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[E2F(第12回)]東京湾のタチウオジギング

隔週刊つり情報編集部

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第12回はヨッシーが得意とするタチウオジギング。

2月下旬に釣行したのは東京湾奥長浦のこなや丸。

19名の乗船者を乗せて6時に出船。

進藤通孝船長が目指したのは航程1時間ほどの横須賀沖の水深45m前後。

到着するとすでにタチウオ船団が形成されており、銀色に輝く刀のような魚体が取り込まれているのが見える。

「水深45mです。底から5mまで反応があります。ジグ120gを使ってください。このところ早巻きのほうがいいようです」とのアナウンスでスタート。

釣り開始から1時間は船中のあちこちで竿が曲がり、指幅3本級を主体に半数以上の方がタチウオの顔を見ることができた。

その後アタリが遠のくと、「ゆっくり誘ってみてください」と船長からのアドバイス。

反応は底付近に固まっているものの、群れの中には活性の高いタチウオがいて底上10mまでジグを追ってくるという。

ヨッシーは、タングステン製のTGバンブルズジグ バンプ120gをチョイス。

ジグが海中であまり飛び跳ねないように誘う。

そして小さなアタリに合わせるとフッキング、ロッドが大きく曲がった。

今回はタングステンジグという武器を引っ提げて東京湾のタチウオに挑んだヨッシー。

詳しくはこのあと!

Profile

よしおか すすむ

1982年生まれ。

ヨッシーの愛称で親しまれている。

一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。

ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。

釣行の写真

ワンピッチジャークで指示ダナをていねいに探って釣り上げた

タチウオジギングの釣り方

巻き上げは竿先を下げて細かくシャクり、ジグを跳ね上げさせないのがコツ。

慣れないうちはタダ巻きでもOK。

投入や再着底時のフォールでもタチウオが食ってくるのでサミングしてアタリに備えよう。

ここは関ケ原か、川中島か、はたまた筑後川かーー。

今日も横須賀沖で、人間とタチウオの壮大な合戦である。

人間は大船団を組み、様ざまな戦術を駆使してタチウオを攻め落とそうとしている。

知恵や文明の利器をフル活用する人間に対してタチウオは文字どおりに命懸けだ。

本能をフルに駆使して人の手から逃れようとする。

この合戦、圧倒的に人間が有利だ。

長年の戦の中で培った経験を元に、技術は磨かれ、武器は洗練され、現在に至っている。

だからこそ、どんなに苦しい戦況下でも、大船団の中でタチウオが1本も釣られないことは、まずない(と思う)。

たいていは人間がタチウオを釣り上げ船上に取り込み、クーラーに収め、最終的には胃袋に収めている。

逆のパターンは、ない。

人間がタチウオによって海中に引きずり込まれ、取り込まれ、食われることは、ない(と思う)。

つまり人間は常勝し続けているのだ。

にもかかわらず人間はいつもタチウオに対して「してやられた」と思う。

イメージどおりの勝ち方ができないからだ。

「勝ち方」へのこだわりを動機に、今日も東京湾にタチウオ大船団が形成されている。

船団の中に、東京湾奥長浦のこなや丸がいて、その右ミヨシにはヨッシーことジャッカルプロスタッフの吉岡進さんの姿があり、隣にはライターのタカハシゴー、イチロウこと鹿島一郎さん、そしてトモキこと板倉友基さんが並んでいた。

シケ続きの晩冬にあって奇跡のように穏やかなナギとなった2月29日、木曜日のことである。

「平日……だよね?」

「平日……だよな?」

顔を見合わせるE2F取材班。

船着き場を離れ、小1時間走ったこなや丸が横須賀沖でタチウオジギングを開始したのは午前7時。

30隻以上のタチウオ大船団はどの船もたくさんのお客さんを乗せていた。

繰り返すが、平日である。

タチウオとの合戦に及んで人間たちも本気なのだ。

釣り場の写真

当日の釣り場は横須賀沖の水深45m前後

タングステンジグが優勢の東京湾のタチウオジギング

しかし、人間の欲もスゴい。

スズキ目サバ亜目タチウオ科のタチウオに対して、常勝だというのになお、全力で勝負を挑む。

水深42mのポイントで釣りが開始されるや否や、ヨッシー、イチロウ、そしてトモキは迷いなく120gのタングステン製ジグを投入した。

これがどういうことか、お分かりだろうか。

120gのタングステン製ジグは、今や1個3000円を下らない。

それを細糸の先に付け、タチウオの大群の中に落とすのである。

タチウオの歯は恐ろしく鋭い。

永遠の初心者・タカハシゴーなど、毎回タチウオの歯にやられて流血しているほどだ(絆創膏の持参を強くおすすめします)。

PEラインにタチウオの歯が触れようものなら、フッツリと切られてしまう。

それこそなんの衝撃も違和感もないまま、3000円オーバーのジグが海の藻屑と消えるのである。

いやタングステンは錆びにくい物質なので、そう簡単には藻屑にもならない。

海底に長く留まってしまうことを考慮すれば、タチウオにフッツリと切られることもできるだけ避けたい。

糸フケを出さないよう、あまり大きく竿をシャクらないことがコツだが、それで100%避けられるわけではない。

なかなかのリスクだが、勇者たちは臆することなくタングステン製ジグを投下するのだ。

タチウオジギングの方法は、それほど難しくない。ジグを着底させ、「(水深)40mから5mの幅で反応が出てますよ」などの船長の指示を受け、その層を意識しながら巻き上げる。

タナを過ぎたらフォール。

着底。

タダ巻き。

この繰り返しが基本である。

大きなシャクリは不要だ。

こなや丸の進藤通孝船長は、度たび「竿はシャクらないで、タダ巻きがいいですよ」とアナウンスする。

PEラインにタチウオの歯が当たるのを軽減するためばかりではない。

シンプルに、そのほうが釣れるからだ。

ジギングというと大きなロッドアクションをイメージしてしまうが、ことタチウオに関しては竿をなるべく動かさず、タダ巻きとフォールに徹したほうが釣果が出る(ことが多い)。

竿を大きくシャクると、竿先を下げたときに糸フケが出て、ジグは水を受けシュッと横方向にスライドする。

「ジグが飛ぶ」という言い方をするのだが、この動きにタチウオは付いていけないそうなのだ。

魚なのに。

釣行の写真

タングステンジグの反応もいい

タングステンと鉛製のジグで釣果の差はどれほどになる?

タチウオという名前の由来は、太刀のような外見だから説と、立って泳ぐから説がある。

タチウオの外見と、海中を泳ぐ姿。

どちらを先に人間が知ったかと言えば、前者だろう。

というわけで、たぶん太刀に似ているからタチウオと命名された説を採りたいが、タチウオが直立して泳いでいることが多いのも事実である。

もちろん横方向に泳ぐこともあるのだが、捕食の多くは縦方向で行われる。

落ちてくるものをバックして食べたり、上がっていくものを追いかけて食べたりする。

だからジグも縦に動かせばいい。

ここで再びタングステン製ジグの登場である。

最近の東京湾タチウオジギングはタングステン製ジグが大流行している。

もはや「タングステンじゃないと釣れない」とまで言われており、アングラーのタックルボックスには3000円超のジグがズラリと勢ぞろい。

なんとも豪気というか豪勢というか本気と書いてマジというか、スゴイ。

さて、ここでようやく1投目のシーンに戻る。

「ヨッシー、イチロウ、そしてトモキは迷いなく120gのタングステン製ジグを投入した」のだ。

おや……?

タカハシゴーはどうした? 

タカハシゴーは天邪鬼である。

永遠の初心者のクセに疑い深く、「本当にタングステン製ジグじゃないと釣れないんですかぁ?」と、一人鉛製120gのジグを投入したのである。

すぐに船中のあちこちでバタバタッとタチウオが釣れ上がった。

シルバーの魚体が艶めかしくギラつく。

港の朝市のように威勢のいいモーニングサービスタイムだ。

そんな中、闇夜を飛ぶカラスのように暗い男がいた。

タカハシゴーである。

「……っかしいなあ……」と首を傾げてボヤく。

右ミヨシからヨッシー、タカハシゴー、イチロウ、トモキと釣り座は並んでいるのに、タカハシゴーだけ釣れないのである。

タダ巻き&フォールの繰り返しがタチウオジギングの基本動作だが、その中にも工夫の余地はたっぷりとある。

巻きスピードを変化させたり、タダ巻きの中にポーズを入れたり、緩~いワンピッチジャークやハーフピッチジャークをしてみたり……。

各人が色いろな技を繰り出す。

タカハシゴーも拙いなりに様ざまなトライをしていた。

だが、しかし……。

釣り開始から1時間たって集計すると、右ミヨシからヨッシー5本、タカハシゴー0本、イチロウ4本、トモキ11本だった。

これはひどい。

タカハシゴー、0本。

いかに彼が永遠の初心者とは言え、ここまでの差が付くことは、ないことはない(笑)。

だが、そう多くもない。

彼があまりにヘタクソだから、という可能性は高い。

しかしここは、タチウオが明確に鉛製ジグよりタングステン製を選んでいる、と考えるのが自然だろう。

ヨッシーは言う。

「タングステン製ジグは、同じ重さの鉛製ジグに比べて、シルエットがコンパクト。だから今、タチウオが食ってるベイトにマッチしているのかもしれないね。でも、それだけじゃないと思う。一つはフォールスピード。タングステン製ジグはコンパクトだから、フォールスピードが速いんだよ。とくにおれが使ってるジャッカル・TGバンブルズジグバンプはリアバランスでスピードフォールが身上。これがタチウオにはすごく効くんだ。フォールスピードの速さはタチウオに効果的な誘いになるだけじゃなくて、手返しのよさにもつながる。『落として巻いて』という釣りだから、タングステン製ジグのほうがテンポが速いんだよ。それだけチャンスも多いってこと」

釣行の写真

終盤に待望の1本を釣り上げてひと安心

釣行の写真

指幅3本級のタチウオがメイン

釣り始めから1時間が勝負 モーニングサービスタイム

その話を聞きながら、タカハシゴーは天を仰いだ。

そして、恨めしげに自分のタックルボックスに目をやった。

タングステン製ジグが入っていないタックルボックスを……。

「はっきり言って、タングステン製ジグじゃないと釣れないってことはないと思うよ」と、ヨッシーは言った。

「ただ、効率よくパンパンッと釣れるのは確か。それを目の当たりにしてしまった鉛製ジグユーザーは、そりゃあ『次はタングステンを用意しよう……』と思うよね。その繰り返しで、今や東京湾タチウオジギングはタングステン一色になりつつあるんだ」

「高いんだもん!」とタカハシゴーは口を尖らせる。

タチウオに奪われる可能性があるジグに、3000円超である。

しかもカラーや重さをある程度そろえたら、いくらになることか……。

だが、これはタチウオと人間の合戦なのだ。

タチウオが命懸けなら、人間は財布を懸けなければならない。

タカハシゴーは甘かったのである。

結局、タカハシゴーはイチロウから120gのタングステン製ジグを貸してもらい、「あ、あれっ」というほど簡単に1本目を釣った。

しかし、モーニングサービスタイムが終わると、一転して難しい釣りになった。

ポツリ、ポツリとタチウオが取り込まれるが、勢いがない。

アタる人にはアタるが、アタらない人にはアタらない。

進藤船長はタチウオの歯のように鋭い操船で反応に当てていくが、あまりご機嫌はよろしくないようだ。

それでも、飽きない程度にアタリはある。

午後2時に沖揚がりを迎えると、ヨッシーとイチロウが14本、モーニングサービスタイムの出遅れが響いたタカハシゴーが7本、そしてトモキが22本で竿頭と、まずまずの釣果となった。

今回の合戦も、人間の勝利である。

しかし、ヨッシーの表情はやや曇っていた。

「パターンを見つけることができなかったよ。毎回違うやり方でジグを動かす必要があった。典型的な『難しい日』だったね」

竿頭のトモキも、「巻きはゆっくりめがよかったけど、速いほうがいいときもあり、なんともつかみどころがありませんでした」と苦笑いする。

「してやられたよね。だからタチウオは面白いんだよ!」とヨッシー。

「そう簡単には思いどおりにならないテクニカルさが、タチウオの魅力なんだ。きっと正解はちゃんとあってハマればハマる。でもなかなかハマらない(笑)。このもどかしさがクセになる」

東京湾で繰り広げられる人間対タチウオの合戦は、季節が変わっても続く。

タチウオは立ち泳ぎして船底を見上げながら、こう言っているだろう。

「人間どもよ、全力で財布のひもを緩めるがいい!」

釣行の写真

フォールで1m級をキャッチ

釣行の写真

こなや丸ではジギングとテンヤ(40号)の両方楽しめる。左舷トモの方は前半ジギング、後半テンヤで釣り分けてトータル20本

#Enjoy Every Fishing Tackle guide

タチウオジギングタックル

ジグがあまり飛び跳ねないよう、できるだけしなやかなタチウオ専用ロッドを選びたい。

120gのジグを誘いやすいのが軟らかな「アンチョビドライバー エクストロA DX-60UL」、電車釣行される方には2本継ぎで持ち運びしやすい「アンチョビ ドライバーRB ADRB 66UL」がおすすめ。

ヨッシーの最近のお気に入りはメロンパン。

ほどよい甘さと外はカリカリ、中はふんわりした食感がたまらないとか。

いつもおいしそうに食べているのですが、生地がポロポロこぼれ落ちて食べにくそうなのが気になります。

ヨッシーの写真

ヨッシーのメモリアルショット

船宿インフォメーション

東京湾奥長浦こなや丸

0438・62・2707

▼進藤通孝船長はタチウオ釣りの大ベテラン。

ポイントの選び方や流し方などがていねいで、ジグの重さもその都度教えてくれる。

操舵室から常に船中の釣況をチェックし、釣れていない方には隣で誘い方をアドバイスしてくれるのでビギナーにもおすすめだ。

▼備考=6時出船。

駐車場500円。

テンヤの場合は予約時に確認。

アジへも出船。

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