣りは誘いが大事。
目下は小刻みなシャクリが効果的。
エサも新鮮さが命だからクーラーで保冷して使う分をこまめに取り出すこと。
釣り方が不安な方は必ず出船前のレクチャーを聞こう。
釣果に差が出ますよ。
タチウオの歯は鋭い。ハリを外すときはエラぶた付近をしっかりつかみ、ペンチで抜こう
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鹿島丸のタチウオ仕掛け例
竿は全長1.8m前後の専用竿やゲームロッドが人気。
小型電動リールが主流だが、タナが浅いから手巻きリールでも対応できる。
道糸はPE1.5号を推奨、もしくは2号の2サイズ限定。
オモリは40と60号。
仕掛けは1本バリでお願いしますとのこと。
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隔週刊つり情報(2021年8月1日号)※無断複製・転載禁止