東京湾のフグ釣り、湾フグは季節ごとに特色があり、一年を通して楽しむことができる。
秋は「ヨリフグ」と呼ぶ、小型ショウサイフグの数釣りシーズンに入り、水深10mに満たない浅場で、エサ取り好手と対峙しながらテクニカルな釣りが楽しめる。
取材した三浦半島鴨居大室港の一郎丸では、8月下旬の取材日前後にはトップ60尾ほどの好釣果を記録。
ヨリフグと呼ぶにはやや大きめのサイズ中心に、ヒガンフグやコモンフグも多く交じっている。
ゲストも多彩なこの時期は初挑戦するのにもおすすめだ。
▲ポイントは大貫沖8~9mダチ。砂地に小さい根が点在する
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(上)釣れるショウサイフグのサイズは20cm前後(下)朝イチにダブルも
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クーラーの有効利用を
9月に入ったとはいえ、気温も海水温もまだまだかなり高い。
極上の味と言われる東京湾のフグをおいしく食べるためには、釣ったら必ず冷えたクーラーボックスにしまっていくこと。
こうすれば身が締まった状態をキープできる。
また、エサのエビもある程度使用する分を除いてクーラーボックスにしまっておこう。
暑い中に出しっぱなしにしておくと身がグズグズになってしまいエサ持ちも悪くなる。
(左)海水を入れキンキンに冷えた状態にしておく(右)エサもキープしておく
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湾フグ人気は季節を問わず相変わらずすごいものがある。
取材日はお盆休み明けの平日ながら、出船の1時間前にはすでに20人近いファンが集結していた。
「今日はたまたまですね。シケ休みの前に釣れたからそれで急に増えたんですよ」と三浦半島鴨居大室港・一郎丸の大船長、青木利夫さんは言う。
実は一郎丸では7月一杯くらいまでは夏の激アツシーズンが続いていて、今は秋シーズンを控えた中休み的な時期。
ところがお盆前に大貫沖の浅場でトップ60尾オーバーが連続しちゃったもんだから、この騒ぎになったというわけ。
東京湾の秋のショウサイフグといえば、「ヨリフグ」とも呼ばれる小型の数釣りシーズンだが、大船長は「ヨリフグよりもサイズがいいね」と言う。
それで数が出ているとあってはお客さんが増えるのもうなずける。
そんな状況だったので、今回は竿を出すのを遠慮して撮影と取材に集中することにした。
出船1時間前にはほとんどの人が乗船してエサの準備に忙しい。
出船は7時15分だが、5時前後に到着する人が多いそう。
その理由は場所取りもあるが、下船後にフグをさばいてもらう順番が受付順のため、釣れているときはより早く集まる傾向があるという。
20人の釣り人を乗せて青木淳船長は竹岡~大貫沖を目指す。
ちなみに一郎丸がショウサイフグを始めたのは2008年ごろ。
青木淳船長がフグ関連の各種免許を取って翌年からスタートしたという。
最初に到着したのは竹岡沖。
しばらく反応を探して旋回するが、やがて投入の合図が出る。
しかしアタリがなく船長はすぐに移動を告げる。
やや北上して大貫沖のポイントへ。
ここではアンカーを投入し、スパンカーを立てた状態で釣りを開始。
水深は8~9mほど。
船中ではノーマルのカットウ仕掛けとチラシバリ仕掛けは半々といったところ。
多くの人は船長がすすめる食わせバリを装着していた。
▲2kgオーバーのヒラメも
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潮流れずポツポツの食い
このポイントはフラットだが、小さい根が点在しているようで根掛かりも多い。
このため、船下周辺で釣る人が多かった。
船中1尾目が上がったのは8時過ぎ。
1尾食ってからポツポツとアタリ出す。
中にはチラシバリ仕掛けにダブルで掛かってくることも。
根掛かりが多い場所のためかヒガンフグが多かった。
アタリがピタリと止まると船長は移動を告げ、オートでアンカーを巻き上げて小移動する。
移動のたびにアタリはあるが派手に続くのではなくやはりポツポツといった感じ。
ショウサイフグのサイズは20cm前後メイン、ヒガンフグは25cm前後が多いようだった。
船上を観察して回ると、常連の久保田さんが使っている仕掛けに目が止まった。
チラシバリ仕掛けなんだけど、エサバリも付いていてエビ1匹の装着も可能。
言わばハイブリッド仕掛けか。
さらに食わせバリも2本付けて抜かりはない。
カットウバリはハリス止めで脱着可能、さらにハリスはワイヤーを使用していた。
「これならどんな釣り方もできますよ。船長も言ってるけど、食わせのハリにもけっこう食ってきますよ」と久保田さん。
そう言いながらカットウ、食わせバリにも掛けていく。
この日は潮があまり流れておらず8号程度の軽めのオモリを使用する人も。
同じ場所ではなかなか食いが続かないので船長はまめに移動を繰り返す。
ある場所では左舷の胴の間からミヨシ側にかけて良型のヒガンフグが立て続けにヒットするシーンも。
どうやらちょうどその船下に根があったようで、決まった場所で連チャンする。
当日は一日南寄りの風で前半は下げ潮、後半は上げ潮という日だった。
前半はミヨシ側が有利だったが、潮止まり近くになるとパタリとアタリが止まってしまった。
あとは上げ潮が効き出したら食いが復活するか。
再び久保田さんと話をしていると、隣の人が「あ!やっちまった」と声を上げた。
それを見た久保田さんはニコニコしながら自分の仕掛けを寄せていく。
掛け損じた仕掛けにエサがなければ、エサの付いた隣の仕掛けに食ってくることが多いのだそう。
群れで回遊する魚なので、だれかがヒットしたら必ず自分の周りにもいるっていうこと。
このときは食わせることはできなかったけど、かなり効くそうだ。
▲カットウのみのシンプル仕掛けで楽しむベテランも多い
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▲たまに25cmクラスの姿も
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▲ヒガンフグはだれかにきたらチャンス。バタバタと続いた
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LECTURE オモリの形状&色
湾フグに使用するオモリは丸型、ナツメ型メインに、今回竿頭だった田渕信也さんが使用していた亀型、はたまたタイラバのヘッドなど様ざまなものが使用可能だ。
形によって潮の抵抗が変わるし、色によってはアピール度も変わってくる。
東京湾では金色の人気が高い。
金色のオモリがない場合は「金メッキ箔で自作するといいですよ」とは田渕さん。
金額もリーズナブルだというからぜひ試してみたい。
キャストで探って数をのばした
潮止まりをへて上げ潮が効き出すと、左舷トモから2番目の田渕信也さんが数をのばしていく。
この日は比較的根掛かりの多い場所を攻めていたが、田渕さんはキャストして幅広く探る作戦でアタリを出していった。
散らばっている魚を自分の仕掛けに寄せて食わせて掛けていく作戦のようだ。
後半は予想どおりトモ側にアタリが集中していった。
おいしいと評判のコモンフグも多く交じり、さながらフグの3種釣りといった感じだった。
14時半前に沖揚がりを告げるアナウンスがある。
釣果は6~27尾で田渕さんがトップ、2番手20尾だった。
前週に比べると食い渋ったようにも感じたが、乗船人数で考えれば順調な釣れっぷりといえるだろう。
取材日以降はトップ46尾、51尾と続き、群れの濃さを証明してくれた。
船長の話だと、今後はしばらく浅場で数釣りが楽しめるとのこと。
冬場になるとコモンフグやヒガンフグを狙うこともあるが、あくまでメインはショウサイフグとのことだ。
実は筆者は湾フグの取材経験はそこそこあるけれど、実釣経験はなし。
なんかどハマリしそうで危険な雰囲気を感じ取っていたのだ。
今回の取材で頭でっかちになったところで、帰りに勢いでまあまあの専用ロッドを購入してしまった。
キハダも待っているっぽいけど、この秋は湾フグにハマってみたい。
▲この日は根周りでヒガンフグが多く交じった。ショウサイよりも2回りほど大型
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船宿information
三浦半島鴨居大室港 一郎丸
046・841・9236
備考=予約乗合、7時15分出船。
ほかタチウオ&アジリレー釣りへも
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隔週刊つり情報(2023年9月15号)※無断複製・転載禁止