関東のフグ釣りで穴場的存在といえるのが相模湾。
フグ専門船を出している腰越港の池田丸では腰越沖の水深16~30m前後を狙い、いい日は20~35cm前後のショウサイフグがトップで20~30尾。
これに25~32cm前後のトラフグがトップ10尾前後交じってくる。
タックルと仕掛けは東京湾と同様で、エサはアルゼンチンアカエビ、オモリ10号のカットウ仕掛けの上に2本の食わせバリを付ける仕様が基本。
目下は低水温期でフグの活性はやや低いときもあるが、春に向けて水温が上がるにつれて釣り場にフグが集まってくる傾向にあるというから、今後は大いに期待できそうだ。
![釣行の写真]()
ショウサイフグの平均サイズは20~25cm前後
出典:
カットウ仕掛けのエサの付け方例
エサのアルゼンチンアカエビにはいくつかの付け方があるが、アピールと食いのよさのバランスがよいのは皮をむいて付ける方法だ。
ここではスタンダードなカットウ仕掛けへのエサ付けを示す。
相模湾のフグ専門狙いは比較的新しい釣りだ。
池田丸で初めての乗合を始めたのが5年ほど前、当初はショウサイフグが主体だったが、ここ数年はトラフグも交じるようになった。
ホウボウ、カワハギなどおいしい外道も交じるのが特徴で、さながらカットウ五目の雰囲気でもある。
ポイントは港前の腰越沖、江ノ島沖を中心に西は辻堂沖、東は葉山沖と広範囲に渡る。
水深は16~30mで海底は砂地あるいは根周りを攻める。
根周りといってもそれほどきつい根ではないので、仕掛けは海底に着けてアタリを待つのが基本だ。
![釣場の写真]()
腰越沖を中心に葉山~辻堂沖まで広範囲を狙う
出典:
カットウ仕掛けの上に食わせバリを付ける
船の流し方は、アンカーを打たずにポイントを流して広範囲に探ったり、反応の上に船を止めて釣る。
潮の流れはそれほど速い場所ではないので、オモリは10号で統一している。
池田丸ではカットウ仕掛けの上に食わせバリを付けるのが一般的で、後述するがこの食わせバリは宙層に浮いているフグへのアピールにもなる。
カットウ仕掛けのエサバリは昔ながらの1本バリで、チラシ仕掛けは3本。
仕掛けは船宿で市販されているので好みの仕掛けを選べばいいが、チラシバリのほうがアタリが分かりやすく出ると船長は言う。
エサはアルゼンチンアカエビが用意されている。
通常は頭を取って尾部の皮をむいてハリに刺すが、食いが活発なときは皮をむかずに付けてもよい。
チラシバリの場合は、親指の先くらいに身をちぎってハリに刺す。
タックルは湾フグ用がそのまま流用できる。竿先が軟らかく感度のよい全長1.8m前後の先調子竿であれば、カワハギ竿やマルイカ竿も使えるだろう。
リールは小型両軸にPE1号を巻いておく。
糸を出してヤリトリする釣りではないので、ドラグはきつめに締めておく。
![エサの写真]()
(左)船宿のカットウ仕掛けはスタンダードタイプとチラシバリの2種、標準オモリ10号 (右)エサはアルゼンチンアカエビでバケツに入れて船上で配られる。 同宿は追加エサも無料
出典:
仕掛けを底に着けてアタリを待ち空合わせを入れる
基本の釣り方を図1に示す。
仕掛けを底に着けたままアタリを待ち、小さなアタリに合わせて釣る。
アタリがなくても6~8秒ごとに空合わせと誘いを兼ねてシャクリを入れる。
ショウサイフグでもトラフグでも同様の釣り方でよい。
ポイントによっては、フグが宙層に浮いているときがしばしばある。
そのためシャクリ5回に一度くらいの割合で、大きく竿を持ち上げて仕掛けを底から1m以上浮かせるようにする(図1の④~⑥)。
これにより宙層を泳いでいるフグにもエサの存在をアピールできる。
カットウ仕掛けの上に食わせバリを付けるのも宙層のフグへのアピールを高める効果がある。
仕掛けを2m上げれば食わせバリに付いているエサは底から3m上付近にあることになる。
また、海底が根周りか砂地か、フグの反応が底近辺か浮いているかは、船長が都度教えてくれる。
根周りを攻めるときは船長から根掛かりに注意というアナウンスが出る。
根掛かりに対する注意とは具体的には仕掛けを動かさないことだ。
相模湾のフグポイントは岩礁帯の荒根ではなく、小石や岩が点在している場所でそれらの隙間にカットウバリやオモリが引っ掛かる。
つまり仕掛けを引きずると、それが石の隙間にはまる原因となる。
海底でしっかりと仕掛けを止め、船の流れに合わせて竿先を下げながら、一定間隔でシャクリを繰り返すと、仕掛けは海底を跳ねるように動き、根掛かりのリスクは減る。
アタリの出方は様ざまだが、仕掛けを止めているとき竿先が小さくたたかれるようなアタリが出たら、そのまま小さい幅で鋭く合わせを入れて巻き上げる。
シャクった瞬間にカツッと竿が止められるのもフグのアタリなので、そのままリールを巻く。
ハリ掛かりしなくても、シャクリ続ければエサが付いている限りアタリは続くことが多い。
ハリ掛かりしたフグは、上に向かって泳ぎ出すことがある。この場合、竿先からフッと力が抜けるのでバレたように感じるがリールを巻き続けると手応えが戻ってくる。
ハリスを切られることはないので道糸を緩めないよう一定の速度で巻き上げる。
魚が海面まで上がってきたらそのまま抜き上げればよいが、大型のトラフグやホウボウを抜き上げると竿先を折るおそれがあるのでタモを使うようにする。
![釣行の写真]()
フグが浮いているときは大きく竿を上げてアピール
出典:
三つの注意点で低水温期の食い渋りを打開
水温が上がり始める春の潮がやってくると相模湾のフグは徐々に食いが上向いてくる。
しかしながら、春はまだ水温が安定せず低水温の日もあり、フグの摂餌行動が活発でないときも多々ある。
そのようなときに注意すべき三つの点を図2にあげる。
一つ目は低水温時のフグは動作が鈍いことを頭に入れて釣り方を考えよう。
フグはもともと遊泳力の強い魚ではないので、活性の低いフグに対して急激な誘いや仕掛けの動きはマイナスになる。
仕掛けが1mも飛び上がるような大きな合わせだとハリ掛かりしなかった場合、フグはそのエサを見失う、あるいは追うのをやめる。
30cmほどの小さい合わせ幅であれば、次のアタリが続く。
アタリに対して派手な合わせを入れたくなる気持ちを抑えて、小さく鋭い合わせを心がけたい。
二つ目は落とし込みのときにモゾモゾとアタリが出ることがある。
エサを積極的に追っている高活性時であれば、その場で仕掛けを止めて合わせを入れて掛けるが、低水温時ではそうはいかない。
落とし込みでアタリが出た場合は、海底まで仕掛けを下ろしてから合わせたほうがハリ掛かりはよくなる。
低水温期はエサを食う速度も遅いので、底まで仕掛けを下ろしてもエサが全部取られてしまうことは少ない。
三つ目は、図1でも触れたが、宙層のフグを誘うことを心がけることだ。
とくに冬場から春にかけては、海底付近には比重の高い冷たい潮が差し込むことがあり、フグがその潮を嫌って浮いていることがある。
仕掛けを持ち上げた状態で静止、あるいはゆっくり上下させるようにしてから落とし込み、宙層のフグにエサを追わせるような誘いを試してみよう。
フグは帰港後に身欠きにして持たせてくれる。
釣ったフグをよりおいしく食べるには、釣ったらエラをハサミで切って血を抜いてからクーラーボックスの氷で冷やすのがよいだろう。
低水温時のショウサイフグは活性が低く釣るのに苦労する日もあるが、身は締まっていて弾力もある。
薄造りの刺身で食べるには一年で最もおいしい時期だと思う。
相模湾腰越港を出ると海はまったくのベタナギだった。
稲村ケ崎から吹いてくる北風は冷たいが、さざ波が立つわけでもなく船の揺れはほとんど感じられない。
フグ釣りをするには絶好の日和だ。
第八池田丸は10分ほどで江ノ島南側22mダチに着き、投入合図が出た。
このところの釣果はショウサイフグを中心にトラフグ交じり、いい日には20尾近い釣果も出ていた。
しかし、朝のうちはなかなか竿が曲がらない。
遠藤政嗣船長いわく、昨日の後半から潮が変わってアタリが減ってきた、反応は出ているのだけれど口を使わないとのこと。
この日の乗船者は道具立てを見ても慣れた人が多いようだ。
各自工夫を凝らして繊細に誘いをかけているが、エサのアルゼンチンアカエビはかじられることのないまま上がってくる。
![釣行の写真]()
小さいアタリを見逃さないことが肝心
出典:
フグの群れを求めて
食いが立たないとみると、船長は小刻みに場所を変える。
江ノ島裏磯前からヨットハーバーの堤防沖、東に移動して小動岬から七里ケ浜前と流していくと、アタリが出始めた。
しかし、このアタリはホウボウ。
大きいのは40cmを超えるサイズも釣れ上がった。
相模湾はホウボウが多く、冬は専門狙いの船が出るほどだ。
フグのアタリがなかなかないまま小坪沖まで移動した。
ここで私の竿にアタリ。
合わせも決まって重量感もタップリ。
しかし浮いてきたのは見慣れない魚、30cm近いハコフグだった。
ゴツゴツと硬い魚体はその名のとおり、まさに箱。
おいしい魚なのでキープした。
反対舷ではショウサイフグが顔を出す。
30cmに近い良型だ。
この方はこの流しでショウサイフグを3連釣。
そのうち2尾はカットウ仕掛けの上に付けた食わせバリに食っていた。
どうやらフグは浮いているようだ。
葉山沖の手前まで探ってきたところで船長は小移動。
江ノ島に戻り、通り過ぎ、片瀬西浜沖で投入の合図が出た。
江ノ島周辺ではちょっと根に引っ掛かることがあったが、こちらはまっさらな砂地で根掛かりはない。
「少し浮いた反応もあります。仕掛けを浮かせて誘ってみて」とのアナウンスがある。
日が高くなるとアタリは増えてきた。
外道のホウボウ、カワハギは相変わらず多い。
そんな中、ミヨシで竿がコンコンとたたかれている。
海面に姿を見せたのは黒い斑、トラフグだった。
30cmほどの小型だがうれしい本命だ。
私にもやっとフグらしきコツンという微妙なアタリがきた。
最初のアタリで合わせるも掛からない、二度目のアタリに合わせるとグンという手応え、その直後に軽くなる。
上に泳いだのでフグで間違いないだろう。
リールを速巻きすると魚の引きが戻ってくる。
海面に現れたのは25cmのショウサイフグ。
なんとかボウズを回避できた。
この日は常連さんらが口をそろえて「このところ一番悪い日」というほどの低調日。
トップはショウサイフグ3尾だったが、トラフグも顔を出した。
翌週は潮も直りフグ8尾にカワハギが11枚も交じり上り調子になっている。
これから春に向けて期待したい釣りだ。
![釣行の写真]()
ショウサイフグは30cm級になると引きも強い
出典:
![釣行の写真]()
良型のカワハギも交じった
出典:
船宿information
相模湾腰越港 池田丸
0467・32・2121
▼備考=予約乗合、6時出船。貸し道具、仕掛け販売あり。カワハギ、アマダイへも出船
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隔週刊つり情報(2024年3月1号)※無断複製・転載禁止