ロングロッドの今と昔~あなたは正しく使えていますか?~
「長いものには巻かれろ」という諺がありますが、ここ二十年ほどの間に、沖釣りではロングロッドの使用が常識になりつつあります。
しかし例外として、このようなブームが起きる以前から、瀬戸内の乗合船のメバル釣りなどではロングロッドが使われており、今でも愛用している人は多いです。
この場合に使われていたロングロッドは、実は必要に迫られてのものだったようです。
かつてのロングロッドはなぜメバル釣りで重宝したのか?
メバルという魚は、潮の状態によってよく浮きます。
それゆえに、エダスとエダスの間合いを広く取り、ハリ数を増やした長い胴突き仕掛けほど、広くタナが探れて有利です。
さらに、船を流しながら小さな根を探ることが多いので、手返しのよさが決め手にもなります。
竿を立て長い仕掛けを回収するとき、うまく手元にオモリが飛び込んでくるくらいの長さがあって、しかも竿先が軟らかく食い込みがよい、という条件が優先されたために、長竿が使われたと考えられています。
パワーのある魚にロングロッドは不向き?
ところが今のロングロッドブームは、“必要に迫られて”という部分が少し希薄のように感じます。
たとえば、船のマダイ釣りです。
コマセマダイ釣りでは、3m以上の長さで極端な胴調子、ムーチング調子などと呼ばれる船竿を使うのが常識になりつつあります。
これは、ヒラマサやメジロなどの青物をオキアミのエサで狙うときも同じです。
かつての沖釣りでは、マダイやパワーのある青物を狙うときに、3mを超えるようなロングロッドは使われていませんでした。
これは、パワーのある魚ほどロングロッドであしらうのが大変という理由からです。
それなのに、なぜロングロッドなのでしょうか?
それは、釣り方の変化がもたらしたものだと言えるでしょう。
三種の神器の出現で釣りの楽しさを奪われた!?
最新の沖釣りでは、ムーチング調子のロングロッドに小型の電動リール、丈夫なロッドホルダーが三種の神器です。
この3つを駆使すれば、マダイや青物をいとも簡単に釣り上げることができます。
仕掛けの上げ下ろしはもちろん電動まかせで、魚が掛かってもリールのスイッチをポンと入れるだけで操作が完了します。
船べり停止で自動的に止まるまで竿さえ手にすることはなく、船べり停止で止まったあとも竿を立て仕掛けをつかんで取り込むだけ、という実に簡便な釣りが当たり前になっているのです。
魚とのやり取りの楽しさは、一体どこへ行ってしまったのでしょう。
これでは釣り本来の楽しみを、自ずから放棄しているようなものではないか、とついついぼやきたくなるものです。
ロングロッドが沖釣りに向く理由は〇〇だった!
このような釣りが定着し始めたのは、電動リールの普及と無関係ではありません。
コンパクトでハイパワーの電動リールが普及し始めたころから、ロングロッドの置き竿釣法が盛んになり始めました。
最新の電動リールは、ハイパワー、ハイスピード、ハイテクという3つの要素が欠かせません。
しかし、いくらハイテクといっても人間の頭脳には敵うわけがなく、魚が掛かって電動リールのスイッチを入れても、あとはひたすら巻き取るだけの動作です。
もし、このとき掛かった魚が予想以上に大きかったらどうなるのでしょうか?
竿はロッドホルダーに固定されたままで、電動リールはひたすら巻き取るだけだとしたら、魚が急激に引いたときカバーしきれるとは言い切れません。
このとき手持ち竿で釣っていれば、人間の頭脳が素早く指令を出し、竿先を送り込むなりドラグを緩めるなりできたはずです。
ところが置き竿の釣りでは、竿を手にしていない分この判断が遅れてしまいます。
そんなとき、初めてロングロッドが役立つのです。
軟らかくて粘りのあるロングロッドの竿先が、ズブッと海面に突き刺さって急激な魚の引きをかわしてくれます。
このように、置き竿でリールと竿まかせの横着な釣りには、確かにロングロッドが向いていると言えるでしょう。
しかも、利点はこれだけではありません。
短い先調子の竿をロッドホルダーに掛け置きすると、波が高いときなど船がローリングするたびに竿先が跳ね、仕掛けが躍って食いの悪いことがあります。
このようなケースでムーチング調子のロングロッドを使うと、軟らかい竿が船の揺れを吸収してくれるため、竿先がピンピン跳ねずうまく釣ることができます。
ロングロッド、電動リール、ロッドホルダーという三種の神器が普及したのは良いですが、最近はこまめな底取りが必要な根魚釣りにまで、このスタイルを通す人が現れました。
竿が長くて軟らかいため底取りが難しく、しかも置き竿となれば、根掛かりを連発することは間違いないでしょう。
魚は少しも釣れていないにも関わらず、それが当たり前だと思っているアングラーは思いの外多い印象です。
それを見て私は複雑な心境になりました。
釣りの楽しみ方は人それぞれです。
とは言え、せめて竿ぐらいは手に持って魚とのやり取りを楽しんで欲しいものです。
それが、釣られてくる魚に対しての最低限の礼儀と言えるのではないでしょうか。
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