茨城県エリアのマダコ釣りは、いよいよ冬の大型シーズンへ突入。
中でも鹿島沖では11月12日から渡りの大型が大挙して入ってきてちょっとしたお祭り状態になっている。
「ここはほとんど根掛かりしません。重くなったら全部タコですよ」と、茨城県鹿島港・長岡丸の奥田重孝船長のアナウンスでスタートすると、いきなり3kg前後のラッシュが始まった。
水深は30m前後。電動で巻き上げても皆その重量に必死の形相だ。
4kg超えも交じって開始1時間ほどでほとんどの人が2~3杯をキープ。
後半は根周りや様ざまなポイントを探りながらの釣りになったが2~9杯、別船はトップ12杯を記録。
これなら正月用の冷凍ストックは万全。
12月はさらなる上昇の可能性もある。
カラーは4色でOK
マダコ船の奥田船長によると、「餌木はピンク、緑、黄色があればいいかな、白がいい日もある」とのことで、この4色があれば事足りるそう。
トリ皮や豚バラを巻く人も多いが、餌木さえちゃんと動かせれば何も付けなくても十分釣れるとのことだ。
![餌木の写真]()
基本の4色は押さえておこう
出典:
茨城県のマダコは今年は5月ごろから北部エリアでは大洗~那珂湊沖で好調にスタート。
多少の上下はありながらも例年以上の乗りを見せていた。
南部エリアでは10月から鹿島沖が解禁、シケが続き出船できないことも多かったが中小型主体ながらまずまずの釣果を出していた。
ところが、11月上旬になるといきなり沖から大型の群れが入ってきて、これ以上ないほどの好調な乗りが記録されている。
「3kg前後が多いですよ。どれだけ続くか分かりませんが、かなりの渡りの群れが入っています」とは茨城県鹿島港・長岡丸の奥田重孝船長。
茨城エリアでは昔から「渡り」と呼ぶ大型のマダコが冬場になると近場に入ってきて、かつてはこの時期のみに出船していた。
この群れが航程30~40分の鹿島沖に入り込んだというわけ。
11月12日のXデーからは連日3~4kg級が多数交じってトップ10杯前後を記録。
下が2~3杯だったといっても2杯で5kg超えも普通なので、いかにすごいかが分かるというもの。
このエリアでは最近1~2カ月、北東強風で出船機会できない日が例年以上に多い。
船宿にとってみればゆゆしき問題だが、逆に乱獲が抑えられているとも言える。
このサイズのマダコはその日に食べるよりも、一度冷凍してからがおすすめ。
年末年始用にストックしておくのに最適なターゲットはほかにいないだろう。
冷凍庫にタコがいれば、年末の釣り物の選択肢が広がり、夢狙いの冒険もできる。
タックルはパワー重視
竿はオモリ100号までに対応可能な全長1.8m前後の餌木タコ用、硬めのテンヤタチウオ用、ヤリイカ用など。
いずれも高負荷がかかっても大丈夫なものがおすすめ。
ちなみに取材日は巻き上げ中にタコの重量に耐えられず竿が折れるシーンもあった。
「ちょっとオーバーかな」くらいのものを選ぶのが安心だ。
また、横流しの釣りの場合に船下に糸が入り込み、あまり短い竿だと最後に船底にタコが張り付いてしまう可能性があるので、ある程度長さはあったほうがいいだろう。
リールは中小型電動か小型両軸。
リールに関して船長は、軽さや好みもあるので電動、手巻きどちらでもいいというが、とくに手巻き両軸の場合は、「巻けるもの」をと強調した。
たとえば3kgの魚であれば、竿のしなりやドラグを効かせながらヤリトリして浮上させられるが、3kgのマダコの場合はひたすら巻き続けなくてはならない。
腕で竿を支えて、ある程度竿を起こして巻くとなると、相当の力を要する。
ポンピングしたらバラす可能性も高くなるので、巻けないことには話にならない。
まずは、相手が大きいということを理解しておこう。
「電動は大きめのほうがいいですよ。両軸を使いたい人はパワーハンドルが必須です」と船長。
ダイワなら300~500番、シマノなら2000~3000番の使用を。
那珂湊沖などではもうワンランク小型のものを使う人も多いが、デカいのが出ているときはパワーに余裕があるものを使用する。
魚とタコ、同じ3kgでもかかる負荷が異なる。
3kgの塊であるマダコのほうがダイレクトに負荷がかかり、リールへの負担も大きくなる。
道糸はPE3~4号。
リーダーは10~12号で、こちらは付けたほうがトラブルを回避できる。
餌木はタコ餌木を2~3個程度。
1個付けだと乗ったときに一つの餌木に負担がかかるのとバラシが増えるので2個は付けておきたい。
色はピンク、黄色、緑、白が基本で、とくに深く考えなくてもいいそう。
迷ったらその4色を用意しておけばOK。
豚バラやトリ皮などを巻いてもいいが、なくても遜色はないというのが船長の見立てだ。
餌木にも色んなタイプがあるが、大型に備えてハリが大型のものを1個入れておくとバラシ防止につながる。
餌木の接続はタコ餌木用のスナップを使用するが、市販品の中には大した負荷をかけていないのに破損してしまうものがある。
おすすめはクレン親子サルカン、スナップサルカンをルアー用のスプリットリングで接続する自作品。
餌木2個用、3個用と自在だし強度の不安もない。
オモリは80号が標準だが、横流しで狙うときに100号を使用することもあるので両方用意しておこう。
どんな形状のものでもいいが、船長がこれだけはダメ!というオモリがある。
「夜光のオモリ。あれはタコが嫌うみたいです。このお客さん乗らないのなんでだろうと見ていると、夜光オモリを使っている人が多いですよ」
渡りが入っている場所は平たんで根掛かりがほとんどない場所だったが、その周辺は根周りの場所も多く、餌木とオモリの予備は多めに用意しておきたい。
このほかタコを入れるネットは必携。
ファスナー付き洗濯用ネットは百均でも購入できるが、大型に備えて2~3個持参しておくといいだろう。
底に着いていれば乗る
ポイントの水深はいずれも30m前後。
多くの場合はヒラメと同じように横流しの釣りが基本となる。
風を正面に受ける側は道糸が前方に出ていく。
逆に背中から風を受ける側は船下に道糸が入り込んでいく。
道糸は船下に入り込んでいく側が先にポイントに入っていく。
このため有利な場所と言えるが、一概に言えないところがあるのも釣りの面白いところ。
実際に取材日は前方に糸が出ていく側でも連チャンで釣る人がいた。
釣り方の基本は常に海底を感じながら竿を小さく上下して小づいていく。
トントンしていたのにジワーッとした重みを感じたらタコが覆い被さっている可能性が高い。
これを感じたら10秒はそのまま小づき続けて、竿先を下げながら糸を巻き、竿を両手でしっかり持って強く持ち上げるように合わせる。
重みを感じたらタコが乗った証拠で、そのまま巻き始める。
大型が乗っているときはとくに合わせが重要だと船長。
1回合わせたあとに追加で合わせを入れておくとバレにくいそう。
巻き上げは重くても辛くても(ホントにそう思うときがある)、ひたすら巻き上げる。
大型はタモ入れ必須なので、乗ったらすぐに声を出して周りの人に知らせて、船長が間に合わなければ周りの人にすくってもらう。
船下に糸が入り込んだ側では残り近くなったら体を大きく乗り出し、腕を伸ばして船底にタコが張り付かないように注意(と言われても腕がパンパンで無理ってことも)。
根掛かりのない場所で重みを感じたらそれはタコが乗っている証拠。
ただし、オモリ100号を使っていて乗っているのかどうか分からない人もいるそう。
ちょっとおかしいと思ったら、ゆっくりと持ち上げてみて確認し、タコがいそうだと思ったらもう一度海底に下ろしてからしっかりと合わせを入れるようにしよう。
「乗らない人や乗りが分からない人は餌木以外の余計なものを付けないほうがいいですよ」と船長。
余計なものとはアクセサリー類で抵抗が増えて乗りを分かりづらくしているという。
とはいっても相手が3kgオーバーの場合は、ズーンとかなりの乗り感がやってくる。
①船下に糸が入り込む(抱え込み)の注意点
風が強いと船の動きが早くなり、釣りづらいことがある。
底を取りながら小づきを繰り返していると、どんどん反対側に仕掛けがいってしまう。
こうなると最初にポイントに入る恩恵がなくなってしまう。
やりにくくなったら、一度回収して入れ直すこと。
あまりにやりにくいようなら30号程度の増しオモリを追加するのもあり。
②前方に糸が出ていく側(払い出し)の注意点
こちらは反対舷の人が通過したあとの場所で釣っていることになる。
こちら側では底を取りながら小づいていくと前方に糸が出ていってしまうが、これはそのまま続けてOK。
ただし、あまりに出過ぎて合わせを入れられないと思ったら、水深の半分ぐらい巻き上げてから落とし直せばOK。
通常は不利な場所だが、マダコでは逆転現象も起きているので集中してやろう。
大型を1杯釣ったあとは、スナップ類が外れていないか、開いていないかを確認して次の投入へ。
ネットに入れたタコはわずかな隙間があれば逃げ出してしまうので、キチンと閉じているのをまめに確認しておこう。
すぐに行くしかない! 驚きの大型ラッシュを体感
今回、取材先として鹿島港出船のマダコを取り上げようと思った時点では、「まあまあ」の状況で上向けば面白くなるかな、というものだった。
ところが、予定していた2日前から急上昇しているじゃないか。
これはどういうことだ?
11月14日はその上昇ぶりを見てか急きょ人数が増えて2隻でスタンバイ。
「一昨日から渡りが入ってきたよ。今日も大丈夫でしょう」と茨城県鹿島港・長岡丸の奥田重孝船長からは頼もしい言葉。
筆者と合わせて12人の釣り人を乗せて5時過ぎに出船。
40~50分走って鹿島の北寄りのポイントに到着し、6時のスタートを待つ。
ちょうど夜明け時間だ。
「どうぞ、30m。根掛かりしないから重かったらタコですよ」とのアナウンスでスタートとなる。
するといきなり左舷大ドモで3kg近い良型が上がる。
バタ、バタ、バタと次から次へと乗りがやってくる。
特筆すべきはそのサイズが皆3kg前後だ。
「うわー、竿が折れた」
そんな声も聞こえてくるほど、開始早々ラッシュが始まった。
「写真はいくらでも撮れるから早くやってよ」と船長に促されて筆者も投入。
すでに大型10杯以上の撮影が済んでいる。
![釣行の写真]()
開始1時間はまさにラッシュ
出典:
4kgあればそりゃ重い
餌木はレッドヘッドとイエロー系の2個付け。
オモリは80号でちょうど船下に仕掛けが入り込むのでやや小づきづらい。
うしろ側に入りすぎてやり直そうと竿を持ち上げるも上がらない。
あれ?エイヤ!と合わせてみればとんでもない重量感。
電動を入れるも竿を支える手がプルプルする。
船底に張り付かないように腕を伸ばすと限界に近い。
船長が差し出すタモになんとか誘導してフィニッシュ。
これが帰宅後に計量すると4.3kgもあった。
そりゃあ重いわけだ。
横流しで交互に流すが、糸が前方に出る側でもあまり遜色なく乗ってくる。
船中満遍なく乗って3~4杯で10kgを超える人もチラホラ。
確実に海底にオモリが着いていることを意識してコンコンと小づいていく。
海底は船長が言うとおりフラットな場所のようだ。
するとサーッと餌木に覆い被さるような感触。
10回小づいてエイヤ!と合わせると再びかなりの重量感。
糸を緩めないよう電動の力を借りて巻き上げると、こちらも3kgはあった。
すでに大満足だ。
ある程度、この場所で釣ったあとは根周りのポイントを転々と探っていく。
途中でスパンカーを上げてエンジン流しで探ることもあったが、横流しのほうが船も餌木も動いて乗りはいいようだ。
再びスパンカーを畳んで横流しに。
前半のポイントと違って根掛かりもあるので緊張感がある。
根かタコか判断が付かないときは、聞き上げるか瞬間的にシュッと上げる。
ガリッと岩をかすめるような感触があれば、これは根。
グニューッと持ち上がるときはタコなのでもう一度下ろして小づいてから合わせを入れる。
これで2kg前後を2杯追加できた。
後半はややペースが落ちたものの、600g級が釣れると、「ちっちゃい!」なんて笑い声が上がるほど、乗ればほぼ良型というとんでもない日に当たったようだ。
釣果は2~9杯、別船は1~13杯。
その後も好調が続いている。
このまま12月も釣れ続いていることを願いたい。
釣ったマダコはその日のうちにすべて冷凍して、1杯は数日後にいただいた。
2kagほどあったがしっかりともんだおかげか柔らかく茹で上げることができた。
味も絶品で最高だった。
冷凍庫の中にはラスボス級のジャンボが2杯眠っている。
年末年始はこれで安心だ。
![釣行の写真]()
最初の4杯で10kg超え!
出典:
![釣行の写真]()
6~7杯の人が多かった
出典:
![釣行の写真]()
多くのポイントで良型が出た
出典:
船宿information
茨城県鹿島港 長岡丸
0299・69・0930
▼備考=予約乗合、4時半集合。ほかヒラメ、マダイへも
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隔週刊つり情報(2024年12月15号)※無断複製・転載禁止