九州発祥の落とし込み釣り。
サビキにベイトを付け、そのまま落とし込んでいくとヒラマサなどの青物が食ってくるという釣りだが、関東でも少しスタイルが違うものの同様の釣りが楽しめるようになった。
内房保田沖では例年この時期からアジ乗合で釣ったアジを泳がせてブリ、ワラサを狙っていたが、保田港の村井丸では今年から落とし込み専門船を開始。
アミコマセを使用してまずはアジを釣り、そのまま待つかタナを下げていくとガツガツとアタリがやってくる。
目下のところ深場ではブリ級、水深50~70mではワラサが回遊。
日並みにもよるが、いい日は船中10本ほど上がることも。
使用するオモリは60~80号と比較的ライトな道具立てで楽しめるとあって人気は急上昇中。
今、大注目の釣りだ!
サビキに食ってきたアジは泳がせ用のエサにしたりお土産としても
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日によりブリ級もチャンス
取材日の前週は深場で6~8kgクラスのブリが多かったという。
その後シケの影響か取材日含め食い渋っていたが翌日から再び食い出した。
深場ではブリ級メインというから楽しみだ。
ブリ級を2本ゲットした人も(仲乗りさん撮影)
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内房エリアでは8月中旬ごろからワラサ、ブリが回遊してきて、釣ったアジを泳がせて狙う楽しみがある。
内房保田港の村井丸はライト五目船、アジ船での泳がせに加えて専門に狙う「落とし込み船」がある。
今シーズンはこの釣り方でワラサからブリクラスまで多くの実績を上げている。
「深場ではブリクラスも狙えます。少し浅い所ではワラサメインにヒラメやハタ系の魚も釣れています」と村井丸の村井智博船長。
釣果はいい日で船中10本といったところだが、アタリの数は多く大型バラシも頻発しているという。
ワラサは対岸の剣崎エリアとも連動していることが多いようで、剣崎沖で数が釣れるようになると、内房にも多く回ってくるという。
今シーズンの剣崎沖はまだ爆発的な釣果はないから、内房の本番もこれからだろう。
例年、青物は12月ごろまでいるというから、ぜひ試していただきたい釣りの一つだ。
落とし込み釣りとは、長崎県や福岡県など九州地方で盛んに行われる釣りで、ヒラマサやブリ、ヒラメにマハタなどに絶大な効果を発揮する。
イワシなどのベイト(エサ)の反応を探し、その群れの中に落とし込み用のサビキ仕掛けを通過させてベイトを付ける。
止めることなくそのまま海底まで落としていくとベイトに大型魚が食ってくるという寸法の釣りだ。
本来はコマセを使うことなく宙層に出た反応を直撃するが、内房エリアでのベイトはアジのためアミコマセを使用するのが特徴。
それなら普通に釣ったアジを泳がせても一緒じゃない?と思う人もいるかもしれない。
もちろん泳がせ釣りでも実績はあるが、落とし込みの利点は確実にエサの群れがあることで、大型魚も近くにいる可能性が高いこと、さらにアジが元気でアピール度も高いことなどがあげられる。
こうした理由から、より大型魚との遭遇チャンスが増えるというもの。
一人がヒットすると立て続けにヒットすることが多い。
実際、取材日は時合が到来すると同時に4人ヒットもあった。
残念ながら3人はバラシとハリス切れのバラシに終わってしまったが、落とし込み釣りの威力を知るには十分なワンシーンとなった。
取材日はワラサ船中1本だった
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タックルは2タイプあると安心
「事前にブリかワラサどちらが釣れているか確認してタックルを用意してください」と船長。
ワラサならライト系タックル、ブリなら少しヘビーなタックルが必要になる。
可能なら両方のタックルを持参すれば、突然状況が変わっても対応できる。
どちらか1本を、というなら大は小を兼ねるヘビーめのタックルを用意しよう。
①ワラサ、ヒラメメインの場合
竿は全長2m前後、7:3~6:4調子、オモリ負荷80~100号に対応できる胴のしっかりとしたゲームロッド。
このほかライトヒラメロッドなど。
使用オモリは主に60号。
リールは小型電動で、道糸はPE2~3号を巻いておく。
②ブリクラスメインの場合
竿は全長2~2.5m前後の青物竿、ワラサ竿、遠征五目竿など。
本来の落とし込み釣りとは若干異なるので、穂先感度にそれほどこだわる必要はなく、アジのアタリが分かる竿ならOK。
リールは中小型電動に道糸はPE4号以上を巻いておくと安心。
同時ヒットやオマツリも多く、このサイズが掛かったときはあまり細いと道糸切れの可能性もある。
ブリは水深90~100m前後の深場を狙うためオモリは80号使用。
バラシの原因で多いのが道糸切れ。
それもオマツリで擦れたとかではなく、ただ劣化していて引っ張り強度に耐えられなくなって切れてしまうことが多いのだという。
「釣行前に古い道糸は巻き替えたほうがいいですね。古くないものでも10m分カットしてから使うといいですよ」
A D V I C E 仕掛けのセレクト
各メーカーから発売されている落とし込み、食わせサビキ仕掛け。
何を選んでいいか迷ってしまうが、今回船上で使われていた仕掛けが以下のもの。
一番左は筆者が使用。
大型に備えてハリス、ハリとも12号でスタートしたがアジの付きが悪く、ハリ10号、ハリス8号の交換式の仕掛けにチェンジしたところ急に食うようになった。
交換式で傷んだ仕掛けを1本だけ交換できるなど便利だった。
お客さんが使っていた「どうらく仕掛け」はベイト用のハリと食わせバリが分かれたタイプで、アジの食いはよかったようだ。
このほかライトタックル落とし込み仕掛けなども使う人が多い。
ただし、ブリ狙いのときはハリス12号以上で狙おう。
4本バリが扱いやすい
仕掛けは市販の落とし込みサビキ、食わせサビキを使用する。
村井丸は釣具店を併営しているが、取材時は未入荷のため各自持参した仕掛けを使用していた。
予約時に購入できるか聞いておこう。
まず、この仕掛けの基本的なことを理解しておこう。
アジを釣るためには細い仕掛けのほうが食いがいい。
ハリもあまり大きくないほうがいい。
ブリを釣るにはハリス、幹糸ともに太いほうがいい。
ハリも大きいほうがいい。
ところがアジを釣るために細い仕掛けにするとブリが食ったら簡単に切れてしまう。
じゃあブリに耐えられる太さにしたら、今度はアジが釣れなくなる。
つまり完全に矛盾していると言える。
この相反する要素を絶妙のバランスにしているのが現在市販されている仕掛けたちだ。
「エサも釣れて大型魚にも耐えられる丈夫さ」を計算して作られている。
仕掛けのサイズは、ハリが8~12号、ハリスは8~12号程度。
ハリ数はこのエリアでは4本が扱いやすいという。
市販品は6本バリ仕掛けが多いが、この場合は2本カットして使用してもいいそうだ。
長めの竿の場合はそのまま使用してもいい。
ワラサメインなら細め、ブリメインなら太めを選ぶといいだろう。
市販品にはオーソドックスなものから、アジサビキと食わせバリが別々になったもの、枝スが交換式になったものまで様ざま。
まだまだこのエリアでは確立した釣りではないので、色んな仕掛けからマッチしたものを見つけるのも楽しいだろう。
サビキの上部にコマセカゴを付ける。
コマセカゴはサニーカゴMやAなどサビキ用の小型のものを使用する。
オモリは水深により変わるので、60号と80号を用意しておく。
状況によっては泳がせ釣りをすることもある。
念のため、泳がせ仕掛けも用意しておくと安心。
こちらはヒラメの市販仕掛けや、ハリス14号程度の仕掛けを。
アジ釣りが重要だ
こういった釣りではエサを釣ることが最も重要になる。
アジエサをしっかり釣ることで大型魚の確率もアップする。
コマセはアミで、コマセカゴの調整は下は全部閉めて、上部を半分から3分の1くらい開けておく。
イサキなどと同様のセッティングだ。
ポイントは根周りや魚礁周りがメイン。
船長はアジの反応を見て指示を出す。
この日、船長から出た指示ダナは海面からの場合、海底からの場合と様ざまだったので、毎回聞き逃さないようにしよう。
村井船長のアナウンスはとてもていねいなのでビギナーにも分かりやすい。
「海面から50m」の場合は、53mくらいまで落とし、鋭くシャクって1mずつ上げて50m付近でアタリを待つ。
少し待ってアタリがなければ再び3mほど落としてからコマセをまいて指示ダナ前後を探ってみる。
底からの場合、下から3mや、3~5mなどと反応によって細かい指示が出る。
底からのときは海底に着いたらすぐに1m上げて、シャクってコマセをまきながらタナ周辺を探る。
アジが食えば竿先に変化が出る。
「アジが食ったらそのまま待って」「アジが食ったら一度底まで落として1m上げて待って」などとポイントごとに細かいアナウンスがある。
周りに大型魚がいる場合は、竿先に出る変化で察知することができるので、「さあ食うぞ」と心構えを。
アジの群れの下に大型魚がいれば、アジが食われまいと暴れて浮き上がる。
竿先がガタガタと激しく暴れたらロックオンされたと思っていいだろう。
アタリはいきなりガツンときてギューンと持っていく場合、くわえているのに強く引き込まないなど様ざま。
アジのサイズやブリ、ワラサのサイズによってもアタリは異なる。
いきなり持っていく場合はすでにハリ掛かりしているので軽く持ち上げる程度の合わせでヤリトリを開始する。
なかなか強い引き込みがない場合は、じっと我慢。
ここで我慢できずに合わせを入れると高確率でスッポ抜ける。
強い引きがきてビックリして強い合わせを入れて抜けることも。
エサを飲み込み強く引き込んだときに、竿を持ち上げるようにしてフッキングさせる程度の合わせでOK。
大型がヒットした場合、船長は周りの人にオマツリ防止のため仕掛けを回収するようにアナウンスすることも。
ヤリトリはドラグは強めに設定し、大型の場合のみ強く引いたときに滑り出すくらいにしておく。
ズルズルと出してしまうとバラシの確率も高くなる。
巻き上げは竿を起こした状態をキープし、電動で巻き上げるのがおすすめ。
常に負荷をかけられ、急な引き込みにも竿を下げて対応できる。
最後はタモ入れしてもらう。
このとき、竿と仕掛けの長さが合っていれば竿を立てれば取り込みが容易になる。
しかし、竿よりも仕掛けが長くさらに一番下のハリに食っているような場合は、仕掛けをたぐる必要があるので、枝スのハリには十分注意しよう。
サビキにくるアジは大小交じり
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エサが釣れないときは…
周りの人にはしっかりとエサが付いているのに自分だけ付かない。
そんなときはまず、仕掛け、コマセカゴのチェックを行おう。
周りよりもうんと大きなハリを使っていないか、コマセは適切に出ているか、出過ぎていないか。
それでも食いが悪いときは、コマセをまいた後に、ゆっくり上下に誘ったり、細かくシャクって上げていくシャクリ釣りも試してみよう。
微妙なタナの差異でも食いが変わることがあるので、食っている人のタナを聞いてその付近を探ってみよう。
とにかく、エサのアジ釣りは真剣に行おう。
これが釣果に直結する。
取材翌日はワラサの食いが活発に(仲乗りさん撮影)
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別船の五目船では泳がせでワラサをゲット
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戸田市の島貫さんは落とし込み仕掛けでヒラメをゲット
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I N F O R M A T I O N
内房・保田港 村井丸
0470・55・1121
備考=予約乗合、4時半集合。ほかライト五目、アジへも
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隔週刊つり情報(2023年10月15号)※無断複製・転載禁止