釣り物多彩な夏の茨城県鹿島港。
夜イカに続いて今度はマゴチが急上昇している。
当地のマゴチ釣りは生きエサを使わず、ジグヘッドやタイテンヤにワームを付けて狙うスタイル。
「テンヤマゴチ」「ルアーマゴチ」などと呼ばれ夏の鹿島では爆発的な人気を誇ったが、ここ数年は芳しい釣果が聞かれず低迷していた。
ところが今年は7月に入って釣果が急上昇、40~60cm級を連日トップが規定数の10本に達している。
とはいえアタリを出せるかどうかは誘い方にもより、そんなゲーム性の高さも面白いところ。
8月一杯は期待できそうなので、ぜひともチャレンジしていただきたい。
8月一杯は期待できそうだ
出典:
テンヤマゴチの必需品
マゴチはヒレ周りなどに鋭いトゲがあって不用意に触れると怪我をする恐れがある。
ハリから外すときやオケに入れるときには素手で魚をつかまないようにしたい。
フィッシュグリップやニッパーは必ず用意しておこう。
鹿島のマゴチは比較的新しい釣り物だ。
乗合船がスタートしたのは2014年だから、9年前。
その爆発力で瞬く間に夏の鹿島を代表する人気釣り物になったが、資源保護の目的で6月スタート、トップ10本までなどの規定が定まっていった。
ここ1~2年は出船しても目立った釣果はなかったが、今年は7月になって久しぶりにトップ10本を連発する日が出ている。
タックルは一つテンヤ用でもOK リーダーは短めが吉
鹿島港の長岡丸を訪れたのは7月14日。
さっそく飯塚正貴船長に状況を聞くと、長岡丸でマゴチ狙いを始めたのは7月に入ってからで、トップ7~8本の日が多かったが、ここへきて規定数に達する日が増えてきたとのこと。
ただ、まだ数日なのでたまたまなのか、魚影が増えているのかは分からないという。
これが狙う船が増えて、釣果も安定するようなら本物、夏の間は十分楽しめるだろうとのこと。
釣り場を聞くと、鹿島新港の前からカシマスタジアムにかけての沿岸部、水深は8~12mを中心に浅いと5m、深くても15~16mくらいを狙っているそうだ。
タックルについて質問すると、竿は一つテンヤ用を流用できるほか、シーバスロッドなどを使う人が多いとか。
当日のお客さんの中にはSLJやサワラキャスティングの竿を使っている人もいた。
もちろん専用竿もあるし、ほかにも色いろな竿が使えるわけだが、硬い軟らかいで言えば、船長は合わせの効く硬めの竿をすすめていた。
リールは2500~3000番クラスのスピニングで、道糸はPE0.8~1号を巻いておく。
肝心なのはリーダーで、フロロカーボン4~5号を1mくらい直結で結んでおく。
リーダーが長すぎるとキャストしたときにガイドに引っ掛かり、ライン切れする可能性が高まる。
ジグヘッドは30~40g、テンヤなら8~13号前後。
最初は軽めから始めて、底が取りづらいと感じたら重くしていけばいい。
ワームは3~4in。
エビのような形をしたクロー系、クルッと丸まった尻尾の付いたグラブ系、小魚のようなシャッド系などがあり、クロー系は底をチョンチョン跳ねさせるボトムバンプ、グラブ系、シャッド系はアクションを付けずに巻いたり引いたりする釣り方に向いているとか。
カラーはグリーン、ブラウンなどの暗色系と明るめのオレンジ系が定番らしい。
ちなみに長岡丸では受付でワームは買えるが、ジグヘッドの販売はない。
事前に用意するか、港の釣具店で出船前に購入しておこう。
基本の誘い方は3パターン
当日は5時前に7名で出船。
10分ちょっと走って水深8mで開始の合図。
自分もテンヤマゴチの経験はほとんどないのでまずは様子見。
お客さんの釣り方を見守ることにする。
一流し目は不発だったが、回り直すと右舷トモ2番の方がリールを巻き始めた。
ヒョイと抜き上げたのは40cm弱のマゴチ。
キャストした仕掛けが船下に戻ったところでアタったという。
聞けばこの日は生きイワシのキハダへ行く予定だったがシケで中止、急きょ初めてのマゴチ釣りに来たという。
その同行者で、手慣れた様子の右舷トモの方も久しぶりのテンヤマゴチ。
キャストしたら竿を横に引き、手前に探ってきている(ズル引き)。
なるべく仕掛けが浮かないよう、底付近を移動させるイメージとか。
一方、右舷ミヨシの方はキャストしてから竿先をチョンチョンたたくように動かして手前に探ってきている(ボトムバンプ)。
みなさん色んな釣り方をしてるなと思って船長に聞いてみると、とくに正解はないという。
様ざまな誘いを試して、その日アタリの出るパターンを探していくのがこの釣りの勘所。
逆にいうと、アタリの出るパターンが見つからないと、いくら周りでバンバン掛けていても自分だけ釣れないことはよくあるという。
では、初めての人はまずどう釣ればいいのか?
船長によると、リールをクルクルッと回しては止め、回しては止めのいわゆるストップ&ゴー(スイミング)。
リールを巻いたときにワームが浮き上がり、止めたときに着底する。
この際、竿は一定に構えてアクションを入れなくてもいいというから、初心者でもやりやすい。
釣り方を大まかに整理するとスイミング、ボトムバンプ、ズル引きの3パターンになるわけだが、これらに使用するワームの種類、テンヤやジグヘッドの形状で動きが変わってくるから組み合わせは無数にあるともいえる。
そんな中でこの日の当たりパターンだったといえるのがスイミングテンヤ(ジグヘッド)30gにグラブ系のワームをセットしてのズル引き。
とくに右トモの方が好調で、釣れない人にアドバイスして回ると、途端に連発していた。
アタリと合わせについて船長に聞くと、止めたときにゴンッときたり、巻いている途中にコツッときたり、アタリの出方は様ざまな様子。
合わせに関しては、巻いている途中のアタリは即合わせでもいいが、最初はマゴチがワームをくわえているだけなので、少し待ったほうがいいとのこと。
その間に合わせ代しろを取るためリールを巻きながら竿先を下げ、竿で聞き上げてから、重さが残っているようであればしっかり大きく合わせる。
掛け損ねたとしても再びマゴチが口を使う可能性があるからすぐにワームを底へ戻す。
実際この日も3回目のアタリでようやくハリ掛かりさせたシーンもあった。
アタリは多く今後も期待十分
船長に話を聞いたり釣っている人の様子を観察しながら撮影がひと段落したところで自分も仕掛けを投入してみる。
タックルは一つテンヤ用で、30gのスイミングテンヤにピンクのグラブをセットしてみた。
最初は船長に教わったストップ&ゴーでやってみたものの今一つしっくりこなかったので、ほかの方がやっていたズル引きを試してみる。
竿でスーッと引っ張って、止めているとトンッとワームが再着底するのが分かる。
数秒待って、糸フケが出ていたら巻き取り、再びズル引きの繰り返しで船下まで探ってくる。
動作としてはシロギス仕掛けをサビいてくる感じだから、こちらのほうがしっくりきた。
最初のアタリは船下で止めているときにいきなりゴンッときたので思わずビックリ合わせでバラしてしまったが、2回目のアタリはズル引きから止めた直後にクッとモタレのような感触。
少し待ってから合わせを入れるとハリ掛かり。
40cm級と小ぶりながら1本目を手にできた。
ルアー釣りは滅多にやらないが、なかなかどうして面白い。
ここで一つ気になることがあった。
鹿島のマゴチは基本横流しで、道糸が払い出す舷と入り込む舷があるのだが、船長に確認したところ、基本的には左右交互に流すが、潮や風の状況で船を流しづらいときは左右の舷を入れ替えず一定方向で流すこともあるという。
この日もそれで、終日左舷が払い出す側だった。
ちなみに道糸が入り込む舷では早め、多めに誘いを入れないとすぐに船下に戻ってきてしまうが、払い出し側ではリールを巻かずに竿で引いて、止めてを繰り返すだけでもある程度ワームが動くから初心者でも釣りやすい。
もし席を選べるなら払い出し側がおすすめ。
そんなこんなで2本目を釣ってから、予備で持ってきたシロギス竿に交換してみた。
ところが竿が短いからか、軟らか過ぎたのか、同じような誘いをしているつもりでも全くアタリが出なくなってしまった。
周りの人は相変わらず好調に釣っているので、やっぱり竿が変わってワームの動きも変わってしまったのか……。
11時に沖揚がり。
ほとんどの人が規定数に届いたかと思いきや、アタリの数に比べてバラシが多く、10本釣ったのは一人だけ。
ほかの人は6~9本といったところだったが、マゴチ釣りとしては十分すぎる数字。
台風など大きなシケがなければ8月中は期待できるはず。
普段はエサ釣りしかやらないという人も、この機会にぜひチャレンジしてほしい。
大型は50~60cm級
出典:
終日同じワ ームで通して9本ゲット
出典:
普段エサ釣りしかやらないという人もぜひ一度お試しを
出典:
I N F O R M A T I O N
茨城県鹿島港 長岡丸
0299・69・0930
備考=予約乗合、4時集合。別船は一つテンヤマダイ、夜イカなどへ
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隔週刊つり情報(2023年8月15号)※無断複製・転載禁止