九十九里飯岡のハナダイといえば定番中の定番ターゲットだったが、一時期不調に陥り専門に狙うことも少なくなっていた。
それが昨シーズンより復調の兆しが見え始め、今シーズンは連日トップが規定の50枚に達するなど完全復活と言っていい釣れ具合となっている。
釣り場は飯岡沖の水深30m前後で、底から10mの範囲をシャクリながら誘い上げる。
サイズは20~35cmまで、日によりポイントにより様ざまだが、魚影の濃さは間違いなし。
今後も十分期待できるだろう。
▲小気味いい引きがハナダイの魅力
出典:
もう20年以上も前だろうか、九十九里飯岡沖は関東ではズバ抜けてハナダイの魚影が濃く、多くのファンでにぎわっていた。
釣り方は2種類あって、生きエビをエサにする胴つき釣りと、アミコマセにウイリー仕掛けで狙うコマセシャクリ釣りだ。
日の出前からスタート
数の胴つき、型のウイリーという感じで好みが分かれていたが、いずれの釣りも束超え釣果が珍しくないほどハナダイが釣れていた。
その後、職漁船による乱獲のせいか、それとも温暖化による水温変化のせいか、ハナダイの魚影は減って、専門に狙う船も減った。
そのころに台頭してきた一つテンヤのマダイ釣りが、ハナダイに代わって現在では飯岡のタイ釣りの主役になっている。
しかし、昨年からハナダイの魚影が戻ってきたと隆正丸の鈴木淳夫船長は言う。
あちこちにハナダイの反応が出ており、トップはコンスタントに50枚前後の好釣果が続いている。
名場所復活、オールドファンにはうれしい限りだ。
久しぶりのコマセシャクリによるハナダイ釣りが楽しみで、ワクワクしながら車を走らせる。
集合は4時だが、3時半には受付が始まった。
船宿の卓上の船型ボードから席札のマグネットを取り、乗船名簿を書いてから受付を行う。
必要な人は受付時に付けエサを買って、氷を受け取ってから船着き場へと向かう。
第11号隆正丸には、すでに各釣り座にコマセとバケツが用意されていた。
支度を終えると船はゆっくり沖へと向かう。
30分ほどでポイントに着いてもまだ日の出前、夜釣りのような雰囲気だ。
「水深29mです。20mまで誘い上げてください」とアナウンスがある。
ビシを底まで落とし、根掛かりしないようすぐにハリス分(2m)巻き上げる。
そこからシャクリ開始。
下に向けた竿をヒュッと水平の位置までシャクリ上げて止める。
これでビシは80cmほど動くことになる。
そこで1~2秒止めてアタリを待ってから、リールを巻きながら竿先を下げる。
そして水平位置までシャクリ上げるの繰り返しを、底から9mのタナまで行う。
暗いうちはなかなかアタリがこなかった。
たまに30cmオーバーの大アジが竿を絞り込むが、ハナダイは顔を見せない。
知っ得!カラーバリの4本バリ仕掛けの使い方
隆正丸では船宿オリジナルのハナダイ仕掛けを販売している。
カラーバリ4本の仕掛けだ。
ひと昔前はコマセハナダイはウイリーバリを使うのが主流だったが、カラーバリでもウイリーと同じ効果があり、エサを付けないでも食ってくる。
カラーバリのいいところは、エサのオキアミを刺しやすいところだ。
通常は一番先のハリにもオキアミを刺し、ほかの3本はエサを付けないで釣るが、食いが渋いときには2~4本のハリにもオキアミを刺してゆっくり誘う。
また、食いが活発なときは4本すべてエサを付けずにカラーバリだけにすれば手返しがよくなる。
状況に応じて攻め方を変えよう。
Tackle Guide
全長2m前後で7:3調子のライトゲームロッドがこの釣りには使いやすい。
60号のオモリを下げて、竿先から30~40cm曲がるくらいの軟らかさで、反発力が少ない素材( グラス混合割合が高い、または低弾性カーボン使用)の竿が、シャクって止めたときに仕掛けが安定する。
リールは小型両軸または小型電動。竿は終始手持ちでシャクリ続ける釣りなので竿、リールともに軽量なものを選べば疲れにくい。
十数年ぶりの感触
「ハナダイは明るくなってから食うよ」と常連さん。
その言葉どおり、水平線に広がる雲の間から光が差してくるころになるとハナダイのアタリが出始めた。
シャクって止めた竿先にコツンと小さなアタリが出る。
すかさず合わせを入れるとしっかりとした手応えが伝わった。
竿を立てたままリールを巻く。
魚が下に突っ込むと、竿先がコンコン!と鋭くたたかれる。
引っ張りっこはせずに竿の弾力を使って魚の引きをいなす。
2mのライトゲームロッドに伝わるハナダイの引きは、実に気持ちよい。
この感触は何年ぶり、いや十数年ぶりに味わったように思う。
上がってきたビシをコマセオケに入れ、両手でハリスをたぐると白く輝く魚影が見えた。
抜き上げたのは25cmのハナダイ。
下から2番目のカラーバリに食っていた。
ハリを外すためつかもうとすると、ピチピチと暴れ回る。このすばしっこさが小気味よい引きを生み出すのだろう。
船長はいい反応に当ててくれたようだ。
船中あちこちで竿が曲がって2点掛け、3点掛けで釣り上げる人もいる。
食いのいいときは高めのタナを狙うのがコツで、ハナダイは大型ほど浮いていることが多い。
底から7mでシャクったときにズドンと重く竿先を引っ張ったのは、30cm近いオデコが突き出たオスのハナダイだった。
この日は一番先のハリとその手前の2本のハリにオキアミを付けて釣ることが多かった。
食いのよい流しでは空バリにも食ってきたが、全体を通してはオキアミを付けたハリのほうが食いはよかった。
アタリが遠くなると船長はすぐに移動の合図を出す。
群れは頻繁に移動しているようで、さながら船長とハナダイの追いかけっこという感じの釣りだ。
少し探索するとすぐに反応は見つかり、ハナダイがアタリを送ってくる。
バケツの中はハナダイで溢れてきた。
陽が高くなったとき、ひときわ強い引きの魚が掛かった。
ハリスは2号、切られないように慎重にヤリトリするが、中層まで浮かせたところでフッと軽くなる。
ハリスが切られてしまった。
おそらくイシダイが掛かったのだと思う。
ほかにもハリスを切られる人が続出したが、うまくヤリトリした人は1kgくらいのイシダイを浮かせた。
ほかに800gくらいのマダイも姿を見せる。
11時に沖揚がりとなり、釣果は20~35cmのハナダイが12~50枚とこの日も好釣果。
私のクーラーにも21枚のハナダイにアジが収まった。
飯岡沖のハナダイ、今シーズンの魚影の濃さは太鼓判を押してもいいだろう。
水深も浅く道具立てもシンプルで、初心者からベテランまで楽しめる釣りだ。
▲4本バリにパーフェクト
出典:
船宿information
九十九里飯岡港 隆正丸
090・3687・9000
備考=予約乗合、4時集合。
ほかヒラメ乗合、テンヤマダイ乗合へも出船
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【九十九里・銚子(千葉県)・チダイ船】人気ランキング
【九十九里・銚子(千葉県)・チダイ船】価格ランキング
隔週刊つり情報(2024年2月1号)※無断複製・転載禁止