私が初めてヤリイカ釣りをしたのは、まだ電動リールがあまり普及していないころで、手巻きでのこの釣りは重労働だった。
苦労して初めて釣ったヤリイカがタルの中で泳ぐ姿を見て、なんともいとおしく思えたのは今でもよく覚えている。
現在はヤリイカ乗合を出すほとんどの船宿が電動リールのレンタルタックルを完備し、投入器も備えているので初心者でも手軽にヤリイカ釣りを楽しめるようになった。
ヤリイカのシーズンは秋から春までロングラン。
シーズン初期は胴長20cm前後がレギュラーサイズだが、小型でも肉厚で軟らかく、甘みもあって食味抜群。
10月16日、そのおいしい秋のヤリイカを求めて、釣友の米光さんと相模湾腰越港の飯岡丸を訪れた。
これからの季節、沖合のイカ釣りはヤリイカが主役だ
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いい日はトップで25杯以上釣れることもある
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ツノを投入器に収めながら取り込もう
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海も穏やかな釣り日和
飯岡丸では電話予約の際に釣り座の指定ができるので、席取りの心配をせず出船時間に合わせて行けばよいので助かる。
受付を済ませて船に向かい、指定された右舷トモ2番と3番の席で準備をしていると、次つぎとお客さんが集まり始めた。
当日の乗船者は私を含めて15名とほぼ満船。
その中で気になったのは女性2人を含む3人グループ。
話を聞くと全員レンタルタックルで、ほかの釣り物で船釣りの経験はあるものの、ヤリイカは初挑戦とのことだった。
6時半に出船、30分ほどの航程で到着したのはエボシ沖の水深140m付近。
海は穏やかで絶好の釣り日和だ。
しばしポイントリサーチをした後、三浦船長から、「底から5~6mまで反応があります。どうぞ」のアナウンスで一斉に仕掛けが投入された。
ヤリイカは最初に着底した仕掛けに乗るケースが多いので、少しでも落下速度を速めるために皆さん竿を下に向けガイドと道糸の摩擦抵抗を軽減させている。
ところで、気になる直近のヤリイカの模様はトップで10~30杯前後と日ムラがある。
この時期にしては天候が安定せずウネリなどの影響で釣りにくい日があるのと、シーズン初期だけにまだ群れが固まっていないのも原因らしい。
ヤリイカはパラソル級の大型になると遊泳力も強く底から20~30mの宙層まで浮くこともあるが、小型はせいぜい底から10mが生息域。
なので仕掛けはバラシが少ないブランコ式で、ツノ数は慣れた人で7~8本、初心者なら扱いやすい5本がおすすめだ。
最初に乗りをとらえたのは右舷トモの斉藤さんで、胴長20cm級のヤリイカが赤白のウキスッテを抱いて上がってきた。
最初の流しはこの1杯で後が続かず潮回りしたが、次の流しは着底直後に数名が乗せて巻き始める。
左舷胴の間の富田さんが胴長25cm級のヤリイカを取り込み、続いて3人グループの佐藤さんと原田麻衣さんが同級を上げる。
ヤリイカ初挑戦だけに心配していたのだが、私もこれで一安心。
原田さんに初めて釣ったヤリイカの感想を伺ったところ、「なんだか乗ったような気がしたので上げてみたら付いていました」とあまり実感がなさそうだ。
釣り場はエボシ沖の水深140~160m前後
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手持ちで船の上下動をかわしながら巻き上げてバラシを防ごう
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初期は小型が多いので乗りを見逃さないようソフトにシャクろう
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貸し竿でヤリイカ初挑戦のグループも全員ゲット
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バラシが頻発!?
左舷ミヨシ3番の北村さんがヤリイカとスルメイカをダブルで取り込む。
その後も潮回りのたびにポツリポツリとヤリイカが各所で釣れるのだが、ほとんどが単発で後が続かない。
「アタったのに掛からないよ」とか「墨だけ付いてたよ」とぼやく声があちらこちらで聞こえてくる。
ヤリイカが小さいためか、群れが小さく警戒しているのかは分からないが、乗りが浅くバラシが頻発する。
それでも開始から2時間ほどで1人を残して皆さんヤリイカを手にしていた。
出遅れた人は3人グループの原田浩子さんで、「アタった気はするけど釣れないの」と困惑顔。
おそらく波などによる船の上下動によって竿先にかかる負荷とアタリの見分けがつかないのだろう。
そこで、「まずイカが乗っていないときの重さを覚えてください。イカが乗ると波とは違った不規則なアタリが竿先に伝わりますから。分からなければオモリを底に着けてゼロテンションにすると分かりやすいですよ」とアドバイス。
続いて、「それでは私が1杯釣って見せますから」と彼女の竿を借りて実釣に移る。
着底して糸フケを取ったら、竿を大きくゆっくり上げて着乗りを確認。
乗りがなければ再び着底させてゼロテンションで5秒ほど待ち、軽く4~5回シャクって再びゼロテンション。
底で乗りがなかったので、巻き落としを兼ねて5mほどシャクリ上げて探り、再着底させる。
すると着底直後に竿先がクッと押さえ込まれた。
軽く合わせを入れるとズシッとした手応え。
「はい、乗りました。これが乗ったときの重さなので覚えておいてくださいね」と竿を彼女に手渡す。
すると、「えっ? 乗ったの?」と驚きの表情で巻き上げ始め、「重い、重い」と言いながら胴長23 ㎝のヤリイカを取り込んだ。
その後は水深140~160m前後を転々と流し、潮回り後の最初の投入でポツポツと乗る拾い釣りが続いた。
私も残り時間が迫ったところで釣りに参加し2連続でヤリイカを釣り上げる。
しかし3杯目を乗せたところでギュギューンと竿が引き込まれ、バッツンと仕掛けごと持っていかれてしまう。
船長の話ではおそらく大型のマダイの仕業とのこと。
ちなみに同船では、混雑していない日は四隅の釣り座でハモノ狙いのヤリイカ泳がせもできるらしい。
その後は乗りが遠のき13時半に沖揚がり。
当日は潮具合が気に入らなかったのか乗り渋り、釣果はトップ10杯で平均7~8杯ほどと奮わなかったが、ヤリイカの本格シーズンはこれから。
潮次第で大釣りも期待できるので釣行してみてはいかがだろう。
知っ得!コマセヅノの効果
スタンダードなプラヅノと色や形状、違う動きをすることでイカを寄せる効果のあるツノはコマセヅノとも呼ばれる。
コマセヅノには乗らなくとも、その上下のツノに乗る場合が多く、代表的なのがウキスッテ。
とくにヤリイカでは赤白のウキスッテはそれ自体にもよく乗るので、仕掛けに1本加えるといいだろう。
赤白ウキスッテはヤリイカ仕掛けのマストアイテム
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Tackle Guide
仕掛けは本文でも述べたがブランコ仕掛けがおすすめ。
タナが底中心なので、初心者はツノ数を5本程度にすると手前マツリなどのトラブルを軽減できる。
小型のヤリイカの繊細なアタリが分からないときは、ヨリ取りリングなどは外したほうがいいだろう。
当日のヤリイカタックル
この日のタナは底から5mほど
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今後はどんどんサイズアップしていくはず
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同船は予約時に釣り座を指定することも可能
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ヤリイカは興奮すると真っ赤になる
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隔週刊つり情報(2022年11月15日号)※無断複製・転載禁止