五目の賑わいで楽しめる！剣崎沖のコマセダイは冬のトップシーズンへ

今シーズンは不発に終わってしまった三浦半島剣崎沖のワラサ。

とはいえ全く釣れないわけではなく、12月中旬時点ではワラサ・マダイの両狙いで出船する船が多い。

取材日は剣崎沖の水深50～90m前後を狙い、マダイは800g前後をトップ3枚ながらイナダやワラサ、大アジなども交じって五目的な釣りを楽しめた。

本誌発売ごろはおそらくマダイ一本に狙いを絞っての出船になると予想され、いよいよ冬のコマセダイが最盛期を迎える。

コマセ釣りの基本エサはオキアミ。

ワラサ狙いの場合はほかにイカの切り身などを使ったりもするが、マダイ狙い中心となればオキアミ一択で大丈夫。

付け方もワラサの場合は抱き合わせにしたりするが、マダイは1匹掛けが基本になる。

関東の釣り人にとってはコマセマダイ＝乗っ込みとイメージされる方が多いだろう。

確かに一番釣り人が動く時期は、乗っ込みと言われる3～4月下旬となっている。

しかし一年で一番食べておいしいのは冬場～乗っ込み前のちょうど今の時期となる。

エサをタップリと食べて脂を蓄えた身はもう絶品。

その虜とりこになって冬場に足しげく通う釣り人も実はけっこう多い。

三浦半島剣崎出船での冬場の釣り場はおおよそ剣崎沖、久里浜～下浦沖、城ケ島沖の3カ所。

そのときの状況に応じて釣り場は変わるが、どのポイントも水深は50～60m前後が多い。

取材した時点ではワラサが釣れていたためワラサメインのポイントとマダイメインのポイントで分かれていたが、この号が発売されるころにはマダイ狙いがメインになるとのこと。

「コンスタントにマダイの顔は見られています。アジ、イナダ、ワラサ、ショゴ（小型カンパチ）、イシダイなどの外道交じりでお土産もバッチリ」とは取材した三浦半島剣崎松輪港、伝五郎丸の若船長、鈴木雄也さん。

竿は全長2.5m前後で胴調子の専用竿。

ゲームロッドや各種汎用竿も流用可能だが、慣れていない方にはやはり専用竿がおすすめ。

リールは中小型電動または中型両軸がベスト。

いずれの場合もドラグ性能に優れている機種を選びたい。

道糸はPE3～4号前後。

船によって指定があることもあるので、予約の際には要確認だ。

テンビンは腕長50cm前後の弓型か、全長70～100cmくらいのストレート（形状記憶）タイプ。

どちらでも構わないが、個人的にはストレートタイブがおすすめ。

弓型だと投入の際にハリスがテンビンに乗っかってしまうと絡みが解消されないが、ストレートタイプなら仮にハリスが乗ってしまってもそのまま滑り落ちて絡みを解消できるからだ。

オモリは80号でプラカゴ、ステン缶どちらでもOK。

サイズに関してはFLサイズを推奨する船が多いが、こちらも細かく指定があったりするので必ず確認していただきたい。

クッションゴムは1.5mm径前後の1mを使用。

使っているうちに劣化してくるので、実釣前には必ず確認が必要。

心配なら新品を購入することをおすすめしたい。

仕掛けはフロロ4～5号全長10mのテーパー式が基準。

乗っ込みの時期と違い引きが強い個体も多いので3号など過度に細いハリスはやめたほうが無難。

また、長過ぎる仕掛けも同じくNG。

ハリス長は10mあれば普通に釣れるし、とくに活性が高いときは8mでも十分なくらい。

テーパー仕掛けの際に使うサルカンは5号前後。

軽めの物を使用しておいて、重さが足りないときにはガン玉で調整するのがスマートだ。

上ハリスと下ハリスの長さの割合は5：5～6：4で問題なし。

ハリはマダイ9～10号を使用。

7号などの小さ過ぎるハリは飲まれて手返しが悪くなるので使わないほうがよい。

カゴに詰めるオキアミの量は半分もあればいい。

外道やエサ取りが多いときは一つまみ程度で抑えることもある。

マダイを食わせるにはオキアミが数粒漂っていれば十分という船長もいるほどで、少量のコマセでも全く問題ない。

近年はフグが増えたこともあり、なおさらコマセは少なくする傾向にある。

鈴木船長の話では、「この時期のマダイは乗っ込みのようにマダイの濃い反応を狙うわけではなく、外道も交じっているような反応を狙うことが多いです。外道を釣りながらマダイを狙い打ちできるようなやり方を模索していく感じですね。なので効率よく手数を上げられるかで釣果に差が出てきます」とのこと。

さて、いよいよ釣り始める。

まずは、船長より投入の合図があったらビシを投入。

リールのクラッチを切ってサミングしながら落としていく。

その際にサミングしているのとは逆の手の指で輪を作り、その輪の中でハリスを滑らせていくとトラブルが少ない。

ハリの手前まできたらいったんスプールを押さえて止め、エサの状態を再度確認してから再び落としていく。

船にもよるが、タナ取りは基本的に海面からの指示となるので船長のアナウンスは聞き逃さないように注意。

指示ダナから何m下までビシを落としていいかは船により異なる。

5m下までとなっている船が多いが、あらかじめ釣り開始前に船長に確認しておくこと。

深く沈め過ぎるとマダイを驚かせて散らすことにもなってしまうので、決められた位置より下にビシを絶対に落とさないように。

そのためにも必ず道糸の色でタナを取る。

リールのカウンターは誤差が出るので当てにしないように。

タナ下まで落としたら、クラッチを入れて5～10秒程度ハリスがなじむまで待つ。

ここですぐに竿を振ってコマセをまき始めてしまうと、なじみ切っていないハリスが道糸やテンビン周りに絡んで釣りにならなくなってしまう。

ハリスがなじんだら、コマセが縦の帯になるようなイメージで2～3回に分けてコマセを振りながら指示ダナまで上げていく。

指示ダナまで上げたらそこでアタリを待つが、忘れてはいけないのがドラグ調整。

船の揺れで糸が出ない程度までドラグを緩めておく。

◎アタリを待つポイント

鈴木船長いわく「置き竿のままただ待っている方はなかなかアタりません。状況に応じて誘いをかけてアタリを出しにいくほうがヒットする確率は高い」とのこと。

◎誘い

糸の出し入れをせず、竿一杯ゆっくり持ち上げたり、逆に下げてみたりするのが基本。

動かしっ放しはあまりよくないので、誘った後は食わせの間をしっかり作ることも重要だ。

しかしフグが多いときはエサを積極的に動かしてしまうと、すぐにフグに見つかってハリごとかみ切られてしまう。

フグが多いときは静かに待つしかない。

仕掛けを回収した際にハリがなかったらほぼフグの仕業だ。

◎仕掛けを入れ替えるタイミング

４分前後が基本となる。

3分からスタートして、上げてきてエサが残っているようならもう少し長く待ち、残っていなければ徐々に短くしていく。

しかしどんなに長くても５分たったら入れ替えるようにしたい。

いくら少ないコマセで釣れるといっても、コマセが全く効かなくなってしまうと釣れる魚も釣れないからだ。

入れ替えの際はまずビシだけを上げ、コマセを詰め替えて再投入。

ハリスを手でつかんだまま投人のときと同じように落としていき、ハリが見えたらいったんクラッチを入れて落下を止めてエサを付け替える。

そこから再度クラッチを切って落としていくのがトラブルの少ないやり方となる。

潮が速かったり釣り人が多くて隣との間隔が狭いときには、いったん仕掛けを上げてしまったほうがいい。

その際にハリスを入れておくカゴを持っていくと便利。

必ずハリ側からハリスをカゴに入れていき、クッション側のハリスが上側になるようにするとスムーズに再投入できる。

◎アタリがあったら

一呼吸置いて軽く合わせてヤリトリ開始。

慣れていない方がポンピングするとバレる確率が高くなるので、竿を一定の角度に保ったまま電動なり手巻きで巻き上げるのが無難だ。

年の瀬も迫る12月初旬、年始用の縁起物の確保ということで三浦半島剣崎松輪港の伝五郎丸を訪れた。

港に着くと好調なだけあってカワハギ狙いの釣り人がかなり多いが、コマセマダイファンの聖地ということもあり、マダイ狙いの釣り人もけっこう見受けられる。

乗船して船長に最近の状況を伺うと、「ワラサは釣れたり釣れなかったりですが、マダイはコンスタントに上がってます。外道に釣れる大アジも脂乗り乗りですごくおいしいです」とのこと。

期待に胸を膨らませつつ定刻どおり午前7時前に出船。

まずは航程10分ほどの剣崎沖からスタート。

船長によると例年ならマダイのポイントらしいが、今年はなぜかワラサがよく釣れるという。

ハリス6号6mの仕掛けからスタート。

3回ほど入れ替えたところで初ヒット。

引きはマダイっぽかったが、上がってきたのは40cm近い大アジ。

しかも体高があって船長の言うとおりかなりおいしそうだ。

しかしその後は沈黙してしまったため、下ハリス4号4m＋上ハリス5号6mのマダイ狙いの仕掛けにチェンジ。

フグに数回ハリを取られたものの、間もなく小型ながら本命のマダイをゲット。

イナダやアジも交じりつつ、コンスタントにアタリが出るようになった。

しばらくして船中で強烈な引きの魚がヒット。

ほどなくバレてしまったが、船長いわくワラサだろうとのこと。

すぐに私にもヒットして10mくらいヤリトリしたが、同じくバレてしまった。

青物っぽい首振りだったのでこちらもワラサだったのだろう。

ワラサ狙いの方にはアタリが全くなかったようなので、細めの長いハリスが効いたのかもしれない。

しばらくソウダガツオの猛攻が続き、タナでも海面近くでも次から次にソウダがヒットしてしまう。

しかし海底付近にマダイらしき反応も出ていたので少し粘ることに。

するとソウダが落ち着いたタイミングで鋭いアタリがあり、合わせると本命っぽい引き。

上がってきたのは1kg弱のマダイだった。

その後は再びソウダとエサ取りとフグの猛攻になってしまいポイントを大きく移動。

しばらく南下して水深95m前後の深場で再スタートとなった。

こちらはエサ取りも少ないようで、4～5回入れ替えても付けエサが取られずに残ってくる状況。

しかしコマセは効かせたいので4分くらいの間隔で入れ替えを行う。

しばらくするとアジも交じりつつ、反対舷でマダイが2枚上がる。

話を伺ってみると、どうも底スレスレでのヒットらしい。

すぐに対応するべく、サルカン部とチモトから1.5m上にそれぞれBと5号のガン玉をセット。

付けエサがより海底付近を漂うように変更する。

アジが2尾ヒットしたあと、マダイっぽいようなエサのかじられ方をしたため、そのまま数回同じ手返しで粘る。

するとヒット、小型ながらマタイが上がってきた。

少ししてトモの方に当日の最大サイズとなるマダイがヒット。

やはり同じような釣り方とのことなのでそのままのセッティングで続けることに。

するとあと30分で沖揚がりというタイミングでアタリが。

最初の突っ込みは本命っぽかったが、合わせてヤリトリし始めるとどうも違う感じ。

首を振り始めたので青物だと確言。

ハリスも細いので慎重にヤリトリして無事に上がってきたのは5kgくらいのワラサだった。

ようやく獲れた裏？本命に船長もホッとした様子で喜んでくれた。

その後は何もなく午後2時に終了。

もう少しマダイのサイズアップを狙いたかったが、マタイもアジもワラサも脂乗り乗りで大変おいしく溜飲は簡単に下がった。

本誌発売時には本格的なマダイ狙いにシフトしているはず。

初釣りターゲットとしてもおすすめだ。

三浦半島剣崎松輪港

伝五郎丸

046・886・1534

▼備考＝予約乗合。

2月末まで6時45分出船なので6時までに宿で受付を